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逃走中1

 

 街を出て、羽を出して、いざ、空の旅へ!! 隣街だと追い付かれるかもしれないので、2つ行った先の街に降り立った。そして深夜でも空いており、尚且つ身分証の要らない宿を取る。その宿の受付は無人で、お金を入れるとキーが出てくる仕組みだ。人はこの宿をラブホと呼ぶ。1人で入るのは、ちょっと勇気が居るが背に腹は変えられない。それとちょっとラブホの内装とか、どんなのか気になってたんだよね。私はラブホに1人で入った。


 部屋はピンクの如何わしい感じだった。お風呂場が一面ガラス張りで爆笑した。お風呂のお湯がライトで紫になるのが面白い。一通り眺めて笑って満足してベッドに転んだ。ベッドヘッドに手錠が有るんだが! SMプレイ用なのかな?


「ふぅ……」


 ずっと緊張しっぱなしだったので疲れた。今日は休もう。明日になれば、更に街を移動して海辺の街を目指す。そしてフェリーに乗ってこの国を出て、追手を完全に撒こうかな。


「おやすみ〜」


 私は眠った


 ◆


 早朝だった。妙な気配を感じて起きる。


「窓? いや、扉もか。囲まれてる」


 その妙な気配は窓の外からと、扉から感じた。数は窓の外側が2人と、扉側が1人かな。

 窓は格子が有り、入って来れないだろうから扉から来るだろう。1人なので難なく制圧できる。私は掛け布団を深く被ると深呼吸する。こう言った場合の訓練は師匠からしてもらっているし、ハイドから嫌と言うほど仕掛けられて来た。なので行ける。

 寝ていると思わせて油断させて叩く。これが師匠の教えだ。

 しかし……何故、こんなにも早く居場所がバレた? 夜に空を飛び街を離れて、2つも街をパスし、尚且つ足の付かないラブホに泊まったのに! そこまで考えて、ある事を思い出した。私がまだ黒い宝玉を貰って居なかった頃の話だ。酒場でクエストの確認をしていた時に酒に酔ったオッサンが話していた。『俺は人やモンスターの位置情報が分かる殊技を持っている』っと。

 その頃は自分に関係ないと思い『そんな殊技も有るんだな。便利だな』くらいにしか思って居なかったが……そんな感じの殊技の持ち主が王側に居るのかもしれない。今までは師匠とハイドの黒い宝具を辿られただけだから、この殊技を警戒しなかったし思い出しもしなかったが……これからは、この殊技も警戒しなければならないのか。


「あれ?」


 あの酒場で見た殊技を持つ酔っ払いのオッサン、昨日に汽車で見たオッサンかもしれない。なんだか特徴がソックリだった。もし、本当にそうなら世間って狭いな。


 しかし……何が私だけなら逃走は楽だよ! 師匠の嘘つき! 面倒な相手が居るじゃん! どうしよう、師匠! どうすれば良いかな? 師匠、教えて!

 私は心の中で師匠に問う。すると心の師匠は言った。『殊技の相手を見つけて殺せ』と。相変わらず、物騒だな。


「……⁉︎」


 扉がガチャと音がして開いた。そして極力足音を立てない様に慎重に入って来る。足の音と息遣いからして、相手は1人だ。凄い緊張する。今までは訓練で師匠やハイド辺りが行って来た為、失敗しても笑ってどうにでもなった。しかし、今回は初の本番! 物凄い緊張する!

 その人物がベッドの側まで来た。どうする気だ? 攻撃してくるか? それとも拘束してくる気か? 拘束で思い出した。ここのベッドヘッドに手錠が付いてたんだった。相手を捕まえて手錠にかけようか!


 手を伸ばして来たのが分かった。相手は攻撃ではなく、拘束を選んだ様だ。手が私に掛かる前に私は相手の手を掴み、ベッドに引き摺り込む。


「……⁉︎」


 驚く相手に馬乗りになり押さえ込んで、相手の左手を掴んでベッドヘッドの手錠を付けた! これで相手は動けまい!


「おぉおおお!! 師匠! やりました! 初の実践でやり遂げました!」


 私はあまりの嬉しさに馬乗りになったまま狂喜乱舞した。この感動を師匠に届けたい!


「驚いたな。流石はリンドヴァルの弟子だね。まさか奇襲を防ぐなんて」

「あれ? アキラじゃん」


 私が拘束した相手はアキラだった。アキラも来てたのかよ。取り敢えず、拘束状態のアキラを写メる。片手をベッドヘッドに手錠で繋がれた男の写真が撮れてしまった。


「ぐへへへ! 兄ちゃん、良い事しようや」


 片手をベッドヘッドに繋がれて馬乗りになられている男……これ凄い構図だよなぁ。そう思うと楽しくなって来て、モブおじさんみたいなセリフを吐いてみた。


「良いよ。でも、これ取ってほしいな」


 アキラはそう良い、空いた手で私の腰辺りを撫でて来た。手つきが慣れて居る。お? この男も女慣れしてるな。

 そんな事を思っていると、窓の外の気配が動いた。コチラに来られても厄介だ。早急に移動しようかな。


「アキラ」


 私はアキラの胸板に手を這わせ、口を耳元に持って行き


「おあずけです」


 そう言い、私は退散した。

 恥ずい!! 何が『おあずけ』だよ! 先程のやつは兄様の持っていた如何わしい宝物シリーズの中に有った小説のセリフだ。1回、言ってみたかったんだよね! でも言ってみたら思ったより恥ずかしかった。もう2度としない


 私は部屋から出て、廊下の影に突入! そして、影移動でラブホからかなり離れた場所に出た。よし! 逃げきれたでしょ! 取り敢えず、朝食取るかな! 早朝に開いてる店に入り朝食を堪能した……が、朝食を取って居る途中に例のオッサンが現れたので、写メってから撒いた。


「ふぃ〜」


 とあるショッピングモールの女性専用の個室なパウダールームに籠り、先程撮ったオッサンの写メを故郷の友人に送りつける。そして、この人物に付いて聞いてみた。友人も例の酒場に居たので、もしかしたら覚えているかも!

 友人からの返信は『見たことあるよ! 位置情報の殊技持ってる人だよ。名前はコールカーさん』だった。因みに花弦らしいよ!

 やっぱり、そうだったらしい。世間って狭いなぁ。後、名前まで判明したわ! 名前まで覚えてるなんて、友人は記憶力が良いな。関心しつつ、お礼のメールを入れる。

 そして次に師匠の端末に、先程のアキラの写メを送りつける。そして『師匠! 私、実践で奇襲防げました! やりました!』と送った。師匠の端末は今、久遠か誰かが持って居るので写メを見るのは、六花の誰かだろう。その六花の誰かから師匠に話が行くといいなぁっと思って送った。ついでに安眠妨害したアキラへの制裁に写メを晒した感じである。

 逃走中に敵にメールを送るなって感じだが、向こうには位置情報が分かる殊技を持っている奴が居るし、既に敵に位置がバレてるんだから送った所でこれ以上の何かが有る訳ではないしな。開き直って、嫌がらせしてみた感じだ。


「あ!」


 師匠からメールが帰って着た。内容は『やるじゃないか』だった。これ、誰からの返信なのかな? 久遠とか辺りか?


「よし! 行くかな!」


 気を取り直して、逃走の続きと行こうか!



 ◆


 私は只管に逃げた。逃げて居るうちに位置情報が分かる殊技を持つコールカーの、殊技の特徴が分かって来た。彼の殊技は位置情報は確かに分かるが大まかな位置しか特定できないようだ。なので変装して普通に横を素通りしてもバレなかった。

 こうなって来ると楽しくなってくる。変装してコールカーや他の花弦、六花の面々を欺き、近くで写メって、師匠の端末に、おちょくった感じで写メと本文を送り付ける毎日。これ、面白いわ!

 写メを送り付けると必ず返信が来た。よく撮れてるとか、凄いねとかそんな感じ。最近、ちょっと世間話をする様になった。メル友である。相手は誰か分からないんだけどね。師匠の端末で他人と、しかも敵とメル友になってるのウケる。


 こんな感じで逃亡を楽しんでいた。


 ある日、私は清楚なお嬢様スタイルで街の外の道路を歩いて居た。早朝なので車も何もいやしなかった。このまま隣町まで進もう!

 前方に車が止まっていた。車の側にはお婆さんが居り、困った様に辺りを見回している。


「どうしました?」


 今はそこまで切羽詰まってないので、人助けでもしようかな! 親切は巡り巡って自分に返ってくるから、進んでするのが良いと母様に言われているのでな!


「車が故障してしまって……動かないの」

「電話で連絡すれば兵が来てくれますよ」


 街の外でトラブった場合、電話を掛ければ兵が来てくれ対処してくれる。なのでお婆さんに勧めたが、お婆さんは困った顔をするばかり。うん?


「端末持ってなくて……」

「珍しいですね。今時、持ってないなんて」


 無いと不便だよ? 仕方ないので私の端末で連絡を取ろうと端末を開いた。


「これなら有るのだけれど」


 お婆さんは大き目のタブレットを出して来た。連絡手段あるじゃないか!


「それで、兵に連絡出来ますよ……マジかよ」


 そのタブレットにはボロボロの師匠とハイドとギースが映った。嵌められた。このお婆さん、王の手先だ。


『やぁ、初めましてだね。佳月』


 師匠達の前に超美形が映った。この人は何度もテレビで見た事がある。王【ディーデリヒ=オドントグロッサム=ショーバーレヒナー】様だわ。

どうでも良い『人物設定』

(忘れてたヤツ)


三ツ葉 晴間 (ミツバ ハルマ)


髪色:佳月と同じ

階級:メディウム

年齢:28歳


備考:幼少の頃から妹の佳月を苦手としていた。8つ下の幼い妹に組手の際にボコられたのが原因。薄々、佳月の実力に勘付いて居たが認めたくない一心で気付かないふりをして来た。組手を組んでも負ける妹に杞憂だと思いながら、何処か引っかかっていたので、自身の方が優秀だと思い込む為に見下したり、暴言吐いたり虐めたりしていた。

しかし、度重なる敗北により妹の実力を認めざる得なくなり、実力の差が浮き彫りになって焦った。直ぐに追いつけると高を括っていたが、邪龍戦で見せた妹の底知れない実力に素直に負けを認めた。

リンドヴァルに「妹は天才だ」と言われ、勝てないと踏み競うのを諦めた。

今は妹が気兼ねなく戦える様にする為、日々精進している

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