396 夢の世界で悠長にしていたら戦闘が始まる?
修正しました。
微妙に気配が違う → あっちは微妙に妙な気配を感じるな
モデルはいますが御本人とは異なる別人です。
「そういや友達だって?」
マイカさんよ、珍獣を発見したような目で見るのは失礼だとは思わんのかね。
「人見知りのハルくんが凄いよね」
ミズキ、君もか。
「……………」
過去の自分を振り返るに、仕方のないことだ。
「さっき説明するって言ってたよ」
ミズキさんが隙のない追究をしてくれますよ。
確かに約束したことだ。
「しょうがないなぁ」
スペースコロニー内を歩きながら俺は日本にいた頃の話を始めた。
ラジオの公開収録から意気投合はしたもののホモ疑惑をかけられたところまで。
「──という訳だ」
話し終わった瞬間にマイカが立ち止まった。
立ち止まる前の足取りがヨロヨロして少し様子がおかしかったけど……
腹を抱えて小刻みに震えている。
「おい、マイカ?」
周りにいた皆も心配そうに見ている。
「マイカちゃん?」
ミズキが見かねて下を向いているマイカの顔を覗き込もうとした瞬間のことであった。
「ギャハハハハッ!」
突如として爆笑し始めるマイカ。
仰け反ったり地団駄踏んだりと忙しい。
「オッサンとホモォ───。
今年一番のネタでしょお!」
ゲラゲラ笑い続けるマイカ。
古参組がそれに釣られて笑い始める。
俺に遠慮して「悪いよ」とか互いに言いながらなので控えめではあったが。
だからこの話は避けたかったんだ。
おまけにホモネタなんて分かるはずもない新規組は呆気にとられている。
なんとなく察したようなエリスには生暖かい目で見られるし。
カオスな状況である。
今の俺の心境は「くっ、殺せ」である。
似合わねえだって?
女騎士とオークの組み合わせじゃなくても言いたくなるんだよ。
それほど屈辱的なのだ。
「おい、遊びに来たんじゃないんだぞ」
「だってさぁ」
ようやく笑いが収束してきたマイカがそう言いつつ目尻に浮かんだ涙を指で拭っていた。
此奴め、全力で笑ってやがったな。
「それで誰よ、その愉快な声優」
笑いの余韻を残しながらも聞いてくる。
「純田朋克だよ」
「えっ!?」
俺の返答に反応したのはミズキだった。
「3倍の速さで迫る赤い人のあのアニメとゲームの好きな、あの?」
「そうだな」
例のアニメをそんな風に表現するか。
どれだけ仮面の人推しなんだ。
あ、物真似するからか。
アレは芸人的なネタを挟んできたりするから面白いよな。
大本のアニメに関しても話していて面白いと思う。
延々と話し続けられるしなぁ。
ああ、ゲームの方も濃い趣味をしていると言える。
そっちは俺の知らないネタばっかりで困惑することが多いけど。
「同業者の物真似をよくする、あの?」
「そうだな」
それで先輩に目をつけられたとラジオで自ら暴露してたことまであるくらいだ。
何処までがネタか分からんから真相は不明だけどな。
真面目だし礼儀正しいから大目には見てもらえているんだろうけど。
「イベントやラジオで自由人と共演者に恐れられる、あの?」
「恐れられてるかどうかは聞いてみないと分からんぞ。
自由人と言われているのは事実だが」
「後輩に優しいけど親しくなると下ネタで距離を取ろうとする、あの?」
「親切なのは知ってるが、後半のネタは知らん」
俺より詳しいじゃねえかよ。
「ファンなのか」
聞いてみたら首を傾げられた。
「違うのかよ」
思わずツッコミを入れていた。
「面白い人なんだけどね。
ゲームの趣味も悪くないと思う。
でも、出演しているアニメとかはあまり見てないよ」
なんだかなぁ。
この話を本人に聞かせたら「なんだってー」とか顔芸付きの棒読みで言いそうだ。
「それは確かにファンとは言えないな。
ちなみに見たことあるのは、どれだ?」
あまりと言うからには皆無ではあるまい。
メジャーなタイトルのは見ているんだろう。
「眼鏡の青い人が抜刀するアニメは見たかなぁ」
「……………」
えらくマニアックなのが出てきたな。
「あとは特撮のコウモリなのとか」
アニメじゃないあたりがコメントしづらい。
ミズキは特撮好きだからな。
それはマイカもなんだが。
何にせよネタが細かすぎるって。
そろそろ切り上げよう。
本人確認は充分すぎるだろ。
「とにかく、その純田くんだよ」
「愉快な人と知り合ったね、ハルくん」
「愉快なって……」
否定はできないがな。
「オフは真逆な人だぞ」
「うっそだー」
俺が擁護的発言をしたらマイカが即座に否定してきた。
気持ちは分からんではないがな。
仕事の時は作られたキャラと思えないほど自然にやってるし。
頭の回転が速くてアドリブに強いのもそういうことなんだろう。
「上辺だけを見ていると見誤るタイプだよ。
繊細だし、自分をさらけ出しているようで芯はほぼ見せないし」
「愉快な部分は全部ポーズってこと?」
「全部じゃないよ。
虚実織り交ぜてるって言えばいいのかな」
「どうしてそんなことするのさ」
「だから繊細なんだって。
誰でもウエルカムみたいな態度だけど、芯の部分にまでは踏み込ませないんだよ」
「あ、もしかして下ネタが多いのって」
ここでミズキがふと気付いたように言ってきた。
「まあ、そこで距離感をはかっている部分はあるよ」
それが全てでもないけど。
「親切でフレンドリーだから内側に入ろうとする人も多いんだ。
でも本当の意味では誰でも迎え入れている訳じゃない」
「えー?」
どうにも疑わしい目で見てくるマイカ。
「たとえるならホームパーティーを開くような精神性かな」
「どういうこと?」
「色んな人を自宅に招くけどリビングやダイニングどまりな感じ。
自室に招き入れるのは、よほど親しい人間だけというタイプだよ」
「あー、それで繊細なのね」
ふんふんと頷いている。
「広い緩衝地帯を用意して最終防衛ラインに踏み込ませない訳だ。
頑なに拒否するタイプと同じくらい懐に入れない相手だよね」
「そこまで極端でもないぞ」
俺がそう言うとリアクションが薄かった。
マイカの方を見ると生暖かい目で見返される。
「なんだよ」
「別にぃー」
白々しいとぼけ方をしてくれる。
「とりあえず、この話はここで終了だ」
話し続けると俺の方が居づらくなる。
と、その時のことであった。
「ハルくん、変なのが来るよ」
「変なのだって?」
気配はない。
ミズキが指し示す方から人型機動兵器が何体か飛来する。
「……………」
「先頭は金色だね」
とミズキ。
「その後ろに赤いのが3機。
編隊を組んでるよ。
ダイヤモンド型だね」
全部、赤い人の機体だな。
金色だけ続編に出てくる機体だけど。
赤いやつのうち1体はアニメでは出てこなかったやつだな。
バズーカ砲の形をしたビーム兵器を持ったずんぐりした機体だ。
後は最初に乗っていたのと後半に出てきた試作機だな。
「後ろから薄い緑のが追ってきてる。
全部同じやつだけど6機だから数では不利かな」
あー、続編で1回しか出なかったカスタムタイプの機体か。
マニアックな選択してるな。
けど、追いかけているってどういうことだ?
俺が疑問を抱いた瞬間、緑色のが手にしたビーム兵器を一斉に撃った。
赤い集団が振り返って応戦するが、こっちに向かってくるな。
流れ弾がこちらにも飛んで来る。
命中した周辺の建物は次々と破壊されていく。
「おいおい、危ないな」
マイカが文句を言っている。
「暖気なこと言ってんじゃねえ、バカ」
「あー、バカって言った。
バカって言う方がバカなんだ」
とりあえず無視だ。
不毛な言い合いになりかねん。
そんな暇はないからな。
「密集して防御態勢を取れ。
緑の方は敵と見なす」
「いいの?」
ミズキが聞いてきた。
「ああ、あっちは微妙に妙な気配を感じるな」
嫌な感じがする。
念のために脳内スマホを使ってエリーゼ様に連絡を試みた。
夢の世界で使えるかは微妙なところだけど。
俺の懸念をよそに1コールでつながった。
有り難い!
『はいはい、見てるよ』
『アレは倒してしまってもいいですよね』
『いいんだけど、そこは「倒してしまっても構わんのだろう?」と聞くべきじゃない?』
こんな時にネタなんかぶっ込んでいられない。
とにかく応戦だ。
読んでくれてありがとう。
ちょっと遅くなりました。
すみません。




