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第24話 魔王とじじい


地下遺跡で、

ノエルを探すミュルラスとエルネ。


力任せに進みたい魔王と、

何かと口うるさい老人。


どうやら、奇妙な二の探索が始まったようです。



Le Roi-Démon et le Sage


エルネは、ミュルラスの身体を指した。


「自分の周りに、もう一つ空間を作るんじゃ」


「空間?」


「そうじゃ」


「そこへ魔術が入ってきても、おぬし自身へ届く前に閉じ込める」


「面倒だ」


「おぬしの魔力なら、できる」


「いらん」


ミュルラスは、歩き出そうとした。


その時、

ふと、

ノエルの顔が浮かんだ。


もしノエルがここにいたら、

きっと目を輝かせて、


――おおおおおお! それなに?


と言う。


「……」


ミュルラスは、

足を止めた。


これを覚えたら、ノエルにも教えてやれる。


「じじい」


「なんじゃ」


「どうやる」


エルネが、にやりと笑った。


「目を閉じろ」


「偉そうに」


「早くせい」


ミュルラスは、目を閉じた。


身体の周りに、

空間を作る。


自分の魔力で満たす。


外から来る魔術を、

そこに閉じ込める。


「……」


空気が、震えた。


ミュルラスの身体を囲むように、薄い光が現れる。


いや、

薄くない。


「……おぬし」


エルネが、呆れた顔をした。


「なんだ」


「分厚すぎる」


「防げれば同じだろ」


「魔力の無駄じゃ」


「俺には余ってる」


「……そうじゃったな」


エルネは、ため息をついた。


「まあよい」


ミュルラスが、目を開く。


「できたぞ」


「そうじゃ、そうじゃ」


エルネは、嬉しそうに頷いた。


「おぬしは、まさに魔王じゃの」


「当たり前だ」


「では、進むぞ」


二人は、壁へ向かって歩き始めた。


数十歩。


それだけだった。


ガチャン。

槍。


ヒュッ。

矢。


頭上から、巨大な斧。


足元が消え、深い穴が開く。


「面倒くさいところだな!」


「ほっほー!」


槍が飛んでくる。


エルネは、

すっとミュルラスの後ろへ隠れた。


「お前も避けろ!」


「年寄りに無茶を言うでない!」


「さっき協力すると言っただろ!」


「知恵で協力しておる!」


「身体も使え!」


それでも、

二人は、難なく壁まで辿り着いた。


ミュルラスが、目の前の石壁を叩く。


「これは、力を抑えて壊してもいいだろ」


「いや。駄目じゃ」


「なんでだ!」


「よく見てみよ」


エルネが、壁を指す。


「この壁そのものが、罠じゃ」


「壁が?」


「壊せば、上が落ちてくる」


ミュルラスが、天井を見る。


「……」


「こちらを生き埋めにする仕掛けじゃな」


「面倒だ」


「壊さずに通る。それが正解じゃ」


「どこを通るんだ」


「よく見てみよ」


「見てる」


「色の違うところがあるじゃろ」


「ない」


「ある」


「どこだ」


「自分で探せ」


「じじい!」


ミュルラスは、壁を睨んだ。


色。

そんなもの。


「……」


こういうのは、

あいつなら、すぐに見つける。


ノエルは、

こういうものを見るのが得意だ。


匂い。

光。

色。

ほんの少しの違い。


自分が気にも留めないものを、あいつは見つける。


――ノエルなら、どこを見る?


「……」


ミュルラスは、右手を上げた。


指輪。


「ノエル」


光が、強くなる。

手が、わずかに引かれる。


壁の中央ではない。


少し右。


「……ここだ」


ミュルラスは、

その場所へ手を当てた。


「じじい」


「なんじゃ」


「ここだろ」


エルネが、壁を見る。


「ふんふんふん」


「なんだ」


「では、試してみるかの」


懐から、細い杖を取り出した。


「そんなもの持ってたのか」


「年寄りは、いろいろ持っておる」


杖の先を、

ミュルラスが示した場所へ触れさせる。


エルネが、小さく何かを唱えた。


「……」


一瞬、

白い光が走る。


石壁が、音もなく消えた。


「……」


ミュルラスが、その向こうを見る。


そこには、

扉があった。


ひとつではない。


二つ、

十、

二十、

その先まで。


古い石の空間いっぱいに、

無数の扉が並んでいた。


「……なんだ、これは」


エルネが、髭を撫でる。


「ほっほー」


ミュルラスは、

右手の指輪を見た。


その光は、

まだ消えていなかった。


à suivre…



「知恵で協力しておる!」

「身体も使え!」


喧嘩をしながらも、

少しずつ先へ進む二人。


そして、無数の扉が現れました。


ノエルは、いったいどこにいるのでしょう。


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