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第二話 遠ざかる足音
「ぐっ…」
腹部に鋭い痛みが走る。
入鹿は何が起こったのかが理解できなかった。
あまりの激痛に膝や腕から力が抜ける。
腹からナイフを抜かれ、唯一の支えを失った入鹿はその場に崩れ落ちた。
「ぐぅぅ...」
腕や足に力が入らない。立ち上がることもできない。入鹿はただ、うずくまること
しか出来なかった。
前を見ると黒い服に身を包んだ男か女かもわからないような奇妙で、それでいて何
処か恐ろしさも感じるような者が居た。
「面倒臭い事させやがって…」
何かブツブツ言いながら近寄ってくる。
目の前でしゃがみ、一枚一枚大切な物のように散らばったカードを丁寧に拾い集める。
そして全て拾い終わったのか、何処かに駆けて行った。
タッタッ…タッタッ…タッ…タ…
足音が遠ざかる。
酸素が脳まで回らず、微かな足音さえ頭を締め付けるように痛ませる。
生ぬるい液体が自分の腹部からアスファルトに広がっていくのがわかる。
ああ、このまま死ぬのだろうか。まだあと少し、あと少しだけでいいから、、、
新作ゲームをプレイしたかっ、、た、、、
夜道は静寂に包まれた。聞こえる音といえば近くを通る車の音だけ。
そして、朝になれば血に染まった死体が現れる…はずだった。
暗い街灯一つしかないはずの夜道で鮮血の中、何かが鈍く光を放っていた。




