表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水月鏡花 ―冷たい当主と、静かに灯る恋とほどけていく心―  作者: 麻倉ロゼ
第二章「花心、光にほどく」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

133/137

第十話「内緒の相談」2

第十話「内緒の相談」は5分割で更新していきます。これは2つ目です。

「凌偉様のこと……? どう…とは?」

春燕しゅんえんは首を傾げ、きょとんとした表情を見せる。


「好きじゃないのか?」

仁澄じんちょうは思いきって踏み込む。


「尊敬しています。才能に溢れて人徳もあり、努力を怠らない…。

商人としても、人としても素晴らしい方です」


「ん!? いや、そうじゃなくて!」

仁澄は思わず声を上げた。


「恋愛的に、好きかって事!」


「恋愛的に……好き?」

本当に意味がわかっていない顔。

嘘でも冗談でもなく、純粋に「???」の状態だった。


「……私はお役に立つためにきた人間ですので……

考えた事ありませんでした……」

春燕は戸惑いながらも、素直に答えてしまう。


「嘘だろ……!? だって凌偉りょうい様から、そろばんを貰ったんだろ!?」

この街の商人にとって、そろばんは命そのもの。

それを異性に贈るなど――ほぼ求愛に等しい。


「仕事も一緒にしてるし、明らかに他の人とは扱いが

違うと思うんだけど!?」

なぜか仁澄が焦り始める。


「そろばんは仕事で必要になるから、といただきました。

凌偉様が優しいのも……私が婚約者候補だからであって……」


「……!?」

(ま、まさかの鈍感……!?)

仁澄は絶句して口をぱくぱくさせた。


――琳凌偉。

この街で名前を知らぬ者はいない。十九歳にして大豪商・琳家の当主。

街の経済どころか、周辺の商圏すら動かす存在。


容姿も体型も、男の自分から見ても「設定盛りすぎだろ」というほど整っている。

女の子の理想像を全部詰め込んで実体化したような青年。


そんな男が婚約者ってだけで、出会ってすぐ恋に落ちてもおかしくないのに……!


その凌偉が唯一心を許し、傍に置きたがっている相手が……


(その相手自身が、好きかどうかわからない……だと……?)


仁澄の背筋に、ゆっくり寒気が走った。


「春燕様が決めることについて、凌偉様はなんて言ってるんだよ?」


「オレを選んで欲しい、選ばせてみせる……と」

春燕は恥じらいながら、それでも正直に答えた。


「はあぁ〜!」

仁澄は腕を組み、天井を仰いで盛大なため息をつく。


すごい。

何がすごいって――

あの凌偉様にここまで言わせておきながら、恋愛感情が

芽生えていない春燕様が一番すごい。


もはや天才的な鈍感さである。


「春燕様。この話は他の人にはしないほうがいい」

仁澄は真顔になった。


こんな重要な話、噂になれば街中がひっくり返る。

街中の女の子たちから恨まれる未来しか見えない。


そう言って顔を戻すと――


階下から戻ってきた令菘と志晃と、ばっちり目が合った。


二人とも、ものすごく気まずい顔をしている。


「……」


「……」


「……」


目が合う三人。


(((絶対に誰にも言いません……!)))


三人は無言のまま、固く頷きあった。

※作者より

「水月鏡花」の更新は【週2日/月・金 21時頃】です。


春燕と凌偉、それぞれの心の距離が、

少しずつ近づいていく時間を、

見守っていただけたら嬉しいです。


続きが気になりましたら、

ブックマークで見守っていただけますと励みになります。


ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ