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星帝物語  作者: 藤堂 貴之
第8巻 熱砂の太陽国と不屈の誓い

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第81章:嵐を断つ刃、新たな針路

ジリ、ジリ……。

耳元で、砂鉄の擦れ合う乾いた高周波が、通信機のノイズに混じって這い上がってくる。

ガイルは、右の耳たぶを指先でつまみ、不快な雑音を遮るように首を小さく傾けた。彼の右の瞳は、黒雲に閉ざされた暗がりに潜む目に見えない魔力線を捉えるため、一定の周期で瞬いている。


「ルカス、聴こえるか。お前の作ったこのブリキ玩具、砂鉄のせいでノイズがひどいぞ」


耳元に装着された小さな金属片から、カチャリと工具を回すような規則的な音が小さく響いた。


『……言葉が足りないね、ガイル。僕の設計に非はない。その不快なノイズは、敵の磁力そのものが通信波を捻じ曲げているからだ。……それよりも、送られてくるノイズの周波数を、君の指先で十回、正確に刻んでくれないか。それで敵の波形を逆算する』


ガイルは、耳元の金属片を指先でトントンと一定の間隔で叩いた。その動きに合わせて、彼の右目の奥で、空間を満たす魔導数式が瞬時に書き換えられていく。


『――なるほど、検出完了だ。コンマ三二秒の空白、間違いなくそこにシステムが息を継ぐ隙間がある。……ガイル、君が奴の磁力の中心を捉えた瞬間、僕がこちらの『過剰出力』を逆位相でぶつけるよ』


「ハッ、話が早くて助かるぜ。さすがは俺たちの機械オタクだ」


ゼノリスは、自分の靴底をすり鉢状の砂に深く沈め、重心を落とした。

彼の右手のひらを覆う清潔な布の隙間から、白銀のぬくもりが微かに立ち上っている。それはかつてのように彼自身を焼き切るような不穏な熱ではなく、来るべき一撃をただ静かに待つ、頼もしい種火のようだった。

彼の隣では、リィンが風を待つように顎のラインをわずかに上へ傾け、風の通り道に耳を澄ませていた。彼女の銀色の羽衣は、砂鉄交じりの冷たい突風を柔らかく受け流し、その周囲だけは砂鉄の付着を拒絶している。


「ゼノリス、リィン、エレナ、仕掛けるぞ! 奴の装甲の継ぎ目にルカスの過剰出力(ジャミング)をぶち込む。合図するまで、奴をそこに引きつけてくれ!」


ガイルが叫び、右目の焦点をさらに絞り、砂鉄の暗がりに潜む不可視の魔力線を冷徹に見据えた。

ゼノリスは、隣に立つリィン、そして剣を構えるエレナと視線を交わした。言葉は交わさずとも、その瞳の奥にある覚悟の重さが、彼らのこれまでの歩みを物語っている。


「分かった。……リィン、エレナ、行くぞ」


「ええ、背中は任せるわ」


エレナが銀の長剣を構え、リィンもまた静かに頷いて風の刀身を握りしめ、ゼノリスと呼吸を合わせる。


テオは、漆黒の盾の裏側で、自らの長い耳を小刻みに震わせていた。

額から流れ落ちる汗を、右肩の衣服に擦りつけるようにして拭う。


「砂の擦れる音が、どんどん大きくなってる。……あいつ、僕たちの足を完全にすり潰すつもりだよ」


「……潰させるかよ」


カシムが影の中から音もなく這い出し、手にした短剣の刃を、自身の太腿に当てて構えた。彼の影は、テオの盾が作る暗がりに同化し、いつでも飛び出せるように息を潜めている。


『――ガイル、準備はいいかい』


ルカスの落ち着いた、しかし僅かに興奮を含んだ声が、通信機から響いた。


『僕の魔導デバイスのメーターは、すでに安全限界のレッドゾーンを指している。……一瞬だけ、この谷の磁場を完全に白紙に戻す。……タイミングは、君の右目に委ねるよ』


「……いつでもいけるぜ、ルカス。……三、二、一……」


ガイルが息を細く、長く吐き出した瞬間。


「――今だッ!」


バチバチバチッ!!

耳を劈くような高周波音が空間を裂いた。

ルカスが遠隔操作で放った、極大の魔力ジャミングが、ナディームの展開していた砂鉄の結界へと真っ直ぐに激突した。

結界を維持していた磁力線が、ルカスの放った逆位相のノイズによって強制的に調律され、形を失っていく。空間を支配していた息苦しい重圧が、一瞬にしてすうっと霧散した。


「……何をした、小僧どもが……ッ!」


砂丘の裏から、ナディームの焦燥を孕んだ不快な声が、初めて現実の音として響き渡った。

空間を覆っていた見えない檻が、今、彼らの目の前で完全に砕け散った。


「ゼノリス、リィン、エレナ! 奴の装甲に綻びができた! 二時の方向だ!」


ガイルの叫びが、砂鉄の嵐が吹き荒れる渓谷に真っ直ぐに響き渡った。

ゼノリス、リィン、エレナの三人は、ほぼ同時に地を強く蹴り、各々剣を構えて走り出した。


 その直後、彼らの足元で渇いた砂丘が激しく崩れ、舞い上がった砂塵が視界を白く遮る。だが、若き戦士たちの走る速度が衰えることはなかった。

 お互いの体温と、張り詰めた緊張感が、一息吸い込むごとに肺の奥へと染み渡っていく。彼らはすでに、ただの学園の生徒ではない。幾多の過酷な戦いを潜り抜けてきた、誇り高き『星屑の騎士たち』なのだ。

 ナディームは信じられないものを見るかのように、その目を大きく見開いた。自らの操る磁力の檻が破られ、これほど短時間で反撃へと転じてくるなど、彼の緻密な計算式には一ミリも存在しなかったのだ。


「調子に乗るな、小僧どもがァッ!」


 空間を支配していた見えない檻が砕かれた瞬間、ナディームの焦燥を孕んだ叫び声が、乾いた大気を激しく震わせた。

 彼が手にした真鍮(しんちゅう)の杖が、目にも留まらぬ速さで水平に振り抜かれる。それに呼応するように、辺りに漂っていた細かな砂鉄が一斉に引き寄せられ、大地の奥底から湧き出す漆黒の濁流となって、突撃する三人の前に立ちはだかった。砂鉄の粒子は空中できしみ合い、耳の奥を直接針で刺すような不快なノイズをまき散らしながら、鋭利に研ぎ澄まされた無数の槍へと姿を変えていく。

 ゼノリスは、地平を滑るような歩法で、真っ直ぐにその黒い嵐の中へと突き進んだ。

 右手のひらの白い包帯の奥で、三つ目の星の刻印が、大気中の不協和音に反応して焼け付くような熱を放ち始める。

 自らの内に眠る、すべてを無に還そうとする魔王の脈動と、大切なものを護ろうとする勇者の意志。その相反する力が胸の奥で激しくせめぎ合い、身体の内側を焼き切るような衝撃をもたらす。


(……テオの盾も、カシムの影も、イリスが命を懸けて繋いでくれたこの光も、僕がこの剣で、必ず守り抜く!)


 ゼノリスの強い想いに呼応するように、彼自身の意志から生まれた、一点の濁りもない白銀の閃刃が、黒い剣の刀身へと集束していった。


「テオの盾を傷つけたその力……ここで僕が調律する!」


 白銀の魔力を纏わせた黒い剣を、迫り来る砂鉄の防壁へと一閃した。

どこまでも澄み切った響きが、大気を震わせる金属音をかき消して、渓谷全体に広がっていった。

 白銀の閃刃が放つ波長は、砂鉄を操るナディームの磁力回路そのものへと干渉し、不規則な振動を、一つの調和されたリズムへと整え直していく。

 バチバチと激しい火花が散り、強固だった砂鉄の防壁が、結合を維持できずにただの粉塵となって、バラバラと床に落ちていく。

 磁力の供給システムに、一瞬だけ、完全な空白が生まれた。


「――今だッ!」


 ゼノリスの叫びに応え、リィンとエレナが動いた。

 二人は言葉を交わさず、ただ目線を合わせただけで、互いの魔力と剣技を融合させた。

 リィンの纏う『風読みの衣』が、エメラルド色の風を吸い込んで大きくはためき、彼女の手にある風の刀身が峻烈な光を放つ。


「秘剣・疾風!」


 リィンが風の刃を放つと、神速の風が空間を駆け抜け、視界を遮っていた細かな砂鉄の霧を、一瞬で綺麗に吹き散らした。

 その切り拓かれた風の通り道を滑るようにして、エレナが銀の長剣を構えて加速する。

 かつて幼い頃に自分を救ってくれた、あの憧れの背中。そして、先ほどザガンが見せた見えざる剣の残響。

 彼女の心に、もう一片の迷いもなかった。

 母から託されたこの長剣。その銀色の刃に宿る誇りを、これ以上あの底知れぬ闇に汚させはしない。自らの意志で、自らの路を切り開くのだという、強固な誓いが彼女の胸の中に熱く燃え上がっていた。


(私は、この剣を、私が信じたものを守るために振るう。……みんなと共に!)


「空間を、断ち切る!」


 エレナが長剣を構え、一切の気負いなく横一閃に振り抜いた。

 キィィィィン……!

 空間そのものが真っ二つに切り離される金属音が響き渡る。

 リィンの風が切り開いた通り道を滑り、エレナの放った『空間切断』の刃が、ナディームの装甲へ魔力を供給していた太いパイプを、寸分の狂いもなく両断した。

 プシューーーッ!

 パイプの切断面から、抑え込まれていた青白い魔力が血のように激しく噴き出す。


「ば、馬鹿な……! 私の、至高の魔導回路が……! こんな、卑しい力で破られるなど……」


 命綱である供給パイプを断ち切られたナディームが、悲鳴に似た絶叫の声を上げ、その強固だった金属装甲に蜘蛛の巣のようなひび割れが一気に走り始めた。

頼みの綱である供給パイプを断ち切られたナディームは、絶叫を上げながら崩れかける金属装装甲をなりふり構わず押さえた。


「おのれ……おのれ、クズどもがァッ! あり得ん, あってはならんのだ!」


 自身の「至高の計算式」が、格下の不適合者たちによって強引に破壊されたという屈辱。それは、プライドをすべてとする魔導士にとって、何よりも耐えがたい恥辱だった。

 ナディームは、胸の中央で不気味に赤黒く明滅する魔力コアを限界まで暴走させてでも、ゼノリスたちを道連れにしようと最後の悪あがきを試みた。

 震える手で真鍮の杖を再び高く掲げると、周囲の岩壁や地面から吸い上げられた砂鉄が一斉に呼び寄せられ、彼の頭上にずっしりとした熱量を放つ巨大な黒い弾丸となって急速に圧縮されていく。渓谷の空気が、その異常な質量によって激しくきしみ、歪んだ。


「……させない!」


 ゼノリスが、地を強く踏みしめて跳躍した。

 右手のひらの『三つ目の星』の刻印が熱く脈動し、胸の奥でせめぎ合う光と闇の魔力が、ただ大切なものを護るという一念のもとで重ね合わさっていく。

 黒い剣の刀身へ一気に収束したその力は、どこまでも澄み切った『白銀の閃刃』となって、眩い輝きを放った。仲間たちが力を尽くして切り開いてくれたこの一瞬を、決して無駄にはしない。その強い思いが、ゼノリスの背中を強く押した。


 ゼノリスは空中を滑るように加速し、ナディームの懐へと肉薄した。

 ナディームが狂乱して放とうとした砂鉄の弾丸が解き放たれる、わずか一瞬の隙。ゼノリスの輝きの異なる両眸が、その『綻び』を的確に捉えた。

 白銀の魔力を纏わせた黒い剣を、剥き出しになった魔力コアへと真っ直ぐに突き立てる。

キィィィィィィィン……!

 涼やかな一音が、大気にとどろく不協和音を貫いた。

 白銀の閃刃は、魔力コアの接続を根底から調律し、崩壊させていく。


「ば……馬鹿な……私の……至高の、計算式……が……」


 ナディームの魔力コアが内側から白銀の光に満たされ、激しい火花とともに粉々に砕け散る。ナディームの身体を形作っていた金属の装甲が、パラパラと砂の粒となって崩れ落ち、そのまま風に流されて消えてしていく。彼を縛っていた磁力の波長が、すっかり霧散した。


「やった……のか……?」


 テオが、大盾を抱えたまま、信じられないといった面持ちでぽつりと呟いた。

 フィリーネが杖を握りしめながら深く息を吐き出し、カシムやエレナ、リィンたちの表情にも、過酷な闘いを潜り抜けた安堵の笑みがふわりと広がる。ゼノリスは、ゆっくりと黒い剣を鞘へと収め、仲間たちを見つめて静かに頷き返した。


 ついに、あの強敵を討ち果たしたのだ。


 ――だが。彼らがその喜びを噛みしめる時間は、一瞬すらも残されてはいなかった。


 バラバラになった砂鉄が地面に落ち、視界を遮っていた黒い嵐がすっかり晴れ渡ったその瞬間、彼らの頭上に広がる空が、不吉なまでの茜色に染まり始めた。

 上空を覆い尽くす、あの魔将ガルヴァスの冷酷な支配の結晶『天陽の灼熱檻』。それが、ナディームという管理者を失ったことで、制御を失って暴走を始め、大気の温度を異常な速度で引き上げ始めていた。

じりじりと肌を焦がす熱波が、頭上から容赦なく降り注ぐ。


「ガイル! 灼熱檻の魔力の波長が狂っているわ! このままだと、そんなに長くは持たない……都の水源がすべて干上がってしまうわ!」


フィリーネが、青ざめた顔で叫んだ。


「ちっ……! 奴が消え去っても、仕掛けられた檻は回り続けるってわけか。ルカス、大魔導炉の時みたいなジャミングは!?」


ガイルが、熱を帯びた右目を押さえながら通信機に叫ぶ。だが、ルカスの答えは厳しいものだった。


『無理だ、ガイル。熱を帯びた大気の歪みで通信波にノイズが走り、バイパス接続が遮断されかけている。地上の熱量までは、僕の機械でも誤魔化せない。一度、地下のオアシスへ避難して、態勢を整えるべきだ』


「……分かった。みんな、走るぞ! ここにいたら、焼き尽くされる!」


ゼノリスの叫びに呼応し、若き戦士たちは泥と煤に汚れながらも、地を強く蹴って走り出した。

テオは傷だらけの身体を引きずりながらも、大盾を背負い直して先頭を走り、フィリーネは必死にその後ろを走って続いた。リィンが風を巻いて彼らの体温を少しでも下げ、カシムが影の膜を広げて熱波を遮りながら、隠れ家への道を急いだ。


砂を蹴立てる足音が乾いた大地を叩き、彼らはアズラが教えてくれた隠しハッチへと飛び込んだ。

重厚な鉄の扉を、カシムがその隙間を埋めるように内側から影を這わせて密閉した瞬間、彼らの身体を包み込んだのは、地上の地獄のような猛暑とは対照的な、地下オアシスのひんやりとした湿り気だった。


「……はぁ、……はぁ、……はぁ」


テオが床に倒れ込み、大きく息を吐き出す。


「みんな、無事……? 怪我の再確認をするわよ!」


フィリーネが、白銀の杖を支えにして立ち上がり、テオやカシムの傷口へ治癒の光を注ぎ込む。

テオが、カシムにファティマに分けてもらった清水をそっと手渡した。乾ききっていた彼の喉を、清水が優しく潤していく。


「テオ! カシム!」


広間の奥から、心配そうな声が響いた。

その声に導かれるように奥へと進むと、部屋の入り口で待っていたのは、踊り子の衣装を纏ったファティマだった。彼女の黒髪に飾られた白い花が、地下の風に揺れて、優しいハーブの香りを漂わせる。その部屋の奥に置かれた簡易ベッドからは、アズラがファティマの応急処置によって、少しだけ顔色を取り戻して上体を起こしていた。


「テオ……。みんな、無事だったのね」


アズラのしわがれた、しかし温かな声に、テオが泥だらけの顔を上げて嬉しそうに長い耳を揺らした。


「アズラ! よかった、少しは楽になったみたいだね。僕、君が心配で……」


テオがアズラの元へと駆け寄る中、ゼノリスは、自らの右手の包帯に隠された星の刻印をそっと左手で固く握りしめた。

ハキームの廃墟で盲目の預言者から告げられた警告。


『三つ目の星の王の前に、帝国の血を引きし者が受け継ぐ星刻のペンダントがもたらされる時、第三の楔の封印が解かれる。……その真実を知る人物は、学園都市のエレアノール』


自分たちを温かく見守り、旧時計塔という温かい居場所をくれたエレアノール学園長。彼女がなぜ、世界のすべてを無に還す『第三の楔』の封印が解かれるという、その恐るべき真実を知っているのか。

自分たちの歩んできたすべての道程が、最初から彼女に仕組まれ、学園でもあの時計塔に都合よく閉じ込められていたのではないかという疑惑。

最も信じた大人の裏の意図を何一つ解析できずにいたガイルは、地脈の地図を強く握りしめ、眼帯の下の右目を激しく瞬かせながら、沈痛な表情で俯いていた。


「……どうしたんだい、ガイル。顔色が悪いよ」


テオが心配そうに問いかける。


「……何でもねえよ。ただ, ハキームの言ったことが、どうしても頭から離れねえだけだ。俺たちのこれまでの足跡が、あいつの掌の上だったなんて、面白くねえだろ」


ガイルの悔しさと焦燥を帯びた声が、地下オアシスのせせらぎに溶けていく。


しかし、立ち止まって悩んでいる時間は、残されていない。

ナディームという維持管理者を失ったことで暴走を始めた『天陽の灼熱檻』が、今まさに上空から熱線を降り注がせ、この都を灼熱の地獄へと変えようとしている。


「ファティマ様、アズラ」


ゼノリスが、静かに一歩を踏み出した。


「僕たちは、あの灼熱の檻を壊し、ハシム王を救い出します。この国の人々を、これ以上あの冷酷なシステムに使い潰させるわけにはいかない」


「ええ。だからこそ、一刻も早く王宮の最深部、ハシム王が幽閉されている玉座の間へ潜入しなければなりません。……アズラは傷の手当てのため、この地下オアシスに残してください。王宮の隠しルートは、私が皆さんを案内します」


ファティマが、手首の純銀の輪をシャン、シャンと涼しげに鳴らしながら、毅然とした声で微笑んだ。


「……お願いします。みんな、行くぞ。ハシム王を救い出し、あの檻を叩き壊すんだ」


ゼノリスの言葉に、カシムは短剣の柄を強く握りしめ、リィンは静かに愛刀に手を添えた。

彼らが手にした不滅の『種火』は、いかなる暗闇の中にあっても、決して消えることはない。

若き星屑の騎士たちは、ファティマの案内のもと、魔将ガルヴァスが待ち構える、陽炎(かげろう)に揺れる王宮へ潜入する決意を固めるのだった。

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