師匠と再会
物々交換で私とギースをトレードしてくれる様に要求する。何故ギースの解放を要求したのかと言うと、ギースは師匠やハイドと違って黒い宝具を持って居ない為、1番交渉に応じてくれると思ったから。それと、ここで「私を置いて先に行け!」っと言って花弦と六花を一手に引き受け、時間を稼げたとしても、私は捕まりコルネリア様側の戦力は頼りない兄様だけになる。それは避けたいので、どうせ捕まるのならばギースと交換してほしいと言ってみたのだ。
「なるほどね……」
王様は呟いた。周りに居る花弦や六花達は王の決定を待っている。王様は暫く考えた後、口を開いた。
「佳月。君は良くやったよ。素晴らしい。だから褒美をあげよう。ベロニカを倒した事に免じて今回コルネリアは見逃してあげる。ギースも連れて行くと良い」
まさか見逃してくれるとは! 思ったより寛大な王様だった。
「でも、君は残ってもらうよ」
「ですよねー」
私は見逃してくれないよね……
繋がれたギースをカミルが連れてくる。その後ろにラミル。
「手を出せ」
「はいよ」
ギースが私の側で解放されたのを確認すると、久遠に手を出す様に要求されたので手を差し出す。その手を後ろ手に拘束される。そして背を押されて歩く様に促される
「佳月……」
「コルネリア様を宜しくお願いしますね」
去り際にギースにコルネリア様をお願いして私は久遠に連行されて行った。
◆
連行されている途中、久遠に話かけてみる。
「私、これからどうなる?」
1番気になる事を聞いてみた。だってこれから拷問とか待ってたら嫌だし……。でも、殺されはしないと思う。王様は半球でキツイと聞く。宝具を持てる者は限られてるし、宝玉ならなおのこと。あぁ、やっぱり安息かなぁ
「お前次第だ」
酷く楽しそうに言う久遠。ちょっぴり逃げたくなった。そういえばカミルとラミルが居ない。何故私を封じる為にカミルが居ないのか疑問だが、これは……私の殊技が使えるのではないか?
「言っておくが殊技は使えないぞ? お前専用の魔力封じの手枷を付けてる」
「ノォオオオオ!!」
専用の手枷つけられてるのかよ! そりゃ無理だわ。これで宛が外れてしまった。逃げる気満々だったのに……。
【魔力封じ】の枷は、その名の通り魔力を封じる物。これを付けられれば魔力を使う殊技は使えない。勿論、魔法も。
しかし、ある一定の魔力量を持つ者には効果は無い筈だが……この枷は私専用らしく、私の魔力を分析して作られた対私用の枷なので魔力量が多く普通の魔力封じでは封じる事が出来ない私も完封出来るらしい。
【魔力封じ】は貴重な石を使って作る為、かなりの値段がする。新居が買えるレベルだ。誰にでも有効な魔力封じで、これだけするのだから、私に付けられている魔力封じは、更に良い値がした事だろう。
「よくもまぁ……。私なんかの為に幾ら掛けたんだか。良い値がしたでしょ」
呆れてみる。しかし、困った。私を留め置けるのはカミルくらいだった。なので、彼の隙を突いて逃げる計画を立てて居たのだが、無に帰した。どうしようかなぁ
「確かになぁ。かなりの金額だった。だが、お前には惜しくないっと王が仰っていた」
王様が作れって言ったんだね。そりゃ王様だし、お金は持ってそうだから、私専用の枷を作っても懐は痛まないのだろう。流石、金持ちだ!
「余裕だな」
私がうんうんと納得していると、久遠に言われた。いや、余裕じゃなくて今後を考えない様に現実逃避してるだけだよ。だって今から何されるか……怖くてガクブルなんだよー。
「ここだ」
久遠に連れられた先に何やら仰々しい扉が有った。その扉を潜った先には、また広い廊下が。その廊下を暫く進んだ先に、赤い絨毯の引かれた牢屋が有った。牢屋の中には既に師匠とハイドが居り、2人はラミルとカミルと何かを話していた。
久遠は私を連れて牢屋の中に入ると、師匠目掛けて私を放り投げた!
「あべしっ⁉︎」
手枷の所為で上手く受け身が取れず、師匠の分厚い胸板に飛び込む羽目になった。鼻を強打した……。まただよ、クソ!
「痛い! 何すんだ、コノヤロウ! 」
私は久遠に猛抗議。しかし久遠はスルーした。くそぅ! 覚えてろよ! 私は根に持つタイプなんだからな!
久遠を睨みつつ、ぶつかった師匠を確認。久し振りに会った師匠は少し痩せていたものの、変わりなく元気そうだった。拷問を受けた割に傷もなく、薄汚れている程度。対してハイドは割と傷だらけだった。しかし表情はいつも通りだ。
「ラミル? どうしたの? ちょっとボロい感じになってるけど?」
師匠とハイドを確認し終え、辺りを見渡していると先程までは普段通りだったラミルが薄汚れていた。何が有った? 私と別れた数分の間に一体何が有ったのだろうか?
「リンドヴァルと喧嘩した」
カミル曰く、師匠を牢屋に戻す際にラミルと喧嘩になり殴り合いをしたとか。しかし、師匠は手枷により手の自由は無かったので足技onlyだったらしい。
足技だけでラミルとやり合えるとは流石師匠だ。感服します。




