28 ないです
ルイス様から詳しく話を聞いてみると、御学友の誕生日パーティーに出席するから、その時の護衛をしてもらいたいらしい。
「ルイス様、僕はミュウ様の騎士ですので、日時の調整ができるか確認してみます。それから、ミュウ様が嫌がられると思うのですが、どういたしましょうか」
「ミュウには俺から話をつけておく。こき使ってしまって申し訳ない。仲の良い友人のパーティーだから、絶対に行きたいんだ」
「それはかまいませんが、僕である必要があるんでしょうか」
アットンが困惑した様子で尋ねると、ルイス様は笑顔で答える。
「俺の父上の代理を頼みたいんだ。キーファなら皆認めてくれるだろう」
「保護者代わりにさせるつもりですか。ただ、それについても僕でなくてもいいと思います」
ここまであからさまに私と接点を持たせようとされたら嫌になるだろう。ルイス様はそういう気遣いができる人なのに、どうして今回は気づかないのか。もしくは気づかないふりをしている?
「その日、父上と母上他のパーティーに誘われているんだ。かといって、7歳の俺だけパーティーに出席させられないと言われた。どうしても行きたいと伝えたら、父上たちが信用できる人が一緒に行くならいいと言われた」
ルイス様は、上目遣いでアットンを見つめて続ける。
「父上はキーファならいいと言ってくれたんだ
。いつもならそこまでしてもらわなくても我慢できた。だけど、1番仲の良い友人のパーティーなんだ。祝ってやりたい。もちろん、どうしてもキーファが嫌だというなら諦める!」
ルイス様はそう宣言したけれど、何だか悲しそうだ。
アットンに同情の目を向けながら思う。
断りづらいわよね。
こんな子供らしいルイス様は、あまり見ないし、余計にかもしれない。
暫しの沈黙のあと、アットンは小さく息を吐いてから頷く。
「……承知しました。ミュウ様が許可されるのでしたら、僕はかまいません」
「もちろんだ。話はつけておく。代わりの騎士の段取りも俺がしておく!」
ルイス様の表情が一気に明るくなったので、アットンは微笑する。
「その際はどのような服装のほうがいいでしょうか」
「正装で頼む」
「承知しました」
「ルイス様、私に選択権はないのでしょうか」
話がついたようなので、今度は私が尋ねた。
アットンがいるなら、私は必要ないはずだ。
「格好はドレスでも、騎士の仕事には変わりはない。フィリアは人を守る仕事がしたいのだろう?」
ルイス様に笑顔で言われ、返す言葉のない私は頷くしかない。
いや、騎士の仕事をさせてもらえるのはありがたいけど、何か違う。
アットンに気の毒そうな目で見つめられて、何とも言えない気分になった。
結局、私には拒否権はない。私は私でルイス様が喜んでくれるなら、それはそれでいい。
納得した私は、バトラーの所に行く前に先程のメイドたちの話をルイス様に報告した。
すると、ルイス様は怒りで顔を真っ赤にして叫ぶ。。
「なんてことをするんだ! 信じられない!」
メイドの件でこれだけ怒ってくれるのだから、騎士の話はしないほうが良さそうだ。……まあ、そのうちバレてしまうとは思うけど、今はいいわよね。
ルイス様は勢いよく立ち上がって私を促す。
「フィリア、行くぞ!」
「ど、どこへですか!?」
「更衣室だ! もちろん、誰かいるなら俺は中に入らない! いなくなったら自分の目で確認する!」
「ええ?」
先に部屋を出ていってしまったルイス様を慌てて追いかける。アットンも少し遅れて付いてくるので、歩きながら彼に話しかける。
「あなたは来なくてもいいわよ」
「気になるから一緒行くよ」
「気持ちはありがたいけど、そんなことをするから付き合ってるなんて言われるんでしょう!」
文句を言うと、アットンは「それはそうだね」と困った顔をした。
「よくわからないが、噂されているのなら、その通りにお前たちはお付き合いしたらどうなんだ?」
「「ないです」」
会話に入ってきたルイス様に、アットンと声を揃えて言うと、ルイス様は眉根を寄せる。
「声を揃えられるほど仲が良いのに、どうして付き合うのは嫌なんだ」
「お付き合いするなら、好きな人がいいんです!」
「僕もそうです」
「じゃあ、お互いを好きになればいいだろう!」
「「そういう問題ではありません」」
また、アットンと声が揃ってしまい、ルイス様が「やっぱり仲が良いじゃないか」と呟いた。




