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騎士志望の伯爵令嬢ですが、小さな紳士の公爵令息のもとで恋と仕事に邁進します!  作者: 風見ゆうみ


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47  何をおっしゃっているんですか!?

「久しぶりね。マリも元気にしていた?」

「ええ、もちろん」

「ゆっくり話をしたいんだけど、勤務中なの。ここで失礼させてもらうわ」

「そうなの? 話しかけてごめんなさいね。ねえ、今度、手紙を送ってもいい? 久しぶりにゆっくり話をしたいわ」

「ありがとう。待ってるわね」

 

 友人と別れてすぐに、今度はラナや両親と出くわした。


「お姉様がこちらにいらっしゃると聞いて来たんです。お仕事されている姿を見てみたくって」

「ありがとう、ラナ」


 私とラナが話をしている間に、アットンと両親が挨拶を交わし、何か話をしていた。

 ラナが来てくれたことで癒やされていた私は、両親たちが何を話していたかなんて、その時はまったく気にならなかった。

 その後は後からやってきたルイス様と合流し、今日の任務は無事に終えることができたのだった。

 


******


「どうしたフィリア? 悩み事か? 甘いものを食べて、気持ちを落ち着けたらどうだ?」


 それから数日後のティータイムことだ。学園がお休みの日で、ルイス様は部屋で予習をしていた。休憩するからケーキを食べたいと言われ、お茶とケーキを用意して、彼の部屋に戻った。


 すると、私が浮かない顔をしていたからか、ルイス様がイチゴがこれでもかと載ったケーキの皿を差し出しながら話しかけてくれた。


「お気持ちは有り難いのですが、女性の全てが甘い物につられるとは思わないでくださいね」


 憎まれ口を叩く私に、ルイス様は眉尻を下げる。


「それくらいはわかっている。甘い物が好きではない女性がいて当たり前だからな。でも、フィリアは好きだろう? 食べるんだ」

「……ありがとうございます」


 礼を言って皿を受け取る。ルイス様は満足したように頷き「座って食べればいい」と正面の席に座るように促してくれた。

 お言葉に甘えて座らせてもらうと、ルイス様がティーカップを私の前に置き、ティーポットの中に残っていたお茶を注いでくれた。


「何から何まで申し訳ございません」

「何を言う。このお茶を淹れてくれたのはお前だろう? 何から何までというわけじゃない。俺だってお前に助けてもらっている。悩んでいるのなら力になるぞ?」

「プライベートな話なんですけれど、どうしようか迷っていることがありまして……」

「……話したくないなら無理に話さなくてもいいんだぞ?」

「あの、とりあえず、お話だけ聞いてもらってもいいですか?」


 ケーキを一口大に切って、口に運んで咀嚼する。イチゴが酸っぱく感じ、何だか涙が出そうになった。


 それだけ、心がまいってるのかもしれない。


「かまわん。話して気持ちをスッキリさせるんだ」

「ありがとうございます。……実は、同窓会の誘いが来たんです」

「同窓会? また、あの嫌な男が来るのか?」


 パーティーの時のことを思い出したのか、ルイス様が眉間にシワを寄せた。


「来るかもしれませんが、さすがに私に馬鹿なことはしないでしょう。それより、スポーツ大会で話題になった彼が来るんです。それが憂鬱で……」

「ああ。フィリアが昔、好きだった男だな?」

「そうです。今となっては恋心なんて綺麗さっぱりなくなっているんですが……」


 スポーツ大会の次の日に、ルイス様には事情を話していた。だから、彼が誰だかはわかってくれているし、彼が怪しい人物ではないかどうか調べもしてくれていた。


「いいじゃないか。別に悪い人物ではなさそうだ。俺としては、キーファとくっついてほしかったが、これは俺が決めることじゃないからな」


 アットン以外の人をルイス様に薦められると、それはそれで複雑な気持ちになる。


「アットン卿は前にルイス様が言われたような条件を満たしていないじゃないですもんね」

「ん? 条件? ……ああ、フィリアが好きで、相手もフィリアを好きだと思ってくれる男性という話か?」

「そうです」

「別にそんなことはないだろう。フィリアはキーファのことが好きじゃないか」

「なっ? 何をおっしゃっているんですか!?」 


 思わず、食べていたケーキを噴き出しそうになった。すると、ルイス様は優しい笑みを浮かべる。


「照れるな、照れるな。もちろん、他の奴は気付いていないぞ? あ、お前の家族は別だがな。ラナ嬢も気付いている」

「……ルイス様、ラナと仲良くなってきているようですね」

「そ、そう思うか!? ラナ嬢が俺のことを何か言ってくれているのか?」


 ルイス様が身を乗り出して聞いてくる。以前よりかはラナの口からルイス様の名前は出るようになったので、進展しているのは確かだと思う。


 でも、今はそれを素直に口に出したくない。


「……そうですね。何もない廊下で転んでいるルイス様を見た、とかですけど」

「な、なんだって!?」


 頭を抱えるルイス様に苦笑したあと、話を戻す。


「で、どうして、私がアットン卿のことを好きだと思うんですか?」

「だって、好きだろう?」

「答えになっていませんよ! どうしてそんな風に思ったんですか?」

「フィリア、自分では気が付いていないようだが、綺麗になったぞ」

「……はい?」


 わ、私が綺麗になった?


 ぽかんと口を開けた私を見て、ルイス様は微笑んだ。




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