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けもみみ看板娘♂  作者: かづき


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17 楽しいデートはおまけ付き

お読みいただきありがとうございます。

楽しんでもらえたら嬉しいです!

馬車を降りて、かのこちゃんの案内で女子向けのお店をあちこち見て回る。


雑貨屋で可愛いリボンやアクセサリーを見たり、仕立屋さんに飾ってあるドレスの見本を見たり、靴屋さんで可愛いブーツを履いてみたり。どこに行ってもちやほやされる。


メイクもバッチリしてるし、お淑やかなレディのフリしてるしね。


王子がちょいちょい出て来て何でも買おうとするのが不満だけど。お金稼げるようになったら自分で買うもん!今は服とか色々お願いせざるを得ないけど、いつかは自分で払うから!


…護衛のお給料はお願いします。


護衛は勝手に付けるので国費から出るのが当然で、さらに騎士団を鍛えてもらってるから指導料を支払おうと言われた。え!?良いの?それは嬉しい!


手紙が書けるようになるまで無職は心細いからね。学生なら勉強が免罪符になるけど、お小遣いも稼ぎたい。


「働かなくて良いならその方が良いと思うのですが…」


「ダメだよ、かのこちゃん!働かざるもの食うべからずだよ!!」


子供の頃から染み込んだこの言葉のせいで丸1日ぐうたらする事も罪悪感を覚えてしまう。掃除に洗濯、薪割り、草むしり。料理だけはさせてもらえなかった。味付けが雑だからだって。


体に良いと聞いて味噌汁にドクダミを入れたからだろうか。


臭かった。


「常勝無敗」、ではなく「|常焦腐敗≪じょうしょうふはい≫のアレンジャー」って称号も意味不明だったな。焦がすけど腐らせてないよ。オリジナリティも否定されたっけ…


あれ?

ボクの思い出話は何かの地雷だった?変な空気になってる?


「評判のカフェで休みましょうか?」


笑顔の引きつったかのこちゃんの提案でケーキを食べる。シフォンケーキに生クリームとベリーソースが添えてある。紅茶も日本と変わらない。


「「美味しい〜!」」


初めは侍女だからと一緒に食べるのを渋っていたかのこちゃんをお忍びだからと説得し、ゆりデート風に楽しむ。王子は勝手について来た過保護なお兄ちゃん役で。


でも雑貨とか一緒に見るのは良いのに食べるのは渋るって、不思議。


「楽しいけど、やっぱりオロフとデートしたかったな…」


腕組んで歩きたかった。


「今度は人目の気にならないピクニックに行こう?それで追いかけっこして捕まえて膝枕したいな。」


「ひ…ひざまくら…」


何で王子までしっぽ振ってんの?ネコ科のしっぽはパタパタじゃなくてユラユラ揺れる。膝枕してあげたら喉をゴロゴロ鳴らすかな…?


絆されてる!?ボク絆されてる!?


きらきら王子なんて好みじゃないのに〜〜〜〜!!

ボクより強くって優しい人が良い!

あぁ!ここまでは当てはまってる!

えとえとっ、ワイルド系が良い!よし、王子は外れた!


…なにをムキになっているんだろう。気にしなければ良いんじゃないか。



「こんにちは。ねぇ、君たちすごく可愛いね。どこから来たの?」


「初対面の人にプライベートはお話しできません。」


狐の獣人が声を掛けて来たので、つん!とそっぽを向く。かのこちゃんもボクに習う。


「しっかりしてるんだね。偉いなぁ。また逢えるかな?」


「もうお会いする事なんてありません。兄さまも護衛もうるさくて、今日だってずっとお願いしてやっと2時間だけ外出が許されたんですもの。あなたとお話ししてたら帰る時間になってしまうわ。」


って、言ったらどう出る?


「厳しいんだね。でもそれなら少しだけ僕と冒険してみない?景色のいい所があるんだ。ちょっとくらい逃げてみるのも楽しいよ?」


ふむふむ。


「…そんな事したら叱られてしまうわ。」


「少しくらい叱られたって良いじゃない!それより楽しい思い出が心に残るよ。」


ヒソヒソ話をする男から顔を隠してかのこちゃんににやりと笑ってみせると、かのこちゃんは小さく頷いて言った。


「ムリよ。お兄さまも護衛もとても足が速いんだもの。」


「だったら不意をつけば良いよ!」


そう言って狐くんはボクの手を握って走り出す。きゃっ!と言って一緒に走り出すと、路地を通って町を抜け、景色の綺麗な高台に出た。石畳の道のある草原で見下ろせば街並と、さらに遠くには海がキラキラと光っている。


確かに「景色のいい所」だ。


はぁはぁと息があがった振りをしながら景色を見て、狐くんに向かって笑顔を見せる。


「ほんとうに素敵なところね…」


「そうでしょう?君みたいに可愛い人とこの景色が見たい、って夢見てたんだ。」


ぐいっ!


握ったままの手を引いて抱き込む様に腕の中に引き寄せられた。


「あっ…」


抱きしめられ、驚いた顔で見上げるとボクをうっとりと見つめている瞳と視線が絡み合う。


「本当に食べてしまいたい…」


そう言って顎を持ってそっと顔を近づけて来た。



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