第15話 学校祭〜一番カワイイ或高生コンテスト⑤
「今年もかなりレベルの高い演技が揃いました。みなさん、投票は捗ってますか?
この後は、自己アピールタイムになります。あと十秒ほどで、一旦投票を締め切らせていただきますのでご了承ください。
それでは、投票一旦締切、準備のため、十分間の休憩です。」
「一番カワイイ或高生コンテスト」は、いよいよ最終審査。「自己アピール」の時間です。
空玲須は、裏からステージを下されました。出演者への嫌がらせがあるかもしれない、という説明でしたが…。
「空玲須くん。
キミとはいずれ、決着をつけることになるだろう。首を洗っておくんだな。」
降りる時に、司会の成木曽が言った言葉こそが嫌がらせだな、と空玲須は思いました。
「自己アピール」の持ち時間は一人二分。その間に得意なことをアピールします。
休憩時間はあっという間に過ぎて、いよいよ開始です。
「はい!
わたしからやります。」
女鹿蘭が初めて、自分から進み出ました。
「わたしには、ここで見せるようなものがありません。友達は料理を褒めてくれたけど、ここで料理を見せるわけにもいきません。
ですから、最近ハマっているものをお伝えします。
『編み物』やってます。今はコレ。セーター編んでます。終わります。」
そう言って、女鹿蘭は編んでいる途中のセーターをみんなに見せました。
「他のアピールの後ではインパクトがなさすぎる、か。
見事な判断。」
ステージを見る空玲須の横には、いつのまにか平来がいました。
「じゃあ次はわたし!
ここにね、メロンパンがあるんだよ。」
出井亜寧羅が制服からメロンパンを出しました。男子たちはなぜか出井亜寧羅の制服の胸に注目です。
「んーと、コレがなんと!
十数える間に、消えちゃう手品をやりまーす。みんな、目をつぶって数えてね。
いっくよー。せーの。」
観客は目をつぶって数を数えます。
「いーち、にーい、さーん」
十まで数えて、出井亜寧羅を見ると?
リスのようにほっぺを膨らませた出井亜寧羅が、メロンパンの袋を持って振っています。
「ほあ、きえたれしょ!」
口をもごもごさせながら出井亜寧羅がしゃべります。ごっくん。
会場は爆笑の渦。
「次はねー。
コーラが消えるよ!」
出井亜寧羅は、どこかからコーラの瓶を出して…。
と、ここでタイマーが鳴って、出井亜寧羅の番は終了です。
「みんなー、ありがとう!」
出井亜寧羅は観客席に手を振って席に戻ります。
「これは、早いとこやっとかないと追い詰められるな。」
必歩流帝が立ち上がりました。
「じゃあ、簡単だけど。
バク宙でも。」
ステージの端から、両手をついて身体を捻り、着地と同時に勢いよく後ろに跳ねて…。
必歩流帝の長身が、美しく空中を舞い、着地。軽々とバク宙は成功です。
拍手が湧き起こります。しかし、男子たちはバク宙ではないところに注目してしまいました。それは。
「白」なのか!?
妙な下心をはらんで、会場にはコールが湧き起こります。
「もう一回、もう一回…。」
必歩流帝は、片手を上げてコールを制しました。
「もうやらねえ。代わりに手なし側転。」
その場から手を地面につけずに横に飛びます。綺麗な弧を描く左脚。続けて右脚。高速の百八十度開脚です。着地もバランスは崩れません。
「クソぉ。
速すぎて、見えたかどうかすらもわからない…。」
満場の拍手の中、男子たちの視線は完全に敗北しました。




