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ネルソンSide2 純粋な私利私欲

本日も読んでいただきありがとうございます!

本編繋がります


すぐに伯爵家に問い合わせた。事実確認はどうなっているのか、どうして事故が起きたのか、故意の可能性はあるのか、まさか、彼女が自殺をしてしまったんじゃないか、とか。


だが、ユリウス・ジルコニアートからの返事は「調査中、情報あれば伝えるように」だけだった。


情報と言っても、何も知らない。彼女がその日どこに行こうとしたのか、どうして一人だったのか、何も知らない。

…そうしてふと思った。彼女を一人にしてしまったのは、僕だったのではないかと。僕こそが彼女を死に至らしめた犯人であり、張本人なのだと。


部屋の中で、彼女にひたすら謝り、神に彼女を助けるように祈り続けた。女神が本当にいるのなら、僕なんかよりもきっともっと強い。だから彼女を助けてほしい、と道理も分からず祈った。


するとある日、毎日ドアをうるさいくらい叩いていた父上の口から、とんでもない言葉がでてきたのだ。


「ご所望のご令嬢」だと。

そんなはずはない、父上はそのあたりの冗談は弁えているはずなのに、どうしてそんな酷いことを言うのか。いやでも、まさか。


一縷の希望が捨てきれなかった僕は、そっとドアを開いた。そしたら眼の前に彼女がいたのだ。

彼女もまた、僕の顔を見て心底驚いた顔をしていた。


僕は夢か幻か、幽霊でも見たんじゃないかと思って処理できずに固まっていたが、そのうちに父上にドアを閉められた。


僕はふらふらと神にもう一度祈りを捧げた。

「本当に、本当にありがとうございます…!」と。


それから、僕は彼女を守ることを第一に考えることにした。よく考えれば、僕はたしかに諸悪の根源であり、最悪のことをしたけれど、ポンコツ会長、もといポンコツ騎士団長にも絶対に原因はある。


彼女は自分からこの計画を立てて出てきたようだったし、彼女が自分から戻りたくなるまでは、なんだか彼女も楽しそうだったし、自由に過ごしてもらおうと思った。


どうせ彼女がここにいるなら、アピールもしておこうと思った。僕がやったことを知ったら間違いなく振られるので、むしろ好き勝手やった。


背水の陣とも言える。

彼女がうろたえる姿がかわいくて、ついやりすぎたりもしたが。僕はそのあたりは根本的に変わらないらしい、反省しないと。


それから、数カ月経ったくらいから、会長からちょこちょこ捜査協力の依頼が入るようになった。最初は話を聞かせてほしいといった内容だった、何も話すことはないなと断った。


次は父上に事情を聞きたいとのことだったけど、彼女は友達と楽しそうだったので、父上に言って断った。


更にその次は使用人について聞きたいとのだったので、特に問題ないですよと、返事をして終わった。


直接やってきて家宅捜索させろと言うので、令状ないと無理と断った。


そしたら今回である。


確かに後半は僕の私利私欲だ。彼女があまりにものびのび暮らしているから、手放したくなかった。


それに、最初は特に騎士団長としての義務感でやってるかなぁって思っていたから断っていたけど、段々必死になる会長を見ていると面白くて、良いようにからかってやろうと思ったのも事実だ。


それが転じて今日である。

のらりくらり交わしていたけど、段々会長の怒りは高まっていくし、父上は胃が痛そうだし、レイ君と名乗る彼女が覗いているのも見えたから、そろそろ自白してネタバラシしてやろうと思ったんだ。


だけど、そんな時に会長が「私の妻」なんて言うものだから、僕も少しイライラしてしまって。


ついでに彼女が僕を庇おうと飛び出そうとしているのも見えて、マウントを取りたくなってしまって。



「そんな忙しいくらいで夫婦関係が破綻するものですかねえ、そういえば会長、あなた、気が多い噂も立っておりましたが?」と話を続けることにした。


まあちょっと会長をからかいつつ、最後は僕がやったことを会長が突きつけるだろうから、結果オーライかな、なんて思っていた。


だけどまさか、一番大切な会長のセリフを聞く前に、彼女が走り去ってしまうとは思わなかったんだ。



ーーーーーー


「その噂を広げたのもお前だし、そうなるよう仕事を押し付けてきたのもお前だろうが!!!」


そう言って綺麗な顔を歪ませる会長を眺めながら、計算と違うな、と僕は心のなかで少し動揺していた。


このままだと僕は無罪放免、彼女が一方的に傷つけられたことになってしまう。彼女は僕に対して怒りをぶつけるべきなのに。


そう思った僕は、「聞いているのか!」と珍しく声を荒げている会長を放置して、おそらく彼女が走っていった方向へと僕も走り出した。


会長があっけに取られていたが、慌ててついてきている気配がしたので、そのまま彼女を追うことにする。


「うーん、大丈夫かな…」


先程までいたサキとジルが廊下にいなかったので、彼女と一緒にいてくれているのだと思う。


だから僕は急いで走った。

自白とお詫びのために。

いつもブックマーク等励みになっております…!

本編続き、次回より始まります!

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