↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
騎士志望の伯爵令嬢ですが、小さな紳士の公爵令息のもとで恋と仕事に邁進します!  作者: 風見ゆうみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

18/28

17  付き合っていません!

「悪いけど、バッタに呼び出されたから行くよ」


 呆然としている令嬢達に、いつもの笑顔を向けてから、アットンは私に付いてきた。


 バッタ様を自由にしてするために、庭園に続く扉に向かうと、彼が先回りして扉を開けてくれた。


 こういうところは紳士なのだろう。


「ありがとう」

「こちらこそ、ありがとう。助かったよ」

「私は大して何もしていないわ。礼を言うならバッタ様に言ってよ」

「ありがとう、君のおかげで助かった」


 アットンは、足を必死に動かして私の指から逃れようとしているバッタ様に、身を屈めて言った。

 

「もう逃がしてあげてもいいでしょう?」

「もちろん。彼女たちも追いかけてきていないしね」


 アットンが頷いたのを確認し、私はバッタ様を近くの草むらに放してやった。

 

「よく素手で捕まえられたね」

「小さい頃、虫を弟のためによく捕まえてたのよ。だから掴めただけ。捕まえたのは別の人」


 今回の経緯を話すと、アットンは微笑む。


「つかんでいるだけでもすごいよ。多くの女性は大人になったら、虫をつかむことを拒否する人が多くなるからね」

「あ、私だって、黒くて素早く動く奴は無理よ。殺せることは殺せるんだけど、部屋の中が滅茶苦茶になるから、基本は私が逃げるようにしてる」

「部屋が滅茶苦茶になるって、どんな退治の仕方をしてるのさ」


 アットンが楽しそうに笑った。


 あ、今の笑い方は、普段の笑顔とは違う気がする。本当に面白かったのかもしれない。


 そう思った時、大事なことに気がついた。


 そうだわ。こうやって二人でいるところを誰かに見られたら、また変な噂が広がってしまう。


「さて、戻る所は一緒だけど、別々に戻ることにしましょうか」

「どうして? 一緒に戻ればいいと思うけど」


 アットンが不思議そうな顔で私を見つめる。


「変な噂をたてられたら困るでしょう?」

「……もう遅いんじゃないかな」

「そ、そうかしら」

「たぶんね。でも、安心して。君とは仕事仲間なだけと、ちゃんと伝えておくから」

「……ありがとう」


 アットンは簡単に考えているみたいだけど、今日のことだけじゃなく、先日のレストランでの件もある。

 周りは、私たちの関係を面白おかしく考えていると可能性がある。


 親衛隊の場合は、私への恨みを募らせていそうだ。かといって、彼を責めるつもりはない。

 

 別々に戻っても、どうせ親衛隊に捕まるだけだし、一緒のほうがいいんだろうか。


 そう考えた時、リングスとミント様が慌てた顔をして駆け寄ってきた。


「姉さん!」

「お兄様!」


 リングスは私に、ミント様はアットンに話しかける。


「騒ぎがあったようですが、大丈夫だったんですか?」

「お兄様ったら勝手にいなくならないで下さい!」


 今度は私がリングスに、アットンがミント様に言葉を返す。


「大丈夫よ。まあ、これからが面倒なことになるかもしれないけど、大して気にしないわ」

「先にいなくなったのは君だよ」


 私の無事を確認したリングスは安堵の笑みを浮かべた。そして、私の隣にいるアットンに慌てて挨拶をして、また私に視線を戻し、小声で尋ねてくる。


「姉さん、こんな所に二人でいるということは、やっぱり噂は本当だったんですか?」

「違うわよ」

「噂ってどういうことなの?」


 私たちの会話が聞こえていたらしい。

 ミント様が首を傾げてリングスに尋ねた。


 これ以上、誤解する人を増やしたくない。


 私はリングスの口をふさごうとしたけれど、少しだけ遅かった。


「姉さんとアットン伯爵がお付き合いしているという噂ですよ」


 暫しの間、ミント様はきょとんとした顔でリングスを見つめた。

 驚いた顔をしたアットンが口を開こうとすると、ミント様が急に叫びだした。


「えええええ! お兄様ったらいつの間に、女性嫌いを克服したんですか!? も、もちろん、 驚きもありますが、嬉しい気持ちが勝ちますわ!」

「付き合ってない」

「付き合っていません!」


 私とアットンの否定する声が綺麗に揃った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。