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逃走終了

 

 汽車で離れてから六花と花弦に会うことはなかった。無事に花弦&六花から逃げ切ったのだ。

 王様からは仕切りにTELが来るが無視している。逆探知されても嫌だしな。メールも来るが発信先を特定されるかもしれない。暫くはメル友である王様にもメールを自粛しておいた。


 ある時、発信先をズラせる方法を思い付いたり、コールカーのエコーロケーションを逆探知する方を思い付いたりした。私って天才なのかもしれない。

 発信先をズラせる方法を使い発信先をズラしてメールを送り、見当違いな所を捜索させる事ができた。今頃、雪山でも捜索しているだろう。ビヤタムズと戯れてるがいいわ!


「イェエエエエ!!」


 私は滞在先のホテルで大声で喜ぶ。これは私の完璧な勝利だろう。

 私は水着に着替えて上からシャツを羽織って、ホテルから近いビーチにハイテンションで向い、そのテンションのまま勢いよく海にダイブ!


「気持ちぃ痛ぁああああ!!」


 海の冷たさを堪能しようとした瞬間! 私の太腿に猛烈な痛みが!! 私は飛び上がり、海から凄いスピードで浜辺に上がった。そして浜辺で手足を下に突き、砂を握り、悶絶した。周りの人は何事かと、私を見て居たが気にしてられなかった。

 太腿が猛烈に痛い! クラゲに刺されたとかじゃなくて、久遠の噛み傷が痛いのだ。

 久遠の噛み傷は薄い膜が張ってあるが、海水に入れば沁みる。それに海水には当たり前だが塩が含まれている。塩は古来より退魔の効果が有るとされている。久遠の噛み傷には呪いが付いており、その呪いが塩に反応して余計に痛かったのだ。


「ぐぉおおおお。おのれ、久遠め……ピーしてピーしてピーしてやるからな。絶対に後悔させてやるからな」


 遠い故郷に居るであろう久遠に恨みを吐き散らかした。


「大丈夫ですか?」


 ずっと浜辺で悶絶しながら呪詛を振り撒いていたので、流石に近くの人が声を掛けてきた。これ以上目立つのは良くないので、ここはホテルに戻ろう。私は笑って大丈夫だと言うと、痛む太腿を引きずり頑張ってホテルに戻った。ホテルに戻って床でのたうち回り、痛みがマシになって来た頃、シャワーを浴びて砂を落とすと、椅子に座り一息ついた。


「はぁ……」


 何してるんだろうな、私。急に冷静になった。

 仕方ない、海は諦めて部屋で寛ごう。窓を開け、風を部屋に入れる。そして部屋にプロジェクターみたいな魔法で海辺を部屋の壁に投影した。これでちょっとは海気分だ。普通に室内だけど!

 室内なのでシャツは要らないだろう。水着で椅子に座り、トロピカルなジュース片手に寛いでみた。


「お?」


 電話が掛かってきた。誰からかと思えばハイドからだった。しかしハイドは囚われの身なので、十中八九これはハイドではないだろう。多分、六花の誰かだろうなぁ。久遠辺りではないだろうか? 前もそうだったし。それか王様か?

 既に逆探知できない様にしているので、出ても問題ないだろう。私は通話ボタンを押した。


「あれ? テレビ電話だったんだ」


 普通の電話じゃなかった様で、画面に久遠が映った。お? 久遠だ! ビンゴじゃん!


『随分、楽しそうだな』


 久遠は開口1番、そう言って来た。ちょっとカチンと来た。お前の所為で海に入れなかったんだが? 文句を言ってやろうか!


『黒い宝玉の紋様が見えて居るぞ?』

「良いんだよ。誰も居ないんだし! そうそう久遠! お前の所為で海に入れなかったんだぞ!」


 私はピーピーと久遠に向かって騒いだ。久遠は薄らと笑うだけだった。その笑顔が拷問時にしていた表情と同じで怖くなったので、私は大人しくなった。


『周りに誰も居ないのか?』

「居ないよ。これプロジェクターみたいな魔法で部屋に映しただけだし」

『それ楽しいのか?』

「……」


 楽しいのか問われたら普通だな。可もなく不可もなくな感じ。


『まぁ、良い。コールカーを撒くなんて大したものだな。アレの殊技は厄介だっただろう? どうやったんだ?』


 どうやら久遠はコールカーを撒いた方法が知りたい様だ。別に教えた所で対処などできる筈もないだろうが、手の内を見せるのは良くないだろう。だが……久遠の呪いの解除方法と引き換えにしようか? いい加減、この傷ともおさらばしたいし、それなら取引できる


「久遠がコレの解呪方法を教えてくれるならいいよ」


 私は足を上げて太腿を見せる。これなら公平な取引でしょ!


『なるほど、いいぞ』

「よし!」


 相手が本当に教えてくれるか分からないが、賭けるしかないだろう。本当に噛み傷をどうにかしたい!

 私はコールカーの能力考察と、魔法で相殺してる事を話した。逆探知ができる事は話さないでおく。


「私相手に何度も同じ手を使うからバレるし対策も取られるんだ!」


 ドヤっておいた。


『ほーう。流石は魔法に秀でた一族の出だな。魔法に関しては俺よりも上だろう。コレではコールカーの能力は使えんな。完璧に対応されている』

「そんな事、良いから教えてよ!」


 関心している久遠。さあ! お前も教えろ!


『お前程の魔法の使い手でも解けんとは……俺の呪術は中々だな』

「何、自画自賛してるんだよ!」


 イラッとした。


 その後、久遠はあっさり呪いの解除方法を教えてくれた。随分、あっさりしていたので拍子抜けした。教えてくれないかと思ったのに。だが解除方法がかなり厄介だった。コイツ呪いをチャンポンしてやがった。これは解くのに一苦労だろうなぁ。それより、私は呪術は専門外なので、そこも厳しいだろう。クソが!


『しかし、聞いていたか? リンドヴァル。お前の弟子は優秀だな。殊技を魔法で返したそうだぞ。コールカーも形なしだな』


 久遠が画面外に向かって話す。画面外に師匠が居るのかな。


『アイツは剣より魔法の方が得意だからな』


 お? 師匠の声じゃん。久しぶりだ!


『お前の弟子にしておくには勿体無いな』

『全くじゃな……はやりハイドの方が良かったのう』


 ハイドとギースの声もする。みんな一緒なんだなぁ


『これだけ優秀なら安息(レクイエム)は打ちたくないものだな。アレは精神が眠ってしまうから、打ってしまうと実力に影響が出てくる。今回の様に頭で考えて魔法を作成するなんて出来なくなるからな』

『素直に従う性格じゃないだろう? リンドヴァル、説得してみたらどうだ? 可愛い弟子がお人形にならずに済むかもしれんぞ』

『お前の言う事は聞くだろう?』

『アレが決める事だ』


 どうやら他にも人が居そうな感じだ。ベロニカとか双子とか居るのかな?

 そこから、なんだか男性のお話に変わった。画面の向こうでは私抜きで盛り上がっている。これ私、要らないじゃん。切ってもいいかな? 

 私はソッと端末を切り、ベッドに放り投げる。アイツ、なんの用事だったのかな? まさかコールカーの殊技返しの魔法を聞きたかっただけなのか? まぁ、いっか。


 そして久遠から教えてもらった解呪方法を試してみる



 ◆


 暫く呪いと格闘していたが、呪いが複雑過ぎて外れなかった。久遠め!!


「お?」


 なんだか外が騒がしくなって居た。私は窓からベランダに出て外を確認した。


「わーお」


 外には前に無人島の神殿内でみたキモい怪物が積極的に人を襲って居た。何故、あの怪物がこの辺りに居るだろうか? まさか私を追って?

 外の怪物は駆けつけた兵が対処していたので問題ないだろう。私は部屋に戻りテレビを付けてニュースを確認してみる。ニュースを観て居ると驚くべき事が分かった。あの怪物、世界に溢れだして居るらしい。色々な国で被害が出ているそうだ。SNSでは『アレは何なのか⁉︎』て話題で持ち切りだった。

 アレは邪神の子供だった筈だ。それが外には溢れていると言う事は……邪神、復活しました?


 私は急いでハイドの端末にTELした。あ、これテレビ電話だ。まぁ。いっか。すると画面にハイドが映った。ハイドが出た訳だ。え? ハイド?


「えぇええ⁉︎ なんでお前が出るの⁉︎ 端末取られてるんじゃないの⁉︎」


 久遠辺りだと思ったのに、まさかのハイドが出てくるとは! 端末返してもらっていたのか⁉︎ じゃ、師匠の端末は師匠が持っているのか? 私、師匠の端末におちょくりのメールを、めちゃくちゃ送っちゃってるんだけど!


『五月蝿い。静かにしろ。今は俺が持って居る。で? 何用だ』


 私はお外の怪物をテレビ電話に移してハイドに聞いてみた。


『どうやったのか……恐らくはイネスの技術だろうな。それで怪物を呼び出して世に放っている。流石にお前の宝玉の片割れがないと邪神は呼べない様だ』


 ハイドは周りを気にしつつ私に話す。周りを気にしていると言う事は、あまり話して良い内容はないのだろうな。私は部屋のテレビのチャンネルを有料チャンネルに変えた。そして如何わしい動画を再生する。これでもしハイドが端末を触っている事がバレても如何わしい動画を見てましたって言えば誤魔化せるでしょ!


『おい、そのBGMやめろ』

「BGM」


 ハイドが戸惑っている。面白いな


「それより、そっちは大丈夫なの? かなり酷い拷問を受けた様だけど」

『俺より、リンドヴァルの方が酷かったがな』

「そうなんだ」

『お前が関係している事を敵も分かって居たからな。お前に1番近いリンドヴァルから多く情報を抜き出したかったようだ。俺は奴ほど知らないと思われて居たからな』


 師匠……


『アレは見ものだったぞ? あのリンドヴァルが悲鳴を上げるとは』

「コイツ、久遠と同じ事言ってるな」


 仲間なのに拷問で苦しんでる仲間を見て笑うんじゃない! やっぱり、とんでもないパーティーだよな。


『ハイド? お前、何を……』


 端末の向こうから久遠の声が聞こえて来る。向こうは端末から聞こえて来る女性の甲高い声に戸惑っているのだろう。面白いな、これ。


『お前……』

『……』


 なんだか向こう側が気まずい感じになっていた。面白過ぎたので、私はTELを切ってベッドでお腹を抱えて笑った。

後、20話くらいで終わるのですが、恋愛要素とか入れた方が良いのか悩んでます。一応、女主人公だし恋愛した方が良いのか……。恋愛するなら誰が良いのか……。私自身、恋愛要素書くのが得意では無いので恋愛書けるかどうか……。凄く悩みます。

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