前を向いて歩こう
「ハイドのあの性格は虐められていた影響が出たんじゃろなぁ……。優しい子じゃったのに」
話を続けるギースにハラハラしながら相槌を打っておく。取り敢えず、ギースの話はそこそこに辺りを警戒しておかないと、またギースが食われる!
「ハイドは花弦に入った時、自身の顔の有用性に気づいてしまったんじゃ。ちょっと女に声を掛ければ、直ぐに落ちてくれるっと……」
ベラベラ話しながら進んでいるギース。私は気が気じゃない。いい加減、集中して登ってくれ!
「あっ⁉︎」
また食われた!
◆
「リンドヴァルと久遠が花弦だった頃、2人は組んでいてな……良き相棒でありライバルでもあった。リンドヴァルは秀でた才能の持ち主だったので妬みや嫉妬が多くてなぁ……。友人と呼べる奴は久遠しか居らなんだ。あっ⁉︎」
喰われた。
「リンドヴァルが六花に入った時、久遠やハイドが悔しがっておったわ! はっはっは! 奴は他より頭1つ出とったからのぉ! あっ⁉︎」
喰われた。
「で、久遠が六花入りを果たした直ぐ後に事件は起きてなぁ。ラミルの恋人が隣国のスパイである事が分かった。直ぐにラミルの恋人は逃げたがリンドヴァルが捕らえて拷問にかけた。それをラミルは恨んでおる。その恨みからラミルは六花に入る事を決意した。あ、カミルは久遠より前に六花入りしてたんじゃよ? あっ⁉︎」
また喰われた! この爺さん学習能力無いのか⁉︎ 喋り倒して注意力散漫になって喰われたの、これで何回目だよ。いい加減、落ち着けよ。
「うむ? 今日は白夜じゃなぁ。初めて見るわい」
「ソーデスネ」
ダメだこの人。早く何とかしないと……。
「ギース! 少し休みませんか? 私疲れてしまいまして」
「そうじゃな! 歩き通しで疲れるわな。少し休もうか」
休憩を取り付け何とか下山をする様に説得してみたが聞く耳持たないギース。助けて師匠。この際、ハイドでも良いから! お前の師匠だろ⁉︎
暫く休憩すると登山を再開。もう本当に帰りたいよ……。
◆
漸く頂上に着いた。時刻は既に深夜を回っていたが空は明るく昼間の様な感じだった。白夜だからね
頂上から見る景色は絶景だった。これは凄い。私は端末を取り出してパシャリした。
「暗ければオーロラが見えたらしいぞ。残念じゃな」
「うん。残念だ」
白夜じゃなければな……。
そして漸く下山開始。長かった……。しかし行きはヨイヨイ帰りは怖いと言う言葉を痛感させられる事となる。何と、百を超えるビヤタムズに囲まれる事となったのだ。ギースは今、武器はなく素手だ。こんなに大量に相手は出来ないだろう。しかしギースは焦る事なく話を続けている。いい加減、危機感もってよ爺さん!
「ギース⁉︎ 来ましたよ! 後ろ後ろ!」
ベラベラベラベラ喋る爺さん。戦う気ナシか⁉︎ ここは私が何とかしないと! えーい、絶対安静がナンボのもんじゃい!
私は闇を生み出して、それを操り襲いくるビヤタムズを切り刻んだ。うん? 私、なんか闇を生み出したんだけど。私の殊技【闇を操る】筈で【闇を生み出す】ではなかった筈だが、どうなってる?
悩んだが分からず仕舞いだったので、後で師匠に問うてみようと思う。まずはこのビヤタムズの群れをどうにかせねば。半分程減った辺りで漸く逃げてくれたビヤタムズ。これでキャンピンに帰れる……そう思い振り返るとギースが居ない
「アレぇえええっ⁉︎」
慌てて、逃げたビヤタムズを見るとギースを掴んで逃げて居るのが確認できた。ドサクサに紛れて攫われたらしい。ギースを助ける為に私は走った……
「ゼェ……ゼェ……」
「すまん、すまん! 油断しとった!」
このジジイ! 私は絶対安静だと言っているだろうが! 治りかけていたのに悪化したぞ!
悪びれもなく言うギースにイラッとした。
◆
「ただいま帰ったぞ!」
「……」
疲れ果てて帰ったら、待っていたのはコルネリア様からのお説教だった。曰く、出かけ過ぎとの事。それもそのはず、私達が出掛けて1日が経とうとしていた。そりゃ、怒るわな。
コルネリア様に怒られた後、私はアスターに怒られた。曰く、絶対安静って言ったのに! らしい。解せない。これは私が悪い訳ではないのに、何故か私が怒られたんだけど。
部屋に入りベットに横になると意識がストーンと落ちた。相当疲れていたらしい。それか、例の休眠状態か……どっちでも良い。取り敢えず寝たい
「痛い!」
久しぶりに額に衝撃が来た。この痛みは師匠の夜襲だ。断言しよう!
「おはようございます」
「もう、夜だぞ」
やはり師匠だった。伊達に殴られて来た訳じゃない。師匠の攻撃かどうかなんて判断できるわ! 威張れないな。
私が額を抑えて考えていると師匠は私のベットに腰掛けて来た。何これ新鮮だ!
「ギースと出かけてどうだった?」
師匠は問うて来た。なので私は師匠に飛び付き、有った事を全部師匠に言った。途中から半泣きだったと思う。それくらい大変でした!
えぐえぐとベソをかきながら師匠に話すと同情された。同情は要らないから優しさをくれ!
「あの人はお喋りだからな」
「師匠の話もしてましたよ。昔、久遠と組んでたとか」
殆ど聞き流していたけど、確かに話していた。
「あぁ、組んでたな。あれはまだ俺が花弦の時だ」
「だから好みとか知ってたんですね」
前に師匠が言って居たが師匠と久遠は幼馴染。ハイドは幼い頃からギースと共に居たので遊んだ事はないらしく幼馴染ではないそうだ。
私の家も名家だが、ここ何代か強者を輩出していないので、城でも知名度はない。だが、ハイドや師匠、久遠の家は知名度が高く城でも知らない人はいないらしい。
「俺と久遠、ハイドの父親は城勤だったが……イネスに殺された」
それで師匠は六花入りを決めたらしい。いつかイネスを殺す為……。この動機で大丈夫なのか? 黒の宝具は激情がダメな筈。復讐心を持っていて大丈夫なのだろうか?
まぁ、そこは師匠の抑制力の強さのお陰か大丈夫らしいので一安心だな。
「で、兄様はどうでした?」
「話にならない」
「際ですか……」
さて、次は最後の宝具を取りに行く予定だ。その宝具の持ち主はイネス。さぁ、どうなる事やら
どうでも良い『人物設定6』
ハイド・ランジア=ベルナール
髪色:紫
誕生日6/3
殊技:目で見た相手の次の動作を無効化(殊技封じ・魔法封じ・相手の動きを一瞬止める等)
年齢:26歳
階級:ドクトゥス
備考:幼少の頃は綺麗な顔の所為で虐められて居た。泣いてばかりの子供だったが、ギースに弟子入りしてからは自信を付け、泣く事はなくなった。16歳で花弦入りしたあたりで自身の顔の有用性に気付き、今の様に遊ぶ様になった。そしてどんどん性格が悪くなっていった。20歳の誕生日にギースから宝具を継承し六花入りを果たした。
ウィークトゥスや弟など不安分子の多いパーティーに入るのに初めは難色を示して居たが、佳月という新しい玩具を見つけた為、嬉々として入った。佳月を煽って絡むのは歯向かって来るのが面白いから。
リンドヴァルやギースは対等の人間だと思い、佳月とアスターは玩具と見ている。コルネリアは守る対象で他は興味なし。酷い性格




