166 弟の記憶
初めてこちらを見つけていただいた方へ。
ありがとうございます。
1話がとても短いものになっております。あっという間に負担なく読み終えてしまう短さです。ですので3日に一度朝6時更新という短いスパンです。 たまに遅れまる場合が(^0^;)
ちょっとの暇な時間の穴埋めになれたら嬉しいです。
ちらほらと、あらすじが挟んでおります。もし興味がありましたら、そちらをちょこっと除いていただければ、なんとな~くわかっていただけるかとw
よろしくお願いしますm(_ _)m
「弟さんがいるんですか?」
初めて聞く話にレイは驚く。今までグレイが家族の話をしたがらなかったため、家族構成も知らなかったからだ。
「ああ。今まで忘れていたんだけど、やんちゃでかわいい子だった」
そう言ってグレイはワインを口に運ぶ。
――だったということは、もういないのか?
過去形で言うグレイにレイは亡くなったのだろうと解釈する。
「ほんと、なぜ思い出したのだろう……」
そう呟きながらグレイは王宮であったジンを思い出す。
――大人になったのならば、あのような男になっていたのだろうか。
弟は幼い時に死んだ。弟に関してはその他の情報は知らない。弟の名前すらも知らなかった。理由は、3年前に事故にあったことが原因だった。
気付いたら病院にいたのだ。車で移動中、崖から車ごと転落し頭を強く打ったことにより事故に遭う前の記憶が一部欠損してしまったのだ。そのため弟の名前も分からなくなっていたのだった。
思い出そうとすると頭が割れるように痛むため、最近では思い出そうとすることはしなくなり、すっかり忘れていた。だがジンに会い、ふいに思い出したのだった。
「もう過去の話だよ。ちょっと浸っていただけだよ」
よくよく考えれば、弟のことは笑った姿しか記憶にないことに気付いた。何か他に思い出すことはないかと考えると、やはり頭が酷く痛む。もしかしたらお酒を飲めば、何か頭痛もなく思い出すのではないのかと思い、昼間だったがワインを飲み始めたのだ。
「さあ、レイ。乾杯しよう」
「あまり飲み過ぎないようにしてくださいよ」
「それはわからないな。今日は飲みたい気分なんだ」
「じゃあ仕方ないですね。少しだけ付き合います」
「少しで収まるかな。レイと一緒に飲むと、どうしても飲み過ぎてしまうからね」
それはレイが酒が強くてザルだったからだ。同じように飲むと、どうしても先に酔ってしまい、いつもレイに看病してもらっていた。
「もし酔い潰れたらレイ、よろしくね」
「わかりましたよ」
そしてグレイが酔い潰れるまで飲み交わすのだった。
☆
「やあ、リュカ君! 久しぶりだね」
放課後、再開したアイラの特訓をしていた場所にユーゴがやってきた。
「ユーゴ団長……」
リュカは驚き見る。
「アイラさんも久しぶりだね」
「お久しぶりです」
アイラもユーゴに頭を下げる。『罪人の墓場』の時以来だ。
ユーゴはリュカに視線を戻すと、あまりに驚いた顔をしているため首を傾げる。
「あ、悪かったね。邪魔したかな?」
「い、いえ……。ただ団長が入ってきたので驚いて……」
そこでリュカが何が言いたいのかわかりユーゴは苦笑し謝る。
「あ、すまない。ついいつもの癖で結界を解除して入ってしまった」
軽く解いて入りましたと言うユーゴにリュカの心は穏やかではない。
――ここにかけていた結界は、簡単に解けるものじゃない。俺が前世の魔術師団長をしていた時に独自に作った複雑に練り上げた結界だ。普通の者は解くのは無理だ。それをいとも簡単にこの人は解いた!
「ここにかけた結界は簡単には解除できない代物です」
ユーゴは魔力を分析する能力がずば抜けて長けている。そのため結界の解除は得意だ。建国100周年の祝いの儀の時の国王とマティスの暗殺未遂の時も、ユーゴの能力対策として複雑な結界を張られたほどだ。その時よりも複雑な結界をリュカはかけていた。それなのに外されたため驚きを隠せないでいた。
「あはは。すまない嘘をついた。あまりにも素晴らしい結界がしてあったから、つい本気で解きたくなっちゃったんだ。だからけっこう時間はかかった。10分はかかったかな」
――10分……思ったより早い。前世から団長の能力は何回か見てきたが、ここまで凄いとは。恐ろしい人だ。
敵には回したくない人だと改めて認識する。
「それにしても凄いね君。こんな複雑な結界は初めてだよ。学生とは思えない魔術師団団長クラスの出来だ。うちの魔術師団員でもここまで出来る者はいないよ」
感心して言うユーゴの言葉には応えず、リュカは訊ねる。
「で、何の用でしょうか? わざわざジン先生がいない時を狙ってきたということは、ジン先生に知られたくないことですか?」
「君は相変わらず僕の行動を的確に指摘するね。どうしてかな?」
「そんなことどうでもいいです。それより俺の質問に応えてください。まずあなたはこの学園の部外者だ。ましてやジン先生の体育館の結界をこじ開けたんです。本来ならば学生に危害を加える危険人物だと訴えることもできます」
「それはよろしくないね」
――そう切り返したか。ほんと経験が豊富だ。興味深い。
含み笑いをするユーゴにリュカは片眉を上げる。こういう顔をする時のユーゴはすべてを見透かしている時の顔だ。
――すべてを知られているみたいだ。ほんと腹正しい。いつまで経ってもこの人には追いつける気がしない。
「じゃあ早めにするよ。君に聞きたいことがあってね」
「聞きたいこと?」
「ああ。最南端で大きな魔力の動きがあった」
「!」
それはこの前の赤竜の竜柱のことを言っているのだとリュカもアイラも気付く。
「その地域の街からも多く報告を受けたため調査に行ったんだ。その魔力の出所付近の村へも行ったんだけど、村の人達に聞いてもわからないと言って良い回答はもらえなかったんだ」
その村はシガスの村だろうとリュカもアイラも思ったが口に出さない。
「だから仕方なく自分で調べたんだ。だがどうやっても原因に辿りつくことが出来なかった」
――そりゃそうだろう。あの場所は普通では行けない場所だ。ユーゴ団長でも辿り付くことは不可能だ。だがその理由はこの人は分かっているのだろう。
リュカが思っている通りユーゴはそれを証明するような発言をする。
「だから痕跡を探った。すると、君の魔力の痕跡があったんだ」
「――」
「やはり君はその場所に行っていたんだね。それにアイラ君も一緒に」
「!」
なぜそれをとリュカが思っていると、ユーゴがアイラを見て笑っている。不思議に思いアイラを見れば、思いっきり驚いた顔をし、顔に出ていた。
――ああ、そうだった。こいつ、今世ではまだ顔に出るやつだった。
隠すのは諦め正直に言う。
「そうです。あの場所に俺達はいました」
「2人で何しに行ったのか聞いていいかな?」
「デートです」
リュカは真顔で間髪入れずに言う。それにはユーゴもそうだが、一番驚いたのはアイラだった。
「え!」
声をあげて驚きリュカを見るアイラにリュカは目を半目にし嘆息する。
――疲れる……。
ユーゴをどうにか誤魔化そうとついた嘘だ。少し考えれば分かるはずだと思っていたが、アイラには通用しなかったようだ。見れば顔が真っ赤だ。
――本気にするんじゃない。
リュカは言うんじゃなかったと後悔した。
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