第14話 学校祭〜一番カワイイ或高生コンテスト④
「胸キュン告白タイム」の仮想彼氏として選ばれてしまった空玲須。いきなりのことで、戸惑っています。
「あなた様。まいりましょ。」
いつのまにか隣に立っていた美少女が、空玲須の腕を取りました。白い改造制服。サラサラの金髪。清楚にも、元気にも見える瑞々しい顔立ち…。
「え?
う、うん…。」
空玲須は、腕を引かれるまま、ステージに上がりました。
「おい、あの子。」
「めっちゃ…、いい。」
「今までどこに隠れていたのか…。」
会場のざわめきをよそに、美少女は空玲須を残し、そのままステージを降りていってしまいました。
妙な緊張感が、ステージ上に流れます。さっきの美少女もさることながら、エントリーメンバーそれぞれの、何とも言えない表情。尾牟派麗子だけ、その顔に不敵な笑みを湛えて腕組みをしています。
➖➖ほわわ〜(麗子の妄想world)➖➖
「はよう、そちの気持ちを聞かせよ。」
「尾牟派麗子、オレは。
あなたが、好きです。」
「許す。
抱きしめて、たも…。」
ぎゅーッ。
➖➖➖➖ ほわわ〜 ➖➖➖➖
「それでは、必歩流帝さん。どうぞ!」
尾牟派麗子の妄想を打ち切って、司会が進めます。
「どうぞ、ってもな…。
しゃあないな。トンカツ…じゃない、クラスポイント取るぜ。」
ブツブツ言いながら、必歩流帝が空玲須に歩み寄りました。
「おう!
んだよ。あのよ…。」
必歩流帝は、空玲須の胸ぐらを掴んで、顔を近づけます。キスできそうなくらい、近い。
「ウチと、来て。校舎裏…。」
告白なのか、呼び出しなのかは微妙でしたが、とにかく観客はスマホの画面を連打です。
「次に女鹿蘭さん。『その時が来た感じ』でどうぞ!」
司会の成木曽が、イジワルくニヤリとします。
「クソが!揚げ足取られた。」
仕方なく、女鹿蘭も空玲須にツカツカと歩み寄ります。目と目が合います。
…演技するつもり。でも、何だろう。嘘は…言えない。じゃあ、なんて言う?
女鹿蘭の脳内にすざましい勢いで迷いが襲ってきます。
「…好きだよ。」
潤んだ瞳。思わず出た言葉。気がつくと、女鹿蘭は、空玲須の手を握りしめていました。
観客のスマホ連打が止まりません。
次は、出井亜寧羅の番です。
観客席は、凍りつきました。
出井亜寧羅は、空玲須を抱きしめています。
「大好き!
好き!」
柔らかい。暖かい…。出井亜寧羅の体温を感じながら、空玲須はこの後を想像しました。
コレは、ヤバい。オレは無事にステージを降りられないかも…。暴動の予感。
出井亜寧羅が、空玲須から離れます。
「えー、演技だよ!本気じゃないよ!」
観客席に、全力アピールです。暴動は未然に防がれました。スマホ連打が始まります。
そして、出井亜寧羅は小さくつぶやきました。
「多分、ね。」
次は、井尾玲の番。
井尾玲は、空玲須から少し離れて立ちました。
今は、「友情」。自分で言った言葉を思い出します。でも、この人の前では、なぜこんなにドキドキするんだろう。井尾玲は自分が不思議でした。その言葉をそのまま伝えよう。
「わたし、あなたを見ると、ドキドキします。
好きです。」
「え?あ、はい。」
空玲須は、思わず返事をしてしまいました。
最後は、尾牟派麗子。
手を後ろに組んで空玲須の前に立ち、催促します。
「はよう、わらわにそちの気持ちを伝えよ。」
…空玲須は、よもや断るまい。コレでそちはわらわのもの…。
しかし、空玲須はなかなか応えてくれません。仮想彼氏は告白を聞く側なので、当たり前です。
「くっ…。
そちが言わぬのなら、わらわは行ってしまうぞよ。」
わざと空玲須に背を向けて、少し離れます。空玲須はチラチラと司会を見ましたが、司会は✖️(何もするな)のジェスチャーです。
「ええい。こんなにも、わらわが好きと言うておるのに、なぜそちは言わぬ!
はよう、言うのじゃ!」
半ギレした尾牟派麗子。司会が割って入り「胸キュン告白タイム」は終わりました。




