表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱属性の俺、空気を圧縮したら一撃で最強になった~空気魔法から始まる異世界魔法革命~  作者: 百花繚乱


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/108

第62話 対策される魔法

空気の手応えが、明確に変わっていた。

数分前までは、流れを読めば崩せた。圧の薄い箇所を見つけ、そこに一点を通す。

それだけで相手の構造は揺らいだ。複雑ではあっても、筋は通っていた。

だが今は違う。

同じように流れを探っても、「崩せる場所」が見つからない。

空気は確かに歪んでいる。薄い部分もある。だがそこを突いても、全体が崩れない。どこかで支えられている。

違和感の正体はすぐに分かった。構造が“閉じている”。

広げて押し込むのではなく、囲って固定している。

流れそのものを逃がさないように組まれている。

「リナ、足元気をつけろ」短く伝える。

直後、地面付近の空気が一段階硬くなる。圧がかかり、動きを鈍らせるための層だ。上だけでなく下も制御している。

「ほんとだ、重い」リナが足を取られながらも踏み直す。

視線を前に戻す。相手は四人。だが個別に動いているようには見えない。

全員が一つの流れを共有している。誰かが攻撃を担当し、誰かが補強し、別の誰かが制御している。

その役割分担が、空気の形として見えている。

「試すか」エアショットを放つ。

いつも通りに圧縮し、一直線に撃ち出す。速度も威力も問題ない。

だが、当たった瞬間の感触が違った。

衝撃が抜ける。確かに命中しているのに、手応えが薄い。

「逃がされた」自分でも驚くほど冷静に言葉が出る。

衝突の瞬間、空気の層がわずかに開く。圧が分散され、威力が拡散する。

受け止めるのではなく、流している。だから通る。だが効かない。

「じゃあ、連続でいく?」リナが横で火の準備をしながら聞く。

「やってみる」今度は連続で撃つ。

角度を変え、タイミングをずらし、三方向から同時に圧をぶつける。

単発ではなく、重ねる形。結果は同じだった。

一撃目で流れが変わる。二撃目は逃がされる。

三撃目は、すでに分散された後の空気に当たる。崩れない。

「……対応が早すぎる」リナの声に焦りが混じる。

同感だった。これは即興ではない。

一度見ただけでここまで適応できるとは考えにくい。

最初から、こういう攻撃を想定している動きだ。

「最初から対策してる」結論を口にする。

「空気系の攻撃か、あるいは“見えない干渉”に対して」

言葉にすると、構造がはっきりする。

だから薄い場所が罠になる。そこを突いても、全体が崩れないように補助の流れが仕込まれている。

視界の端で、相手の一人がわずかに手を動かした。

次の瞬間、空気の圧が変わる。

今度は横ではなく、斜め上から押し込んでくる。

回避のルートを限定し、誘導する形だ。

「右に抜けるな、そこは重ねてくる」先に伝える。

リナが即座に動きを変える。

実際、その方向には別の層が待っていた。空気の流れが交差し、抜けにくい構造になっている。

「……読まれてるわけじゃないんだよね?」リナが息を整えながら言う。

「読まれてるというより、選択肢を絞られてる」答えながら、自分でも違和感を噛み締める。

今までは、選べばよかった。複数の手の中から最適な一手を選び、通す。

それで成立していた。だが今は、選択肢そのものが削られている。

「動く前に潰されてる」その事実が、はっきりと見える。

もう一度、空気を掴む。

広げるのではなく、細かく分ける。制御単位を小さくし、複数同時に干渉する。

やり方としては間違っていない。だが、途中で引っかかる。外側から干渉される。

こちらが形を作る前に、別の流れが割り込んでくる。

「……制御が成立しない」

無理に押し込めば、一瞬だけ形になる。だが持続しない。次の瞬間には崩れる。

「まずいね、これ」リナが短く言う。

その一言に余計な感情はない。ただ現状をそのまま言っている。

視線を前に向ける。相手の位置はほとんど変わっていない。

だが、空気の形は確実に変わっている。こちらの動きに合わせて、少しずつ確実に。

「……追い込まれてるな」口に出して初めて、その実感が形になる。

一気に崩されているわけではない。少しずつ逃げ場を削られている。

次の一手を考える時間が、確実に短くなっている。

「どうする?」リナが視線を外さずに問う。

答えはすぐに出ない。

今までなら、この段階で突破口が見えていた。だが今回は違う。

構造が崩せない以上、同じやり方を繰り返しても結果は変わらない。

視線を落とす。地面近くの空気がわずかに歪んでいる。

そこにも制御が入っている。完全に支配されているわけではないが、自由でもない。

「……通用しない、か」その言葉は、思った以上に重かった。

理論は間違っていない。やっていることも間違っていない。

だが、勝てない。その現実だけが、はっきりと目の前にあった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ