問題のお姫様
あれから幾日。私達は誰にも邪魔される事なく会議の開催される国に到着した。やはり黒の宝具で位置を特定される事がないから、追っては来れないらしいな。
各国のお姫様達が集まる予定なので、私はいつもの様にジャージではダメだという事で正装させられた。キッチリとしたパンツスーツを着させられて、髪もキッチリと纏めてアップにさせられた。
「いいんじゃないか?」
「見れる様になったのぉ」
アスターとジィジに褒められた。ちょっと嬉しいが……
「……」
いつもならば私が女らしい格好をすればハイドが鼻で笑ってくるので、キレた私がハイドに斬りかかるのだが、それが無くてなんだが寂しい。居なくて清々するのに物足りなく感じる。これはあれだ。『殺したかったけど、死んでほしかった訳じゃなかった』みたいな、あの意味の分からない感じ。
いかん、いかん。辛気臭くなってしまった。弱くあるのはあの日だけだと決めたではないか!
気を取り直し、コルネリア様と兄様と共に会場入りする。ジィジとアスターはお留守番だ。
会場に入れば、あの問題のお姫様ビシャ様に出会った。ビシャ様は私を見ると目を釣り上げたが、コルネリア様の手前、何も言えないのか笑顔で挨拶して来た。
「これはこれはコルネリア様。お久しぶりです」
「えぇ、お久しぶりです」
両者共お辞儀をしてお行儀の良い挨拶を交わす。
「まだ、そのウィークトゥスが居たのですね」
「えぇ、かなり優秀なので」
ビシャ様がギリッと歯を食いしばる。そして私を一度キッと睨んだ後、
「他の従者の方はどちらに? 会議の場にはそちらの方々が入った方が宜しいのでは?」
笑顔でコルネリア様に言った。会場に来てほしくないと遠回しに言っている。そんなに嫌わなくても……
「お前、何かしたのか?」
「してない……いや、したといえばしたかな?」
ビシャ様の後ろの従者に恥ずかしい縛り方をした気がする。遠い昔の記憶なのでうろ覚えだ。
「他は……居ません。居るのは、ここに居る2名だけです」
「あら? では、どちらに? 車にいらっしゃるのならば変えた方が……」
「いえ、捕まりました」
コルネリア様が師匠達は捕まったと言うと、ビシャ様がしまった! っと言わんばかりの顔をした。こういうデリケートな話題は避けた方が良いですよ、お姫様。
「では、私の護衛を数名お貸ししましょうか?」
「問題有りません。佳月がいるので」
ビシャ様がまたギリッと歯を食いしばり睨んで来た。だから! そんなに恨まないでよ!
「佳月様⁉︎ 来られて居られたのですね!」
「え、誰?」
巨乳の凄い美人が私の元に駆け寄って来た。この人、誰なんだ?
「アーシャ様だ」
「あぁ、この人が」
私が邪龍を倒した国の第1王女様がこの人らしい。私はずっと寝て居たので、会うのは今回が初になる。
「初めてまして、アーシャ様」
「えぇ、貴女様はずっと寝ておられたので、初めてましてですわね」
うふふと笑う第1王女様。めっちゃ美人だわ。横のビシャ様が霞むレベルだ。もうビシャ様が引き立て役にしか見えない。そんくらい美人。
「自身の口でお礼を申したかったのです。改めて邪龍の件、ありがとうございました。我が国一同、心より感謝しかありません」
「そんな! 顔を上げてください!」
胸元が大きく開いた服を着てるから、頭を下げられると胸元がですね……余計にこう……。
兄様は真っ赤になり目を逸らして居た。ははーん、兄様、さては童貞だな。後で揶揄ってやろーっと
「あ、貴女の像が完成しましたのよ。見にいらして下さい!」
「遠慮しておきます」
本当に像作ったのか⁉︎ やめてくれ!
「そのウィークトゥスの像ですの? ミジンコほどの価値も無いでしょう」
「……貴女、何様ですか?」
「ちょっと⁉︎」
女の戦いが始まりそうになったので慌てて止めた。時間も押してるし、会議の席に着こうと言えばビシャ様は「ふん」っと鼻を鳴らしてスタスタと先に行ってしまった。取り敢えず、女性のバトルは避けられた様だ。会議が始まる前から疲れてしまった。
◆
会議の席に着くと私達が最後だった様で全員揃って居た。私はコルネリア様が座る席の後ろに立ち、静かに会議の内容を聞いておく。
会議は滞りなく進んだ。会議も終盤に差し掛かった頃に私の端末が震えて着信を知らせて来た。私は端末を開き誰からか確認する。これが友達からとかだったら後で掛け直そうと思ったのだが、着信は何と師匠からだった。
「コルネリア様、ちょっと席を外します」
「あぁ、分かった」
「兄様、宜しく」
「直ぐに戻って来いよ」
2人に断りを入れた後、廊下に出て電話に出た。
「もしもし」
十中八九、師匠ではないだろう。ならば誰だ?
「俺だ」
「オレオレ詐欺なら他所でやって下さい」
切ってやった。声的に久遠だったが、ちょっと意趣返しに切ったのだ。すると直ぐに掛け直して来た。ちょっと面白い
「はいはい、何のご用事ですか?」
『お前の師匠が黒の宝玉の在処を吐いたぞ』
「……⁉︎」
等々バレたか……。ここからは私も覚悟しないとなぁ
「へぇ……。どこにあるの?」
もしかしたらカマをかけてるだけかもしれないので、私は知らない振りをしておく。
『お前だろう? 胸に黒い紋様が有るらしいじゃないか』
師匠はマジで喋ったらしい。あの師匠を吐かせるとは、敵ながらやるな、久遠。
『まぁ、薄々、気づいて居たがな』
「だろうね」
私でも気付きそうなのに、王様を初めとした頭の良い人が多い敵さんが気付かない訳がないよな。
『お前を脱がせた時、下ではなく上を脱がせれば良かったなぁ?』
「それだよ、それ! 私の太腿の噛み傷、治んないんだけど! どうしてくれるのさ!」
今だに血が出る噛み傷。いい加減治ってほしい。ちょっと前までは薄い皮が張ってきていて血も止まって居たのだが、久遠が煙幕投げた時に眠気に抗う為にそこを突いたら、また血が止まらなくなったのだ。折角治りかけたのに! あれ? 自業自得?
『とびっきりの呪いを掛けたからな……』
「解けよ」
『お前が俺の元に来たら解いてやってもいいぞ』
呪いの解除は専門外な私は、何とか試行錯誤して解こうとしたが、ネチッコイ呪いに解くのを諦めたのだった。
「話し逸れたよ。で、師匠はどこまで話したの?」
『吐いたのは宝玉の事だけ。お前がどうやって宝玉を持って居るのか……吐かせるのは今からだ』
ここまでバレてたら久遠に私の殊技を言った方が良いのではないだろうか? そうすれば師匠への拷問は軽くなるのでは? しかし、用が無くなれば始末されるかもしれないし……いや、黒の宝具を持てる者は貴重だから、おいそれと始末はしないだろうが
『そうそう、吐かせた時のリンドヴァルは中々良かったぞ。あの男が悲鳴を上げる様はゾクゾクした』
「いや、師匠の拷問時の話とか聞きたくないんだけど」
久遠はうっとりとした声で師匠の拷問時の話をしてくる。親のピーな行為並に聞きたくない話題だわ。
『そう言ってくれるな。時期にお前も受けるのだから、俺がどんな事をするか、聞いておきたいだろう?』
「嫌なんだけど!」
拷問を受けるのも、聞かされるのも嫌だ!! 怖いよ!
『まぁ、お前は女だからな。リンドヴァルより色々できる。楽しみだよ』
「……乱暴する気ね! エロ同人誌みたいに! エロ同人誌みたいに!」
それはマジで洒落にならんぞ⁉︎ でも女騎士もされてたし、女だとそうなる可能性も有るのか……。今のうちに『くっ! 殺せ!』のセリフを良い感じに言う練習でもしておこうかな。
『佳月! 今すぐに電話を切れ! 逆探知されてるぞ!』
「……⁉︎」
電話の向こうからハイドの大声が聞こえて来た。まさかの逆探知! 私は急いで電話を切ったが、もう遅いかもしれない。向こうの機械がどのくらいの性能か分からないが、長く話し過ぎた。位置がバレてても可笑しくない。
しかし、焦っても仕方ないので慌てず騒がず、冷静に対処しよう。
どうでも良い人物設定
カミル=ウィステリア
髪色:濃い紫
殊技:殊技殺し
年齢:29
階級:ドクトゥス
備考:ラミルと双子。兄にあたる。
天才であり、ラミルとは一線を期して居た。その事でお互いに溝が有ったがラミルがリンドヴァルを恨む様になり、ラミルの標的が移った事で関係が改善され良く共に居る様になった。22歳で六花入りを果たしていた。入ったのは久遠より早い。
スピードアタッカーで佳月並みのスピードを保持している。六花で1番速い。
弟と同じくら根に持つタイプであり粘着質なので、とある理由から佳月に並ならぬ執着をする様になった。要は弟と一緒で逆恨みが激しい人物。




