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逃走中3

かなり長くなってしまいました

 

 逃亡を続けて居ると、コールカーの殊技が分かって来た。彼の位置情報能力は魔力を超音波状に発し対象の位置を捕捉するエコーロケーションの様なモノだった。彼は恐らく私の魔力を覚えており、その魔力をエコーロケーションで探させる仕組みなのだろう。だから初めに私に接触して来たのだ。私の魔力情報を得る為に。そこからは私から近過ぎず、遠過ぎずの距離を保ち、エコーロケーションで私の位置情報を把握している様だ。

 超音波の届く距離は未知数だ。恐らくだが、かなり遠くまで届くのだろう。これを抜けるのは一苦労だ。


 彼の殊技の特性が分かった理由は、何度も使われたので流石に感知できたからだ。私相手に何度も同じ手を使うから気付かれるのだ!

 仕組みが解ればコチラのモノ。師匠やハイド、久遠などの防ぎ様のない殊技ならいざ知らず、超音波系の能力ならコチラも超音波系の魔法をぶつけて相殺すればいい。だが相殺してしまうと、位置がバレる恐れがあるので、相手のエコーロケーション対象から外れる超音波を出せば良い。要は私から発せられている魔力を超音波で書き換えて、相手に悟られなくする。これで、完全に撒けるだろう!


「よし!」


 そうと決まれば早速、使いたい所だが折角なので敵をおちょくってから使ってトンズラしたい。ここまで苦虫を食わされて来たんだ。ちょっとくらい遊んでも許されるだろう!

 丁度、滞在している街で大きなお祭りが開催される。人が多く兵も配置される為、白昼堂々と襲っては来ないだろうから、安心して遊べるな!

 私は意気揚々と大きめの鞄に変装道具やら色んな物を詰め込む。いつもは影に仕舞っているので鞄なんて持たないが、今回はカミルが居るだろうから魔力系が使えなくなり影から物の出し入れが出来なくなる。なので鞄に詰めているのだ。


「よし! 行くぞー!」


 上手く行けばメル友の王様にドヤってやろーっと



 ◆


 ジャージ姿で鞄を抱えながら街を練り歩く。お祭りなので屋台なんかが並んで、とても賑やかだ。華やかな姿の女性達がキャッキャと戯れたり、男性と女性が仲睦まじく歩いている。リア充共めがぁ……。

 リア充共に妬ましげな視線を送って居ると、視線の奥に花弦と思わしき人物達が確認できた。


「お?」


 見知った顔が居るな。あれは純菜では? おぉ! 純菜も私の捜索に駆り出されて居たのか! 後で感動の再会と行こうじゃないか! そうだ、写真返そう!

 私はスキップしながら街を移動する。お? 小型だがドローンを確認。魔法で見えない様にされて居るので、一般の人達には見えないだろう。私は魔力感知が高いので、すぐに分かったぞ! あのドローンは王様への生中継用のやつかな? 王様、みってるー?

 あまり警戒したりするより、はしゃいでる様に見せた方が向こうも私の計画に気付き難いかな? ちょっと、はしゃぐか!


「おぉ⁉︎ イカ焼きとかあるじゃん! おぉ! お土産屋さん! 酒屋も有るな!」


 1人でキャッキャと騒ぎながら街をウロウロ。テンション高く騒ぐ私の後方で純菜が溜息を吐いた気がした。後、なんだかドローンの向こう側で師匠が溜息吐いてる気がする。気のせいだよね!


 大きな公園に辿り着いた。ここには先程の通りより屋台が沢山並んでおり、人の数も兵の数も多い。ここなら簡単には手を出さない筈。ここに暫く留まって敵さんを誘き寄せてみようかな。私は公園の掲示板に載っている地図を眺める。ここの公園からどうやって街の外に出ようかなぁ。


「お?」


 カミルの殊技殺しを食らった! 近くにカミルが居るなコレ。私は気にせず掲示板を眺めた。


「流石に無防備過ぎないか?」

「お? 純菜じゃん」


 背後に純菜が現れた。その後ろにアキラと花弦のNo.5とハイドの妹であるグロキシニアが居た。大勢で来たなぁ。


「みてみて純菜! 屋台がいっぱい有るよ!」


 私は周りを指差して言う。無邪気な感じで行こう! こう、ちょっとバカな感じで!


「いや……流石にリンドヴァルが泣くぞ?」

「師匠が泣くなんて天変地異の前触じゃん」


 師匠が泣く訳ないだろう! あの人、血も涙もない人だぞ⁉︎


「いや、かなり項垂れてる」

「あ、ホントだ」


 アキラがいつぞやのタブレットを見せてくれる。そこには俯いて居る師匠が見えた。項垂れてるらしいよ。


「流石にもう少し、警戒したほうが良いぞ」


 純菜に呆れられたわ。だが、これは演技なのだ! 実際はちゃんと警戒してるよ!


「まぁまぁ純菜、折角のお祭りだよ? 楽しもうよ」


 私は近くのベンチに座り、買って居た飲み物を飲む。そして横を叩いて純菜に座る様に促してみる。すると純菜は溜息を吐き、私の横に腰掛けた。


「随分と余裕だな。お前、今、追われてると分かっているのか?」


 物凄い呆れ顔の純菜。分かってますよ、そんな事!


「いや〜、だってお祭りだよ?」

「だとしても、逃走中にお祭りではしゃがないだろう、普通。お前、追われてる自覚があるのか?」

「あるある、超ある」

「嘘つけ!」


 私はドリンクをズルズル鳴らしながら飲む。なんだか純菜から小言の予感がするなぁ。話しを逸らすか


「だったら、もう少し……」

「そうそう、純菜さ、向こうでの扱いは大丈夫なの?」

「は?」


 ずっと気になって居たのだ。1度は向こうと敵対し、コチラについて居た。それを裏切る形で向こうについた訳だから、向こうの信頼とか無さそうなのだが。純菜、居心地悪くないのだろうか?

 そう聞いてみると……


「まぁ、多少の事はな。自分で招いた事だし。だが、キャンピンよりはマシだな」

「何でだ⁉︎」


 キャンピン、そんなに居心地悪かったのか⁉︎ やっぱりハイドが悪いのか! アイツ、やっぱり滅そうぜ!


「ハイド! 聞いたか! 純菜はキャンピン時代、辛かったらしいぞ!」


 私はドローンに向かって吠えた。


「いや、ベルナールだけではなかったが……」

「聞いたか師匠もらしいよ! あ! ギースもか。2人もらしいぞ!」


 まぁ、あれだけ責められてたらなぁ。でも、最後の方は改善されてなかった?


「ふふふ、お前は相変わらずだな」


 純菜が笑った。とても美しく思わず見惚れてしまいそうになった


「……私はお前が羨ましかったんだ。同じ女なのに私より遥かに高みに居るお前が羨ましくて、妬ましかった」

「お?」


 純菜の語りが始まった。これは他の花弦達が集まるまでの時間稼ぎかな? いいさ! 乗ってやらぁ!


「私が出来ない事を難なく出来たお前が妬ましかった。両親や親族は出来の良い兄ばかり。私に目を向けてくれた事など一度だって無かった。兄は強く格好良かった。憧れだった。だから両親と親族の気持ちも分かる。だからせめて兄の視界には入りたかった」


 つらぁ……そんなお家やだなぁ。私は両親が味方だったから、純菜程ではなかった。誰にも目を向けてもらえないなんて辛すぎる。


「兄さんに一歩でも近づきたくて必死だったよ。でも潰れる寸前だったんだ。そんな時にソフィア様に出会った。あの方は兄さんではなく私を見てくれる。私を認めてくれる。救われた気分だった」


 分かるわー。私も師匠に強さを認めてもらって救われた気がするもん。


「そんな方の力になりたかった。でも、なれなかった。コルネリア様の力になれて居るお前が羨ましい。お前はいつだってコルネリア様に必要とされて……役に立てている。宝玉だって持てているし、私には到底できない事ばかりだ」


 私、コルネリア様の力になれているのか? 師匠とかの方が、よっぽどだぞ。私はお世話役と、ちょっとした護衛と、宝玉くらいしか役に立たないぞ。私のファッションセンスが皆無過ぎて、服選びから外されたんだけど! これ、役立ってるって言わなくない?

 宝玉だって自分で選んだ訳じゃないし……押し付けられたんだし!

 純菜はションボリしている。ここは励ました方がいいのか? 励ますのってどうすれば良いのかな? ハグするか? いや、今ハグしてもな。


「私もお前の様に、役に立てる者になりたかった」


 いやいやいや……私、あんまり役立ってないからね。純菜はコルネリア様に服選び任されてたじゃん! 私なんて、服を着る手伝いだけなのに!


「私も純菜が羨ましかったりしたよ」

「え?」


 驚いた表情をしている。そんなに驚く事?


「お前が? 私を?」

「だって、コルネリア様って私に服を選ばせてくれなかったじゃん。私だって服選びしたかった」

「お前……気にしてたのか」

「してたよ」


 同情の視線を向けて来た。さっきまでションボリしてたじゃん! 何でだよ! ションボリしたかと思えば、同情の視線を向けて来て、次は微笑んできた。表情がジェットコースターじゃん


「お前は何でもできるから、他人を羨んだりしないと思っていた」

「いや、私も人間なんだから羨んだり妬んだり後悔だってするよ?」

「妬むのか⁉︎ 後悔するのか⁉︎」

「何で驚くの⁉︎ 妬むし後悔もするよ、そりゃ! 人間なんだもの!」


 なんで驚かれてるの? 妬まなくて後悔しない人だと思われてたのか? ついさっきだってリア充共を妬んでたんだが?


「お前は何でもできるから羨む事も妬む事もないと思っていたし、能天気だから後悔なんてしないと思っていた」

「酷い暴言を聞いた」


 能天気って言われたよ。そんなに?


「例えば?」

「え? 普通に可愛い子とか。お洒落な子とか、モテモテな子とか羨ましいかな。リア充は妬んでる」

「お前……」

「なんで、ちょっと呆れた感じなの? 羨ましいし、妬むでしょ。最近、友人が結婚したんだ。先輩は子供を産んだ。私にも、そんな未来が有ったのかもーって思うと悲しくならない?」


 なんだか純菜が痛ましげな目で見てくるんだが! 何でなんだよ!


「お前は一般人だったな。確かに、そんな未来が有ったかもしれないな」

「でしょ? 幸せな家庭を築けてたかも」


 まぁ、実際かなり難しいのだが。気になる男子には『自分より強い子はちょっと……』って言われて来たので、お付き合いとかは無理だったしな。それにウィークトゥス取っちゃったし。故郷に居ても結婚なんて夢のまた夢だったに違いない。


「後悔は?」

「うん? 人間って後悔する生き物だし、後悔をしない人なんて居ない。後悔は沢山してる。あの時、ああしてればなんて良くあるよ」

「そうなのか」

「最近は『宝玉を押し付けられなければ』とか『殊技が使えなければ』とか『そもそも次期当主様をボコってなければ』、私は普通の女の子として生活が送れたのだろうか? とか思ったりする」

「お前……」

「純菜は私の強さが羨ましいと言うけど、そこまで良い物でもないよ、コレ」


 次期当主様をボコってしまったのは偶々だったが、そこから親族に叩かれて、『ナニクソ!』っと思い、鍛錬に鍛錬を積み見返す為に強くなったのは自分で選んだ事だ。強くなると男子には『自分より強い女子は無いわー』と言われ、女子からは若干遠巻きにされるし、兄様は鬱陶しいし……何より前王には黒い宝玉を押し付けられるし。あんまり良い事ないよ。良い事と言えば、調子に乗って居る連中を、調子に乗って倒せるくらいである。

 でも、コレらは自分で選んだ事が招いた事なので後悔はしても、抱えて進まねばならない。後ろには下がらないのだ


 そんな感じで言うと純菜が目を細めて笑った。


「お前は本当に強いな。肉体面でもそうだが、精神面も強い」

「え? そうでもないけど……」

「お前が羨ましいよ。私は後ろを向いてばかりだ」

「……まぁ、ifの話をしても意味ないからね。今は今だし、変えられない。だったら進むしかないじゃん。でも偶には後ろを向いたり、下を向いても良いんじゃない? あまり前しかみてないと、同じ過ちを繰り返してしまったり、蹴躓いて転んだりするかもよ」

「ふふふ。そうだな」


 純菜は笑って居た。お? 励まし成功か? やったぜ!

 この辺で囲まれている事に気が付いた。敵さん増えたなぁ。私1人に何人導入するんだよ


「あ、そうだ。写真を返すよ」

「写真?」


 私は鞄に忍ばせていた純菜とソフィア様のツーショット写真を返した。純菜は驚いた顔で写真を見ている


「持って降りるの忘れてたでしょ。大事な物なんだから、しっかり持っておかなきゃ」

「あぁ、そうだな。感謝する」

「うぃ〜」


 純菜は写真を大事そうにポケットに仕舞っていた。返せて良かったよ!

 キチンと返せた事だし、そろそろ作戦結構して、トンズラここうかな。もうそろそろ良い頃合いだろうし。


「佳月」


 アキラが呼んで来た。次はアキラか。まだ時間稼ぎをするのか? もう良くないか?


「王からの伝言だよ。『コチラに付くまだ気はないかい?』だそうだ。佳月、これが最後のチャンスだ。まだ間に合うよ」

「……」


 最後のチャンスか……。周りの花弦や遠くにいるカミルが見ている。そんなに見られても……。答えなんて初めから決まっている。今更、聞いて来るなよ。まぁ、王様は私を手に入れたいのだろう。それは殊技の関係上でもあるし、宝玉の件でもそうだ。だから聞いてくるのだ。でも、王様は私が敵対しようが味方になろうが、どちらでも良い筈だ。何故なら向こうには安息(レクイエム)が有るから。私が敵対しようが、捕まえてアレを打ってしまえば、私を傀儡にできる。だから王様はどちらでも良いのだ。


「私は一般人だからさ、正直、忠義とか良く分からないんだよねー」


 忠義心とか理解できない人間です。あれって、大事な人を守りたいって気持ちと、どう違うのかな? 私には全然分からないんだよなぁ。


「お前、それはコルネリア様に付いてるのにダメだろう」

「だって分からないんだものー」

「なら、別にコルネリア様でなくても……」

「私はコルネリア様は大事だよ。守らなきゃって思う。でも、報いたい、役に立ちたいって思うのは師匠なんだよね」

「え?」


 純菜達が目を見開いている。そりゃそうか、主人より師匠に報いたいとか言ってるしな。


「別にコルネリア様を蔑ろにしてる訳じゃない。命令だって聞くし、何より大切だと思うよ。守るのだって1番だし。師匠は切り捨ててでもコルネリア様は守るよ。でも、師匠はもっと別な感じ。そう特別」

「意味が分からん」

「うーん。純菜みたいな感じ」

「私みたい?」


 そうそう、純菜みたいな感じなのだ。


「私ってさ、家族にも友人にも実力を理解してもらえなかったんだよね。殊技が使えると知ってても実際は、あまりピンと来てなかったんだよ。私はずっと寂しかったの。そんな時に師匠に遭って、殺されかけたんだよ」

「殺されかけたのか?」

「うん」


 今は懐かしき、あの出逢い……。いきなり斬り掛かって来るし、めちゃくちゃ強いし、死ぬかと思ったよね。


「お前とカーディナリスの出逢いは、そんなだったのか?」

「うん、コルネリア様を助けただけなのに、師匠に殺されかけた」

「うわぁ」

「初めて『これ死ぬわ』って思ったよ」


 私は肩を竦めてみせる。


「なんだか意外だな。お前が懐いているから、もっと穏やかな出逢いなのかと……」

「いや、マジで殺されかけた。めっちゃ怖かった」


 今、思い出しても震えて来るね。師匠のガチ殺気。昔は、それに慣れてなくてビビりまくってたな。最近は慣れたので屁でもない。


「それで何故、カーディナリスが特別なんだ?」


 純菜が心底不思議そうな顔をしている。そりゃ、殺されかけて特別扱いは可笑しいわな


「私が見た強者は師匠が初めてだった。そして私の強さを初めて認めてくれたのも師匠だった。私はその強さに憧れて、追い付きたいと思った。同時に認めてもらえて、言い表せないくらい心が満たされた」

「佳月……」


 ほら、純菜のソフィア様への気持ちに似てるでしょ? 私は笑って純菜に言う。


「それに、ほら、女って共感してほしい生き物じゃん? 戦いとかの話をしても、誰にも共感してもらえなかったから、師匠に共感してもらえて嬉しかったのもある」


 これはマジだ。誰も共感してくれなかったから師匠にしてもらえて嬉しかったのだ。だが、師匠の拷問等の物騒な話は共感出来なかったけども。


「だから報いたいの。師匠に」


 私は笑いながら純菜に言った。純菜は目をまん丸にした後、ふっと笑う。


「お前は可愛いな。そんなに思われているカーディナリスが羨ましいよ」


 可愛いとか言われた。何故⁉︎ どこに可愛い要素があった?


「しかし……これカーディナリスも聞いてるんだぞ? 恥ずかしくないのか?」

「え? 全然。本人にも言ったし」

「本人に言ったのか⁉︎」


 何故か純菜意外も驚いていた。何故なんだ。そんな驚く様な事を言った覚えはないのだが。


「勇者だな」

「リンドヴァルは何て?」


 興味津々で聞いて来るアキラ。なんで、そんなに興味津々なの?

 アレは確か……ハイドに指南役を変えると揉めた後に、師匠に『俺で不満ではないのか?』と聞かれた時だったな。あの時、私はさっきと同じ事を言った気がする。その言葉に師匠は……


「師匠には真顔で『それは刷り込みと言うんだ』って言われたわ」

「リンドヴァル……」


 マジで言われたよね。でも自分でも理解している。あれは刷り込みだったと


「でも確かに、最初に出会ったのが師匠じゃなくてハイドとか久遠でも同じ現象が起きてたかもね。考えただけでゾッとするけど」

「マジの刷り込みじゃないか」

「いや、本当にね」


 自分でも思うもん。


「あぁ、だからカーディナリスはお前をヒヨコ呼ばわりしてたのか」

「師匠、私をヒヨコ扱いしてたの⁉︎」


 だから師匠は私を撫でたりして子供扱いしてたのか! ヒヨコ扱いだったのかアレ! 衝撃の事実だぞ!


「もう良いもーん。お祭り楽しんでやるんだ!」


 私は立ち上がる。すると純菜も立ち上がり、周りも動きだした。ちょっと面白かった。


「純菜! 折角のお祭りだし仮装しよう!」

「仮装って、これはお祭りだがハロウィンではないのだが」


 純菜や他の周りを気にせず、私は鞄に詰めていたローブを羽織る。そして頭に超リアルな鹿の被り物を被った。


「なんだ、その被り物は⁉︎」


 純菜が絶叫した。そして他の面々はドン引きしていた。面白すぎるな、これ


「イェーイ、遊ぶぞー」


 周りはドン引きしていたので私への対応が遅れた。彼女達は私の腕を掴もうとしたが、私は既に走り出していたので誰にも止められなかった。

 私はその格好で、お祭りに繰り出す。周りの子供が私を見て泣いている気がしたが、まぁ私じゃないだろ。眉間に皺が寄っていたカミル辺りだろ!


 私はその格好でお祭りを回る。今の私は目立つし、補導とかされたりしてるので、奴らも手が出せない様だった。

 私はその被り物とローブの下で、せっせと変装中である。髪を一時的に金色にする薬を使い、目を青色にする目薬をさして、お化粧もする。そしてローブの下でジャージから白い清楚なワンピに着替えるのだ。これで、どこからどう見ても私に見えない。よしよし。

 後は誰も見てないタイミングで、ローブを脱ぎ鹿の被り物を取り、その辺りに良い感じに鹿の頭を配置して逃走する。カミルの殊技が切れた辺りでコールカーの超音波を相殺してやろう! そして堂々と汽車で逃げてやろうかな!



 ◆



 夜になると花火が上がった。その花火を見ようと人々が足を止める為、人混みができる。その人混みに入り込み、しゃがんでから素早く鹿の頭を外し、鞄に放り込む。そしてローブを脱ぎ、コチラも鞄に詰める。素早く立ち上がり、一般人に紛れながら、この場を離れた。

 離れた先の椅子に鹿の頭とローブを良い感じに配置し、さらにこの場を離れる。暫く歩くとカミルの殊技殺しが外れたので、意気揚々とコールカーの超音波を相殺して、堂々と汽車に乗り街から離れてやった!

 この街では色々な線路があり、行き先も全然違う。なのでもし私がココで汽車に乗った事が分かっても、どの線に乗って行ったか特定は困難な筈。ふっ、私の勝ちだ!


「ビクトリィイイイイ!」


 汽車内で私は勝利を叫んだ。個室な為、誰の目も気にしなくて良いので、やりたい放題してる。横の個室から五月蝿い! っと怒鳴られたが、そんな暴言では今の私には傷1つつけられないさ!


 落ち着くと私は今後の事を考える。何処に逃げれば逃げ延びられるのか……。この際、世界地図にダーツの矢でも投げて行き場所決めるか?


 投げてみたら私の故郷に当たったので、そっと世界地図を閉じて仕舞った。

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