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雌雄を決す

 

 怪物vsベロニカが始まってから随分経った。


 コルネリア様からの合図まだかなぁ? そろそろ合図が来てもいい頃なんだけど……


 フェルベルマイヤー様の救出に成功したら、コルネリア様が合図してくれる予定なのだ。私はその合図が来るまで時間を稼げば良いのだが……待てど暮らせど合図は来ない。かなりの時間が経っている筈なのだが……。


「小賢しいわ!」

『うおぉ⁉︎』


 突然ベロニカの剣が輝き出す。その剣を振り下ろせば衝撃波が生じて私の怪物を貫く。怪物は真っ二つに裂けた。

 これはマズイ。流石に真っ二つは治らないのでは? っと焦ったが普通に引っ付いた。治るんかい!


『あはははっ! お終いですかベロニカ?』


 煽ってみた。


「侮るなよ……」


 すると2対の剣が輝きだす。先程の攻撃を2本の剣で打とうというのか!

 流石に粉々になりそうだ。しかし良いことを思い付いた。この際、頑張って作った怪物は諦めるとして……ベロニカのこの攻撃、集中しなければ撃てないのか周りに浮いている剣は全て地面に落ちている。この時、彼は無防備だ。この瞬間を狙えば勝てるかもしれない。勝つ必要はないが、勝てたら嬉しいし勝とう!


 よし、そうと決まれば!


 ベロニカが剣を振り下ろす寸前、私はベロニカの背後に出る。ベロニカが気付いたがもう遅い! 


死の光源(ヘルラディウス)!!」


 ベロニカの背後から死の光源(ヘルラディウス)を撃ち、勝負を決めに行く。死の光源(ヘルラディウス)はベロニカの背中に当たり、甲冑を溶かして背中を焼いた。あれ? 死の光源(ヘルラディウス)が直撃して背中を焼くだけで済む筈なんいだけど! 貫通するよ? 穴開くよ? 何で? ダメージカットか!! ダメージカット量、エゲツないな!


 慌てた私は刀を取り出して、背中に刺した! 刀は体を貫通。背中から胸部にかけて穴が開いた。


「油断しました?」


 私は冷や汗を流しながら、ベロニカに問う。

 あ、焦った……思った様なダメージが入らなかったんだもん。焦るわ。でも、これは決まったでしょ。刀が貫通して動ける奴なんて居ない……いや、ギースは動いていたな。もしやベロニカも動ける人? 私は刀を抜いてベロニカから距離を取った。


「……ぐふっ。見事よ」

「恐れ入ります」


 普通にこの人立ってるんだけど。刀が貫通して甲冑も溶けて背中も凄い事になってるのに、普通に立ってるなんて凄過ぎない? 本当に人間?

 このまま、まだ戦闘は続くのだろうか? もう流石に手が無いんだけど


「儂の負けだ」

「ありがとうございます」


 良かったー!! 負けを認めてくれたわ! 

 私、途中からコントローラ動かすだけだったのだが、見事に勝ってしまった! これぞ作戦勝ちと言えよう。計画通り (ニヤリ) 。計画してないけどね!

 しかし、この手はベロニカだったから使えたのであって、もし師匠と対峙した場合はこの手は使えない。やはり戦いとは相性で勝ち敗けが決まる様だ。


 ベロニカは床に座り込み、患部を抑えた。


 辺りにはベロニカが衝撃波を撃ったお陰で土煙が舞っており、観客席から私達の姿は見えないだろう。しかし無残な姿と成り果てた怪物は見える筈。皆、勝利はベロニカだと思い込んでいる筈だ。残念だったな! 私が勝者だよ!

 無残な姿になった怪物は闇の中に回収した。今度、時間がある時にでも修復しておこう。


 砂埃が収まり、観客席から私達の姿が見える様になる。立っている私、そしてボロボロになり座り込むベロニカが観客の目に映る事だろう


「王よ、すまないな。儂の負けだ」


 ベロニカが負けを宣言した。これで正式に私の勝利である!


「馬鹿な……」


 王様が私とベロニカを見て呟いた。そりゃそうだろう。私も『馬鹿な……』って言いたい気分だ。勝てるとは毛ほども思ってなかった。まぁ、かなりセコい手使って勝ったけどね。


 私はコルネリア様に手を振る。しかしコルネリア様からの反応はない。何やら固まっているらしい。

 私は辺りを見回す。皆んな同様だった。師匠やハイド、ギースもだ。

 まさか六花No.1が小娘に負けるとは誰も想像できないかっただろう。


「……お兄様、私の勝ちの様ですがフェルベルマイヤーお兄様は返して下さるので?」


 漸く反応を示したコルネリア様。その言葉を聞くや否や周りの止まっていた時間が動きだす。救護班が駆け寄って来てベロニカを連れて行った。


「……あぁ、そうだね。君の勝ちだよ」


 冷静さを取り戻した王様はコルネリア様の勝利を告げた。しかしここからが問題だ。果たして私達はここから逃げる事は可能なのか?


「お兄様は助けただろう? ならば連れて行くと良いよ」


 王様は豪華な椅子に座り、足を組み、頬杖をつき余裕そうに言う。なんだか腹立つな。


「だけど、賭けの内容に『君達を逃す』っという項目はなかった訳だ。ならば、ここからは実力行使で奪う事にしようかな」


 セコいな! まぁ、初めから分かっていた事だけれど……。


 私は周りを見る。恐らく花弦は全てのナンバーが揃っており、尚且つ六花が3人。確実に逃げ場はない。私の影を使えば逃げれる気がしないでもないが……向こうにはカミルが居り、私の殊技は完封される。困ったなぁ……。


「佳月! 早く!」


 コルネリア様が私を呼んでいるが、私が動けば花弦と六花は動く。今、動くのは得策ではない。


「王様! ちょっといいですか?」


 私は一か八かの賭けに出る事にした。勝者は私だ。多少のお願いは聞いてくれるかもしれない。


「私は大人しく捕まりますから、代わりにギースを解放してくれませんか?」

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