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星すら斬るまで、俺は振り続ける  作者:
第一章 契約.....そして王都へ
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14/21

第14話 森の異変

翌朝

レグルスはいつものように早起きしていた。

庭へ出て、刀を抜く。

深呼吸、そして振る、一振り、また一振り。

誰も見ていない朝の鍛錬。

地下遺跡へ落ちる前から続けている日課だった。


「相変わらずね」

腰のセレスが呆れたように言う。


「好きというか落ち着くんだよ」


「変わった人ね」


レグルスは苦笑した。

だが振るたびに身体へ馴染む感覚がある。

黄道十二宮システムを得てから、その感覚はより鮮明になっていた。


『基本行為:切る』


『熟練度上昇』

小さな表示が浮かぶ。


ほんの僅か、だが確実に、積み重なっている。

レグルスは満足して刀を納めた。

そしてギルドへ向かう。



ベルグラード冒険者ギルドの中いつもより騒がしく、中へ入った瞬間、何人もの冒険者が掲示板の前へ集まっている。


「なんだ?」

レグルスも近付いて掲示板を見てみると、そこには新しい依頼書が貼られていた。

━━━━━━━━━━

緊急依頼

ベルグラード北部森林調査

最近ゴブリンの活動が活発化。

原因調査を行うこと。


報酬:一万ギル

━━━━━━━━━━


レグルスの目が細くなる。

間違いない、昨日の森だ。


「やっぱりね」

セレスがそっと呟く。


「ああ」

予感は当たった。

あの群れは異常だったのだ。


その時、背後から声が飛んだ。

「新人には関係ない依頼だな」

振り返って見ると、革鎧を着た中年の冒険者だった。


Dランクのプレートを首から下げている。


「調査依頼ですからね」

レグルスは答える。


「危険だから言ってるんだ」

中年の男は腕を組んだ。


「ゴブリンの数が増えてるだけじゃねぇ」


「何かいる」

周囲の冒険者たちも真剣な顔をしている。


レグルスは思い出した。


鈴の音と森の奥の気配。

確かに普通ではなかった。


その時だった。


「レグルスさん」

受付嬢が呼ぶ。

昨日の優しい女性だ。


「何か?」


「昨日の件ですが」

少し声を落とす。


「ギルドとしても異常事態と判断しました」


「やっぱり」


「ですが無理はしないでください」

心配そうな表情。


レグルスは頷いた。もちろん無茶をするつもりはない。


だが、確かめたい気持ちもある。

自分が感じた違和感の正体を。

そして、強くなりたい。その気持ちは本物だった。


「この依頼、受けます」

周囲が静まる。


受付嬢も驚いた顔をした。


「本気ですか?」


「はい」


「危険ですよ」


「分かっています」


それでも、行かなければ前へ進めない気がした。

しばらくの沈黙。

やがて受付嬢は小さくため息を吐いた。


「……分かりました」

依頼書へ判が押される、受理されたことからレグルスはベルグラード北部森林へ向かうことになった。



昼過ぎ。

再びベルグラード北部森林へ足を踏み入れる。

森の中は木漏れ日が差し込み、周囲からは鳥の鳴き声が聞こえるため、一見すると平和。


だが違う。

気が重い。

何かがおかしい。


レグルスは腰に差している刀へ手を添えた。


『警戒推奨』


システムも反応している。


森の中をゆっくり進む。


そして。

チリン――。音が響いた。


レグルスは足を止める。


昨日聞いた音だ、間違いない、森の奥から聞こえてくる。


「また鈴の音ね」

セレスが低く呟く。


レグルスは頷いた。

今度は逃げない、確かめる何が起きているのか。


鈴の音の方向へ歩き出す。


一歩、また一歩。

そして木々が開けた先で、レグルスは目を見開いた。


そこには、ゴブリンたちが膝をつき。虚ろな目で、巨大な古木の根元にいる黒いローブを纏った人影を静かに見つめていた。


黒いローブを纏った人物のその手には銀色の鈴。


チリン――。

再び音が鳴る。


ゴブリンたちの目が一斉に赤く染まった。


レグルスは息を呑み、そして理解する。

森の異変には、確実に誰かが関わっている。


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