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おっかけっこ  作者: 海影
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身内登場

リコ視点。

予定変更でリコの両親の素性が出ちゃいました。

 リュートが飲み物を買いに行って少し。女の子の声が響いた。


「止めてください!」


 見ると、調理部の屋台の売り子さんが、外部の男に腕を捕まれている。


「この俺が案内しろって言ってるんだ! 言うことを聞け!」


 ……お付きっていうか、護衛らしい人間が付いてるけど、どうも止める気はないってか、またかって目をしてんな。

 あたしは騒いでる男のそばによった。


「申し訳ございませんが、彼女はここの店の売り子をしております。仕事中ですので、お客様のご案内をいたしますことはできません。ご案内をご希望されるのでしたら、入り口にございます、案内所にて申し付けいただくよう、お願い致します」


 ふっふっふ。あたしだってこれくらいはできる。ってか、あっちで叩き込まれたさ。まあ、英語でだったけどね。


「うるさい! その格好からすると、お前はどっかのメイドってことだろ! 俺に口答えをできる身分だと思っているのか!」


 ……は?

 いや、これ猫耳ついてるし、いまは文化祭だし、普通はコスプレって思うよね?


「……いえ、わたしはメイドではなく、生徒会役員です。よろしければ、案内所までご案内いたしますが?」


 必要なお客さまのご案内もお仕事だけど……。


「うるさい! 邪魔だ! どっか行け!」


 話が通じない……。


「それでは、申し訳ございませんが、彼女からお手をお離しいただけませんか? 嫌がる女性の腕を無理矢理つかんでいらっしゃるのも、セクハラの一種ですよ?」


 許可なく女性にふれちゃいかんだろ?


「おい! こいつをどっかにやれ!」


 おーい。今度は力ずくかよ。護衛らしい男は、命令通りに、あたしの胸ぐらつかんで連れていくつもりらしく、胸に手を伸ばしてきた。おい、それこそカンペキにセクハラだぞ?

 あたしは一歩横に動いてその手を避け、相手の力を利用して投げる。……しまった、眼鏡に引っかけちゃった……、猫耳のカチューシャと一緒に落っこちて……割れちゃったー……。

 ……男はどうやら打ち所が悪かったらしく、脳震盪を起こしたもよう。まあ、下は土だしたいしたことはないだろう。あとで医者にはみてもらった方がいいだろうけどね。……てか、護衛ならちゃんと受け身くらいとれってね。


「……暴力に訴えますか。ご存じですか? お客様がなされたことは、傷害罪、というのですよ?」


 あたしは前髪をかきあげつつ、男をにらむ。男は息をのんで、あたしを見つめている。……っていうか、その場にいる全員の注目を集めていますね。

 ちなみに自覚はあるんだ。あたしが綺麗系の美人だってのはね。なにしろ、母親ものすっごい美人。父も美形。その娘だからねー。まー自分ではそんなでもないと思うけど。ってか、自分でいってたらただのナルシストだね。

 やっと我に返ったらしい男が、あたしに命令をする。


「……ふん、ならお前でもいい。俺の案内をしろ! そいつを気絶させたことは、それで赦してやる」


 ……なんていうか、こいつ……。


「……バカ?」

「な⁉」

「いや、だって、あたしがしたのって正当防衛ってやつだよね? それを案内すれば赦してやる? 逆だろ? 暴力を振るわせといて相手にわびさせるって、どこのヤクザ?」


 いや、おどろいて素が出ました。


「なにいっているんだ! 俺が赦してやるって言ってるんだから、おとなしく従えばいいだろう! 俺は○○会社の社長の息子だぞ! 俺が一言言えば、お前なんか……!」

「……どうするっていうのかな?」


 落ち着いた声が割り込んできた。っていうか……。


「あれ、父さん、母さん、祖父さま、来てたんだ?」


 割り込んできたのは父。そばには母と祖父もいる。


「とうぜんでしょ、あなたがメイドさんになるって詩織ちゃんにきいて、見に来たのよ」

「ああ。なかなか似合っているぞ。この猫耳も可愛らしいしな」


 そういって祖父はあたしのあたまにカチューシャをつけた。いや、身内に見られるって、ものすっごくはずかしいぞ?


「君は××社長のご子息か。それではそことの関わりは、もうやめるべきかな?」

「な、なにいって……」


 おー。祖父に飲まれてる。っていうか関わりあんの?


「リコ!」


 唐突に後ろから抱き締められた。ちょっと!


「り、リュート、ちょっと」

「怪我は? 大丈夫?」

「あたしは大丈夫だって。どっからみてたの?」

「リコに男が手を伸ばすのを窓からみて、慌てて来たから」


 あー。窓からみて、かといって窓枠越えるわけにもいかないから、出入り口からでてきて、人混み掻き分けていまにいたる、ということか。


「大丈夫だって。あたしはあの程度のやつに捕まるわけないしね」

「……それでも、心配なのは当然だろう?」


 ま、ね。


「あらあらあらあ。ひょっとして真理子の恋人さん?」

「なに!」

「え!」


 ……そりゃそうか。後ろからいきなり抱き締められてもあたしがぜんぜん暴れなければそういうふうに見えるわな……。


「ご家族?」

「そ。両親と祖父」

「……初めまして。青塚竜斗ともうします。真理子さんの友人です。……驚きました。まさか真理子さんが吉祥グループの直系だったとは」

「若いのによく知っているな。まあ、真理子の祖父だ。よろしく」

「父です」

「同じく母です」


 えっと、なに? たしか吉祥グループって、日本で指折りの大財閥だったような気が……。

 はじめて知った祖父および両親の素性にちょっとくらくらしてしまった……。ってか、いい加減に離して……。

ほんとは、出すのは親戚にしようかとも思ったのですが、やっぱり娘の晴れ姿は見たいものですよね。

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