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171 前世のユーゴとの記憶①


初めてこちらを見つけていただいた方へ。

ありがとうございます。

1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度、朝7時更新という短いスパンです。(土日の場合はお休みです)

 たまに遅れまる場合が(^0^;)

ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。

ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと覗いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw

よろしくお願いしますm(_ _)m

では、どうぞ!



 前世でアイラが王宮で働くようになって1年過ぎた頃のことだ。


【前世】

 その日は、集中豪雨で川は氾濫し、山では大規模な土砂崩れも起り、広範囲に渡り大災害が起きていた。

 魔術師団はもちろん、負傷者も多いことから精霊魔法士も災害現場に駆り出されてた。アイラは先輩精霊魔法士のミーラと2人でユーゴがいる災害現場で負傷者の治療と浄化の仕事をしていた。

 そして夕方、治療も終わり、後片付けをしていた時だ。ミーラが言ってきた。


「アイラ、ここお願いできる?」


 ミーラは既婚者で3歳の子供がいて、いつも仕事の時は旦那の親に預けていたため、時間になったら帰らなくてはならなかった。


「あ、お迎えですね。後はやっておきます」


 ほとんど片付けも終わり、後は1人で出来るほどだった。


「ごめんねアイラ。じゃあお願いね」

「はい」


 ミーラはそう言って帰って行った。その後1人で片付けをしていた時だ。地響きがし始めた。片付けの手を止めアイラは立ち上がる。


「なに? 地震?」


 すると叫び声が聞こえて来た。


「魔獣だ!」

「え?」


 一瞬耳を疑う。この場所は魔獣が出る場所ではないからだ。


「魔獣って言った?」


 聞き間違いかと思った瞬間、目線の先、かなり離れた場所に巨大な魔獣が2体降り立った。


「!」


 驚き固まっていると、魔術師団の者が叫ぶ。


「精霊魔法士! 何をやってる! 早く怪我人を連れてこの場から離れろ!」

「あ、はい!」


 アイラは近くにいた人達に逃げるように声をかける。幸い歩けない者はすべて病院に運んだ後だったため、皆自力で逃げ始めた。


「なぜここに魔物が?」


 つい言葉が漏れる。するとアイラの近くにいた魔術師の者が応えた。


「土砂災害の影響でまた近くで魔穴が開いたのかもしれん」


 魔穴は自然と発生する。大きい魔穴は魔術師が魔術で穴を塞ぐが、このような土砂災害が起ると、以前に塞いだ魔穴の蓋が開くことがあった。今回もそのようだ。そこから魔獣が這い上がってきたということかとアイラは理解する。


「ユーゴ団長は?」

「ユーゴ団長は最初開いた魔穴の処理中だ。ここからかなり離れている。だからここは我等だけでどうにかしなければならない」

「!」


 今この場にいる魔術師団員は指導者の先輩魔術師団員2人の他は皆入団して1,2年の下の者達ばかりだ。負傷者と瓦礫の撤去を主に任された謂わばアイラと同じ新米ばかりなのだ。


 ――この人達だけで魔獣2体を倒せる?


 目の前の魔獣は2体。それもかなり大きい。簡単には倒せないことは見ればアイラでも分かる。今この場にいる魔術師団員数名だけでは太刀打ち出来ないのではないかと不安が過る。

 その時だ。

 魔獣一体が口を大きく開け、火玉を飛ばした。火玉は近くの家に当たり爆発が起きる。


「!」


 アイラは驚き目を瞠る。


「火魔法を使った⁉」


 アイラだけではなく、その場にいた魔術師団の者達全員が驚き背筋が凍る。当たり前だ。あの大きさで魔法を使う上級クラスの魔獣に遭遇する確率は極めて低い。そのためまだ入団して日が浅い魔術師団員達が遭遇するのは初めてだったからだ。

 するとこの場の魔術師団員のリーダーのビルが叫ぶ。


「何をぼうっとしている! 新人達は逃げ遅れている市民の避難誘導! 後方部隊は1体を拘束、先攻部隊はもう1体を討伐! 瞬時に動け!」

「はい!」


 団員達は三手に分かれると、それぞれ言われた任務へと散って行った。そして魔獣1体を拘束し、もう1体へと攻撃が開始された。アイラも邪魔になるだけだと待避しようと背を向けた時だ。ビルに呼び止められる。


「精霊魔法士!」

「はい」

「お前はここに残れ」

「え? でも私、戦えません」

「そんなことは分かっている。負傷者が出たら治癒魔法をするために残れと言っている」


 そういうことかとアイラは理解する。この状況になった時、残って負傷者の治癒に当たるのは聞いて訓練もしていたが、やったことはなかったため不安になる。それに、


 ――怖くてこの場にいたくない。


 恐怖が専攻してしまい体の震えが止まらない。


「あの……」


 やっぱり自分1人では無理だと言おうとしたが、


「どこかに隠れていろ!」


 と言ってビルは走って魔獣の方へと行ってしまった。


「あ! ちょっ、ちょっと!」


 だがアイラの声は、魔獣の咆哮でかき消された。刹那、近くで爆発が起きる。魔獣が魔法を放ったのだ。


「きゃ!」


 その衝撃と爆風でアイラは後ろに飛ばされた。


「いたー」


 顔を上げた瞬間、目を瞠り息を呑む。そこは火の海と化していたのだ。何が起きたのか理解が追いつかない。


 ――何が起ったの?


「ま、魔術師団員の人達は……」


 周りを見渡すと、先ほどアイラに話しかけたビルが地面に倒れているのが見えた。


「!」


 すぐに治癒魔法をかけようと駆け寄るが、途中で足を止める。そこには上半身しかないビルの姿があったからだ。初めて見る悲惨な遺体にアイラは胃の中の物が逆流するのを覚え、両手を口に当て吐きそうになるのを必死に堪える。

 そこで魔獣2体が咆哮した。顔を上げ見れば拘束していた魔獣も拘束が解かれていることに気付く。


 ――さっきの爆発で拘束が外れたんだ!


 自由になった魔獣2体は、動ける魔術師団を狙って攻撃を始めた。それを見たアイラ驚愕する。


 ――知能が高い魔獣!


 それは強さも半端ないということを意味していた。

 その時だ。一体の魔獣がアイラに気付いた。


「!」


 ゆっくりとアイラの方へと歩みを進めてくる。逃げなくてはと思うが体が硬直して動かない。すると魔獣が口を開いたと同時、巨大な魔力を感知する。


 ――撃ってくる!


 刹那、アイラ目がけて火球が放たれた。結界などの防御力を持ち合わせていないアイラは、ただやられるのを待つだけだ。


 ――駄目だ! 死ぬ!


 目を瞑り歯を食いしばったその時、目の前に人影が落ち、結界が張られ火球が弾き飛ばされた。


「大丈夫?」


 振り向き声をかけてきたのはユーゴだった。


「ユーゴ団長……なぜ」


 ユーゴがいた場所はここからかなり離れた場所だったはずだ。それに魔穴を塞いでいたのではないのか? 


「向こうは他の者に任せてきた。こっちが危なかったからね」


 刹那、巨大な魔力を感知したと同時、爆発が起きた。


「!」


 アイラとユーゴ、そして怪我をして動けない魔術師団員達がいる場所に結界が張られた。そのおかげで爆発の影響は受けることはなかった。


 ――団長1人でこれだけの結界を! 凄い!


 ユーゴの魔力は桁外れに凄いと言われていたが、目の当たりにして実感する。


「まさかこんな特級クラスが出てくるとはねー。僕の采配ミスだったな。部下達には申し訳ないことをした」


 悲しみの顔をしビルの亡骸を見て言うユーゴにアイラは眉根を寄せる。


「ビル魔術師団員は指導者として立派な最後でした……」


 涙を堪えながらアイラは訴える。


「うん。ビルは責任感が強い男気があるやつだった。将来指導官として有望だったのに、僕のミスでその将来を奪ってしまった……」


 ユーゴから膨大な魔力が放出される。


「だから僕が仇を持つ」


 刹那、ユーゴの姿が消えた。だが次の瞬間、魔獣の前に浮いていた。


「!」


 転瞬、魔獣2体が一瞬で凍る。


 ――凄い! 瞬時に2体を拘束。高度な魔術だわ。


 そこでユーゴの目がスカイブルーに光っているのに気付く。


「あの目は!」


 自分の魔力の限界すべてを全解放すると目が自身の魔力の色に変わり、魔力も1.5倍の力が発揮出来ると言う。だがその領域に行ける者は一握りの者だけだとも聞いた。


 ――やはりユーゴ団長は凄い。


 またもやユーゴの凄さを実感していると、後ろから声がした。


「団長!」


 振り向けば、副団長のブレッドだ。それに気付いたユーゴがアイラの元へと戻る。


「ブレッド、あの手前の魔獣を拘束しといて。まず奥の魔獣からやる」


 ブレッドはユーゴが言った奥の魔獣を見て納得する。


「エンバルアですか……」


 魔獣エンバルアとは、知られている魔獣の中で倒すのに厄介だと言われている類いの魔獣だ。知能が人間並みに高く順応性も早いため、早さも要する特級クラスの魔獣だ。


「ああ。今凍らせたが解除されるのも時間の問題だろう」


 それを横で聞いていたアイラは眉根を寄せる。体はもう一体の魔獣よりも小さく、攻撃もほとんどしていなかった。そのため見ていた限りではエンバルアの方が弱く見えていたのだ。現にここにいた魔術師達はエンバルアを後回しにし、もう一体の魔獣を重点に攻撃をしていたからだ。


「あの、エンバルアという魔獣の方が強いのですか?」


 アイラの質問にブレッドが応える。


「うん。見た目や最初の攻撃だけ見ているとそう見えるだろうが、実はエンバルアは周りの様子を見て、戦い方を変えてくる知能と魔力が高い魔獣なんだ。この爆発も前の魔獣と見せかけてエンバルアが放った魔力だろうね」

「!」


 ――だから攻撃が分からなかったんだ!


 そう言っている矢先、その魔獣の周りだけ氷が溶け始めていた。


「では行きます」


 ブレッドはもう一体の魔獣へと拘束をするため移動する。それを見送っているとユーゴが声をかけてきた。


「君は何しにいる? 今君がすることはなに? 見ているだけかい?」








最後まで読んでくださりありがとうございます。

少しでも良かったと思っていただけましたら、ブックマーク、いいねボタンの方よろしくお願いします。

とても励みになります。

これからもよろしくお願いします(_ _)


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