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ハイド式拷問

 

 部屋の隅に無残な女性の姿があった。ハイドは女性から「イネス」と言う名前を聞き出した後、急に不機嫌になり、女性を嬲り出したのだった。それだけでは飽き足らず別の男も嬲り始める。


 イネスは国際指名手配されている男だ。マッドサイエンティストで人を攫っては人体実験をよく行っている凶悪犯。

 そのイネスの名前を聞いた途端に不機嫌になったハイド。これは何かあると思ったが本人から聞くのもアレなので師匠辺りに聞いてみよう。まぁ、私がハイドに聞くのが嫌なだけだけど


 嬲り続けるハイド。何の意味があって嬲っているのか分からないが、止めれば私が痛い目見るので薄情だが止めずに見ている。


「……」


 私は無表情でハイドの様子を伺っているが、別に格好付けて無表情で見ている訳ではない。ただハイドの拷問の仕方があまりにアレで吐きそうなので堪える為に無表情なのだ。

 そんな私を見て助けを乞うてきた別の人は、私も血も涙も無い奴だと勘違いしていた。無表情ってややこしいな。ハイドと一緒にしないで欲しい。


「気が済んだ?」


 部屋に居た全員を嬲ったハイドに問うと返り血により、血だらけになったハイドが私の側に来た。一応、嬲った人達は全員生きているが、動くのは困難だろう。ここに救助が来ると思えないし、このまま死を待つだけかな。

 ぼんやりとハイドが嬲った人達を眺めているとハイドが私の前に立った。そして私の首を掴む。その目は血に飢え興奮が抑えきれない獣の様だった。本能が危険だと察知し反射的に逃げようとしたが、私は踏み止まった。ここで逃げる素振りを見せては相手を刺激するだけだ。

 ハイドの血だらけの手が、私の服の中に侵入してきて、素肌を撫でる。くすぐったいな! そしてお綺麗な顔を私の耳元まで持って来る。これ、色々とヤバくない? 色んな意味でヤバくない?


「私にまで手を出そうとするな!」


 私も発散の為に使う気か⁉︎ 仮にも仲間だぞ!

 内心ガクブルだったし、グロくて吐きそうだし、なんか色々と危なかったが何とか耐えて、影から取り出したタオルをハイドの顔面に投げる。そして体中に芳香剤を掛けてやった。

 私が芳香剤を掛けまくると、やっと落ち着いたのか首から手を離し……


「何をする」


 抗議して来たので、私は血生臭いとだけ返して芳香剤を掛けるのを再開した。石鹸のいい匂いと、血の匂いが混ざってとんでもないハーモニーを奏でてしまった。凄い匂いだわ。そんなハイドと共にここを出る事に。ここには、もう用はないんだってさ。

 帰り道、背後から悲鳴が聞こえて来た。何事⁉︎


「奴ら自身の作ったオモチャに食われたんだろ」


 ハイドはそう言うとスタスタと先に行ってしまった。恐らく先程ハイドが嬲った人達はここの研究員。人を魔改造してモンスターにしたが、最後はそのモンスターに食われて終わったというオチだろうか。まぁ、自業自得と言えばそうなのだけれども……釈然としないな


「お前、絶対良い死に方は出来ないぞ?」


 私はハイドの背に向かって言った。するとハイドは私を振り返りニヤリと笑って


「上等だ」


 っとだけ言って今度こそ帰って言った。私を置いて……


「呼んでおいて、先に帰るって……」


 やっぱりアイツは気に食わん!


 ◆


 ハイドから遅れてキャンピンに戻るとキャンピン内は静まり返っていた。そりゃそうだろう。もう夜中だしなぁ。

 ハイドが一足先にシャワーを使っていた。あれだけ血を浴びたのだ、落とすのに時間がかかるだろう。私は気長に待つ事にした。

 夜はもう耽り、時計は深夜を指していた。今日の見張り当番は私と師匠なので、師匠はリビングで寝転んでいた。人の気配が有るので師匠は起きているだろうと思い迷惑かと思ったが声を掛けてみる事に


「ハイドとイネスってどう言う関係なんです?」


 問うと師匠が目を開けて一言。


「親の仇だ」


 だそうだ。ハイドは父親をイネスに殺され、キレた。その仇打ちを考えているらしいが雲隠れが得意なイネスは中々見つからない。今回、そんなイライラをイネス直属の研究員にぶつけたようだ。成る程。


「イネスが居たのか?」

「いえ、逃げた後でした。白い宝具はイネスが持って逃げたらしいです。イネスは白い宝具の気配を抑える装置を持っているらしく追跡は困難でしょう」

「そうか」


 イネスは私達が来た事に気がつくと研究員を置いて逃げた。残った研究員はハイドによりグロい姿にされ、自らの作った怪物に喰われて無くなった。ここに残ったのはもう何も無い。


「はぁ……」


 長い一日が終わりを告げた。あー頭痛がする。


「佳月、お前、首元が真っ赤だが、どうした?」

「え⁉︎」


 首元が真っ赤⁉︎ 知らないけど⁉︎ 慌てて鏡で首元を見ると、血がベッタリ付いていた。これハイドが首に手を掛けて来た時に、着いたやつじゃん。ハイドの手、これでもかってくらいに血まみれだったもんな。


「ハイドの所為ですね。アイツ、私に手を出そうとしたんですよ!」


 私はハイドの所業を師匠にチクッたった!! 精々、師匠とギースに怒られろ!


 ハイドがシャワーから出た後、急いでシャワーに入り、血を落とした。


「色んなところに血が付いてる!」


 服に手を突っ込まれた時に着いたのか、腹部とかにも血がベッタリだった。アイツ、許さん!


 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「うーん」


 目を開けるとリビングが視界に映る。そして次に時計が見えた。時計は午前10時を指していた。こんなに寝たのは久しぶりだ。最近は寝てても師匠が攻撃してくるから、こんなに寝れないのだ。


「うーん」


 なんか体が怠いし、重い。上手く体が動かない。なんだコレ。起き上がろにも全然、体が言う事きかない。


「あれ? 起きたの?」


 モゾモゾと動いていると、アスターが私を覗き込んできた。若干、呆れた表情である。なんで、そんな顔してるんだよ


「お前、今、熱があるんだよ。もうちょっと寝てた方がいいよ」

「ねつ?」


 あー、これ熱が有るのか。だから、こんなに怠いしシンドイんだな。納得。昨日、雨に当たり過ぎて体が冷えていたから、熱が出たんだろうか? 私、そんなに柔じゃないと思ってたんだけど


「もうちょっと寝てたら」

「うん」


 お言葉に甘えてもう少し寝ようかな。流石の師匠も病人に攻撃はしてこないだろうし……してこないよね?


「うーん」


 目を瞑り、寝る体勢に入る。もう一眠りしよーっと


「なんだ、佳月はまた寝たのか」

「うん、まだ熱が有るし。もう少ししたら薬を投与しようかな」


 声が聞こえて来るが、目が開かない。


「こうして大人しく寝てると、可愛いものだな」


 ハイドがなんか気持ち悪い事を言っている。可愛いとか言われたわ。お前の口から可愛いって単語が出てきた事にビックリだよ


「……寝て居なくても可愛いだろう」


 私はビックリした。今の言葉、師匠です。あれ? 師匠がこんな事を言う筈がない。これは夢か? まさかニセモノ⁉︎


「いや、普段は可愛いさと結構無縁じゃない? 僕は無いと思う」


 アスターは言う。ちょっと傷ついた。

 この辺りで、私の意識は完全にシャットアウトした。



 ◆


 次に目を開けると自室だった。誰かが運んでくれたのかな。


「あらやだ。もうお昼過ぎてる! 寝過ごしたわ!」


 時計を見ると、時間は午後2時。どんだけ寝たんだ自分。


「お!」


 慌てて飛び跳ねて起きると、先程よりも体が軽い。熱は下がったみたいだ。もう大丈夫だな! しかし喉が渇いた。リビングに行こう!


 リビングに向かうと、そこには師匠とハイド、アスターがソファに座っていた。私がリビングまで来た事に気が付いた3人は、コチラをみた。


「あ、起きてる。熱は下がったの?」


 メガ萌が問いかけて来たので、私は1つ頷いた後、冷蔵庫から水を取り出してソファに腰を掛ける。


「なら良かった。薬が効いたみたいだね。でも、まだ本調子じゃないだろうから、あんまり無理しないように」

「あーい」


 アスターが医者ぽいこと言ってる。いや、医者なんだけども。

 3名は私に興味が無くなったのか私から視線を外し、視線を外に向けた。私はソファに腰を掛けながら、水を飲み、師匠達の視線の方を見た。


「ギース……何してるんです? それにコルネリア様まで……」


 視線の先には、いつぞやの様に水辺で遊ぶ4名。


「水浴びだ」


 師匠が答えてくれた。皆んな水浴びするの好きだね。特にギースが1番はしゃいでいた。年甲斐もなくはしゃぐなんて……お茶目なお爺ちゃんである

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