31 隣の王子様
お読み下さりありがとうございます!
更新遅くて済みません。がんばります!
まずは隣国の王子の予定の確認。
到着したら謁見室で王様に謁見して客間で休む。それから少し町を視察して戻って来て晩餐、就寝。翌日は夕方からこの国の有力貴族の娘の誕生日パーティー。その貴族は外務大臣っぽいから付き合いなのかな?
視察って何を見るんだろう?
気にはなるけど外出するのは王子の許可がでないだろうからそこは保留。
無難な所は正面玄関から謁見室への廊下かなー?
オロフを連れてかのこちゃんに案内してもらった。
広い廊下は天井も高く、2階の高さの窓はスタンドグラスがはめ込まれていて、カーテンは1階部分だけ。試しにカーテンに隠れて見たり、柱の陰に隠れて見たり。
飾り壺の後ろは倒して壊したらヤバそうなので却下。やっぱり高い所かな?
カーテンは厚手でしっかりしている。これなら大丈夫だろうと捕まって登って見た。
「チハヤ様!!」
「お止め下さい!!」
カーテンレールに乗って見回したけど、隠れられそうな所は無かった。ダメかぁ。
そのまま飛び降りようとしたら、かのこちゃんが真っ青な顔を引き攣らせてるので途中まではカーテンを伝って降りて、そこからオロフに向かってジャンプして抱きとめて貰った。
ついでに首に抱きつく。
ぐりぐりぐりぐり…
あ…オロフが硬直しちゃった。
「オロフごめん!嫌だった?」
「あ…、いえ、そのような事は決して…」
「チハヤ様、危ない事はなさらないで下さい!」
「あれくらい危なくないよ?獣人の子供は?あれくらい平気じゃないの?」
「…獣人の子なら平気ですが、チハヤ様は人間なのですよ。」
「でもボク、団長の次くらいには強いし、獣人の子供くらいの事はしても大丈夫だと思う」
獣人の子供、と言うキーワードに納得が行ったのか、かのこちゃんが考え込んでいる。そして話の途中でオロフが動けないのを幸い、そのままもふもふ抱っこを堪能する。はぁ、幸せ。
「判りました。考慮させていただきます。」
あ、話が終わっちゃった。残念だけど降りよう。
「隠れられそうな所、ないね。」
「諦めますか?」
「うーん… どこかにフルプレートメイル飾ってもらえないかな?そしたら中に入れるんだけどな。」
「フルプレートメイル…とはどのような物ですか?」
「頭から脚の先までを覆う金属鎧だよ。」
「動きにくそうですね。」
そうか、フルプレートメイルは敏捷性を犠牲にして防御力を上げた物だっけ。獣人には不要?っていうか不向き?じゃぁダメか。
時間があれば彫刻をどこかから借りて来てその中に紛れ込む、って手もあるんだけどなぁ。
午前中いっぱい隠れ場所を探して見つからず、諦めた。あれ?もしかしてもう、隣の王子は来てるのかな?
来て、謁見して視察に行って帰って来て晩餐…だとしたら…
「この匂いは何なんだ!!」
聞き慣れない声が高圧的なセリフを吐く。このお城でこんな口をきけるのは、もしかしなくても王族限定だろう。ジーク王子に兄弟がいなければ、隣国の王子に決定だ。
見つかったらまずいと慌てて近くの部屋に隠れる。もちろん、かのこちゃんとオロフの3人で。聞き耳を立てていると、隣王子は何かの匂いが気になって仕方ないらしい事が伺えた。
「何が気になるというんだ。」
「何が、だと?この甘やかな匂いが分からないのか?…いや、まさか…これが番いの匂い…?」
「そんな訳あるか!!」
王子、口悪い。でももしかして…その匂いってボクの?
「…お前も分かっているんじゃないか。つまり、隠したいんだな。」
「ふん!番いに会えるなんて奇跡がお前に起こる訳がないと言ったんだ。」
「そんな事、誰にも分からないだろう。」
(そういうもの?)
こそっと小声で質問すると、かのこちゃんが慌ててボクの口を塞いだ。あ、獣人は嗅覚だけでなく、耳も良いんだっけ。
こくこくと頷くかのこちゃん。
うーん…番いかぁ。
運命の出会い、ステキ!って思うか、まるで呪いだ…とため息をつくか。
…うん。
興味ないや。
バンッ!!
「ここだ!!」
ぎゃーーーー!!!
「何でバレるの!?」
オロフとかのこちゃんの後ろに隠れようとしたけど捕まってしまった。腕を掴まれ引き寄せられる。
身の危険を感じてつい思いっきり踏み込み、喉に向けて手刀を繰り出すと隣王子は上体を引いて避ける。で、重心が少し後方になったところでみぞおちに回し蹴りをして躱され、ほんの少し前屈みになったところで顔を足で挟んでバク転の要領で回転しながら相手を床に叩きつける。
プロレス技のフランケンシュタイナーだ。
こんな大技が決まるなんて、隣王子はそんなに強くないみたい。
って!隣国の王子に攻撃するなんてヤバい!?ヤバいよね!!
「ご!ごめんなさい!! どうしよう!?外交問題?」
なんだかんだお世話になってるこの国に迷惑をかけるのはイヤだ。呆然とする隣王子に謝ろうと近づくと、うちの王子に抱き上げられた。
「チハヤ、大丈夫か?」
「え?あ、うん。ボクは何とも…」
「なんて事をするんだ…」
うぅ…やっぱりマズかったよね?
「チハヤ!?チハヤと言うのか!」
隣王子はノーダメージのようだ。
安心したような、悔しいような…? でも…
「シーグ!お前には関係ない!」
「いいや!関係あるだろう!こんなに熱い歓迎を受けたんだから!!!!」
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