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397 密かに作っていた『???』

 接近するにつれ、向こうのサイズがハッキリしてくる。


「あー、やっぱ原寸大か」


 夢の中だから人間サイズもあるかと思ったんだがな。

 よくよく考えたら、あのアニメが大好きなトモさんがそんな無茶苦茶なことする訳ない。


 そうなると俺たちが直接相手をするのは色々と工夫が必要になってくる。

 いつものように首ポキの通用する相手じゃないからさ。

 頭を吹っ飛ばしても、間違いなくアレは動くよ。


「まだだっ!

 たかがメインカメラをやられただけだ!」


 なんてことを言うかどうかは知らないが。

 そもそもコクピットを撃ち抜いたりしても動きそうな気がするんだよね。

 金や赤の機体たちはともかく、あの緑の機体たちは何かが違う気がするのだ。


 サイズや外観は原作に忠実だけどな。

 確かに持っている兵器はカスタムした機体専用のビームランチャーだ。

 そう考えると接近戦を挑めばビームサーベルで対抗してくると思われる。


 ベース機体はビーム兵器の同時使用はできなかったけれど。

 カスタム機はその辺が使えるようになっているからな。

 その分、兵装はその2点に限定されている点も見た限りでは守られているようだ。

 他の部分ではどうだか分からんが。


 兵器の出力とかは変えてくる恐れがあるからさ。

 もしかすると見た目を原作に忠実にすれば魔力の消耗を抑えられるのかもな。

 ここはトモさんの夢の中だ。

 彼の記憶を利用するみたいなことができるのかもしれない。

 検証している余裕はないが、そう仮定しておこう。

 少なくとも損にはなるまい。


 そうやって魔力を節約できれば武器の出力に回せるのであれば厄介だ。

 ただ、現状は低めに抑えられているように思う。

 コロニー内の建造物への被害で確認する限りはね。

 ビルなんかは見るも無惨な状態だけれども。

 ただ、コロニーの壁に穴が空くようなレベルでは損傷していない。


 敵が出力調整している?

 いや、それはない。

 緑の集団は俺たちのような外部からの侵入者だからな。

 戦闘がこちらに近づくにつれて明確に殺気を感じるようになった。

 だから部外者であるのは間違いない。


 応戦している側は気配がないからな。

 いや、正しくは夢の世界全体に拡がっている気配と同じため個体差を感じないだけだ。

 位置の把握は魔力の流れで分かる。

 そういう意味でも緑の機体たちは異なる存在だと言える。

 禍々しい感じがするのだ。


 ふと、気が付いた。

 緑の奴らは中身に問題があるのだということに。

 むしろ側はトモさんのものだろう。

 乗っ取られているのだ。


『あの襲いかかっている方、ゴースト系のアンデッドが憑依して操ってますよね』


 回線はつなぎっぱなしのエリーゼ様に問う。


『正解よ、よく気付いたわね』


『今の今まで気付けませんでしたがね』


 なぜ気付かなかったのかというくらい観察したはずなんだけど。

 そのあたりも誤魔化されていたのかもしれない。

 そういう意味でも悪意ある侵入者と言えるだろう。

 奴らが何もしないなら、こんな風に評価したりはしない。


 もちろん攻撃してくる訳だ。

 俺らは巻き込まれただけなので、まだ狙われた訳じゃない。

 今のところ狙われているのは陣営的に敵対している兵器を扱っている彼等だけだ。

 赤い人の歴代の機体で構成された小隊に対してのみ発砲しているから間違いない。


 これに対し小隊サイドも応戦している。

 4対6と数の上では不利。

 地形的にも劣勢を覆しづらい状況だ。

 あのサイズで戦うのに遮蔽物はないからな。


 仮にビルとかの影に隠れられてもビームは余裕で貫通するし。

 そのせいか小隊サイドは射撃でビーム兵器を使おうとしないんだよ。

 コロニー内部という特殊環境下での戦闘が影響している?


 実際、アニメでも金ピカに乗っていた赤い人が緑の奴らと交戦して苦戦していたけど。

 結局は中立コロニー内部で戦闘を行ったということで連行されたんだっけ。

 保釈金を払って早々に解放されたようだけど。

 確かあの戦闘じゃ緑の連中の攻撃でコロニーの外壁に穴が空いたりしてたはず。


 シチュエーション的には今と似ている。

 違う部分も多々あるけれどね。

 そのせいなんだろう。

 小隊サイドの応戦の仕方も似ているように思える。

 ずいぶん前に見たから記憶違いもあるかもだけど。


 まず射撃にビームを使わない。

 金色の頭部バルカンや実弾系バズーカ。

 赤たちはマシンガンだな。

 赤い人が最初に搭乗していた機体のはドラムマガジンを使う専用のやつだ。

 他のマシンガンはTVアニメでは出てこなかったな。

 コロニー内部で戦うことを想定して最初から装備していたようだが、渋いチョイスだ。


 ただ、相手はロングレンジの専用兵装だからなぁ。

 射程の差が思い切り不利に働いている。

 バズーカも壁に穴を開ける訳にはいかないから限定的にしか使えないし。

 おかげで完全に読まれて敵のビームランチャーで撃ち落とされている。

 接近戦を挑もうにも数と射程を利用して連係されるとどうにもならないようだ。


「主よ、あちらの緑の集団の方が優勢じゃぞ」


 言われなくても分かっていることをあえて言ってくるシヅカ。


「どうにかしろと言いたいのは分かるんだがな」


 つまりは、そういうことだ。

 こちらにも流れ弾が飛んで来るような状況だしな。

 現状で実弾もビームも弾くことができているが、それだけだ。

 小隊サイドが敗北することがあれば次は俺たちが狙われるだろう。

 数的に圧倒できる状況でもないので俺らは後回しにされているようだからな。


 俺だって何もしていない訳じゃない。

 倉庫の中ではな。

 敵の特性を考えると同じ土俵に立たなきゃ戦えない気がしたのだ。


 デカいアンデッド相手にチマチマと切り掛かってもな。

 特大の聖炎という訳にもいかないんだよね。

 コロニー内の被害を拡大させる恐れがあるから。

 下手すりゃ緑のビームランチャーより酷いことになりかねない。


 トモさんの夢の中を荒らしまくるってのも避けたいところだ。

 どんな影響があるか分からんからな。

 本当は今すぐ飛び出したいところなんだが。


「シヅカの言い分はもっともだ」


 だから敵の特性やコロニー内部での戦闘の難しさを手短に語って聞かせた。

 それこそ俺が躊躇している理由だからな。

 でなきゃ、とっくに武力介入している。

 シヅカが頷きながらも溜め息をついた。


「彼奴ら極めて高度なゴーレムのようじゃな」


「緑色の方か?」


 恐らくは両方なのだろうと思いながらも聞いてみる。


「敵と味方で違うのかえ?」


 やはり間違っていなかったようだ。


「ああ、そうなる。

 金ピカと赤い方はその認識でいい。

 しかし、緑の方だと半分だけ正解だな」


「半分だけじゃと?」


「ボディはゴーレムで間違いない。

 中身の方はまるで別物だがな。

 だから半分正解なのさ」


「どういうことじゃ?

 ゴーレムはゴーレムじゃろう」


 シヅカは首を傾げている。

 しまった。

 緑色の中身がゴースト系アンデッドだという説明を忘れていた。

 簡単には倒せないと説明した時に言っておけば……

 まあ、悔やんでも始まらん。

 とっとと説明しようと思ったら、そこに口を挟んでくる者がいた。


「なるほど、その発想なら説明がつく」


 そう言い出したのはルーリアだ。


「あの緑色たちは中身がアンデッドなんだな」


「そうだよ」


 俺の返答で全員が納得した表情となった。


「難儀よの。

 あれだけの大きさを支配するゴーストじゃと?

 ちまちまと攻撃する訳にもいかんか。

 かといって派手にやると周辺被害も拡大するじゃろうな」


「そういうことだ」


「許容できるのは?」


 シヅカの言葉をノエルが引き継いだ。

 かなりやる気になっているな。


「ハル兄が戦うと、この夢の人の心を傷つける。

 だったら私達が戦えばいい。

 少なくとも今のように防御に専念するよりはマシ」


 言われてしまった。

 確かにそうなんだが……


「もう少し待ってくれ。

 月影には出てもらうつもりだった」


 こういう時に小首を傾げてくるのは反則だ。

 不意打ち過ぎる。

 あまりの可愛さに身悶えしそうになるじゃないか。

 いや、しないけどな。

 不謹慎だし。

 急にそんなことしたらドン引きされるだけだし。


「要するに同じ土俵に立てばいいのさ」


「どういうこっちゃの?」


 今度はアニスが聞いてくる。


「同じサイズで切り付けたらどうだ?」


 ビームサーベルに光属性の効果を持たせれば浄化は難しいことじゃなくなる。

 こういうのはルーリアの専門分野だからな。

 最近は月影の面子もシンサー流の修行をしているし。


「こっちも、あのサイズのゴーレム用意するっちゅうんかいな」


 呆れたような視線を向けられた。


「正解だ。

 そしてもうすぐ完成する」


 あの時代の機体で格闘戦に強くて高速移動ができる機体でチョイスした。

 更に後の作品とか別の作品も考えたんだがね。

 俺が選択したのは続編に出てきた可変機だ。

 金ピカのデータを元に作られたとされる機体だね。

 大気圏突入能力なんてあるけど、今回は関係ない。

 加速性能では青いエイ型には負けるが、アレは敵の中にはいない。


『絶対に逃がさねえからな』


『そうそう、その意気だ』


 電話切るの忘れてた……

 まあ、いいか。

 不測の事態に陥った時には何かしらアドバイスをもらえるだろう。

 よし、できた。


「完成したぞ」


「待ちかねたわよ」


 不服そうな口振りのレイナだが、表情は不敵なものである。

 うん、頑張ってくれ。


読んでくれてありがとう。

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