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完璧な私情

 

「で、どうします?」


 船に乗せられ独房みたいな場所に師匠と私、ハイドが入れられた。ハイドは殊技封じの為、目隠しされている。そんなハイドを見ていると……なにかが疼いた。多分、疼いたらダメなやつだと思う

 ギースとジィジ、アスターは無事逃げられたらしくここには居ない。彼らがどうにかしてくれる事を祈るしかないだろう。

 コルネリア様は豪華な一室に連れて行かれたらしく、ここには居ない。こんな薄汚れた場所より、綺麗な場所に居てくれた方が私達的にも良い。


「どうもできないだろう」

「そうですか」


 私達の目の前には六花のカミルとラミルが居り、その後ろにはハイドの妹であるグロキシニアが居る。グロキシニアは手に鞭を持っている事から、これからその鞭でしばいてくるのが容易に想像できる。これから拷問か……


「……。佳月、耐えろ」

「そんな無茶な」


 拷問に耐えられる自信がない。これは宝具の事をゲロってしまいそうだ。


「さぁ、お兄様。お楽しみの時間ですわよ。私、この時を今か今かと心待ちにしておりました。貴方に鞭を当てられる日を」


 グロキシニアが言い終わると同時にバシーンっという痛そうな音が鳴りハイドに鞭が当たる。あれ絶対痛い。その証拠にたったの1回叩かれただけで服は裂けて、見えた皮膚は赤くなっていた。見てるだけで痛い。


「さぁ、リンドヴァル様も!」


 師匠まで叩き始めたグロキシニア。私はそれを近くでいつ自分に鞭が飛んでくるかヒヤヒヤしながら見ていた。


「さぁ、宝玉の在りかを早く吐いて下さいな。いいえ……。楽しみたいので吐かなくて結構です」

「えぇ……」


 パシッン! っと良い音が辺りにこだまする。それはハイドに命中。かなり良い音だ!


「アハハ! アハハハハッ!」


 高笑いしながら、交互にハイドと師匠を叩くグロキシニアは正に女王様。


「うわぁ……。痛そう」


 ドンドン皮膚が真っ赤になっていく2人。絶対、痛いだろう。しかし、アレだ。顔の良い男が鞭で叩かれている姿って見ているとドキドキしてくる。変な扉を開けそうだ


「グロキシニア一度止めろ」

「……はい」


 テンションが上がって叩きまくっていたグロキシニアをラミルが止める。グロキシニアは渋々といった感じで手を止めて場所をラミルと入れ替えた。

 因みに私の前には私の殊技封じの為かカミルがいる。コイツ邪魔だなぁ……どっかいってくれないかな


「無様だなぁ、リンドヴァル」


 私がカミルを見ていると、ラミルは師匠の髪を掴み顔を上げさせていた。そして壁に頭を押し付けて冷笑を浮かべる。怖っ


「宝玉は何処だ?」


 ラミルは師匠の頭を壁に押し付けて問う。やはりこの質問が来た。ここに有りますとは言えないな。


「もう一度聞く。何処だ!」


 ラミルは持っていたナイフで師匠の左肩を刺す。しかし師匠は動じない。スゲェ……。

 ラミルからは若干黒いオーラが出ておりイラついているのが分かる。たったこれだけの事でイラついて黒いオーラが出るなんて黒い宝具を御しきれていないのでは? この人が宝具持って居て本当に大丈夫なのだろうか?


「流石に耐性があるなぁ……」


 ラミルは師匠の髪を離した後、チラリと私を見てから師匠に向き直った。


「お前の弟子が宝玉に関係しているのだろう? じゃなければ、お前が……お前達が連れて歩く訳がない」


 師匠は答えない。ラミルは師匠から離れると、ゆっくりと私の方に来た。え、何でコッチに来るの? 辞めて、来ないでください!


「お前の代わりに弟子を甚振ろうか? そうすれば流石に吐くだろう? 弟子は可愛いだろうからな」


 なんでそうなる。私を甚振っても師匠は情報など吐かないだろう。私が情報ゲロるわ!

 そんな私の思いも虚しくラミルは私の元まで来た。そして鎖を外された後、後ろ手に拘束され、師匠の元まで引きずられていった。痛い痛い!もっと優しく扱ってくれ。


「昔を思い出すな、リンドヴァル。お前は俺の前で()()()を拷問した。それと同じ事をしてやろう」


 ラミルが何か言い出した。昔、師匠がラミルの前で誰かを拷問したのか? だから今、師匠の前で私を拷問しようとしてるのか? それ完璧な私情じゃないか! 私を巻き込むなよ!


「……あの時とは訳が違うと思うが? お前の大事な女はスパイだった。そうとも気付かずに愛し、結局裏切られた。逃げた奴を追おうとしなかったお前の代わりにリンドヴァルが追い、情報を吐かせる為に拷問にかけた。お前が出来なかったばかりにな」


 何も言わない師匠の代わりにハイドが割って入った。

 なんだかややこしい話になってきた。つまりはラミルには彼女が居たが、それはスパイだった。情報を持ち帰る為に逃げた彼女をラミルは追う事が出来ず、代わりに師匠が追った。捕まえた女性をラミルの前で拷問にかけたのが師匠だったと……。それ、悪いの師匠じゃなくね?


「お前は黙まってろ!」


 ラミルは怒りのままにハイドに持っていたナイフを投げつける。それは見事にハイドの肩に命中。ハイドは短い呻き声をあげた。いったぁ……


「リンドヴァル。お前はアイツが情報を吐いた後も拷問を続けた!」


 ラミルから凄まじい量のオーラが出てきた。かなりお怒りのご様子だ。


「いたぁ⁉︎」


 ラミルは私を師匠に投げた。師匠は胡座をかいて座っていた為、その上に上半身を乗せる形になった。投げられた拍子に鼻を師匠の足の出っ張った骨に強打。悶絶した。


「この日をずっと待っていた! お前の前で大事な者を甚振る時を!」


 完璧な私情だし! 私を巻き込むなよ! しかもそれ、弟子にしていも限りなく意味はない。せめて彼女とかにしろよ。師匠は私が甚振られようがダメージは受けないぞ!


「後悔しろリンドヴァル!」


 ラミルが吠えた。やっぱりこの人、宝具持つの向いてないと思う。六花、辞めろよ

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