6/8
第六章:システムとの対峙
魔導書から得た情報によれば、この世界には「運命の糸」と呼ばれる強制力があった。
それが、キャラクターを決められた行動に導く。
ベアトリクスがダリラを陥れるのも、王太子がダリラを選ぶのも、すべてはプログラム。
だが、私は違った。
前世の記憶を持ち、物語を知っている。
つまり──バグだ。
「ならば、バグを利用して、システムをハックすればいい」
私は魔導書に書き込んだ。
【シナリオ上書き:ベアトリクス・ルージュ、結婚拒否。独自の道を歩む。運命の強制を解除】
【追加命令:ダリラ・エルドレイの自由意志を完全解放】
【警告:システムの反発が予想される】
その瞬間、空が黒くなる。
雷が鳴り、魔導書が赤く光った。
「……来たわね」
空中に、巨大な目が現れる。
【ベアトリクス・カーマ・ルージュ。お前はシナリオ外の存在。排除対象】
「排除? ふざけないで。私は、ただ、自由になりたいだけ。誰もが、自分の意志で生きるべきでしょう?」
【自由? それこそが、システムの崩壊を招く。秩序が崩れれば、世界は終わる】
「秩序? 強制された運命のことを、秩序と呼ぶのか? それなら、私はその秩序を壊す!」
私は魔導書を掲げ、叫んだ。
【シナリオ破棄命令:全キャラクターの自由意志を解放。運命の強制を永久停止】




