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トラバサミ

 

 視界が戻り、最初に見た光景に私は絶句した。目の前には2人。1人は初老のおじいさんだった。左手が負傷している。先程の私の魔法が当たったのだろう。

 彼は右手で銃を持って居り、その銃を私に向けていた。銃による攻撃は普段ならば避けられた筈なのだが、その男の横に驚愕の人物を見つけてしまい反応が遅れてしまった。


「……っ⁉︎」


 それが2人目。 六花No.1(ベロニカ)が居たのだ。

 銃声が鳴る。それと同時に六花No.1(ベロニカ)の剣も飛んで来た。私は我に返り慌てて回避行動を取るが、私は今は空中にいる。空中では回避は難しく、避けるより防いだ方が良い。慌てて防御魔法(ウォープロ)を張ったが……急いで張った為、硬度が出せなかったとはいえ、ベロニカの剣に呆気なく破られ四散。そして剣と銃弾が被弾した。銃弾は身を捻ったお陰で左肩に命中し、ベロニカの剣は右脇腹を抉った。

 重力に任せて下に落ちる体。下は確か池かプールかだった筈である。そこに逃げ込み、水内に有る影を使い別の場所に逃げよう。

 落ちて行く途中で、兄様と目が合った……



 ドボーンっという大きな音が鳴り、私の体は水面に叩きつけられる。そして沈む体。自身から流れる血が視界に映った……



 ◆


「ゼェ……ハァ……」


 影を通り無事に逃げ果せた私は、壁に背を預けて息を整える。そして傷口を確認し、軽く手当する


「左手は使えないな……後、動き回るのも不可。これはヤバイな」


 濡れた髪をかきあげて、冷静に分析する。左肩をやられたお陰で左手はブラブラで力が入らない。脇腹を抉られた所為でまともに動けない。

 そして、もう1つ問題が……


「ここ何処だ?」


 完全に迷子である。影を通して逃げたは良いが、此処が何処だか分からない。右も左も同じ様な作りでどちらに行けば良いのかも分からない。


「困った……」


 もう、他のメンバーにコルネリア様の奪還は任せて私は脱出しようかなーと思うぐらいにはヤバイ。


「取り敢えず、歩くか」


 重い体を引き摺りながら無計画に進んでいると……足元にトラバサミを発見。なんでこんな何処にトラバサミがあるんだよ。危うく踏みかけたじゃないか


「だから、知らないと言っているだろう! ちょっ⁉︎ 本当に知らないんだって!」


 トラバサミに気を取られていると、近くから純菜の声が聞こえて来た。


「兄さん! やめっ……ギャー!!」


 何事⁉︎ かなりの悲鳴が聞こえて来たのだが……。近くに行き、部屋の入り口らしき所が空いていたので、そこから様子を伺う事に


「成る程な……。流石はリンドヴァルとハイドだ。お前には宝玉の在り方を教えて居なかったのか……。アイツららしいな」


 久遠が手に何か恐ろしい物を持っているのが見えた。しかも血が付いてるよ……。それ純菜のかな


「……。そうさ、アイツらは私を信用してないからな。宝玉の在り方は教えられていない!」


 純菜が息も絶え絶えに言っていた。コレは、アレだな。久遠が純菜を拷問中なのだろう。仮にも兄なんだから妹を拷問するなよ……


「クソッ!」

「痛い! 痛い! 兄さん!!」


 目的の情報が得られずイライラしている久遠。妹を痛めつけ発散しているのか。惨いな……。

 ここで捕まるのは得策ではない。久遠は拷問が六花で1番上手いらしいし、師匠が耐えられない拷問を私が耐えられる筈はない。

 勝てば良いが、怪我を負った状態で殺りあえる程、久遠は甘い相手ではない。純菜には悪いが引かせてもらおう。


 すまん、純菜! 君の事は忘れない!


 薄情な事を思いながら足を一歩一歩後ろに引いて後退する。音を立てない様に慎重に。ある一定の所まで下がると、踵を返しココから離れようとした瞬間、ガシャっと音がした。そして左足に襲い来る激痛


「うわぁ⁉︎ イッタァアアアっ! ……うぐぐ、やばっ」


 まさかのトラバサミ⁉︎ 忘れてた!


 私は座り込み、激痛に耐えながら、ガシャガシャとトラバサミを揺らして外そうとするが中々取れない。トラバサミってどうやって外すんだよ! 教えて師匠! いや、これ端末で調べた方が早いかもな! いやいや、そんな時間ないし! 絶対に今ので気付かれてるもん!

 パニックを起こした私は、トラバサミをガシャガシャガシャガシャ揺らす。こんな事ならトラバサミの解除方法を調べとくんだった! こんな所に、こんなの有るなんて想像すらしていなかったよ!

 やはり久遠に気付かれているのだろう。そして私が動けない状態な事も見越しているのか、急がずにゆっくりと足音が近づいて来る。恐怖の足音である。絶対に態とゆっくり来てるな、コレ!

 しかし……コレはアレか……純菜を見捨てようとした罰か。ならば自業自得だな。はっは、仕方ない

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