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このヤロウ!

 

 頬をペチペチと叩かれ、意識が浮上した


「死にそうだな」

「ハイドかよ」


 私の頭の上側に陣取り胡座で座って居るボロボロのハイド。その横には同じくボロボロの師匠が立っている。2人共、大変だったんだな。そういえばNo.1と戦ったらしいし、そりゃボロボロにもなるな


「コルネリア様は?」

「ギースが奪還に成功した。時期に合流する」


 流石、ギースだ。パーティー最強は伊達じゃない。あ、言い忘れてだけどギースがパーティー最強なんだ。この前、手合わせしてもらったけど手も足も出なかったよ


「純菜は目的には入って居なかったが?」


 薄情なハイドは純菜を一瞥した後、私に問うた。


「薄情な奴め。いいでしょ? 偶然見つけたんだよ」


 ハイドは興味をなくしたのかフンッと鼻を鳴らした後、話さなくなった。


「服はどうした?」


 話さなくなったハイドの代わりに師匠が話しかけて来た。内容は私のズボンの事だろう。ズボンの下にスパッツを履いていたので下着丸出しとかではないのだが、割と恥ずかしいので見ないで頂きたい。

 そういえば、久遠に剥ぎ取られたのだった。忘れてた


「その足の傷、久遠か?」

「あー……正解です。傷で誰にやられたか分かるんですね」


 凄いな師匠。私の足の親指に刺さったままの針を指差して


「それは久遠の手だからな」


 っと言った。久遠は拷問に太めの針を使用するらしく、それで久遠かどうかの判別がついたらしい。


「それと咬み跡がある。アイツは噛み癖が有るからな」

「……何で師匠が久遠の癖知ってるんですか? 親しいんですか?」


 かなり疑問だ。師匠は久遠の好みも知っていたし親しい仲なのか? 本当に疑問だ。ならば久遠は師匠の好みとか知っているのだろうか? 一度聞いてみたいものだ。


「俺と久遠は幼馴染だからな」

「マジでぇえええ⁉︎」


 これには驚きだ。マジかよ! 過去1の衝撃である。眠気も吹っ飛んだわ!

 私が師匠と話しているとハイドは私の足元に回り込む。そして徐に太めの針を掴んだ。何する気⁉︎


「いったぁあああっ!!」


 そして勢いよく引っこ抜いた。本人に許可無しに引っこ抜くなよ! 心の準備も何も出来てなかった。あまりの痛みに涙が出てくる。


「何するんだ、このヤロウ!」

「抜いてやったんだ感謝しろ」

「出来るか!」


 抜き方って物があるだろう⁉︎ こう麻酔打ってからとか!


「……そんなに私は頼りないのか?」


 私とハイドが言い合いをしていると、純菜が声を震わせながら問うて来た。突然、どうした?


「……? そんな事ないでしょう。頼りにしてるよー」

「お前は黙ってろ」

「イエッサ」


 ハイドに足を叩かれ注意される。痛い! そして何の話?


「お前は弱い。それは分かっているだろう。だから言わない」

「……」


 ハイドは純菜に顔を向ける事なく言う。視線は私の太ももにある噛み跡だ。


「それがコルネリア様の決定だった」


 師匠が私の側に座り込み、私の傷を見ながら純菜に言う。これで何を話しているのか分かった。恐らく、宝玉の件だ。宝玉を持っているのが誰なのか、何処に有るのか伝えない事を言っているのだろう。


「私は言おうと思ったけど……師匠が」

「お前は黙ってろ」

「……イエス」


 またも足を叩かれて止められた。私に発言権無しか⁉︎


「……」


 純菜はダンマリになってしまった。そりゃ、そうだろう。六花2人から責められれば、流石の私でも黙る。無駄に迫力が有るし、イケメンだし。そこにギースも加われば……思い出したくないな。


「今回、コルネリア様が拐われたのは、お前の所為でも有る」


 もう辞めたげてよ! 純菜のライフはもうゼロよ!


「まぁまぁ、お二人共! 私が護衛でも拐われてるだろうし! 誰でもあっても今回は防げ……」

「だから黙ってろ」

「……痛っ⁉︎ 噛まれた太ももを掴むな!」


 本当に発言権が無い。酷いよ……。


 純菜を攻める2人をどう止めようか悩んでるいると、助けが来た。それは……


「皆んな無事か?」

「コルネリア様! っとギース」


 コルネリア様とギースだった。良い何処に来てくれた! これで2人は純菜を責めないだろう。何故ならコルネリア様の安否確認の方が先だから!


「コルネリア様! ご無事でなによりです」

「すまない、皆んな」


 立ち上がりお辞儀する3人に習い、私も起き上がろうとしたが、体に力が入らず無理だった。それどころか再度、眠気が来る。先程よりも強いので、これは起きて居られないだろうな。


「佳月……かなりの重傷だな」

「佳月は薬を打たれたので、暫くは動けないかと……」

「そうか」


 キャンピンに合流すべく移動する事に。結局、純菜に宝玉の在処は伝えなかった。これから先も伝えるつもりはないのだろう。仲間なのに……

 動けない私は師匠が肩に担ぎあげて移動してくれた。担ぐのは良いのだが、師匠の逞しい肩が腹にめり込んで痛い。お姫様抱っこしてほしいなんて思わないが、せめてもう少し優しい抱き方をしてほしいものだ。そう、負んぶとか。

 でも、気が付いたらグッスリ寝てました。薬に負けてしまったぁ。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


 意識が浮上した。しかし、まだ眠くて目が開かない。うぅ……もう少し寝たい。でも起きないと……。身じろぎすると、頭をポンポンと叩かれた。うーん、この手は師匠かな? そんな感じがする。


「今回の件は俺にも非が有る。責められても文句は言えない」


 若干遠くからハイドの声がした。ハイドが近くに居るのか……あれ? ここ何処?


「でも、兄さんは、その場に居なかったし……」


 メガ萌ことアスターの声も聞こえて来る。という事は……ここアスターの自室 件 医務室か。


「お前は黙って居ろ。俺はリンドヴァルに言っている」


 あ、やっぱり師匠も居るのか。じゃあ、この手は師匠のだな。目をゆっくり開けると、やはり師匠が居た。おぉ、わりかし至近距離だ!

 私が目を開けた事に気が付いた師匠は、私の目元を手で覆って来た。何事⁉︎ てか、手が温い! 眠くなっちゃう!


「お前の可愛い弟子が、そんなボロボロの状態なのも……」

「別に責める必要は無い。コルネリア様は無事に救出できた。次に活かせば良い」

「ふん」


 なんか、起きにくいな。だから師匠は私の目元を覆って居るのか? 師匠にそんな気が回せるとは思わないんだけど。どうしたの師匠? 変なモノ食べた?


「そんなに悔しいのか? あの時、お前が近くに居ながらコルネリア様が攫われたのが」

「まぁな」

「兄さん……」


 ハイドはコルネリア様が攫われた時、近くに居ながら気付かなかった事が、そして攫われてしまったことが、悔しくて辛いみたいだ。自分を責めて居るんだろうなぁ。後で慰めてやろーっと。

 後、どうでも良いけどアスターの声が、ヒロインが心身共に傷付いてしまった主人公の名を呼ぶ時みたいに、か細い感じだったのに笑ってしまいそうになった。乙女ポーズ取ってそう


「それより、やはり勘付かれているな」


 師匠がポソリと呟く。何が? 後、師匠、そろそろ手を目元から離してほしい。マジで温くて寝てしまいそう。


「宝玉の件か」

「あぁ」

「そういえば、純菜も言ってたよ。久遠様が『宝玉の在処は佳月が関係してる』って言ってたって」


 あぁ、宝玉の件か。確実に私が関係してるのがバレてるよなぁ。まぁ、バレて当たり前なんだけれども。関係ない私を連れて行ってる時点で普通にバレるよね。師匠はベロニカにも指摘されたらしい。


「勘付かれて居ないと思って居たのか?」


 ハイドが鼻で笑う様に言う。その言い方、イラってするな。


「お前が無関係の女を連れて行っている時点で怪しまれる。俺もギースもフェルベルマイヤー様も、情報を聞いて直ぐに怪しんださ。だから、ここに来て直ぐに佳月を探った」

「……」

「俺達は佳月が関係していると勘付いていた。だから、フェルベルマイヤー様が俺達をコルネリア様に貸したんだ。ご自身より宝玉を守る為にな」


 裏情報!! ハイド達も初めから勘づいていたらしい。だから、あの時、医務室に無断で入って来ていたのか! 納得!


「俺達でさへ気付いていたんだ。向こうも気付かない訳がないだろう」


 尚もハイドは言い続けて居たり対策的な話をしていたが……この辺りで眠気がピークに来た。師匠の手が温いからぁ。起きてられませんでした。

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