六話
もちもちと団子を食みながらのんびりとした雰囲気を醸し出している少女に歩み寄る。
先に駆け寄っていた青年は少女の隣に腰掛け、おばちゃんから受け取った団子を食べ始めていた。
「やっぱりいつ食べても美味しい〜。」
ホクホク顔で食っている。少しの間だが行動を共にし、何となく察した。
この青年はかなり気ままな性格だ。きっと。
団子を食べ終わった様子の少女が
「探索は終わりでよろしいのですか?」
と俺に声を掛ける。
あぁ、と返事をしようとした瞬間。
彼女は俺の腕の中に目線を向けた(ような気がする)。瞬間。
「わぁ!なんですかその子!!すごく可愛いですね?!」
と一息で興奮気味にまくし立てた。
少女は少し屈み、俺に抱き抱えられているコハクに目線を合わせ穏やかな声音で話しかける。
「こんにちは、子猫さん。」
「お名前は?」
「ぼくはコハクです!」
子猫は元気よく答える。
「良い名前ですね。」
耳をピコっと一動させて、嬉しそうに
「はい!」
と返事をする。いやぁ、そんなに嬉しそうにしてもらえると名付け親冥利に尽きるな!
少し誇らしい。
「おねぇさんのお名前も知りたいです!」
コハクは好奇心に満ちた瞳で白髪の少女を見上げる。
「そうですね…。そういえば自己紹介をしていませんでしたね。」
ポツリと呟く。
一呼吸置いて、
「私は、治安維持隊の隊長を任されている者です。あなた方の安全を保証すると約束しましょう。」
「私以外に隊長という役職をもつ者は居ないので、皆さんは私のことを隊長と呼びます。名前は…少々込み入った事情がありお伝えすることが難しいので、隊長と呼んでいただければ。」
「そしてそこに座っているのが…」
と、顔を長椅子に座ってこちらの様子を伺っていた青年に向ける。
俺たちに意識を向けられた青年は待ってましたとばかりに
「僕は銀!いい名前でしょ〜!」
ニコッと音がしそうな笑顔で名乗った。
「隊長の右…いや、左腕かなぁ!」
右…と言った瞬間に隣でのんびりしていたユキさんの鋭い視線が飛んできたような気がする。
青年も察して言い換えたのだろう。
ユキさんはフンッと鼻息混じりに
「右腕は譲らぬ。」
と視線を逸らしながら呟いた。
隊長と、ギンか。覚えたぞ。
「隊長さんの右うではユキさんなんですねー!
かっこいいです!」
コハクが尊敬の眼差しでユキさんを見ている。
対してユキさんは、
「小さきものよ、なかなか見る目があるではないか。何か困り事があれば我を頼りにしても良いぞ!」
とドヤ顔である。
このモフモフ達は相性が良さそうだな。
コハクがはわわっと嬉しそうにしている。
何とも微笑ましい。
コホン。
わざとらしい、少し高めの咳払いの音がした。
「自己紹介も済みましたし、そろそろ本部に向かいましょう。レンギョウさん、コハクさん、私達にご同行願います。」
隊長が俺たちに向かって言う。
目元は目隠しによって覆われているが、まっすぐに
こちらを見つめているような気がした。
返答として正しいかは分からないが、俺は言葉を紡ぐ。
「こちらこそ、よろしく頼む。」
横から俺たちの様子を見ていた青年がふっ、と柔らかく微笑みながら
「それじゃあ飛ぶから、君たちユキくんの背中に乗ってね〜」
ん??飛ぶ……??




