別世界線
敵の姿でみんなの前に立つ。
敵の姿で産月から守る。
倒れるところ未来が支える
泣く
ノーマに寝かせる
だから俺は
今ここで
『土屋隆一郎』を掃滅する。
そだてられないいのちなら、うまないでよ
俺は
捨て子の死人だ。
いつの間にかいない
探しに行く
「来るな!!」
いろんなもの未来に飛ぶ
そのたび技でかいくぐる
怪我治しながら前進む
「来るな!来ないでくれ!!俺は、お前を殺したくないっ、もう二度と!!お前を殺したくない!!」
独りになってしまった。
私のそばにいてくれた友達も、仲間も、大好きな人も。もう、ここにはいない。
「そうだった」
「独りって、寂しいんだ」
誰もが、私を守って死んでいく。
この国と人を守るために、私を守って死んでいく。
それすらも、呪いのせいなのだろうか。
私の手に、皆の願いが込められてる。
左の手のひらに刻まれた文字が読めないぐらい、ボロボロになった皮膚。
少し動けば、痛みで意識を失ってしまいそうなほど、ボロボロな自分の体。
それでも
「決着をつけよう、隆」
「最後の闘いだよ」
俺は、死人としてのお前を殺した。
そしてお前は、人間の心臓を手に入れた。
命を譲渡されることで、お前は本当の人間になれるんだ。
本物の人間として、お前は生きていけるんだ。
だから、俺は俺の心に蓋をして。
愛する人の心臓に刃をむける。
愛する人の苦しむ顔に目を背け、敢えて俺を恨むように残酷な殺し方をする。
だからお前が命を吹き返したとき、お前はただ、同じように俺に刃を向ければいい。
ただ同じように、俺を殺せばいい。
逃げたりしない。隠れもしない。
消えるのは、俺だけで十分だから。
これ以上、誰も傷付けたくないから。
だからせめて、せめてものわがままを。
俺は、愛するお前の手で殺されたい。
ああ…。
隆にはもう、人間として生きる意思はないんだね。
わかったよ。
だったらもう
お望み通り殺してあげる。
「【スズラン】」
「私は隆に、人間として生きて欲しかったんだ!」
「友達と楽しそうに笑ってた。一緒に戦ってくれた。」
「私が声に出して言えなかったあのときも…ッ!助けに来てくれたよね!?」
「人間として生きたがっているように見えた。だからその為に私は生きた!隆が人間として生きられるように…隆が疑われないように!」
「バケモノって言葉を、私ひとりで受け止めるために!!」
「本当は人間として生きていたかったんじゃないの!?死人としてじゃなくて!!」
「さっさと素直になれこのバカ野郎!!」
「一緒なんだよ!お前と!!」
「私は!隆を守る為に生きてきたんだ!!」
「言っただろ」
「必要なら殺す。この世界の必然だって!!」
守りたいものは同じなのに、なんで殺し合わなくちゃいけないんだろう。
どうして、大切な人を殺さなければいけないんだろう。
こんなにお互いの事を思ってるはずなのに。
なんで…こんなにも悲しいんだろう。
「」
ずつと隣にいてくれた。ずっとそばで支えてくれた。
あなたが死人だろうが人間だろうが構わない。
私は
ともに過ごしてきたあなたを信じたい。
「やめろ」
「やめろ!」
「離れてくれ……たのむから」
未来は俺を抱きしめた
「離れない。放さない」
「一緒にいる」
「全部一緒に背負う」
「離れてくれ!!俺がッ、俺が、この国を、世界を壊す前に!!」
「放さない。絶対」
「あなたの業は、私の業」
「私たちの業は、人間の業」
「だけど、もう皆知った」
「皆、物の見方も、命の見方も、考え直すべきだと知った」
「もうこれでいい」
「もう、終わりにしよう。二人で」
ねえ隆。
私たち、どこからおかしくなっちゃったんだろうね。
ただ
生きていたかっただけなのにね
「…【ワスレナグサ】」
なんでだよ。
なんで、殺してくれないんだ。
だってその花言葉は
スズランの花言葉は
「また、幸せが訪れるよ」
なんで?
知ってる。この情景。
加奈がやられて、絶望して、もう限界になって。
「秀君…」
この後君は
「私を殺して」
僕に死を要求するんだ。
手が震える。体が震える。焦点が合わない。息も乱れる。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。嫌だ。
なんで。なんで。
「秀君」
「お願い」
悲しそうな笑みで言うのだ。
最後の口付け
「愛してる」
苦しまないで、即死できるように
心臓を一突き
秀
ああ、もう……。
こんなの、アイスコンタクトを使うまでもないね。
「相沢」
「話せて、良かった」
相沢。
「あとは、任せたよ」
信じてるからね。
「【明治】」
「秀!?」
「だめ! だめ、秀!!!」
「相沢」
「生きて」
生きて。君だけでも。
きっと君なら、この状態をくぐり抜けることができたら、前に進めるでしょう。
きっと、この国を、どうにかしてくれるでしょう。
例え独りになっても、君なら、この国を彼らから守るために、その悲しみさえも力に変えて戦えるでしょう。
この場において、最善の選択をするから。
だから、生きて。
ああ、斎も……こういう気持ちだったのかな。
小学生の頃に死に別れた両親の姿が浮かぶ。
父さん。母さん。
僕は、立派だったかな?
褒められるようなことはできなかったけど、でも、誰かの力になることはできたかな
死人を殺しすぎた僕が、天国に行けるわけはないと思うけど、もし、もしも、僕も同じところに行けるとしたら
頑張ったねって、褒めてくれますか?
「来なよ、化け物たち」
「一匹残らず、全員道連れだよ」
「【氷像】」
氷で覆われた世界
「【昇華】」
加奈、待っててもらってごめんね。
今から行くよ。
水蒸気爆発
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
命を切り捨てること。
それが、前に立つ者の責任。
命の選別が、この国の運命を左右する世界。
だから、泣くな。
泣くな
泣くな
泣くな……!!
立て、相沢未来!!
糸
新たに出た12のうみつき
「ごめんね。一度倒した相手に手こずるほど、僕は暇じゃないんだよ」
もう、いい。
もういいよ、弥重。
ごめん、俺は……疲れた。
もう、十分生きた。
休ませてくれ。
痛々しい笑顔。
ずっと前線を駆け抜けてきたからこそ、一度切れてしまった戦意という糸は、どれだけ結び直しても、いとも簡単に解けてしまう。
ずっとずっと、仲間の死を、住民の死を、友の死を、見てきたのだ。
強いと思っていた存在は、強がっていただけだ。
心は──折れるものだ。
ごめん、ごめんな、弥重
流星の目から溢れる涙に、凪は、否定などできなかった。
受け入れようと、決意をした。
「……そうだね。もう、疲れたね」
「休もう。一緒に」
他愛のない話。
ただの、日常の会話。
「センコーの野郎、ぜーったい俺を当てやがるんだぜ」
「俺さ……キモがられると思って、今まで言えなかったんだけど」
「俺、お前のこと、好きだった」
「……僕が流星を気持ち悪いなんて言うと思う?」
「思わない」
ふっと笑う
「僕も、大好きだよ。流星のこと」
「……それ、どっちの意味?」
「ふふ。どっちだろうね?」
「……最後までひでぇやつ」
「こういうところじゃないの?流星が好きでいてくれる僕って」
「……違いねぇ」
空間に、凪の声だけが響く。
「そうだ、あの時はこんな話もしたんだよ」
「 」
「 」
何度話を振っても、返ってくる声はない。
それでも凪は、何度も何度も言葉を紡ぐ。
「ねぇ、卒業旅行行くんだよ?」
「計画建てたの流星じゃない。流星がいなきゃ始まらないんだよ?」
返ってくる声はない。
返ってくる声はない。
自分の声が、自分の質問だけが、自分の嗚咽だけが、ただただ反響する。
「ねぇ、少しは楽に逝けたかな?」
ぱたぱたと粒が落ちる。
「ごめんね、すぐに死なせてあげられなくて。僕のわがままに付き合わせて、ごめんね」
伝う沢山の粒は、幾度となく冷たくなった肌へと落ちていく。
「だってね、まだまだ話したいことが沢山あるんだ。日常のことって、思ったよりも全然話してなかったんだね?」
赤みをなくした肌が、その最期を語る。
真っ青になってしまった褐色の肌を、凪の震えた手は撫で続けた。
「ごめんね、長生きさせちゃって。でも、少しは苦しさもマシだったでしょう……?」
「即死させてあげればよかったのに、【安楽】なんて使ってごめんね」
「毒の蝕み、少しでも、楽にできたならいいなぁ……」
「ごめんね、流星。ごめんね」
──ぞわり。
知っているのだ、この感覚を。
「もう止めてくれる友だちはいない……だけど、必要ないよ」
「最期の最後まで恨んで、恨んで、自分の肉体とともにお前を消し去るよ」
「ねぇ……隆一郎?」
そこにいる、存在を睨め上げる。
「……始めましょうか。最後の戦いを」
「あいつがどんな様子で死んでいったか、教えてあげましょうか?」
「黙りなさい」
「その顔と声で、あの子の死を語るな」
あの二人は、土屋隆一郎を形作ってくれた人たちだったから。
俺はいない方がいい
お前がいない世界であの子はどうやって生きていくの。
ごめんね。納得できないや
凪は、真顔だった。
「お前が言う理由が、僕が心から納得できるものだったら、素直に聞き入れようと思ってた。別に僕はこの世に強い未練があるわけじゃないし、もしそれであの子が本当に幸せになれるなら、本望だと思ったよ」
「だけど、お前が言うその理屈って、あの子が幸せになるとは思えないよ。未来がどうして、お前が死人であると気付いていてずっと隠し通してきたのかわからないの?」
「お前と一緒にいたかったからだ。未来は、隆一郎とともに生きていきたかった」
「だからMCミッションを立ち上げた。共存ができるなら、例えお前が死人であろうとなかろうと関係ない」
「ともに生き、ともに老いたい。そう思っていたんだよ」
「凪!!」
(──ああ、なんでこう……タイミングが悪いのかな。やめてよ、殺される瞬間なんて見られたくない。ダサいじゃない、体ごと残さず吹っ飛ばされるなんてさ)
躱す、反撃
「本当、自分で思ってるよりもプライドが高くて参っちゃうよ」
「でも良かったよ。最後にちゃんと、未来が生きてるって知れて。声が聞けて」
凪さん
結局俺は、最後まであなたに勝つことができなかった。
あなたはやっぱり、すごい人です。
長い間、本当にお疲れ様でした
どうか……安らかに。
↑音で聞くやつ
【フリーメモ】
「隆」
「行っておいで」
「やり直そう。最初から」
「【悲しい別れ】」
「待ってくれ……」
「未来ッ!!」
ハナニラの花が咲き誇る。
優しく笑う、未来は
その花束を俺に渡して、その言葉を口にしたのだ。
「しあわせになって」
「……【ワスレナグサ】」
その花束に、白い花をそっと差し込んだ。
「切なる願い」 カスミソウ(ピンク)
幸運を祈る」 ポインセチア
清純な心」 スイレン
「悪を遠ざける」 サントリナ
あなたを守る」 カランコエ
永遠の幸福」 カーネーション(青)
「家族の和合」 バーベナ(ピンク)
良い家庭」 サルビア




