第32話 勝者の敗北
蒼白い光が、王都の夜を貫いた。
雨に濡れた魔導列車の屋根の上で、俺はその光を見ていた。
地下から立ち昇る光。
水瓶座の封印があった場所から伸びる、淡く、冷たい、空へ向かう柱。
それは美しかった。
だからこそ、最悪だった。
「……嘘だろ」
声が掠れた。
勝ったはずだった。
俺は蠍を膝までつかせた。
壱之太刀・試・獅吼・一閃。
未完成とはいえ、今の俺が届かせられる全てを込めた一撃だった。
その一撃は、確かに蠍へ届いた。
届いたはずだった。
なのに。
目の前で膝をついていた蠍は、雨の中で静かに微笑んでいる。
悔しさはない。怒りもない。
ただ、最初からこの結末を知っていたような顔だった。
「……何をした」
俺は刀を握り直した。
指先が震えていた。
寒さのせいじゃない。
傷の痛みでもない。
腹の奥から湧き上がる嫌な予感に、身体が反応している。
蠍は答えなかった。
代わりに、視線を俺の背後へ向ける。
俺も振り返った。
雨の向こう。
魔導列車の屋根の後方に、もう一人の蠍が立っていた。
「……な」
息が止まる。
同じ銀髪。
同じ黒いスーツ。
同じ銀縁眼鏡。
同じ赤い瞳。
その姿を見た瞬間、理解が遅れて頭の中で引っかかった。
さっきまで俺が戦っていた蠍。
そして、今現れた蠍。
二人。
いや、違う。
最初から。
「分け身……」
俺の声に、膝をついていた蠍が小さく笑った。
「正解よ」
後方から歩いてきた蠍が、雨を受けながら近付いてくる。
ヒールの音が、濡れた屋根に小さく響いた。
コツ。
コツ。
魔導列車の車内からは悲鳴が聞こえていた。
窓の奥で乗客達が騒いでいる。
俺達の戦闘で屋根の一部が歪み、車体の魔導紋も何箇所か青白く明滅していた。
列車そのものは走り続けている。
けれど、速度は落ち始めていた。
誰かが非常停止を掛けたのかもしれない。
そんな現実の音が、妙に遠い。
俺の意識は、目の前の二人の蠍から離れなかった。
二人の蠍が、ゆっくりと重なる。
輪郭が揺れた。
陽炎のように。
雨粒の中で、二つの影が一つになる。
さっきまで俺が膝をつかせていた蠍の姿が薄れ、後から現れた蠍の身体へ吸い込まれていく。
そして、そこには一人の蠍だけが残った。
肩に傷はない。
胴を打たれた痕もない。
息も乱れていない。
完全な姿で、彼女はそこに立っていた。
「目的は達成したわ」
蠍は静かに言った。
その声は、雨音の中でもはっきり聞こえた。
「あなたのおかげで、十分な時間を稼げた」
「ふざけるな……」
喉の奥から、低い声が出た。
「俺と戦っていたのは、最初から囮だったのか」
「囮という言い方は少し寂しいわね」
蠍は首を傾げる。
「あなたとの戦いは、私にとっても有意義だったもの」
「……黙れ」
刀を構える。
今すぐ踏み込め。
そう身体が叫んでいる。
だが、脚が動かなかった。
疲労。
出血。
それだけじゃない。
俺は、ここでようやく自分が何を間違えたのかを理解していた。
俺は蠍を倒そうとしていた。
目の前の敵を斬ることだけを考えていた。
でも蠍は違った。
最初から俺を倒す必要なんてなかった。
封印を解くまでの時間を稼げば、それでよかった。
戦いの目的が違っていた。
勝負の土俵が、最初から違っていた。
「いずれまた、逢う時が来る」
蠍は言った。
雨に濡れた銀髪を指先で払い、赤い瞳で俺を見る。
「その時まで、強くなっていてね」
「待て」
俺は一歩踏み出した。
屋根が濡れている。
足元が滑る。
けれど、それでも前へ出る。
「水瓶を解いて、何をする気だ」
「観測するだけ」
答えは変わらない。
最初から最後まで。
彼女は世界を救うとも、壊すとも言わない。
ただ見る。
その言葉が、一番薄気味悪い。
「ところで」
蠍はふと思い出したように言った。
「今、獅子宮は何階層なの?」
俺は答えなかった。
答えたくなかった。
だが、沈黙を見透かしたように、蠍は赤い瞳を細める。
「一階層かしら」
「……だったら何だ」
「そう」
蠍は少しだけ目を伏せた。
失望ではない。
嘲りでもない。
ただ、遠い場所からこちらを見下ろすような静けさがあった。
「私は深淵まで辿り着いたわ」
「深淵……?」
聞き慣れない言葉だった。
階層ではない。
けれど、その言葉を聞いた瞬間、セレスが小さく息を呑んだ気がした。
「セレス」
問いかけても、返事はすぐに来なかった。
蠍はその沈黙を楽しむように、少しだけ微笑む。
「おすすめはしないわ」
「何の話だ」
「いつか分かるかもしれない」
蠍の周囲に、淡い紫の魔法陣が広がる。
転移。
俺は反射的に踏み込もうとした。
だが、身体が重い。
雨で濡れた屋根が滑る。
刀を握る手に力が入らない。
「待て!」
「焦らなくていい」
蠍は静かに言った。
「あなたは、まだ始まったばかり」
銀縁眼鏡が一瞬だけ紫に光る。
その奥で、赤い瞳が俺を映した。
「また会いましょう、小さな獅子さん」
魔法陣が収束する。
蠍の姿が薄れた。
次の瞬間、彼女は雨の中から消えていた。
残されたのは、走行音を響かせる魔導列車と、車内から聞こえる乗客の混乱した声。
そして、王都の空へ伸びる蒼白い光だけだった。
「……負けた」
ぽつりと、言葉が落ちた。
雨に混じって消えるほど小さな声だった。
でも、セレスには聞こえていた。
「そう感じるのね」
セレスの声は、いつもより柔らかかった。
叱るでもなく、慰めるでもない。
ただ、俺の言葉を受け止めてくれる声だった。
「勝ったと思った」
「ええ」
「届いたと思った」
「ええ」
「でも、届いてなかった」
刀の切っ先が下がる。
手が震える。
胸の奥が、空っぽになったみたいだった。
「俺は、止められなかった」
沈黙が落ちた。
雨だけが降っている。
セレスはすぐに否定しなかった。
その間が、少しだけありがたかった。
「レグルス」
「……何だ」
「あなたは戦いには勝ったわ」
「そんなの」
「でも」
セレスの声が、静かに俺の言葉を遮る。
「彼女の目的を止められなかった」
胸に刺さった。
けれど、その痛みは必要なものだった。
甘い慰めより、ずっといい。
「だから悔しいのよ」
俺は何も返せなかった。
「悔しいと思えるなら、まだ進めるわ」
「……進めるのか」
「ええ」
セレスは少しだけ声音を和らげる。
「あなたは生きているもの」
その言葉で、ようやく息が戻った。
生きている。
そうだ。
俺は生きている。
負けた。守れなかった。
でも、死んでいない。
なら、まだ振れる。
まだ進める。
その事実だけが、雨の中でかろうじて俺を立たせていた。
魔導列車が大きく揺れ、速度をさらに落とす。
遠くから警笛が聞こえた。
王都の騎士団か。
学園の警備か。
誰かがこちらへ向かっている。
俺は蒼白い光を見上げた。
その光は少しずつ薄れている。
けれど、消えたわけじゃない。
何かが変わった。
世界のどこかで、確かに何かが解き放たれた。
「セレス」
「何かしら」
「深淵って何だ」
セレスは少し黙った。
雨音が、その沈黙を埋める。
「今は、知らなくていいわ」
「答えないのか」
「答えないのではなく、まだ早いの」
大人の女性が子供へ刃物を渡さないような、そんな声だった。
優しい。
けれど、線は引かれている。
「いずれ、あなた自身で選ぶ時が来る」
「選ぶ?」
「ええ」
セレスの声が、少しだけ遠くなる。
「その時まで、人でいなさい。レグルス」
意味は分からなかった。
でも、その言葉だけは胸の奥に残った。
人でいろ。
まるで、深淵の先にはそれがないと言っているようだった。
俺は刀を納めた。
濡れた鞘が重い。
身体も重い。
だが、倒れるわけにはいかない。
魔導列車がようやく停止する。
車内から怒号と悲鳴が入り混じった声が上がる。
窓の向こうで、乗客達がこちらを見ていた。
不安。
恐怖。
混乱。
それも当然だ。
列車の屋根で十二宮契約者同士が戦ったなんて、誰が信じる。
俺は息を吐いた。
雨はまだ降っている。
王都ヴァルエストの夜は、さっきまでと同じように美しい。
でも、もう同じ世界には見えなかった。
俺は勝った。
確かに勝った。
そして、負けた。
その事実だけが、雨よりも冷たく、胸の奥に沈んでいた。
◇
翌朝。
王都ヴァルエストは、昨夜の豪雨が嘘だったかのように澄み切った青空に包まれていた。
街を流れる運河は朝日を受けて煌めき、人々はいつもと変わらない日常を取り戻そうとしている。
だが、その穏やかな景色とは裏腹に、王立魔術学園の地下で起きた出来事は、王国上層部を大きく揺るがしていた。
俺は王都ギルドの大会議室にいた。
長い楕円形の机。
重厚な木材で作られた壁。
高い天井には魔導照明が吊るされ、朝の柔らかな光と混ざり合って室内を照らしている。
席には見知った顔が並んでいた。
王都ギルド長。
王国騎士団の代表。
王立魔術学園長。
そして……姉さん。
俺は一番端の席へ腰を下ろした。
妙に静かだった。
誰も軽口を叩かない。
昨夜の出来事が、それだけ異常だったということだ。
「それでは始めましょう。」
最初に口を開いたのはギルド長だった。
机の上には地下から回収された古い石板や資料が並べられている。
「まず被害状況から報告します。」
学園長が静かに頷いた。
「地下遺構は大規模に崩落しました。しかし、生徒及び教職員に死者はありません。」
その言葉に、俺は小さく息を吐いた。
最悪の事態だけは避けられた。
「負傷者は数名。魔導列車の乗客にも軽傷者が出ていますが、命に別状はありません。」
ギルド長は頷き、次の資料へ手を伸ばく。
「では、本題です。」
机の中央へ、一枚の古びた羊皮紙が広げられた。
そこには俺が地下で見たものと同じ紋様。
十二の星座。
そして中央に描かれた水瓶。
「王国には古くから伝承があります。」
王国代表が口を開く。
「各地には、古代文明が封じた"何か"が存在すると。」
だが、その説明を遮るようにギルド長が静かに首を振った。
「王国の伝承は途中までです。」
部屋の空気が変わる。
「ギルドには、それ以前の記録が残されています。」
姉さんも僅かに目を細めた。
「王国より……古い記録ですか。」
「はい。」
ギルド長は羊皮紙を一枚めくる。
そこには読めない古代文字が並んでいた。
「世界各地には十二の封印があります。」
「それぞれが黄道十二宮に対応している。」
「そして封印は、契約者同士の干渉によって解かれる可能性がある。」
俺は思わず顔を上げた。
契約者同士。
最初から狙われていた。
獅子宮の契約者である俺が、あの地下へ誘導された理由。
全部、繋がる。
「では……。」
学園長が静かに尋ねる。
「水瓶の封印は。」
「解除されました。」
ギルド長は短く答えた。
部屋が静まり返る。
誰も口を開かない。
俺だけが拳を握り締めていた。
やっぱり。
俺は止められなかった。
ギルド長は俺へ視線を向ける。
「レグルス君。」
「……はい。」
「君の責任ではありません。」
その言葉に、胸の奥が少しだけ痛んだ。
「彼女は最初から君を倒すつもりではなかった。」
「時間を稼ぐことだけが目的だったのでしょう。」
分かっている。
頭では。
でも、それで納得できるほど簡単じゃない。
俺は黙ったまま机を見る。
そんな俺を見て、姉さんが静かに立ち上がった。
「ギルド長。」
「この子は一晩眠っていません。」
「午後は私が預かります。」
ギルド長は少しだけ笑った。
「お願いする。」
会議はそこで終了した。
部屋を出ると、王都の風が頬を撫でる。
夏の終わりを感じさせる、少しだけ涼しい風だった。
「今日は私が奢るわ。」
姉さんが歩きながら言った。
「珍しいな。」
「たまには姉らしいことをしようと思って。」
「今さら?」
「失礼ね。」
少しだけ笑った。
昨日ぶりに笑った気がした。
夕刻。
俺達が訪れたのは、王城へ続く大通りに面した落ち着いたレストランだった。
白い石造りの外壁。
大きなガラス窓。
運河を望むテラス席。
店内では静かな弦楽器の演奏が流れている。
「……高そう。」
「高いわ。」
「帰る。」
踵を返そうとすると、姉さんが袖を軽く掴んだ。
「今日は私。」
「遠慮しない。」
結局、負けた。
窓際の席へ案内される。
白いクロス。
銀食器。
並んだグラス。
……フォーク、多くないか?
俺が内心で困っていると、姉さんがすぐに気付いたらしい。
「外側から順番に使えば大丈夫。」
「……知ってる。」
「知っている人は、そこで止まらないわ。」
「……。」
返す言葉がなかった。
姉さんは口元だけで小さく笑う。
その笑顔が少しだけ懐かしかった。
最初に運ばれてきたのは、葡萄と柑橘を合わせた淡い琥珀色の果実酒だった。
グラスを軽く合わせる。
「お疲れ様。」
「……ありがとう。」
一口含む。
爽やかな甘みが広がり、緊張していた身体が少しだけ解けていく。
続いて運ばれてきたのは、小さなガラス皿に美しく盛り付けられた季節野菜と白身魚のコンソメジュレ。
透明なジュレが夕日に照らされ、小さな宝石のように輝いていた。
前菜。
香草と柑橘の香りが爽やかな白身魚のマリネ。
澄み切ったコンソメスープ。
海老と白身魚のポワレ。
一皿一皿が運ばれるたび、姉さんは自然な所作でナイフとフォークを使う。
俺はというと、魚料理を前に一瞬だけフォークを持つ手が止まる。
「……。」
「だから外側から。」
「分かってる。」
「ふふ。」
笑われた。
悔しい。
でも、その空気が少しだけ心地良かった。
肉料理が運ばれてくる頃には、窓の外はすっかり夕闇に包まれていた。
運河沿いに灯る魔導灯が水面へ細長く映り、街並みを黄金色に染めている。
店内では静かな弦楽器の音色が流れ、人々も小声で談笑していた。
まるで昨日の戦いなど、この街には存在しなかったかのようだった。
目の前には、赤ワインソースが添えられた牛フィレ肉。
ナイフを入れると、驚くほど滑らかに刃が通る。
「柔らかいな……。」
「王都でも評判のお店だから。」
姉さんは上品に肉を口へ運ぶ。
姿勢は崩れない。
動作に一切の無駄がない。
俺も真似してみるが、ナイフを持つ角度が少しだけぎこちない。
それを見た姉さんが、小さく笑った。
「少し慣れてきたじゃない。」
「……刀ならもっと上手く扱える。」
「そうでしょうね。」
その一言に、俺も思わず笑ってしまった。
久しぶりだった。
こんなふうに、何も考えず笑ったのは。
しばらく料理を味わう静かな時間が流れる。
窓の外では、小型の魔導艇が運河をゆっくり進んでいた。
その灯りを眺めながら、姉さんが紅茶へ口を付ける。
「……悔しい?」
その一言で、俺の手が止まった。
ナイフとフォークを皿へ静かに置く。
少しだけ考えてから、小さく息を吐いた。
「悔しい。」
隠す必要はなかった。
「勝ったと思った。」
「でも、全部向こうの思い通りだった。」
あの笑顔。
あの余裕。
そして。
"私は深淵まで辿り着いたわ"
その言葉だけが、今も耳から離れない。
「俺は何も止められなかった。」
姉さんは何も言わない。
すぐに励まそうともしない。
静かに紅茶を置き、俺の方を見る。
「レグルス。」
「ん?」
「強い人ほど、負け方を知っているわ。」
その言葉は、不思議なくらい胸へ落ちた。
「私はね。」
姉さんは少しだけ遠くを見る。
「王都に来て学園へ入った頃は、自分が天才だと思っていた。」
少し照れたように笑う。
「でも、現実は違った。」
「上には上がいるし、負けたこともある。」
その笑顔は少しだけ寂しそうだった。
「でも、その度に思ったの。」
姉さんは真っ直ぐ俺を見る。
「負けたままで終わらなければ、それは途中なのよ。」
……途中。
「今日のあなたも同じ。」
「負けた?」
「ええ。」
「でも、それで終わる子じゃないでしょう?」
俺は少しだけ考えて、小さく笑った。
「終わらせるつもりはない。」
「でしょうね。」
姉さんも笑う。
その笑顔を見た瞬間、不思議と胸の奥が軽くなった。
デザートのガトーショコラが運ばれてくる。
甘さは控えめで、添えられた季節の果実が爽やかな香りを残していた。
一口食べる。
「甘すぎないな。」
「大人向けだから。」
「姉さんにはちょうどいい。」
「あなたには、まだ少し早いかも。」
「子供扱いか。」
「弟だから。」
二人で笑う。
その笑顔だけで十分だった。
戦いの傷は消えない。
悔しさも残る。
でも、前を向ける。
そんな気がした。
夜風が頬を撫でる。
姉さんと店を出て、運河沿いをゆっくり歩く。
水面には王城の灯りが映り、昼とは違う静かな美しさを見せていた。
「今日はありがとう。」
「どういたしまして。」
「少しは元気になった?」
「……ああ。」
「それなら良かった。」
宿の前で姉さんは立ち止まる。
「また近いうちに会いましょう。」
「ああ。」
「それと。」
姉さんは少しだけ真剣な顔になった。
「無茶はしてもいい。」
「でも、生きて帰ってきなさい。」
その言葉だけ残して、夜の街へ歩いていく。
俺はその背中が見えなくなるまで見送った。
宿へ戻る。
部屋の扉を閉めると、一日の疲れが一気に押し寄せてきた。
刀を静かに壁へ立て掛ける。
椅子へ腰を下ろすと、セレスが優しく声を掛けてきた。
「少し肩の力が抜けたみたいね。」
「姉さんには敵わない。」
「ふふ。」
珍しく、小さく笑う。
その笑い声はどこか安心したようでもあった。
「セレス。」
「何かしら。」
「俺は、もっと強くなる。」
「ええ。」
「その言葉を待っていたわ。」
静かな光が部屋へ満ちる。
金色の粒子が俺の前へ集まり、一枚の透明な板を形作った。
ステータス。
ゆっくりと文字が浮かび上がる。
================
レグルス・クレハルト
黄道十二宮契約者 獅子宮適合者
レベル16
================
固有能力
【未踏領域】いずれ人の世を外れる存在と為る
================
称号
【ネメアの獅子】《獅子の誇り》
・身体最適化効率上昇・恐怖耐性上昇・威圧耐性上昇
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契約 獅子宮第一階層踏破
================
基本行為
切る Lv7 突く Lv6 叩く Lv5 弾く Lv5
================
派生技
斬る《袈裟吼絶》(ルギトゥス・カエスーラ)【???】
突く《獅牙突》(レオニス・イクトゥス)
叩く【???】
弾く【???】
================
身体操作
魔力操作(魔力身体強化)初級
================
属性
・風属性
================
習得魔法
生活魔法 下級
風魔法初級 纏風舞踏【ヴェンティトゥム】
風魔法初級 風刃【ウェントゥス・ラミナ】
================
秘奥義
壱之太刀・試・獅吼・一閃(風):未完成。身体能力不足により出力制限。
================
努力蓄積:30,248
================
その時だった。
ステータス板が淡く揺れる。
新たな文字が静かに浮かび上がる。
【獅子宮 第二階層】 解放されました。
部屋が静寂に包まれる。
俺はその文字を見つめたまま、小さく息を吐いた。
「……休ませては、くれないんだな。」
セレスが穏やかに微笑む。
「試練は、あなたが歩みを止めない限り終わらないわ。」
俺は刀へ視線を向ける。
雨の夜。
勝者の敗北。
その全てが、もう昨日の出来事になろうとしていた。
でも。
俺は止まらない。
止まれない。
あの銀髪の契約者に、もう一度会うために。
そして。
今度こそ、この手で届かせるために。
静かな夜風が窓を揺らす。
その向こうで、王都ヴァルエストの灯りが星のように輝いていた。
【王都編・終】




