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文化祭と忘れられない誕生日

11月1日


【先生】


「さて、みんな。11月3日は文化祭だね」


「何を出そうかな?」――ユナ


「カフェはどうですか?」――ハル


【アラタ】


(……)


いい考えだ。


「ねえ、ハル。なんでカフェなんだ?」――アラタ


「アラタがすごく美味しいスムージーを作れるから」――ハル


(……)


確かに。


(……)


でも。


(……)


それだけじゃ足りない。


「それに、アカリとユナは美味しいパンケーキを作れるし、ほかのみんなは紅茶や飾り付けを担当できるよ」――ハル


「そうね。それなら問題なさそうね」――先生


「石神くん。カフェの責任者をお願いするわ」――先生




昼食の時間


[アラータ]


「セイジ、将棋部の塩田と高屋ユナを任せていいかな?」


(……)


任せてくれ。


「もちろん、アラータ」――セイジ


(……)


助かるよ。


「文化祭の日は、カフェテリアがかなり混むだろうし」


「それに、斉藤がコンサートをするってことは知ってるよね?」 セイジ


「その話は聞いたよ」。




11月3日


【アラタ】


文化祭


カフェ


(……)


すごい。


(……)


人がたくさんいる。


「いらっしゃいませ!


どうぞお入りください!」


「お兄ちゃん、セイジ兄さんはどこ?」――サキ

(……)


えっと。


「セイジならチェス部のほうにいるよ」


「わかった!」――サキ


「アオイ、斎藤先輩のギター演奏を見に行くの?」――サキ


「うん、もちろん。


絶対に見逃せないもん」――アオイ


「私はあとで行くね」


(……)


二人とも。


(……)


来年は。


(……)


この高校に進学する。



【ハル】


(……)


もうへとへとだ。


「大成功だったね。


しかも、全部売り切れたよ」


「そうだね。本当に大成功だった」――ユナ

(……)


こんな毎日も。


(……)

悪くない。


「みんな、カフェの売上の確認をお願いしてもいい?」


「もちろん!


サイトさんのライブでまた会おうね」――ユナ

「みんな、本当にありがとう」――アラタ

(……)


少しだけ。


(……)


二人きりになりたい。


(……)


アラタと。


「アラタ、お化け屋敷に行こう」


「いいよ」――アラタ



お化け屋敷


【アラタ】


(……)


デートだ。


(……)


まさか。


(……)


こんな形になるなんて。


「ダーリン、近いよ」――アラタ


「だって」――ハル


「怖くないの?」――アラタ


「ううん」


「まるでファンタジーみたいで素敵だもの」――ハル


(……)


本物の化け物なんて。


(……)


いるはずがない。


「それに、こうしてあなたのそばにいられるし」――ハル


(……)


ただ。


(……)


一緒にいたかったんだ。


「そんなに私のそばにいるの、嫌?」――ハル


(……)


もちろん。


(……)


嫌じゃない。


「君のそばにいるのは好きだよ」――アラタ


「ねえ、キスして」――ハル


(チュッ)


【ハル】


(……)


温かい。


(……)


安心する。


(……)


この人となら。


「一緒にいてくれてありがとう、アラタ」――ハル


「こちらこそ。ありがとう、ハル」――アラタ



チェス部


【セイジ】


「やあ、サキちゃん。元気?」――セイジ


「元気だよ、ダーリン」――サキ


(……)


アラタがいない。


「お兄ちゃんは?」


「お化け屋敷に行ってるよ」――アカリ


「やあ、アカリ」――シオタ


(……)


いた。


「やあ、みんな。どうだった?」――アラタ


「最高だったよ、キャプテン!」――みんな


「サイトさんのコンサートに行かない?」――アラタ


(……)


優しい。


(……)


だから。


(……)


私はここにいたい。


「行こう!」


【アオイ】


体育館


(……)


素敵。


「サイト、大好き!」――アオイ


「いい演奏だね」――アラタ


「ねえ、アオイ。みんながサイトを応援してるのを見て、嫉妬しないの?」――セイジ


「セイジ、そういうこと言わないの」――サキ


(……)


少しだけ。


(……)


でも。


(……)


サイトが好きなのは。


(……)


私だけ。


「少しだけね。でも、サイトが愛してるのは私だけだってわかってるから」――アオイ



11月27日


【アラタ】


(……)


数日が過ぎた。


(……)


今日は。


(……)


僕の誕生日だ。


(……)


いろんなことがあった。


「おはよう、アラタ。お誕生日おめでとう」――母


「ありがとう、ママ」


「お誕生日おめでとう、お兄ちゃん!」――サキ


「誕生日おめでとう、アラタ」――父


「みんな、ありがとう」


「朝ご飯、とてもおいしかったよ、ママ」


「じゃあ、行ってきます」


「気をつけてね、アラタ」――母


「うん、行ってきます」


(……)


サイヨも来た。


(……)


今。


(……)


学校の校庭にいる。


「お兄ちゃん、休み時間にまたね」――サキ


「うん、またあとで」


(……)


教室に入る。


「お誕生日おめでとう、アラタ!」――クラスのみんな


「お誕生日おめでとう、アラちゃん!」――ハル


(……)


まさか。


(……)


こんなことになるなんて。


「ありがとう、みんな」


「本当にびっくりしたよ」


(……)


涙が。


(……)


止まらない。


「アラタ、泣いてる」――ハル


(……)


今日は。


(……)


本当に特別な日だ。


「こんなに幸せなのは初めてだ」


「友達。君がこんな顔をするの、初めて見たよ」――セイジ


「うん」


「まだ終わりじゃないよ、アラタ」――ユナ




昼休み


【ハル】


(……)


すごくワクワクしてる。


(……)


アラタが。


(……)


どんな顔をするのかな。


(……)


本当に大変だった。


「みんな、こっちだよ!」


「石神さん、お誕生日おめでとう!」――みんな


「みんな、ありがとう」――アラタ


(……)


成功した。


(……)


一人も欠けてない。


「ねえ、ダーリン」


「あなたが築いてきたものだよ」


「チェス部のみんな、水泳部のみんな、卓球部のみんな、それから友達」


「みんな、あなたのお祝いに集まってくれたんだよ」


「こんなこと、想像もしてなかったよ」――アラタ


「そうだよ、お兄ちゃん。全部ハルちゃんのアイデアだったんだから」――サキ


(……)


胸が。


(……)


いっぱいになる。


「ありがとう」


「全部、君のおかげだよ」――アラタ



「みんな、終わったらカラオケに行こうよ」


「アラタの誕生日をお祝いするために」――サキ


(……)


そういえば。


(……)


僕の誕生日もあったな。


「遅くなったけど、誕生日おめでとう、セイジ」――アラタ


「俺の誕生日、覚えててくれたのか?」


「もちろんだよ。11月3日だろ?」――サイトウ


(……)


嬉しい。


(……)


みんな。


「ごめんね、セイジ。文化祭の準備でお祝いできなかったの」――サキ


「いや、サキ」


「その気持ちだけで十分だよ」




カラオケルーム


【ユナ】


「今日は主役たちの恋人に歌ってもらおうよ」


(……)


私も。


(……)


みんなの歌を聴いてみたい。


「じゃあ、最初は私からね」――サキ


【サキ】


(……)


どんな曲にしようかな。


(……)


これにしよう。


(……)


デジャヴ。


(……)


セイジが好きだった曲。


「その曲、まだ覚えててくれたんだ?」――セイジ


「もちろん。あなたが歌ってくれた曲だもの。忘れるわけないでしょ」


「次は義姉さんの番だよ」――サキ


【アラタ】


(……)


なんて優しい歌声なんだろう。


(……)


心が落ち着いていく。


「ハル、すごく素敵な歌声だね」


「ありがとう、ダーリン」


「サイトも何か一曲歌ってよ」――セイジ


「ルナも歌ってほしいな」――ユナ


「じゃあ、一緒に歌わないか、セイジ」――サイト


「もちろん。」


「昔みたいにね。」――セイジ



【アラタ】


「この空の写真、君へのプレゼントだよ」――ハル


(……)


まさか。


(……)


こんな誕生日になるなんて。


(……)


本当に。


(……)


幸せだ。


「電子手帳もありがとう、ハル」


「みんな」


「今日は僕のそばにいてくれて、本当にありがとう」


(……)


一生。


(……)


忘れない。








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