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捲土重来

 

「予想以上の出来だ」


 今までで最高の出来だと自負している。何がって? 縛るのがだよ。色々な縛り方を試してみた。


「で? どうするの? 尋問?」

「尋問した所で吐かないだろう」


 取り敢えず、キャンピンに乗せてここから離れた。追っ手が有ると怖いからね。


「リンドヴァルやハイド、ギースは捕まったようじゃな」


 発信機によれば師匠とハイド、ギースは只今仲良く運ばれてる最中らしい。なので捕まったとみていいだろう。しかしあの発信機、生命確認は出来ないので皆んな生きているか心配になる所だ。特にギース。彼は押されて居たし、ベロニカ相手な訳だし……


「考えていても仕方ない。進むぞ」


 師匠、ハイド、ギースの離脱により、実質パーティー最強は私になった。激しく不安だ……


 ◆



 別の国に着き、人目の付かぬ森にて純菜とアキラの尋問中である。尋問と言っても何聞いていいか分からないので世間話している。


「純菜のタイプってどんな人?」

「尋問で初めてタイプ聞かれたよ!」


 純菜はこういう時は敵の人数や配置場所や敵の能力とかを聞くんだと言われた。何故、敵である純菜に教えられてるのだろう。


「じゃ、教えてくれるの?」

「教えるわけないだろ」

「じゃあ、好きなタイプ聞くしかないじゃん」

「なんで、そうなるんだ」


 今、他所の国だし、敵の配置とか聞いても意味ないしな。能力も六花はみんな知ってるし、花弦はアキラさへ警戒してれば他はそこまでだから良いや。いや、アキラの下であるNo.3とNo.4くらいも警戒しておこうかな。No.5は前に戦ったから大丈夫だし。

 だから、もう世間話するしかなくない?


「じゃあ、アキラのタイプは何?」

「え、僕?」


 アキラにも振ってみる。


「うーん、言われてみると分からないな」

「じゃ、彼女居る?」

「佳月、あまり女性が男にそう言う事を聞くものではないよ。勘違いされてしまう」

「そうなの?」

「あぁ。男は単純だからね。その質問をされたら『この子は自分の彼女になりたいんだ』とか『この子は僕を好いてくれているんだ』と勘違いするんだ。だから気をつけないと」

「へー」


 何故かアキラから注意された。何故なのだ……。


「お前は相変わらずだな」


 純菜に呆れた顔をされた。久しぶりに見たわ、純菜のその顔! なんだか懐かしいな!


 さて名残惜しいが、そろそろ出発せねばならない。これから白を持つ者達で集まって会議を開くのだ。なので開催される国まで行かねばならない。

 なのでココで純菜とアキラを解放する予定だ。行き場所は伝えてないし、後を追われる心配はないだろう。


「純菜、じゃあねー」

「あぁ……気を付けろよ。六花は強い」


 今は敵である純菜だが、やはりこのメンバーに想い入れがあるのか激励をくれた。その後、純菜はアスターと話しをしている。ソフィア様の件でだ。


「アキラは私に激励くれないの?」

「敵に塩を送ってどうする」

「だよねー」


 アキラは何も言ってはくれなかった。


「ねぇ、私もあの家から逃げた身だから、敢えて聞くけどさぁ……」

「何だ?」

「逃げて幸せだった?」


 私の問いにアキラは驚いた顔をした後、


「どうだろうな……。でも、辛くはなかったかな」


 っと言った。やはり、あの家で過ごした年月はアキラにとって辛かったのだろう。あの家から逃れて今は辛くないのならば、今の方が断然いい。

 アキラから話が聞けただけでもヨシとしよう。


「君が辛い時、助けてやれなくてすまなかったね」

「……じゃ、元気でね!」


 何と返していいか分からなかったので、別れを告げて離れた。アスターも純菜との話を終えたのかキャンピン内に戻っていた。

 全員揃った所でキャンピンは出発! 2人を置いて私達は目的の場所へとキャンピンを進めた。


 因みに純菜の紐は解いたが、強いアキラは解いてない。なので後で純菜辺りが解いて解放するだろう。まぁ、解けると良いけどな! エグい縛り方してやったから中々解けないと思うぞ! 今、彼女は刃物を持っていない筈なので、暫く紐と格闘してれば良いさ!


 ◆


「お前さん、辛くないのか?」

「おん?」


 私は助手席にてジィジの助手をしていると、ジィジに問われた。ジィジは師匠が捕まって辛くないのか? っと問うている様だ。主語言え!


「ここの主力が私だけになったのに、泣き声言って居られる暇はないよ」


 実は、まだ実感が湧かない。今だって部屋に行けば師匠が居るかも……なんて思っている私が居る。何だかんだ最後はゴタゴタしてて、いつの間にか師匠が捕まってたからよく分からなかったし……。


「……あまり詰めすぎるなよ?」

「分かってるよ」


 これよりキャンピンの見張りは私と兄様という、安心出来ない組み合わせになった。戦力もかなり減った今、戦いは避けたい。


「佳月、ちょっといいか?」

「はい」


 コルネリア様に呼ばれたのでジィジに一言言ってからコルネリア様の自室に行った。


「リンドヴァルは拷問を受けるだろう。間違えなく久遠がやる」


 入って直ぐにコルネリア様は私に言った。久遠が師匠を拷問するという事は……


「リンドヴァルはいずれ黒の在処を吐く」


 久遠は拷問のプロだ。奴に拷問されたら師匠も耐えられないとか言ってた筈だ。ならば、いずれ私が黒を持って居る事と殊技の事を吐くだろう。向こうは私が宝玉を持って居るのを薄々勘づいているだろう。あのアキラが男でありながら白を持って居られたのだから、女の私でも黒を持てるだろう事くらい向こうも予想が付く。

 だが殊技の事は分からない筈だ。この殊技は家族にさへ友人にさへ【影を操る】としか言っていない。向こう側からしたら、【闇を操る】殊技なんて喉から手が出る程欲しい筈だ。師匠が殊技の事を話してしまえば、宝玉諸共私も狙われるかもな。

 こう言っては何だが、新しい殊技の事を師匠に話さなくて良かったと思っている。【闇を生み出す】殊技だって王様からすれば欲しい殊技の筈。なので誰にも言わないつもりだ。そうコルネリア様にも


「佳月、何度も言うが、リンドヴァルとの約束は守れ」

「はい」


 悲しい約束だ。本来ならば約束とは人を幸せにするものではなかったか? 師匠が私に課せた約束は悲しくて辛い約束だ。何故、こんな約束をしなければならなくなったのか……


「以上だ。気を張っておけ」

「はい」


 私は助手席に戻る気になれず、ジィジには悪いが自室に戻ろうとする。しかし、私の体は別の部屋に向かってしまった。そこは師匠の部屋だ。ベットと椅子しかない簡素な部屋。

 私はその部屋のベットに転がってみた。ベットの持ち主が此処に居れば頭を叩かれ咎められそうな事をして居るが、咎める声は聞こえない。それは、ここの住人が居ない事を意味している。

 急に師匠が居ないと実感が湧いてきて悲しくなった。あの人は私が初めて出会った強者で、初めて私の強さを認めてくれた人だ。

 友人や知人は私が殊技持ちだと知っていても、本当の強さは知らない。そう、師匠と出会って初めて本気で戦えて……初めて超えたいと思った人だ。


「あー……師匠の匂いだ」


 ちょっと変態くさいが、堪忍してほしい。私は感傷に浸っているのだ。


「今日だけは許して下さね」


 明日からはコルネリア様を守れる様に強くありますので……。だから今日だけは弱くいさせてほしいです


 私は目を閉じた。

どうでも良い『人物設定』


ラミル=ウィステリア

髪色:淡い紫

殊技:殊技殺し殺し

年齢:29歳

階級:ドクトゥス

備考:カミルと双子。リンドヴァル達とは違い平民の出である。師はかつての六花の1人。

カミルが優秀で劣等感を覚えて育った。先に殊技を覚えたカミルの【殊技殺し】を封じたい、勝ちたいと言う思いから【殊技殺し殺し】を使える様になる。

16歳でドクトゥスを取り、そのまま城勤に。18歳で花弦入りし、その1年後に年下のリンドヴァルが六花入りしたのを機に、彼に出来て自身に出来ない筈ないと思い、更なる強さを得る為、六花の1人に弟子入りした。

22歳の時、恋人が出来たがスパイだった。それに気付かず1年程過ごしたが彼女の正体を知り狼狽。逃げる彼女を追う事が出来ず、リンドヴァルに追跡を許してしまった。

口を割らない恋人をリンドヴァルが拷問にかけて割らせたが、話しても尚リンドヴァルは続けた。結局、彼女は自殺を選んだ。

それを根に持ちリンドヴァルを今でも恨んでいる

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