新しい色に染まる春
3月9日
【アラタ】
(……)
今年。
(……)
何が起こるんだろう。
「おはよう、アラタ。今朝はどう?」――母
「うん、大丈夫。」――アラタ
「どうしたの、お兄ちゃん? 何か心配事でもあるの?」――サキ
(……)
何が起こるか。
(……)
分からない。
「今日、クラス替えがあるんだ。」――アラタ
「アラタ。」
「本当の友情は、クラスが変わったくらいじゃ壊れないよ。」――父
「じゃあ、母さん。行ってきます。」――アラタ
「サキのこと、頼んだよ。もうお前も立派なお兄ちゃんなんだから。」――父
「うん、任せて。」――アラタ
(……)
今度は。
(……)
僕の番だ。
(……)
サキは。
(……)
いつも僕のそばにいてくれた。
(……)
だから今度は。
(……)
僕が支える番なんだ。
【玄関のパティオ】
【ハル】
「おはよう、アラチン。元気?」――ハル
(……)
少し。
(……)
ぼんやりしてる。
「うん、元気だよ、ハル。」――アラタ
(……)
何か。
(……)
様子がおかしい。
彼のもとへ駆け寄り、
抱きしめる。
(……)
大丈夫。
「愛してるよ。
落ち着いて。
私はいつもあなたのそばにいるから。」――ハル
――友よ。
たとえクラスが別々になっても、
僕たちはずっと一緒だ。
あの事故でさえ、
僕たちを引き離せなかったんだから。――セイジ
――ありがとう、セイジ。
その言葉は、
僕にとって本当に大きな意味があるよ。――アラタ
(……)
彼の気遣い。
(……)
僕が恐れているのは。
(……)
変化なんだ。
――でも。
これだけは変わらないよ、
愛しい人。――ハル
――その通りだ。――みんな
【アラタ】
(……)
いよいよ。
(……)
今日が来た。
(……)
少なくとも。
(……)
覚悟はできている。
「みんな、クラス分けを発表するよ。」――先生
(……)
興味深い。
「アカリ 2-A」
「ユナ 2-B」
「セイジ 2-A」
「花田ハル 2-D」
「石神アラタ 2-D」
(……)
よかった。
(……)
ハルと一緒だ。
「失礼しました。」
「石神アラタ、2-Cです。」――先生
(……)
そういうことか。
「石神君、あとで職員室へ来てください。」――先生
「今回、君だけ別のクラスにした。」――先生
(……)
やっぱり。
「環境の変化を受け入れる力を身につけてほしいんだ。」――先生
(……)
また一つ。
(……)
試練なんだ。
「分かりました。」――アラタ
「それと、生徒会長が辞任した。」――先生
(……)
生徒会長?
「生徒会のみんなが、次の会長は君がふさわしいと言っている。」――先生
「君なら学校をより良くしてくれると、みんな期待しているんだ。」
【アラタ】
(……)
相変わらず。
(……)
僕は変わり者なんだろう。
(……)
でも。
(……)
これからは。
(……)
僕がみんなを導く番だ。
(……)
こんな日が来るなんて。
(……)
思ってもみなかった。
「わかりました。
僕が新しい生徒会長を務めます。」――アラタ
「ありがとう、石神君。」――先生一同
休み時間
【アカリ】
「ねえ、みんな。
新しい生徒会長が決まったって聞いた?」――アカリ
(……)
誰なんだろう。
【ユナ】
「うん、聞いたよ。」――ユナ
(……)
いい人だといいな。
【セイジ】
(……)
相変わらず。
(……)
何も相談してくれないんだな。
「さて、誰になるんだろう。」――セイジ
【ハル】
「私にとっては誰でもいいかな。」――ハル
(……)
アラチンがいるなら。
(……)
それだけでいい。
【サイト】
「三年生じゃないらしいよ。」――サイト
【アラタ】
(……)
みんな。
(……)
まだ知らないんだ。
(……)
僕なんだけど。
「アラタはどう思う?」――セイジ
(……)
何を答えればいいんだ。
「何も。」――アラタ
「『何も』って何だよ。」――セイジ
「また変なこと言ってるな。」――サイト
(……)
そうだよ。
(……)
変わり者なんだ。
「実は……
新しい生徒会長は僕なんだ。」――アラタ
「えっ、本当に!?」――アカリ
「やっぱりね。」――セイジ
「相棒なら当然だ。」――サイト
「アラチン、おめでとう。」――ハル
「あなた以上にふさわしい人はいないよ。」――ハル
「だから先生たちが選んだんだね。」――ユナ
「うん。
でも……
この変化をうまく乗り越えられるか、
まだ分からないんだ。」――アラタ
「頑張れ」――みんな
生徒会室
【アラタ】
「新入生の皆さん、ようこそ。
生徒会長の石神アラタです。」
「部活動の入部届の締め切りは二週間後です。」
「分からないことがあれば、いつでも生徒会へ来てください。」
5月6日
【アラタ】
(……)
あれから。
(……)
一年が経った。
(……)
学校も。
(……)
すっかり賑やかになった。
「やあ、アラチン。」――ハル
「会長、アラチンって呼ばれてるんですか?」――生徒会役員
(……)
少し。
(……)
照れるな。
「うん。
ハルだけがそう呼ぶんだ。
僕も気に入ってるよ。」――アラタ
「会長。
ハルさんが待っていますよ。」――副会長
「分かった。
少し行ってくる。」――アラタ
「こちらは任せてください。」――副会長
中庭
【ハル】
「ねえ、会長。
今日は許さないからね。」――ハル
「はい。
これ、君へのプレゼント。」――アラタ
(……)
プレゼント。
「ありがとう。
すごく嬉しい。」――ハル
「一周年、おめでとう。
ハル。」
「この一年。
僕と一緒にいてくれて、本当にありがとう。」――アラタ
(……)
いつも。
(……)
優しくて。
(……)
思いやりのある人。
「ううん。
私の方こそ。
特別な存在でいてくれてありがとう。」――ハル
「私たちの思い出の場所に行かない?」――ハル
(……)
アラチンは。
(……)
思い出した。
(……)
すべてが始まった場所を。
「もちろん。
授業が終わったら行こう。」――アラタ
カフェ
【アラタ】
「懐かしい場所だね。」
「うん。
ここから全部が始まったんだ。」――ハル
(……)
あの演劇。
(……)
全部。
(……)
昨日のことみたいだ。
「英語の練習もしたよね。」――ハル
「二人で、本当にたくさんのことを経験してきたね。」――アラタ
(……)
でも。
(……)
一番良かったことは。
「君に出会えたことだよ。」――アラタ
「記念日おめでとう!」――ユナ
「おめでとう!」――みんな
(……)
えっ。
(……)
どうして。
「みんな、ここで何してるの?」――ハル
「二人きりになれると思った?」――セイジ
「相変わらず甘いな、二人とも。」――アカリ
「セイジ。」
「生徒会の仕事が増えそうなんだ。
だから、チェス部は君に任せたい。」――アラタ
「任せろ。
大切に引き継ぐよ、相棒。」――セイジ
【アラタ】
「本当にお似合いのカップルだね。」――サキ
(……)
セイジも。
(……)
幸せそうだ。
「サキたちもそうだよ。
それに、みんなもね。」――アラタ
「ハル、いつもアラタのことを支えてくれてありがとう。
そのおかげでサキは僕のことを支えてくれるんだ。」――セイジ
「ちょっと、セイジ。
私を支えるのはあなたの役目でしょう?」――サキ
「もちろんだよ、愛しい人。
お互いに支え合うんだから。」――セイジ
(……)
相変わらず。
(……)
仲がいいな。
「ハハハ!」――みんな
[ハル]
「ねえ、アオイ。
さっきからサイトにくっついてるよね?」 —ハル
「何言ってるの?
文化祭でみんなの前でアラタにキスしたのは、ハルじゃないの?」 —アオイ
「それに、花祭りの時だって彼を抱きしめてたじゃない」 —ユナ
(……)
確かに。
(……)
そうだった。
「でも……」。
アオイ
「だって……今年はサイトさんの卒業年度なんだから」。 —アオイ
(……)
とても大切な時間。
(……)
もう少しだけでも、彼と一緒にいたい。
「心配しないで、愛しい人」。
「今年も一緒にたくさんの思い出を作ろうよ」。 —サイト




