廃遊園地
それから数日。今日も今日とてキャンピンは走る。
数日もあれば、新しいメンバーのギースとハイドの性格も分かってくる。
まず【ギース】は元六花、現花弦No.1の超武人である。あの師匠も勝てない相当強い老人だ。顔が厳つく、傷だらけな為、怖い人かと思いきや、割とお茶目なお爺ちゃんである。
私服はアロハシャツにサングラスを掛けたラフな格好が多い。何故、アロハシャツなのかは不明
殊技は【痛覚遮断】と【超回復】の2つだ。2つ持ちなんて狡い!
そして【ハイド】は六花No.3の強者。殊技は【目で見た相手の次の動作を無効化】である。
性格は私の読み通り最悪で、女が泣いている所や苦しんでるいる所を見るのが好きっというクズっぷりである。女を捕まえて一度きりの逢瀬をした後、手酷くふるのが楽しいらしく、何度か寄った街でこの悪魔に引っかかり泣いていた女の子をよく見かけた。最低だ!
私はギースには尊敬の眼差しを、ハイドには軽蔑の眼差しを向ける事にする
この2人が加わった事により、夜の見張りが交代制になった。チーム分けは私&師匠ペア、ハイド&ギース ペアだ。
純菜は弱いという理由で見張り番から外された。私は弱いと思わないのだが、師匠やハイド、ギースからしたら花弦下位は弱いらしく、純菜に頑として見張りをさせない。まぁ、私、純菜の戦っている所なんて見た事ないから、彼女の実力とか知らないけどね!
私が宝玉を持っている件はハイドだけでなく何故かギースにも知られており、殊技の事も交えて説明を師匠がしていた。それからギースは何かと私を気遣ってくれる様になり、良いお爺ちゃんぷりを発揮してくれている。同じお爺ちゃんでも、クレマチスお爺とえらい違いだ
祖父がキチガイの私には、彼が本当のお爺ちゃんに思えて来る。これが祖父か。なんだか泣きそうだよ
◆
いつも通りキャンピンを走らせているとコルネリア様が突然声を上げた。
「ちょっと止まってくれ! この辺りに急に白の宝具の気配がし出した。この辺りに有る!」
なんとこの近くに白の宝具の気配が確認出来たらしい。こんな山道に本当にあるのか不思議だが、白の宝玉を持つコルネリア様が言うのだから本当なのだろう。
「この辺りに有るんだ! この山の上に……」
という事で山にキャンピンを走らせる。着いた先は……
「え゛……本当にこんな所に白い宝具有るの? どちらかと言えば黒い方が有りそう」
そこは廃遊園地だった。廃止されて、かなりの年数が経っているのか、かなり錆びれた場所だ。そして何故か駐車場には大量のキャンピングカーや普通車が有った。こんな所に他にも来ている人が居るのだろうか?
「取り敢えず、中に入るか……」
キャンピンにギースとジィジのお爺ちゃんコンビを残し、私達は中に入る
今回は宝具捜索の為、唯一白い方を感じられるコルネリア様と、もしもコルネリア様が怪我をした時の為にメガ萌ことアスターも着いて来る事に。
◆
「ホラーゲームに出てきそー」
遊園地の入り口は寂れて、ホラーゲームで出てきそうな恐ろしい見た目だった。入るのにかなり戸惑う。入ったら最後、出てこれなさそう。
私達は師匠を先頭にハイドを最後にして、慎重に中に入る。中は随分、不気味な感じだった。これ霊的なモノが出そうなんだけど……。
「こわぁ……」
私は思わず漏らす。
「普段、もっと恐ろしいモノを見てるだろう?」
私の漏らした声を聞いたハイドは呆れた様な声で言う。もっと恐ろしいモノ?
「リンドヴァルの方が恐ろしいだろ」
「あー……確かに! 師匠、怖いわ!」
師匠、偶に怖いしね! そう考えると、このホラーな風景も、そこまで恐怖を感じなくなった。
「後、お前もな!」
「フッ」
「おい、無駄口叩くな!」
コルネリア様に怒られたので散策に集中しようっと! 師匠がジト目でコチラを見てる気がするけど、気のせいだよね! さっきの聴こえてないよね!
「なんか、音するなー! ちょっと見て参りまーす」
「あ、おい!」
丁度良く、進行方向上でガサガサと音がしたので列を離れて様子を見に向かった。コルネリア様から焦った声が聞こえて来たが、私は気にせず音の方へ!
「おぉう。これは……なんか見覚えあるな」
音の方角には、何処かで見たよーな頭が大きくて手足の長いキモい生命体が居た。何処でだっけな? まぁ、いいか! 取り敢えず、キモい生命体は倒しておいた。
倒し終え安全を確認して、みんなの所に戻ることに。これで、安全に先に進めるな!
「師匠! コルネリア様! 終わりまし……あれ? 師匠? えっ⁉︎ 誰も居ない!」
そこには誰も居なかった。どうやら師匠達は迷子になったらしい。全くもぅ! ここまで一本道なのに、どうやって迷うんだよ。
「そして誰も居なくなった……あははっ迷子になるなんて師匠達お茶目だな。いや、師匠は方向音痴だった。迷子によくなるわ」
それにしても……こんな所で1人ぼっちは辛いモノがある。誰か見つけて下さい、お願いします。
「一旦、ギースの所まで戻るかー。……⁉︎ うぉ⁉︎ なんか来たー!」
気持ち悪い生命体が大群で私に向かって来ていたので全力で走って逃げた。これぞリアル鬼ごっこ!
「倒せるんだけども! 気持ち悪くて無理! 生理的に無理! 大群は無理!」
なので逃げます!
◆
暫く走ると見事にキモい生命体達を撒くことに成功した。
「なんか、こんなゲーム見た事あるな」
ホラーゲームにありがちな設定である。そんな事を考えていると空から大量の雨が降って来た。かなりの土砂降りで全身ずぶ濡れの濡れ鼠状態の私。慌てて、近くの建物に入ろうとすると、建物の扉が勝手に開いて「カモーン」って感じになった。
コレはアレだと思う。中に入ったら最後、外に出られないヤツだと思う。なので私は緊急Uターン。建物の中に入るのは諦めて土砂降りの中、師匠達を探す事に。
歩いていると何度かキモいモンスターと遭遇したが倒したり、走って逃げたりした。そしてまた歩いて散策していると道を示す矢印を発見した。この矢印の通りに進めば会えるかもしれないが、私は敢えて矢印の逆方向へ歩く事に。私が素直に従う良い子だと思ったか? ヴァカめ! 大間違いだ!
逆方向に向かう事数分。また矢印が有ったので、思案した後、またも逆方向に向かう。それを何度か続けて居ると観覧車の下まで来て居た
「おぉ……大きいな。しかも何か顔が着いてるし」
下から観覧車を見上げると、あら不思議。観覧車の中心部に大きな顔が有った。コレは何かのモンスターか?
その顔は私をジッと見下ろしている。何か御用ですか?
「動かないんだね」
観覧車をギシギシと揺らす巨大な顔は動けないらしい。取り敢えず、放置を決めて他の場所を探す事に。先に進むと、また矢印が有ったので今度は素直に従ってみた
するとゴミ溜めの様な場所に出る。そこには多種多様な骨が散乱しており、どう見ても人の骨も有る。
「鞄が有る」
近くに鞄が落ちて居たので、拾ってみた。もしかしたら中に身分証とか入っているかも。鞄を開けて中身を漁ってみると、日記みたいな物を発見した。
「ホラーゲームでよくあるやつじゃん」
日記とか手紙ってホラーゲームの定番だよね! これを読んで、謎を解き明かして脱出する。ホラーでありがちな展開キタコレ!
ここで読もうと思ったが雨が酷く、紙媒体の日記を読むのは難しい。仕方なく、元来た道を戻り雨宿りできそうな場所を探した。
そして観覧車の下に着くと、もう一度上を見上げる。この巨体なら昼間では無理だが、夜になれば1人で倒せる相手だろう。恐らくだがコレがボスの気がする。なので夜になるのを、その辺で日記を読みながら待つ事に。丁度良く大きな木が有り、雨除けになってくれたので、そこで日記を読み進める。時折、キモい生命体が来たが撃退した。
「ふむふむ。彼は不倫されて、托卵されてたのか……辛い人生だったね」
日記には彼の壮絶な人生が描かれていたが、ホラーゲームでよくあるヒントや、ここの事は何一つ載っていなかった。時間の無駄だった。
しかし、良い暇つぶしになった。辺りは暗くなり始め、そろそろ夜だ。もう少しすれば動こうかな!
私は1つ伸びをして、観覧車を見上げた。その観覧車は私と目が合うと……
「嘘っ⁉︎」
手と足が生えてきて動き出したのだ。かなり気持ち悪い動き方でコチラに近づいて来る観覧車のモンスター。まだ完全に暗くなっていないので、討伐は無理と考え、1度引いて様子を見る事に。
しかし、簡単には逃してくれないのか逃げる私を追いかける観覧車。マジ気持ち悪い。
「揺れる揺れる!」
観覧車は巨大なので、動くだけで地面が揺れる! 走るのが大変だ!
鬼ごっこを続ける事、数分。ようやく暗くなった辺り。コレにより私に反撃の機会が巡って来た。
私は逃げるのを辞め、振り返り止まる。すると観覧車のモンスターも止まり、雨が降る中、見つめ合う。周りにはワラワラと気持ち悪いモンスターも湧いて来た。
私は顔に張り付く髪をかきあげ、刀を取り出す
「行くよ」
私が走り出すと同時に向うも走り出した




