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雪山!

 

 あれから私は1日の大半を寝て過ごすと言う自堕落な生活を送っている。長い時は2日くらい寝て起きない事も。体は思ったより深刻な状態の様だ。

 寝ている時に師匠が来て、何かフニャフニャとされてる気がする。顔をムニムニされて居たり、髪を触られて居るのだけは分かった。師匠、何してるんだろうね。

 見張りは【師匠&ハイド】ペア、【ギース&兄様】ペアに別れている。兄様が見張りなど出来るのか?っと思っていたが、見張り番がてらギースのスパルタ教育がなされているらしい。夜中に、よく悲鳴が聞こえてくる。可哀想な兄様……。プススッ

 私は何事もなくて快適だ。兄様頑張えー

 最近では兄様もそこそこ強くなって来ているらしく、今までペラい躰つきだったのが、筋肉が付きがっしりとした体型になって来た。まだまだ師匠には遠く及ばないがな! そして剣さばきも良くなって来ている。ギースのスパルタ教育の賜物だな。

 しかし、まだ戦力には換算されていない様子である。


 そんな日々も過ぎて、日常生活が送れるくらいに回復した頃、凄い事があった。なんと兄様が私の元にやって来て土下座して来たのである。何でも今までの無礼を詫びたいだとかで……。悪い物でも食べたのか? っと問うたが違うと言われた。

 聞くに、私が邪龍と戦っていた所を見て絶句、力の差を感じて素直に自身の弱さを痛感したらしい。今まで散々弱いと思いこみ、見下して来た妹が、あんな強大な龍と対峙し勝つなんて信じられない気持ちでいっぱいだと言われた。

 今の今まで私の実力を理解しようとしなかった兄が、初めて現実を受け入れた瞬間であった。成長したなぁ……

 なので私も誤った。今まで鬱憤晴らす為に色々して来てゴメンっと……。何年か前に兄にゴム弾丸を遠距離から当てていた事を暴露し、兄様の部屋から持って来た如何わしい宝物を返したら、キレられた。


「あれ、お前だったのか!」


 結局、兄弟喧嘩に発展し、私が兄様をボコボコにした所に師匠がやって来て首根っこを掴まれて喧嘩を止められたのだった。


「絶対安静だろう?」

「こんなの運動に入りませんよ」


 腹が立ったので、コルネリア様が部屋に居てリビングに不在の時に、リビングで兄様の如何わしい宝物を音読してやった。兄様は発狂した。

 兄様は男性陣から哀れみの目を向けられて居た。なんでだろうね


 ◆


 さて、ウエストンに到着! これより自由行動に入ります!


 ウエストンは雪国である為、窓の外の世界は一面白銀の世界だった。


「おぉ!」


 雪の降らない我が国では雪は珍しい。偶に降る事はあるが積もる事はまずない。そんな雪をみて若干テンションが上がる。


「かまくら作りましょう!」


 キャンピンが駐車場に停まると直ぐに外に掛け出して新雪にダイブした。


「寒い!」


 しかし、あまりの寒さに直ぐにキャンピン内に戻った。さっむ! 雪国はこんなに寒いのか……。凄いな雪国の人達。


「何をはしゃいどるんじゃ」

「だって雪だよ! はしゃぐに決まってるじゃん!」


 運転席でホットコーヒーを飲むクレマチスのジィジに呆れられた。他は部屋にいるので一連の行動を見ていたのはジィジだけであった。



 さて、そろそろコルネリア様が出掛けられる時間だ。準備を手伝わねば。

 ココに居る宝具持ちにアーシャ様から連絡が行っているらしくスムーズに会談出来るそうなので、着いて直ぐに逢いに行くらしい。因みにアーシャ様は邪龍を討伐した国の第1王女様だ。

 今回はコルネリア様の護衛にはハイドのみが追従する形となり、他は自由行動になるのだとか。ここのお姫様は気難しい性格をしており、あまり大勢で行けば警戒されるので護衛は1人にしたらしい。

 お姫様はイケメンが大好きらしいのでイケメン代表筆頭のハイドが行く事になった。師匠もイケメンだが口下手な為、お姫様に話しかけられても言い返しが出来ないかもしれないから除外。ハイドならば言葉巧みに女性を落とせるし、顔も良いので師匠よりハイドが選ばれた。適材適所だ。まぁ、ハイドの性格はアレだが女を落とす技術は凄いからなぁ。


「お姫様を泣かすなよ」

「善処はする」

「絶対だ!」


 泣かせない自信がないらしいハイド。本当にコイツで大丈夫か? やはりハイドは性格が歪み過ぎていると思いました。後、顔の良いやつに碌な奴は居ないと思いました。師匠しかり、他の六花しかりな!



 そんなこんなでハイドとコルネリア様が出かけられ、キャンピンに残った組は自由行動だ! さあ、遊ぼう! 

 私は完全なる防寒対策をして外の雪と戯れていた。初めはアスターに絶対安静だから外で遊ぶの禁止と言われたが私がゴネて何とか了承を得たのだ。


「つめたーい!」


 年甲斐なくはしゃぐ私。雪が冷たい! まぁ、雪だから当たり前だわな


「佳月! 暇なら儂に付き合ってくれんか?」

「ギース? 良いですけど何処に行かれるので?」


 声を掛けられて後ろを振り返ると防寒具に身を包んだギースが居た。その後ろには師匠と顔色の悪い兄様がいる。どうした兄様?


「うん? あぁ、暫くの間、晴間(はるま)の面倒をリンドヴァルに見てもらうんじゃよ」

「あー、それで……」


 ギースはお出かけするから、その間、兄様は師匠が面倒を見るらしい。

 頑張れ兄様。師匠はギースと違い体で覚えろ精神の持ち主だから、当身の一発や二発は覚悟しといた方がいいよ。


「じゃ! 佳月、行くぞ!」

「え? 何処に?」


 私はギースに連れられ街で買い物をした。買った物は登山グッズ(雪山用)だ。え? もしかして今から登山します?

 そして雪山に行く。やはり登山する予定らしい。


「行くぞ!」

「おー」


 余談だがギースは登山好きである。行く先々の国で登山している事がよくあった。ギースは師匠と違い方向音痴ではないので、山に入っても帰ってこれるので、あまり心配はしてない。しかし今まで雪山を登った事は無いらしいので、そこは若干の心配がある。今回、ギースが私連れて来たのは遭難対策かもしれない。もし迷っても影で移動出来る私が居れば、元の場所に戻れるしな。


「お前さんの体力回復も兼ねておるぞ」

「あぁ、成程」


 暫く寝てばかりだったので、体力もだいぶ落ちているだろう。体力の回復に登山は持ってこいかもしれない。しかし、私はまだ絶対安静の身なのだが……いいのか? 師匠が止めなかったし、大丈夫なのかな?


「では! ロマンを求めてさぁ行くぞ! ……うん?」


 山の入り口に『ビヤタムズに注意』という張り紙があった。ビヤタムズって?

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