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てーれーるー

 

 海中を進む我々。

 陸路を進むには危険と判断し海を進む事に。しかし海面を進んでいれば、追っ手に見つかる可能性も有る為、海中を進む


「【ヴェドルフ】はもう少しで抜けられるぞ」

「ウィ!」


 クレマチスのジィジが言う。もう少しで敵地から出られるな!

 因みに私は今、助手席に座り航行の手伝いをしている。


「あ! 私、ちょっとアスターの所行ってくる」


 先の戦いで負った傷は大分癒えたのだが、まだ完全ではない為、定期的にアスターに診てもらわなければならない。なので、そろそろ医務室に居かねば!


「おう! 行ってこい」

「はーい」


 私は助手席を後にし、アスターの部屋に向かう。


「ああ、丁度良かった。今から呼びに行こうと思ってた所だったんだ」

「タイミングバッチリだね」


 早速、診てもらう事に。


 肩を撃ち抜かれた傷とトラバサミに挟まれた傷は既に完治しており傷跡すらない。脇腹の傷はまだ痛むが、包帯も要らない程になっていた。全てほぼ完治しているのだが、何故か久遠の噛み跡だけは完治しない。未だに血も出続けている。

 久遠は呪いにも長けており、今回の咬み傷には呪いがついている為、回復を妨げているらしい。久遠は気に入った異性に噛み跡を残すのが好きらしく、こうやって噛んでは呪いを残すのだそうだ。傷が塞がっても噛み跡は残る為、師匠曰くマーキングだそう。

 厄介なものに目を付けられた。自分でも思うが他も思っているらしく、純菜以外からは同情の眼差しを頂戴した。純菜は基本、兄リスペクトなので何も言っては来ない。


「ご愁傷様」

「それ何回目?」


 噛み跡を眺めているとアスターに言われた。もう、何回も言われた言葉だ。


 ◆


 アスターの部屋から出て、師匠の部屋に行く。アスターに師匠を呼んで来るように言われているのだ。師匠の部屋の前に行き部屋の扉をノックすると


「どうした?」


 かなりラフな格好の師匠が部屋から出てきた。かなりラフだ。大事な事なので2回言った


「……あぁ、見惚れてました。アスターが呼んでましたよ。診察の時間です」


 師匠に用件を伝えた。すると師匠は頷いて、何故か頭を撫でられる。何故?

 最近、師匠に頭を撫でられる事が多いのだが、もしかして子供扱いされているのだろうか? 私と師匠はそこまで歳は変わらない筈だ。私が20歳で師匠は28歳。

 因みにコルネリア様は13歳でアスターは24歳、純菜も24歳でハイドが26歳、クレマチスのジィジは61歳でギースは63歳だ。

 パーティーの平均年齢を最後の2人が上げているのだ


「傷は大丈夫か?」

「はい、大丈夫です。もう殆ど治ってます。アスターのお陰ですね」

「久遠のもか?」

「あれはまだです」


 師匠の気にしているのは久遠の咬み傷らしい。そこ気にする? 他に気にする何処が有ると思うが、師匠からしたら久遠の咬み傷の方が重要らしい。他の傷は回復魔法(クーラー)によって傷跡なく治るが、久遠の咬み傷は呪いが有るので回復魔法(クーラー)で直せず傷跡が残る。それを気にしているらしい。


「お前は女なんだから、傷跡は残すな」


 私の頭を撫でなが言う師匠。これはガチで照れる。


「はい」


 俯いて師匠のしたい様にさせておく。それなりに時間を共にしてきて師匠の為人は理解しているつもりだが、時折こうやって理解の及ばない事をしてくれる。まったく心臓に悪い。


「では、私は助手席に戻りますね」

「あぁ。程々にして休め」

「はい。分かってます」


 やけに優しい師匠に若干怯えながら、助手席に戻る途中で純菜に会った。私は純菜に話掛けたが、なんだか元気が無い。話もそこそこに、純菜は、そそくさと部屋に戻ってしまった。うーん……

 あれから純菜の立場は追い込まれている。ハイドと師匠の当たりがキツくなり、余計に追い込んでいる様に見える。ハイドは八つ当たりな気もするが……。何とか私とアスターでフォローしているが間に合っていない。というかハイドはフォローに入ったアスターもdisり始めるしまつ。一体、どうしてくれようか!


「あ、ハイド」


『どうしてくれようか!』っと思った直後にハイドに出会ってしまった。


「ふん」


 ハイドは鼻を鳴らすと、その場から離せてしまった。いつもなら、絡んで来るのに。うーん、ハイドもハイドで悩んでいるのかもなぁ。そうだ! ハイドのご機嫌を直せば純菜への当たりも緩和されるのでは? ハイドのは八つ当たりぽいし!


「でも、どうやってご機嫌を直せば良いの?」


 アイツ、どうやって機嫌良くなるんだ? ていうか機嫌良くなる事、有るの? そういえば、慰めてやろうと思ってたんだった! うーん。女友達がやってた慰め方でもするか? その友人は『男はハグしたらイチコロ!』って言ってたし!


「試してみる?」


 どんな反応するかな?

 ハイドにハグは、あんまりしたくないけど、好奇心が疼いた。思い立ったが吉日! 突撃してみる。廊下の先にハイドを発見! 自室に入る直前だった。


「ハイド!」


 名を呼ぶと、コチラを向いたので……正面からハグしてやった。へへ! やってやったぜ! そして背中をパフパフと叩いた。あ、待って、めっちゃ良い匂いする! なんか気恥ずかしくなってきたな。でも、ココで終わりではない! まだ、続きが有るのだ! 完遂せねば。顔を覗き込んで小首を傾げながら『元気出して!』って言うのだ。これでイチコロらしい。


「誰かと間違えてるんじゃないか?」


 私の体に手を回して来たハイドが言う。間違い? あぁ! 師匠とか! 師匠によく抱きついているから、師匠と間違えたと思ったのか。


「違うし! てか元気出せよー、お前が暗いと、なんかコッチまで調子出ないじゃん」


 顔を覗き込みながら、小首を傾げてみた。ハイドには効き目はなかった。友人の嘘つき! 効かないじゃん! 心の中で友人を罵倒した。しかし冷静に考えると、あの子は可愛い子だったし、めちゃくちゃモテモテだった。私には圧倒的に可愛さが足りなかったのかもしれない。だから効かなかったのかな?

 まぁ、いっか。失敗はしたけど、そのうち機嫌も治るでしょう。もう、放置しよーっと


「何、笑ってるの」


 クツクツと笑うハイド。何で急に笑い出したんだよ。


「なんだ、慰めてくれているのか?」


 私の顎を撫でながら聞いてくる。何で撫でるんだよ。後、触り方がエロいんだよ! これだからモテるやつわ!


「そうだよ!」


 ヤケクソ気味に言うと、更にクツクツと笑う。あれ? ご機嫌治った? おぉ! 友人の手段が通用したぞ! ありがとう友人! 罵倒してゴメンよ! 今度、会ったら何か奢るよ!


「お前は……まぁ、良い。慰めなら他の事を要求したいなぁ」

「はぁ? 他の事?」


 そう言って背中をなぞり始めた。だから触り方! 後、他の事って何だよ。無茶な要求されそうだな。絶対に嫌だわ!

 見た感じ、もうご機嫌も治ってそうだし、もう良いでしょ!


 ハイドから離れて、ジィジの待つ助手席に戻った。


 ◆


 ハイドの件はもう良いので、取り敢えず純菜の件をジィジに相談してみたが


「純菜、大変そうだね」

「ワシも大変じゃよ。最近、腰痛酷くてな」

「ジィジの話はいいから」


 何の解決にもならなかった。こっちはアスターらへんに話した方が良さそうだな。なんなら、さっきハイドに試した友人の慰め術でもしようかな? あれ、効果有ったし!


「おおっと! 敵さんの潜水艦だ! 一時止まってやり過ごすぞ」


 そんな事を考えていると、センサーに艦が引っかかった。敵艦かどうかは分からないが、水中でな戦うなんて無謀もいい所なので、岩陰にキャンピンを留めて、ジィジの殊技【光化学迷彩】で隠れる


「見つかったら、お前さんが戦えよ」

「無理だろ! 相手は潜水艦だよ! 鉄の塊! 生身の人間が鉄の塊に勝てると思う? それも海底で」

「お前さん、この前、海蛇と戦っただろ! 水中でも戦えるの知っとるんだからな!」


 ジィジと言い合いをしていると、艦は過ぎてくれたらしく、警報が鳴り止んだ。やはりジィジの殊技は便利だな


「さて! 此処を抜けらた【シュトバッハ】だ! 彼処には娯楽が沢山あるからな! 楽しみじゃ」

「娯楽?」

「そう、彼処は旅人の憩いの場でもある! 是非、堪能したい!」


 こうして、私達は危険だった【ヴェドルフ】を抜けて【シュトバッハ】に向かうのであった。

 その後、くだらない世間話で盛り上がり、純菜の事は忘れさっていた。すまん、純菜

少し恋愛要素を入れてみました。恋愛ぽいですかね? 恋愛要素、難しい……

補足ですが、ハイドの言っていた『慰め〜』は勿論、大人のホニャララですが、佳月はお子様なので分かってないです。

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