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そして配管工へ

 

「ゔあ゛ぁあああああ⁉︎」


 痛い!痛い! マジで私に拷問してきたよ! 足の指に太い針刺された! 前に久遠にされたやつだ!


「ちょっと! 痛いんですけどー! もうちょい手加減……いたぁ! 痛いって! この野郎!」


 ただ今、師匠のお膝の上にて拷問を受けている。師匠は騒ぐ私には目もくれずラミルをジッと見つめている。それに気が付いたラミルがズイっと師匠に顔を近づける。かなり近い。もう少し進めばキス出来る近さだ。あ、ちょっとドキドキするな


「いたぁぁああ!」


 邪な心を見透かされたのか針を刺す力を強められた。マジで痛い!


「お前は本当に髪の長い女が好きだなぁ」


 空いた手で私の髪を触るラミル。師匠は髪の長い女性が好みなのか! 初知りだ。しかしコイツも好み把握してるなんて……やはり六花はみんなの好みを把握してるのか?


「何の事だ?」

「惚けるな。お前は昔から髪の長い女ばかり相手にしてきた」


 コイツら好みを把握していると言うことは……さてはコイツら仲良しだな?


「確かにリンドヴァルは髪が長い女ばかりだったな」

「あぁ、そうだな。後は、幼い感じの顔が多い」

「それはお前だ、カミル」

「違う、ラミルだ」

「そうか。お前は背の高い女だったか?」

「あぁ。背の高い綺麗目の女だ」

「そういえば、そうだったな」

「お前は割と何でも手を出して居たな」


 奥でハイドとカミルが好みを話していた。お前ら呑気か⁉︎ 今、敵同士だろうが! 何、好みの話しをしてるんだよ! あと、本当に仲良しだな!


「さあ、次はどうしようか?」


 こっちは修羅場なのに……こっちと向こうで温度差凄くない? 風邪ひきそうだよ。

 ラミルは師匠から一度離れて私を見る。そして新たな機材を取り出す。それで次は何をする気だ! というか昼ドラがしたいなら他所でやってくれよ。私を巻き込むなよ。

 気が遠くなりそうだが、ここで私は師匠の教えを思い出す。それは 2度目に久遠と対峙した後に教わった教え


『拷問を受けた時は、ひたすら別の事を考えろ』


 である。ひたすら別の事を考えるって……。この猛烈な痛みの中、出来る自信が無いが、やらなきゃ情報ゲロりそうだし、師匠に助けを求めそうなので、死ぬ気でやる。私は師匠の足枷になるつもりはないのだ。

 私は師匠の服を噛み舌を噛まない様にする。そして別の事を考えてみる。


 別の事、別の事……


 兄様が1匹、兄様が2匹、兄様が3匹……etc


 あ、これ行けるかもしれない。兄様を数えてたら、現実逃避できた。よし、この調子で数えよう。

 どこか遠くで悲鳴が聞こえてきたり、絶叫が聞こえて来るが、問題無い! 全部、幻だ! 幻聴だ!



 ◆



 兄様が12002匹……。うん? どうした数え終えた兄様ズ。不自然な並び方しているな。

 え? 上から見ろ? うわぁ⁉︎ 数え終えた兄様達がキッチリ整列して兄様の地上絵が出来上がっている! 兄様が兄様で兄様の地上絵描いてる! 凄い通り越して、なんか気持ち悪い!


 この辺りでハッと目が覚めた。私寝てた? 拷問中に寝れるとか私、凄いな。というか、物凄い悪夢見た気がする。

 目を開けると師匠の脇腹が見えた。体はそこら中が痛み、碌に動かせそうにない。手はまだ縛られたままの様で身動きすら取れない。

 しかし影は使えているのでカミルによる殊技殺しは終わっているらしい。そりゃ長い間、殊技を使い続ければ魔力が大幅に減るので、殊技を解いかねば幾ら魔力が多かろうと持たない。


 あぁ……痛い。かなり痛い。激痛だ。体も痛くて、とても動けそうにない。でも、動かないと……。いや、でもなぁー


「これでも眉1つ動かさんとはな」


 師匠とラミルが話している。いや、師匠は何も話していない。ラミルが一方的に話している様だ。


「ならば……お前の弟子にはお人形になってもらうか」

「……」

「少し表情を変えたな。やはり、弟子は可愛いらしい」


 ラミルは私が起きた事に気が付いていない様で、殊技殺しが使えるカミルを呼ぶ気配はない。これは逃げるチャンスでは?


 天使 《そうよ! 早く此処から脱出してコルネリア様を助けないと!》

 悪魔 《無理だよ。痛くて動けないんだ。待っていれば、きっと誰かが助けてくれるよ》

 天使 《そんな訳ない! 皆んな捕まっているのよ! 誰が助けてくれるというの! 此処は自分で何とかするしかないわ!》

 悪魔 《痛くてそれどころじゃないんだよ。もう、いいじゃないか。この辺で終わりにしよう。良く頑張っただろう?》

 天使 《そんな事無いわ! まだまだ、しなければならない事が沢山ある! まだ、諦めてはダメよ!》


 頭の中で天使と悪魔が口論している。どちらもデフォルメされた兄様で正直、気持ち悪い。天使は兄様の裏声で悪魔は普通の声だ。これは、さっき兄様を数えて居た弊害が出たな

 まぁ、天使と悪魔は置いておいて……。さて、此処はどちらの意見に従おうか?


 現状、体が軋んで痛いし真面に動けない。このまま、悪魔の意見に従いたい気もするが、天使の言い分も分かる。


 天使 《貴女の夢は親戚を見返す事! こんな所で諦めていいの⁉︎》


 いや、ダメだ! 兄様をギャフンと言わせないと! それに、私は◯ーチ姫に成りたいんじゃないんだ! 配管工に成りたいんだ!


 天使 《そうよ! その域よ!》

 悪魔 《ちぇっ!》


 そうと決まれば行動あるのみ!

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