◆第二章登場人物紹介◆
◆ 劉彪
【字】仲虎
晶陵の前皇帝末裔貴族・劉家の次男。
身長六尺強。長身でしなやかな筋肉を持つ「虎」のような体躯と、彫りの深い顔立ちの美丈夫。母から「化け物」と蔑まれて深い自己否定の闇を抱えて育つ。
対外的には穏やかな好青年を装うが、本質は情熱的で一途。女性からの羨望を一身に集めるものの、幼少期から己の闇を救ってくれた陰鸞にしか興味がなく、他の女性を恋愛対象としたことはない。
父の遺言に従って生まれ持った「虎」の才能を抑え込み、旧都・永安で学問を修めていたが、兄の死を機に爪を解放し、愛する者を守るため将軍として覇道へ歩み出す。
陰鸞との年齢差は8歳。
【好きなもの】陰鸞が淹れる花茶、陰鸞が作ってくれた組紐、陰鸞からの手紙
【呼び名】小虎、老虎、彪、彪哥
◆ 陰鸞
晶陵の豪族・陰家の長女。劉彪が人生のすべてを懸けて愛し抜く、ただ一人の女性。
身長五尺。白粉のいらない真っ白な肌と大きな瞳を持つ、春の陽光のような絶世の美女。淡い紅梅色の絹衣がよく似合う。
母の呪縛によって自己否定の暗闇にいた劉彪を、無垢な全肯定で救い出した絶対的な「光」。
兄の死後、喪中に静かな祝言を挙げた最愛の妻。
【呼び名】鸞、小鸞
【劉家】
◆ 劉粛
劉彪の父。前渭国の最後の皇帝の異母弟。
弱小妃から誕生したため帝位争いには加わらず、晶陵の地方長官として派遣された清廉潔白な文官。
公正な統治を貫いたが、その潔癖さが後に簒奪者・劉莽や中央の汚職官僚との摩擦を生み、劉家の没落と心労による早世の遠因となった。妻である趙敏を生涯愛し抜き、一夫一婦の美学を体現した劉彪の「知性」の源流。
病床で劉彪の内に眠る獰猛な才能を見抜き、「虎を飼いならせ」という過酷だが愛に満ちた遺言を残した。劉彪を「小虎」と呼び、その成長を楽しみに愛していた。
◆ 趙敏
劉彪の母。
かつては美しかったが、夫の死と家の没落への恐怖から、次男である劉彪を「父を呪い殺した災厄」として激しく拒絶するようになる。
長男・劉昂や長女・劉寧には深い愛情を注ぐが、劉彪に対しては怯えと憎悪のみを向ける。劉彪の心に暗い自己否定を植え付けたトラウマの根源。
◆ 劉昂
劉彪の3歳年上の長兄。
大柄で岩のような筋肉質の体躯を持つ、真夏の太陽のように豪快なカリスマ将軍。父の遺言を受け、自身の野心や出世を捨てて劉彪を養う「最強の盾」となった。
劉彪が誰よりも信頼し、敬慕していた兄。彼の非業の死が、劉彪の運命を修羅の道へと決定づける。
◆ 劉寧
劉彪の9歳年下の末妹。
兄たちに似た整った顔立ちだが、愛情に包まれて育った落ち着いた柔らかな雰囲気を持つ。劉彪にとっては目に入れても痛くない大切な妹。
遠征中は陰家に預けられ、陰鸞や陰歆と実の姉弟のように温かく育っている。
【呼び名】寧児
【陰家】
◆ 陰敦
陰鸞の父。劉彪にとっても「第二の父」と呼べる理想の庇護者。
亡き父・劉粛とは親しく、彼が早世した後も没落した劉家を温かく見守り続けてくれた恩人。
穏やかな目元に深い知性を湛えた威厳ある紳士であり、子供たちに『|三徳《謙虚・目立たない・隠れて善行》』を教え込んだ。妻の鄧貞と共に一夫一婦を貫き、生涯互いを敬い愛し合ったその姿は、劉彪が陰鸞との間に求める「比翼の鳥」の原風景となっている。
◆ 鄧貞
陰鸞の母。陰家の女主。
名門出身の気品と、一夫一婦への強い誇りを持つ現実主義の女性。劉彪ら劉家の子供たちにも慈愛を向けてくれ、末妹の劉寧を実の娘のように庇護してくれる気高き慈母。
◆ 陰識
【字】伯義
陰鸞の11歳年上の兄であり、陰家の現当主。
身長六尺弱。華美な装飾を排した実用的な武官服を好む、沈黙の武人。
亡き劉昂の無二の親友であり、彼から「彪と寧を頼む」と託された約束を胸に刻む。劉彪にとって、背中を預けられる最も信頼のおける冷静沈着な守護者。
◆ 陰歆
陰鸞の2歳年下の弟。
身長五尺半。姉に似て儚げで整った顔立ちの文人肌。常に書物を手放さず、指先に白く筆だこがある。
武骨な男たちの中で、劉彪を「彪哥」と呼び慕ってくれる純粋で心優しい義弟。
【劉彪の友人】
◆ 耿敦
劉彪の幼少期からの無二の友人であり側近。
身長六尺強。岩のような体躯と無骨だが誠実な瞳を持つ。劉彪が「小虎」として爪を隠していたことを知っている数少ない人物。
劉彪がどれほど陰鸞を愛しているかを一番近くで見てきた最大の理解者。
劉昂の死後は「劉彪を守る盾」の役割を引き継ぎ、主君のためなら己の命も厭わない。
◆ 耿翼
耿敦の弟であり、劉彪の側近。劉寧の婚約者。
身長六尺弱。細身で優美な佇まいと、知的な光を宿した瞳を持つ秀才。
人の絶望や痛みを自分のことのように受け止める繊細さを持ち、武骨な陣営において知恵と機転で劉彪を支える。
【簒奪者】
◆ 劉莽
新王朝の偽帝。
高潔な老人を装っているが、その瞳の奥には底知れない猜疑心と狂気が潜む。劉昂の圧倒的なカリスマを恐れ、卑劣な罠にかけて謀殺した張本人。劉彪にとって、血の涙を流して復讐を誓う絶対的な仇敵。
【渭北】
◆ 郭聖通
渭北の最大勢力・真定王の娘。
冬の氷雪のような鋭利な美しさを持つ姫。劉彪が娶ることを強要された相手。
◆ 郭昌
郭聖通の父。渭北の覇者。
熊のような巨躯に豪華な装飾品を纏う無骨な野心家。窮地に陥った劉彪の足元を見て、重婚を強要した元凶。
*ちょこっと雑談*
作中の中国語っぽい言葉や単語は、中国語ではない”中華風なんちゃって中国語っぽい何か”だと思ってください。
例)
"小"は〜くん、〜ちゃん
”老”は親しい人や大好きな人への呼称




