第15話 鈴を鳴らす者
チリン――。
鈴の音が森に響く。
レグルスは木陰から様子を窺っていた。
巨大な古木、その根元には十数体のゴブリン。
そして中央に立つ男。
くすんだ金色の短髪。
痩せた身体。くたびれた黒色のローブ。
安物の杖。
どこにでもいる地方の冒険者にしか見えない。
「……弱そうだな」
思わず本音が漏れた。
「実力は大したことないわね」
セレスも同意した。
「問題はあの男じゃない」
「鈴よ」
男が再び鈴を鳴らす。
チリン――。
その瞬間、ゴブリンたちの目が赤く染まった。
身体が震える。
まるで無理やり命令を押し付けられているようだった。
レグルスの眉が寄る。
気に入らない、非常に。レグルスは無意識にロープの男に対して殺気を放っていた。
「誰だ!」
ロープの男が叫んだ。
殺気を気取られたのか見つかってしまった。レグルスは隠れるのをやめて木陰から姿を現した。
「冒険者ギルドの者だ」
「森の異変について話を聞きたい」
ロープの男の顔が歪む。
「冒険者ギルドだと?」
「邪魔をするな!」
レグルスに対して杖が向けられ魔力が集まる。
「《火弾》(ファイヤーボルト)!」
拳大の火球が飛ぶ。
レグルスは即座に横へ飛んだ。
火球が後ろにあった樹木へ着弾して爆ぜる。
樹皮が焼け焦げた。
「おいおい」
レグルスは腰に差している刀を抜く。
「いきなりかよ」
「黙れ!」
ロープの男が叫ぶ。
「俺はゴードン・クロフト!」
「本来ならもっと上に行けた人間だ!」
「見る目のない連中が悪いんだ!」
レグルスは男に言っていることに対して少しだけ呆れてしまっていた。その隙を付いてゴブリンたちがレグルスに向かって飛び出す。
ゴブリンが前衛、そして後方にはゴードン。
完全な連携だった。
「面倒だな」
「頑張りなさい」
セレスが他人事のように言う。
戦いが始まった。




