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第三章:王太子との対話
王太子は、私を書斎に呼び出した。
「ベアトリクス嬢。先ほどの発言、本心ですか?」
「もちろんです。王太子殿下に失礼なつもりはありませんが、私は、形式的な結婚に価値を見出せません」
ヴァレンティンは窓の外を見つめながら言った。
「父上は、貴族の血筋を守るために、私に貴族の娘との結婚を望んでいます。だが、私は……ダリラを愛している」
「ならば、正直に言えばいい。国のために結婚するという建前を、いつまで続けるつもりですか?」
ヴァレンティンが驚いたように私を見る。
「……君は、変わった。以前は、王太子妃の座を狙って、常に上から目線だった。それが、今では」
「人は変わります。特に、自分がどう生きたいか、気づいたときには」
私は静かに言った。
「殿下。私は、悪役令嬢だと言われています。ですが、悪役になるのは、演じるのではなく、仕向けられるからです。誰かが私をそうさせる。システムが、物語が、私を悪役に押し込む」
「……意味がわかりません」
「いずれ、わかります」
私は微笑んだ。
「ですが、一つだけ言わせてください。私は、結婚しません。誰とも。自由に、自分の道を歩きます」




