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三章ベース

人間ベースだから気づかない→産月は人間の心臓のみ。死人の心臓ない。ほぼ人間のため、死人よりも痛みが発生する。

楽しみ、喜び、産月は自身を教えるかどうかを選べる→【()る】通用しない。

オワリは【()る】を恐れてる

オワリ、昔は産月大事にしていた。長年の恨みで変わってしまった。師走は昔のオワリをよく覚えている。助けてほしい。助けてあげたい。(師走、コピーアンドペーストでオワリが望む世界になるまで繰り返してる。まったく同じことが繰り返される。誰かの考え方が、これまでとは違う何かに変わるまで。)

次の卯月は未来だけが大事なタイプ。産月は切り捨てられる。

『継承者』の説明をすると、呪いがその相手へ移動する。だから口にできない。

産月が先。死人を作るためゴミ箱をつくった。


あいかは空中に青いパネルを出して見せつけてくる。それは先ほど【知しる】によって得た臨世の記憶を文字に起こしたもの。

 どこから出しているのかと不思議だったが、どうやらこのパネルはあいかや結衣がつけている腕時計から引き出すらしい。


  ↓司令官との電話はぶく(何言われたかだけサラッと書く)


「帰らないよ」


「それに、凪に言われた二つ目の課題の答えも見つかってないし」


「共存を目指してるのに私たちは討伐してる。……死人と暮らしていきたいなら、根本から変えていかなくちゃいけない。核心だと思ったよ」

「その答えを見つけたい。普段とは違うここで、」



「凪」

「帰らないよ、私は」

「確かに当初の流れの通りではあるかもしれない。でも……こんなもやもやした状態で、帰れないから」

「俺も残ります。帰れって言われても帰りません」


 家族や友だちには会いたいけど。

 でも、今この状況で帰るなんてしたくない。


「とはいえ、北海道っていうのは広いんだよ。それだけ倒したってこの広い範囲、まだまだ死人がわんさかいる。前線と呼ばれるところだからね」

「ということで、二人には北海道にいる間、死人の討伐を頑張ってもらおうと思います。つまり、精鋭部隊が本来やっている業務──住民を助けることと街の復興のお手伝いだね」

 司令官も、帰らないだろうって言ってた


『……弥重。お前、このタイミングで言ったのか』







あいか先生、手どうしたの?

包帯が巻かれていた

「僕の【(いと)】に不用意に触った。二人に作った虎と違ってあれは殺傷力の高い棘ありの糸だからね。怪我もするよ」


俺の手もズタズタになりました、とは言えなかった。今の言い方だと凪さんは俺の手が怪我しない程度の優しい【(いと)】で虎猫を作ったはずなんだ。やっぱり俺が撫ですぎたせいだった。


「よかったね、怪我治しておいて」


こそっと未来に言われる。

治癒(ノコギリソウ)】であの後治療してくれた未来には感謝しかない。


『えっ? これもう繋がってんの!?』

『未来ちーっ! おひさぁ〜!!』

『まだ二日だろっ!』とツッコミが入る。斎だ。


『ほら見て、未来ちーの分のノート。コピーとってアタシがきーっちり書き込んであるから安心してね。帰ってきたらみっちり勉強会してあげる』

「あ……ありがとう、凛ちゃん。助かります」

『ふふん、アタシにおまかせあれ〜!』

「あの、でもみっちりじゃなくてできれば優しく教えてほしいかなって思う……」

『ダメよー。そんな優しく教えてちゃ未来ちーはまた補習になっちゃうじゃん?』


うっ、と未来が

俺はつい苦笑する。

……ん? 未来ちーの分のって今言ったか? 俺のは?


「えーっと、長谷川さん? 俺の分は?」

『つっちーのはないよ?』

「ですよね!?」

『あったりまえじゃーん! つっちーは帰ってから自分でやりなー』


こんっ、くそ……。相変わらず未来だけ特別扱いしやがる。そりゃいちいち書く手間をかけさせるわせだから? 俺からそれを強要するわけにはいかないけども?

だからといってコピーできないようにするのはいかがなものか。(なんか技つかう)(のちの師走との戦いでの伏線にする)


「帰ったら覚悟しろよ長谷川ぁー……」

『はは。まあ落ち着けって土屋。お前のはちゃんと俺が変わりに書いてるからさ』


ああ、神よ斎。こうこう輝いてるぞ。



「いっちゃんの声がする!」と、隣の部屋から駆け込んでくる結衣博士。


「あぁんいっちゃーーーーんっっ!! 愛する息子ぉ〜っ!」

「結衣さん今は我慢してください。この通話はお二人のために皆さんが──」

「無理ぃ〜っ! いっちゃん成分を補給しなきゃぁ〜!」


「おふくろ。頑張ってる?」

「ふふっ、頑張ってるわよ〜。いっちゃんに褒められたくてね〜!」

「帰ってきたらな。親父がおふくろの好きなココアとバターのクッキー焼くって言ってたぞ」

「てっちゃんが!? ……うん、あたし、もっと頑張るわっ!」

部屋を出て、猛烈な勢いでキーボードを叩き始めた結衣博士。てっちゃんって、哲郎博士のことだよな。

斎だけじゃなく旦那さんのことも大大大好きらしい。


「わるい、騒がしい親で」

「いや……賑やかでいいさ」


実際、結衣博士の明るさで助かってる部分も多いのだから。


『……相沢。あのさ』


秀が眼鏡の奥にある切れ長の目を伏せる。

歯切れの悪い言い方に未来が涙をふいて「うん?」と聞く様子を見せる。


『ごめん。僕と阿部、知った。相沢の……その、理由』


ほんの少し動揺。だけど、その後すぐに「そっか」と微笑んだ。


「言う勇気が出なかったの。……関係が、変わっちゃうんじゃないかと思って」

「例の一件で、私と仲良くしてくれた人が変貌するのが怖くなった。変化が怖くなった。もし、私の過去を知って、みんなが離れちゃったらって、怖かったの」


人の温もりを感じることがあんなに怖かったのに。今は逆なんて──と。未来は俺を見ながら言う。

それは、未来が前に進んでる証拠だ。


「帰ったら、全部聞いてもらってもいい? 私が転校してくる前、大阪で何があったのか。私が今ここにいる理由も交えて、今まで言えなかったことも……全部」


『うん』と秀は強く頷く。


『帰ってきたら、お寿司に行くよ。みんなで行く約束、まだ果たせてないでしょう』


阿部がずいと前に出てくる。


『あのね、未来ちゃん。私美味しいところ知ってるの。だから絶対みんなで行こうね』

「私の奢り?」

『あれは冗談〜っ! みんなで、だよ?』


ふふ、と

それから色々と話をした。

学校はどんな感じかとか、長谷川が世紀末先生にイタズラしてないかとか。

その中でも超絶反応してしまったのが──


「ちょ、も、もう一回。言ってくれ?」

『だから、えと……阿部と、お付き合いすることに、なりましたって』

「だ、誰と?」

『この場で他に誰がいるんだよ。僕と阿部です』


秀と阿部が、カレカノになったと。


「……はぁッッ!?」

『土屋うるさい……』

「わ、わわわおめでとう加奈子!? 良かった、よかったね!?」

『えへへ……。ありがとう未来ちゃん。私もずっと信じられなくって〜』


照れる阿部。

いつの間にお付き合いなんてと思えば、話を聞くにどうやら俺が当番に出られなかったあの日──つまり東京を出たあの深夜、司令官は阿部を秀のサポートとしてつけたらしく。二人きりで、そういう話になって、お付き合いをしだしたのだとか。


「ちょ、ちょっと、まて!! どっちから!?」

『何が』

「どっちから告った!?」

『ちょっ、それ言わす!?』

「言え。言え、白状しろ!」

『えへへぇ〜、秀君からだよぉ』


呼び方『秋月君』じゃなくなってる!!


『も──もういいでしょう、それくらいで!?』

「いいわけねぇだろ!? なぁ未来!」

「うん、よくない。いっぱい聞かせてほしい!」

「つか俺らのいねぇところで急に付き合ってんじゃねぇよ面と向かって祝えねぇじゃねーか!!」



「ねっ、ねぇ、加奈? 告白はその、どっちからっ!」

「言わなきゃ……ダメ?」

「教えてぇー!」


 長谷川のぐいぐいに阿部は更に顔を赤らめる。困ったように眉を八の字にして、それから秀をちらっと見て──


「……僕です」

「「えぇええええ!?」」


 マジか。あの秀が、告白を。

 あの秀が!!


「いいい斎!? お前なんかっ、落ち着いてるけど!」

「先に報告をもらいまして……」

「聴取済みですか!!」



「話を戻すよ!? 僕らのことはっ、その、あんまり騒がず見守っててください!」

「お願いまで可愛すぎんだろっ!」


土屋がサボった当番の日に司令官が阿部を派遣してくれて、その時に





最後には手作りプリンが出てきた。


「みんなプリン渡したら私喜ぶと思ってる」

「あんさんのイメージはこれだからねぇ。丹精込めて作ったさ」


美味しい


愛情のこもったプリンだった。

「私この数日で四つもプリンもらった」

プリンのキーホルダー、ぷりんグミ、未来の好きなコンビニプリン、恵子おばちゃんの手作りプリン。

「ふふ……。幸せ」




湊さきにいく

「湊さん」

「ん?」

未来、深く頭を下げる。

「あの……よろしくお願いします」

「私、手伝えないから。だから……お願いします」

小さい未来

湊さんが微笑んでその頭に手を伸ばすも、自制心が働いたのか手を引っ込め、変わりにポケットに突っ込んだ。

「任せて。僕がいる限り、暴れさせたりしないから」


ユキ見送り

「一緒に行こうか」

「ううん、今晩は大丈夫。……明日は、初日だから一緒にいてくれると嬉しい」

「わかった。明日以降もいつでも言え。すぐに行く」


「ねぇ、ユキ」

「ん?」

「何ヶ月も常時展開するのって、つらい?」


そう聞くと、雪翔はふっと笑った。


「もう慣れたかな」

「……そう」

「ずっと付けてるからな」


「湊はどれくらい持つ?」

「……技を使わなければ、一ヶ月。でも【拘泥(こうでい)】を続けたままなら……臨世がどらくらい暴れるかによるかな」


臨世が暴れるたび、湊が上であると植え付け続けなければならない。


「頑張らなきゃね」


おかっぱ触られる


「ちょっ、なに?」

ちょんまげにされる


「ほい、ちょんまげ」

「もー……何するんだよ」

「肩の力を抜け」

「常時展開に緊張も頑張らなきゃって気持ちも必要ない。自分の体を一体化してるように扱う。キューブと人間じゃなくて、どちらも同じものとして扱うんだ」

「そうすれば、はずれなくなる。キューブが張り付いたままになる。そうならないために俺たちは常に付けることはしない」

「剥がれなくなって、人の力の範囲を常に超えるようになってしまう。」

「そうなったら……いよいよ、人間じゃなくなる」

「ギリギリのラインを、リラックスして保て。キューブを信じて、自分と同じと考え、そして紙一枚分の隔たりを持つ。そうしたら、何ヶ月でも続けられる」


立ち去る


「……難しいこと言うな」


「あーーーまた負けたぁーっ!」

「凪は相変わらず弱いな」

「ユキが強すぎなんだよ、もー」


「ゲーム……するんだな、凪さん」

「けっこう好きみたいだよ。私がペアで当番に行ってた時はよく持ってきてた」


意外だった。


「未来が凪さんとペアだったっつーと……凪さんが中学の頃か」

「うん。ちょっと懐かしいな」






6月3日

朝いち、凪

雪ふってる

「誓いと祈りをするんだよ」

「今日も守り抜くこと、皆が生きられることを、キューブに」



(湊、ユキ、あいか、結衣、凪、紫音)

6時頃

【拘る】で作り出した椅子。物を拘りの形に変える技。玉座のようにしたのは湊の方が上だと視覚からわからせるため


能力を無効化する枷をはめられて

『なんや……これ……』

「あはぁ〜、無理よぉ」


にっこりと、笑って結衣は言う。

「それ、あたしの最高傑作だから。死人の研究するには最強の拘束具。あなたの能力は使えないからねぇ」

「ただ面白いねぇきみ。それ着けて、彼の【拘泥(こうでい)】まで使わなきゃ押さえられないなんて……ちょっとその強さの素調べたいなぁ」



 今回使った【拘泥(こうでい)】の補助の言葉は、『不自由』。

 凪がよく見る『殺戮』と組み合わせで使う【拘泥(こうでい)】は相手を残酷に殺す技だが、今回は『不自由』に『拘る』ことで『自由を与えない』という意味を持たせたと事前に聞いた。

 相変わらず、使い勝手がいいとは言えない。考えるのも難しそうなそれを普通の顔でやってのけるのだから、凪は湊を心の底から尊敬している。



「──黙って」


「頭を床につけて」


『なん……や、これ』

「喋るな」


「手を動かすな」

「そう──。いい子だね」

「いい子にしてたら痛くないようにしてあげる」



霜野お兄さん、フィッシュボーン先に書いとく

「あ……商品についてる刺繍って」

「あっ、そうですそうです! 店名に合わせて髪と刺繍で宣伝なんですよ」

宣伝する客もいない、と少しへこむ霜野お兄さん。

すみません。最近は趣味に没頭しちゃって。今はこれくらいしか……

うさみみのイヤマフ


(くっそ、店員さんの口車に乗せられた……!!)


認めよう。素晴らしい営業トークだ。

店員じゃなくて営業の仕事に就いたらいいんじゃないかとまで思う。


(嫌がるか? いや、でもあのままいて風邪引かせたくねぇし)



うさ耳ついてること気付かないようにパッとつけて、俺のマフラーを未来につけてやる。手袋は手渡しした。

耳、さわって違和感。とって見られる。

「あ」

「……うさぎ」

「ち、ちがう! 今はそれしか無くて、他は全部売り切れで!! このままじゃお前、絶対寒いし、風邪ひいちゃあれだし、俺の趣味とか好みとかそういうんじゃねぇから勘違いすんなよ!?」


言えば言うほど怪しい気がする。

誤解しないでくれ、ほんとに俺の趣味じゃない。

だけどうさ耳のイヤマフは未来にとてつもなく似合っていて、嫌かと聞かれたら首を大きく横に振る。可愛い。ほんとに、可愛い。


必死に弁解する俺を未来はじっと見る。

やめろ、見んな。見てくれるな!!

「……ふ、ふふっ」


「ありがとう。あったかうさぎ、かわいいね」


微笑んで

(可愛いのはお前だ……)

もちろん言えない。言えるわけがない。

「……ありがとう。あったかい」


鼻のてっぺんが赤い未来は、柔らかい笑みを見せる。可愛い。

「ねぇ隆、見てこれ。雪だるま作ったんだよ」

「雪だるま?」


東京でも大阪でも、雪なんて降らなかったから。初めての雪、しかもこんなにも積もっているのを見れば

楽しそう。良かった。



ハンカチ


「……っし。綺麗に畳めた」

未来の【蒸散(じょうさん)】で生み出した水と植物洗剤、自分の炎で乾かした。


「イチ、すっごい顔緩んでるよ」

「いんだよ別にー……紫音も入ればわかるって……」

「汚れないから僕はいいよ。温かいのもよくわかんないし」


洗うのもめんどくさい、と。ほとんど幽体のこいつならではの返答。

普通の人と違う体を気にしてたみたいだけど、だからといって悩みまくっているというわけではないらしい。本人はあくまで便利だと言っている。

だから俺もあまり気をつけて話したりしないことにした。気を使われすぎるのもそれはそれで疲れるだろうし。


「なぁ。それ凪さんのマフラーじゃねぇの」

「そうだよ。昨日隊長に貰った」

「寒くないんじゃ?」

「いいじゃん別に。アイデンティティだよ」


人の物でアイデンティティとか言うなよな。


常時展開教えてください


あいかに未来がネックレス貸して守る

「しかしこれは凪くんがあなたに──」

「今死んで困るのは、私じゃなくてあいか先生です」


流星たち、北海道のマダーと合流(流星、隆、未来)


「うぃーす」

「あ、杵島さんだ」「マジか、あざっす!!」

「中坊じゃねぇか」

最初に言われた言葉はそれだった。

隆、ばんばん倒す。一般の高校生一体に苦戦。モブとの比較


未来、マダーに受け入れられる図

「大変だったんだよね、あなた」

司令官から産月などのことは周知されている。危険を回避するため、そして何かしらの情報を掴むため。

未来が臨世と過去に何があったかを知らなくても、近日に起きた命を狙われたことについては知られていた。


前線に当たる北海道では日中にも死人が姿を見せる。深夜に関わらずマダーが討伐に出ており、土地が広いため彼らの手が届いていない地域では北海道支部の人間が二人一組で周囲を警戒している。

同じ『前線』でも、端段たんだん市以外の市町村は比較的死人からの襲撃は少ない。避難は呼びかけているが、マテリアルで出来た自宅と命を張るマダーを信じ、残っている住民も多い。例にあげるならば、臨世の見張りを続けていた霜野しもの一家もそうである。


死人の体液いこーる血の解釈で流星は死人を倒してる。人は出血で死ぬから。体液がある死人のみだけどな


未来、死人ころさない、花言葉でお話がメイン、元に戻したり仲間にしたり、どうにもならない時や誰かを守る時のみ武器をとる


「【沢山話しましょうマネッチア】」

「……あれで、会話できてるの?」

『わなわなわなわなわなっ!』

「あはは! そんなことも? ふふふ」


「五徳」

「流星さん伏せて!!」

霜野父、母



「色々と、知りたいのですよ」

「産月という組織、未来さんの呼称であるハズレ、彼女が狙われている理由」

「あなたは、喜びの死人ですか?」


『……くふ』

『まじないを受けへん死人を探してここまできたっちゅーわけか』

『よぉわかったな』

『ボクは喜びの名を貰った死人。……あんたらが知りたいことは全部わかるわ』

『ただまぁ……言うかどうかは、別の話やけどな』


どうやらそこにいる臨世──夢によって、自分が『喜びの死人』になったことを知ったらしい。

『竹』に何をされた?

何も。ただ、『竹』の中に、相沢ちゃんの代わりに卯月が記憶を入れといただけや


「この男の子を知っていますか」

『……あぁ、卯月やん』


「知っているんですね?」

『まー死人ん中では一番みんなと関わりあるんちゃう? 卯月なしで死人の世界回らんし』

「彼は何者ですか」

『なんや、そこまでは知らんの? ほんなら黙っとこーかなぁ』


「【情報じょうほうる】」


「……ちっ」

『無理やって。さっきも言ったやろ? 楽しみ以上の死人にねーちゃんの【る】は通用せん。話したい内容を選ぶことができる。それが底辺の死人との違いやからなぁ』


『産月以上のことに触れるなら話したくてもまじないで朽ちるけどな』と、臨世はあくまで楽しそうに笑う。

愉快、とでも言うべきか。


『そもそもやで。そっちには喜びの死人がおるやろ。なんでいちいちボクに聞きにくるん?』

「……」

「しかも大層な技使ってさぁ」

「ケトさんは、今は寝ています。いつ起きるかもわかりません」


未来の技を受けてケトが起きなくなったことをあいかは端的に話す。起きない理由が同じ死人としてわかるならと思ったための行動だ。

果たして、臨世はすぐに『ああ』と納得の笑みを浮かべるではないか。


『喜びに変わる準備中に技かけられたんか。そりゃ災難やったな』

「……どういうことですか」

『言わんよ? ねーちゃんらが困ってんの見るの楽しいもん』


くふ、といやらしく臨世は笑う。


「……ねーちゃん、なんて歳ではありません」

『ああ、そうやったな。弥重君のおかーさん?』


ぴくりと眉が動く。

なぜ知っているのか。凪との関係は伏せているはずだ。


『なんで……って顔してんなぁ』

「……どうして知っているんです」

『さぁ? なんでやろうな』


『可哀想になぁ』

『子どものためと思って行動したはずやのに裏目に出て、引き離されて、再会できたと思ったら嫌われとって』

『誰より考えてるのに誰より嫌われて、愛されへん存在。可哀想やなぁ』

「黙りなさい!」


知恵ちえ】で片腕を落とす。

臨世が悲鳴を上げる。


『相沢ちゃんに会わせてや。そうしたら、色々言うたるで』


時間二時間の制約


「口を割りません。【る】も、通用しませんでした」

「……そうですか」

「明日までに対策を練ります。ですので、あなたも無理をしないように」

「はい。ありがとうございます」


心配するあいかへ素直に礼を言って、すれ違う。

凪は臨世の拘束部屋へ、あいかは旅館へ。

訪問者に臨世は不可解な顔をした。


「尋問は終わりとちゃうの?」



「そうだよ」

「ここからは、拷問の時間だ」



戦闘、隆視点へ(流星、隆、未来ペア、ユキ、紫音、伴侶ペア)

「お姉さん、前に電車の中で守られてた人ですよね」

「あなたはなんだか印象が違うね。あの時は……もっといっぱいいっぱいだった」

「あの時は、兄さんの目が覚めなくて不安だったから。起きて、ほっとして。兄さんがいるなら頑張れるというか」

「あの時……なんで死人の声を聞くんだって、言ってたよね」

「私がしてることも、あんまり良くは思わない?」

「……いえ。兄さんの【伴侶はんりょ】と同じ。相手と疎通できるならいいんじゃないかと思います」

「ただ、結局はキューブがなかったら無理なのかなとは思うけど」

核心をつく言い方だった。

「そうだね。みんながみんな、心だけで友だちにはなれないかもしれない」



「死人と暮らす未来を想像するとね。私がどちらでもいいんじゃないかって思うようになった」


「……人でも、人じゃなくても、ってこと?」


 よくそんなこと聞けるな、と自分で自分に嫌気がさす。

 けれど未来は当然のように笑って頷いた。


「多分、人なんだけど。死人の要素を持ってる。あの子たちがすごくすごく大切なのは、私がそういうよくわからない存在だからじゃないかなって思うの」


「前向きな考えだよ」と、俺が何か言おうとするのを制するように未来は続ける。


「私の思いが届いて、あの子たちと仲良くなれてるならそれに越したことはない。だけどもし、この青い瞳があの子たちと私を繋ぐ役割があったら。心を開いてくれる一つの鍵なのだとしたら。そうだったらいいなって……ずっと思ってる」


 未来は教えてくれた。

 青い瞳はバケモノ扱いされる●になる。

 敢えてその色を隠さないことで、未来は他人からの悪意を

 隠さてしまえばきっと生きやすくなるだろうに、どうして隠さないのかと疑問だった。

 聞いても、今までは答えてくれなかった。


「隆が、あの子たちとの未来を私と一緒に考えてくれてる。だから話した」



「ありがとう、隆」

「……礼、言い過ぎ」

「言ったでしょ? 足りないって。これからもっと言うから覚悟してて」


嘘っ血

「毎度毎度ケガしてられっかよ。んな危ない戦法しねぇっつの」



伴侶、あった時は小さいけど戦闘時は大きくなる。

「あそこでね、ずっとこっちを見てる子がいるの」


──天使?


そう見える。羽のように背中側から白いものが生えてるから。

○もやしの天使、隆、未来苦戦


天使が作り出したもやしが大量生産

「も、もやし?」


育ったはいいものの消費しきれなくて腐って、その矢先捨てられたところから一気に死人化したらしい。


「燃やせば一発だろ」


燃やす


「ちょ、バカ!」


「えっ」


「ほらぁ! 増えちゃったじゃないの!」

「えええっ!!」


「もやしの増える力は半端ないんだって!!」


地面から生える生える生える!!

ぎゃーこらぎゃーこら

半ばもやしの森林状態だ。


「喰らうかんなさん


「でもせっかくだね」

「え?」

「お腹も空いてきたし」

「ちょ、未来。お前まさか」

「ねぇ隆。手伝ってくれるでしょ?」


ニコニコと笑って言うのだ。


調理


北海道の皆で頂きます!!


「んまっ!?」

「だって食べてもらいたいから死人になっちやったんだもん。そりゃ美味しいよ」

「ちゃんと、その願いは叶えてあげたいよ」


「もやしさん、ありがとう。すごく美味しかった」


死人、ポロポロと泣いて一本のもやしに。


「その子、どうする?」

「連れて帰ろうよ。家で育てたらいいじゃん」

「おま、この期に及んでまだ死人家に増やすつもりか!?」

「いいじゃないの、悪意のない死人は家族も同然!」

「もう、お前の心の広さがわけわかんねぇよ……」


伴侶はんりょ】もやしの子にする

「契約しよう」

番外へんで言ったこと書く

赤い朱雀の模様




☆凪の役割

『尋問は終わりとちゃうの?』

「そうだよ」

「尋問は終わり。ここからは──拷問の時間だ」


如月きさらぎ師走しわす卯月うづき……和風月名わふうげつめいか」

「はい。おそらく華弥かやっていうのは」

「鞭の死人だね。彼女が『楽しみ』で、もう少しで『喜び』になるところだった。だから、僕を性的な目で見ることができた?」

「そう言ってました」


 凪さんは復唱しながら整理していく。


「ケトも『喜び』だね?」

「はい」

「ケトは喜び。死人が生まれるのは哀しい気持ちから。元の姿に戻せるのは、多くは怒りでいっぱいになっていない哀しいだけの死人……なら、『哀しみ』と『怒り』? 産月は十二体で更に怪異の生き物がその上にいる……?」


『……なんや。えらい知っとるやんか』


肯定だ。


「喜怒哀楽と十二の産月、正体不明の怪異の生き物。死人には序列があるの?」

哀怒楽喜あいどらっきて……呼んでほしいなぁ』

「なんの順番?」

『くくっ、とぼけんなや。弥重君が言うた序列。哀しみから生まれ、怒りでいっぱいになり、死人として楽しく生き始め、死人として生まれたことを喜び、後世に生命を残していこうと性の欲求を得る。《喜び》とは、産月を除いた死人のカースト上位っちゅーわけ』


隆一郎の夢の内容が正しいことも証明された。


『なぁ、人間と死人のハイブリッドが出来た場合──人間はどうすんの?』

「……」

『殺す?』

「黙れ」


産月は死人の上の存在のため、催眠という形で言うことを聞かせられる


 隆と臨世のちがい(隆は死人の声を受け入れなかった)

 隆は死人に乗っ取られただけ。

 直君は……死人になることを選んだ

 言ったでしょ。同じじゃないよ

隆一郎とお前は同じじゃない。


 けれど思う。それ以前からきっと、心のどこかでは気付いていたのだろうと。

 他人から化け物扱いされ、安心する自分がいること。

 周りから浴びせられる暴言暴力に耐えるため、自分は罵られるべきと言い聞かせていること。


 普通に生きてきた凪にはわかってあげられないぐちゃぐちゃな思考回路。それを持っていたために、彼女は自我を取り戻すべく自身へこう囁いたのだ。


『私は人間でないモノとして、ひとりで生きていかないといけないんだ』と。


『……ひとのせいにすんなや』


恐ろしく、低い声。


『相沢ちゃんがそういうふうに考えるようになったの、僕のせいとちゃうやろ。元々そうやって考えるような子やった』

「そうかもね。周りがみんな、ひどいから」


お前の言うことは正しいのだろう。

けれど、それを浮き彫りにしたのはお前だ。


『いっ……!』

「休憩は終わり。僕の質問に答えてもらおうか」



「……ここしばらく聞いてないな」

「ん? なんか言ったか弥重」

「ううん、なんでもない。ただの独り言」


 固くなった手を緩めながら答えると、流星は怪訝な顔をしながらも「あっそ」と自分の役割に戻った。

 人間でないモノとして、ひとりで生きていかないといけない。

 ここしばらく聞かなくなったことからしても、彼女が安心して過ごせている証拠なのだろう。


 未来が時々口にするあの言葉は、他の誰かに言われたのではない。未来自身がそう言って暗示をかけ、自分を守るための材料にした名残だ。


 病院にいる間は皆やさしい言葉をかけるから。

 誰ひとり暴言も暴力もしてこないから。

 それが怖い。平和の少ない生活をしてきた彼女にとって、その優しさは地獄だった。

 だから未来は自分を守るため、無意識に別の人格を作り出して言わせたのだ。あの言葉を。


 隆一郎は、未来が誰かにそう言われたと思っている。未来が初めて口にした瞬間を凪と一緒に見ていたのに、彼はその時の会話を根こそぎ忘れている。

 理由は、未来が普通に生活できるようになってきた頃、誰に言われたかわからないと首を傾げたから。

 別人格は消え、そんなものを作り出していたことすら覚えていない。自分でない他の誰かに言われたと認知して未来は戻ってきた。


 だから隆一郎は未来に合わせ、知らない誰かに言われたんだと思うようにした。

 記憶のすり替えをしたことすら忘れるほど、未来の『わからない』に寄り添った。


 あの口癖の真実を知る者は、もう自分しかいない。

 それで彼らが安心して生きていけるのなら凪は言わないし、思い出させようとも思わない。

 必要ならその真実は墓場まで持っていく覚悟だ。


 隠し事ばかりと指摘されようが、それで彼らを守れるのなら文句は言わせない


キューブ連想して使うと知ってるのも誰かが言っていたことを記憶として共有してるから

「哀怒楽喜……」

『そう。産んでくれてありがとう。第二の人生をくれてありがとう。死人になってしばらくすると、そう思うようになる』

『そいつらは人間に対してすごく好意的。人にも懐くし、恋愛感情を抱いたりもする』

『ナギが華弥(かや)に好かれたのは、彼女が喜びの死人に変わりそうになっていたからだ』

「華弥……それが、あの鞭の死人の名前?」


第二の人生を歩むことが、死人にとっての『喜び』なら。


──【(はぐく)めち生命(いのち)よ】


もしかして、未来が、植物の種として新たに命を作らせた死人たちは、みんな……



喜びの死人(産月やケト)はまじないの影響受けない。喜びの死人は死人であることに誇りを持っているため、わざわざ人間に弱点をさらすことはないとオワリが考えているため自動的に効果を失っている

産月のことを人間側に知られないため、オワリについて知られないためにまじないある

目は青いままなのでコンタクトで隠さないといけない


『楽しみ』の死人から人の体に心臓を移すことができるようになる。移した段階でその死人は『人』と判断され、死人のサーチ(【る】)や無理やり口を割らせることができなくなる。

『楽しみ』と『喜び』の死人は、自らの存在を誰からも邪魔されない存在になると言うのだ。


(ということは……境界を超えて以降【る】が通用しなかったのは、ここにいる死人のほとんどが『楽しみ』以上だからということ)


哀怒楽喜。それが死人の成長過程だと捉えるならば、前線の死人が異様に強い理由も納得がいく。

産月というものが死人の更に上に立つ集団だと言うのなら、彼らにも【る】は通用しない。……どうにも、めんどうだ。


『あとおもしろいことっちゅーたら……せやなぁ。死人同士で記憶を共有してること、とかか』

「共有?」

『そ。名前も知らんその辺の雑魚でも楽しみ喜び関係なく、誰かが見て聞いた話は他の死人の頭に叩き込まれる。夢という形で、卯月が全部教えてくれるんよ』



『簡単な話や。死人は死人の記憶を共有する。名前も知らんその辺の雑魚でも楽しみ喜び関係なく、誰かが見て聞いた話は他の死人の頭に叩き込まれる。夢という形で、卯月が全部教えてくれるんよ』


呪い?

ああ。人間がわにはそう呼ばれてんか

……あれは、ボクからは話されへん。産月のことやない、あのお方に関係することやからな


じゃあ、ハズレは?

くふふ、そんなすぐに全部言うたら面白ないわなぁ

(当たりハズレのハズレ。死人として生まれたあのお方は、人間を見下している。ある意味では人間全てがハズレ。ただあのお方が人間に対し興味を持っているのが未来だけなため、あのお方がハズレというなら未来以外にいない)


「なんで、僕にはそんなにも教えるの?」


あいかには何一つ言わなかった。【る】を使っても言おうとしなかったことをなぜ凪には白状するのか、不思議だった。


『弥重君には教えてええよって、言われとるからかなぁ』


──僕には?


「どういう意味? 誰から許可を得てるの?」

『それは内緒。言うなって言われとる』

「痛い思いしたい?」

『くふっ、いい顔すんなぁ。ゾクゾクするわ、弥重君のそういう目』


『まあ理由だけなら教えたらんでもない』


『弥重君はなぁ、好かれとるんよ。あいつに』

「……あいつ?」

『なんや、生き様に惚れられてるらしいで。良かったなぁ、おかげで特別扱い。あの綺麗なねーちゃんには言わんけど、弥重君にならある程度のことは答えたる』


それをあいかに言うわけにはいかない。

ただでさえ【る】が通用しないことを気に病んでいるのだから。



↓凪との会話でもいいかも

(そうか、あの時使ったのは移ろいを知る。臨世が死人として生まれた瞬間に死人や産月の存在の知識を得たのなら、それ以降に再度共有することは無い。情報がなかったわけですね)


だったら、それ以前の。臨世が捕縛されるまでの記憶を知れば、あるいは──。


『やめとき、ねーちゃん?』


止められる。ニヤニヤした顔で。


『確かにボクは死人になってから一日で捕縛された。ねーちゃんたちがやったみたいに一年半もの記憶からしたらめっちゃ短く聞こえるかもしれへんけど、その一日にボクらは頭おかしくなるぐらいの情報を得てるんやで?』


『今まであんたらが倒してきた死人、取り逃した死人、随分前からおる産月やあのお方の記憶。全部全部や。死人が現れてから●年、それまでにおった死人全ての記憶を一瞬でねーちゃんの頭に入れることになる。……わかるやろ? 言うてる意味』


「……いくらキューブの『恩恵』があろうと、『知』の文字を持っていようと、厳しいかもしれませんね」


それでも、何かがわかるなら。

臨世に【る】が通用しなくとも、その内容を自分の頭に移せるのなら、やるしかない。


奴らの情報を得る。それが、自分に与えられた役割なのだから。


『……死ぬで?』


行動に移ろうとしていることを察した臨世は正気かと言いたげな顔をする。お前が話せばいいだけなのに。


『あんたも可哀想な人やなぁ』

「……死人に同情されたくありません」


「未来さんになら言ってもいいと言われました」

凪拒否

未来聞いてる



「……国生さん」

「【る】を信用しなくてもいい。けれど……キューブのことは信じてあげてください」

「そうすれば、【る】は騙されない。相手が黙りたくても無理やり話させることができるはず。全ては、想像からてきているんですよ」


六月四日


「その卯月という方、なぜ『竹』やあなたへ手を加えたんです?」

る】になにか付け加える、臨世少し話すようになる

『卯月は相沢ちゃんを守りたがっとる。あのお方が相沢ちゃんを殺そうとして、命令されても遂行できんかった。……あんたらの知っとるヘンメイが相沢ちゃんを襲いに来たのが、卯月が何もせぇへんかった証拠や』

『夢ん中で卯月が命令してくる。動かないで、喋らないで、あの子の前で声を出さないで。産月の言うことは底辺の死人からしたら絶対やから、あの日ボクは相沢ちゃんに何もできへんかった』


る】通用しなくなる

「また、ですか」

『残念やなぁ、ねーちゃん。……攻略してもうたわ』

「時間です」凪くる

『相沢ちゃんになら、言うてもええけどなぁ』

「会わせないよ。絶対にね」



交代



「そうだね。信用してたよ、お前のこと」


未来を守ってくれた。

指をさす奴らから隆一郎とともに庇ってくれた。

凪は上原直樹という人物を信用していた。

だから、彼が未来に対し違う感情を持っていることに気付いた時点で遠ざけようかと考えた。それでも、未来にとっての初めての友達。失わせたくなかった。

結局それが未来の消えない過去になってしまったのだから、その判断は間違いだったのだろう。


「臨世。お前は何から死人になったのか、自分自身知ってるの?」

『さぁ。知らんな』


知っているような声色だった。

答えたくない。そんな口調。


「プライドの高い人は僕の知り合いにもいてね。こじらせたら怖いなぁって、お前を見るたび思うよ」


「ねぇ、『自尊心』の死人」(言わない?その後未来襲う時に暴言として言ってもいいかも)


『言うなや、話せることも話したらんで』

「それは困るね。謝るよ」


せっかく話してくれるのに黙りにさせるわけにはいかない。凪はそれ以上臨世の出所には触れないことにする。


「でも少し聞きたい。元になったお前のことは聞かないから、そうなった際の自分の変化を教えてほしい」


気になっていたのだ。なぜ彼は『喜びの死人』なのか。生まれたすぐに『喜び』になったその理由。同じ人間の意思から生まれた隆一郎の死人との違いは何だったのだろう。

もしくは、その時は情報がなくて気付かなかっただけで、隆一郎の死人も『喜び』だったのだろうか。


『それはちゃうな』


否定される。迷わずに。


「どうして?」

『土屋君が作った死人は哀しんどった。死人になったことを喜んでなんかない、相沢ちゃんを守られへんのやったら殺す。そう言うとる』


臨世の記憶の中の彼を思い出しながら語られる。


『ボクの場合は、悲しいなんか思わんかった。死人になったこと、相沢ちゃんを殺す手段を得たことを心の底から嬉しく思った。ボクらは一緒やない』


直樹──自分の意思が死人になりかける。耐える。でもそこでオワリが語りかける

殺せ。相沢未来を殺せ。さすればオマエハ救われん。

ボクの中から聞こえてきた割には、知らん奴の声やった。声自体は男っぽかったけど、見た目は女。しかも……相沢ちゃんによぉ似とった


……どういうこと?


そこまではわからん。ただ弥重君の話を聞くに、ボクと土屋君やったら死人になった経緯が違う。なんや、仕組まれとったんちゃうかって、今なら思うわ



拘束部屋を出て、扉を背にする。

ずる、と背中を添わせ、それから床にへたりこんだ。


(去年の……いつ頃だったろう。端っこが黒いと気付いたのは)


ダイスに『闇』の文字を見せられた時、ああと納得してしまった。

自分が今までと同じ『光』の文字では合わなくなってきていること、以前のように誰かを照らせるような、前向きに進む存在ではなくなってきていると、自分自身もう気がついていた。


(対極的だ。光と、闇なんて)


もしもキューブがもっと黒くなって、凪に『光』の文字が合わないとキューブ自身に思われたとしたら。

そうしたら、自分はどうなるんだろう。

キューブを使用できなくなるんだろうか。その場合ダイスを使ってまた『光』の文字を選べるんだろうか。

もしくは、その時には六面全て『闇』を見せるのかもしれない。


「頑張らなきゃ……。キューブに見放されないように、親のことも臨世のことも、この国を脅かすもののことも。恨んだり憎んだりせず、みんなを率いる存在でいなくちゃ」


自分が負った宿命を、運命であり、誰かからの導きだと信じられた、幼少期のように。

言い聞かせるように呟いては、首を縦に振る。

立ちたくない気持ちを払い除け、凪はふらりふらりと宿へ向かう。


「……あ」


博物館みて回るあいかと会う

あいかは博物館が好き

凪拷問の後出くわす

「わたしも好きなものくらいあります」

オレンジジュース買ってくる

「まだ好きかは知りませんが……この間の、コーヒーのお礼です」

ちょっと話す

「司令官が、あなたと話すようにと」

「司令官が?」

敬語一瞬はずれる

「いいですよ、二人の時くらい普通に話してもらっても。くん付けもいりません」


「……以前のこと。誤解させたままだと思うので、もう一回言います」

「僕はあなたを嫌ってなどいません。……好きかと言われたら、返答に困りますが」

「素直ですねぇ」

「わかってるでしょう、嘘をつくのは苦手です」


「帰ります。国生さんも気をつけて帰ってくださいね」

「あ……わ、わたしも一緒に帰ります。少し待ってください」


「仲直りはできましたか?」

しものおばあさん

「……ケンカはしていません」


夜は基本伴侶と紫音が戦う

日中はみんなで

血管伸縮けっかんしんしゅく】を毛細血管みたくぽわぽわさせても良さそう

「ガキんちょ! 海出せ!」

ピーマン再来

「【血海けっかい】」



六月五日

北海道ダイス届く

ダイスのさ、会議したんだ

護身用に国中に配ること。決定した!

みんなに見せた時のダイスにプラスして、人間への被害が出ないようにした

キューブの掟を青い球体にプログラムとして認識させたっていうのかな。


3つある掟。

その三つ目を使ったらしい。

思い罰という点を、自分へ同じ状態を起こすことになる

誰かを刺そうとしたら刺す前に自分がダイスに刺される仕組み

こっわ……

ははっ。悪意がある場合のみな。わざとじゃなかったら発動しねーよ


それくらいしっかり対策を取っていないと全国民に配るというのは不可能だったのだろう。なんせ、全員に何でもできる武器を持たせるということなのだから。


だから、ここからは数を増やし次第配っていく。

変わるぞ。正式なマダーだけの国。自分の身を守れるようになる。お前らがいる前線。そこに残ってる一般人の人たちに、身を守る手段が増える。



ユキちゃん。ヘンメイ……復活させようか?

あたしならできるよ。

いいえ。

役目を全うしたあいつを、再び戦場へ引き戻すなんて俺の意思ではできません。これでいいんです。

お守り袋の中へガラス玉をしまい、ユキさんは結衣博士へ微笑む。

ありがとうございます、博士。ヘンメイはあなたのこともよく話していましたよ

再生に秀でた体をくれたことを、とてもありがたく思っていた。

戦場に出ないあたしにできることなんて、それくらいなのよ

サポートしてくださる方々がいるから俺たちは戦えます。伴侶たちも、あなたの力を借りているからこそ本領を発揮できる。皆感謝しています

ユキちゃん

はい

ハグしていい?

それはどうぞ息子さんに。俺に飛びつくと伴侶に蹴られますよ

うふふっ、それはそれでいいなぁ

怪我をしないとはいえやめておいた方がいいと思います



回禄(かいろく)】を強くする

常時展開できるようになる

ケガしないようにする

↪︎ユキに隆教えてもらう

ユキさん、肉弾戦つよ……っ!?

伴侶がいなくても戦えなくちゃね

常時展開を続けることで自然と体も強くなる。『恩恵』を受けている状態に体が変わっていくんだ

見たことない? 凪が普通の人間ならありえないような破壊力を持ってたり、危ない攻撃を受けても怪我しなかったりとか

めちゃくちゃある。凪さん、素手でマテリアルぶっ壊すもん。俺が中二の時にした手合わせなんか、俺がキューブ使って攻撃しても全部自分の体に受けながら突撃してきたもん。

すげぇ……。それだけ強くなれるのに、常時展開をみんなに教えないのはなんでですか?

体が成熟している者でないと習得できないから。生半可な精神力では成しえない、同じマダーでもこれができる人っていうのはあまりいないんだよ

精鋭部隊が全員できるのは、凪の目利きが本物だから。全国から集められた精鋭部隊はみんな体も精神もよくできてる。だから俺も教えていく

……未来は?

彼女は、きっとできない

小さいからですか?

身長は関係ないよ。体の成熟って言っても、要は仕上がっているかどうかの違いだから

じゃあ……

あの子の右腕。自由が効かないんだろう?


自分の意思でどうにかできない部分がある。その時点で、常時展開が必要とする基本が欠けている。だから彼女には不可能だ

あの右腕は……神経を作ってるのかな。とっても自然にうごいてるけど、戦闘になってみれば動きが鈍る。遠距離で戦わないのはそのせいかな

この人……全部、わかってる。

腕の神経のこと。未来の朝顔と湊の拘束によって成り立っていた

最近は【拘束(こうそく)】に頼らなくてもいいみたいで。キューブを展開してなくても一つ技を使えることに気付いた時から未来一人で右腕を動かしてます。それまでは、湊さんに毎日助けられてたわけですけど


「手間をかけたり、制約を作ったりすればそれだけ強い技を得られる。凪の【(おぼろ)げ】みたいにな」

「もう一つ強い技があるけど……あれは隆君の【炎神(えんじん)】と同じで凪の信じる気持ちから来た強さだからちょっと違うかな」

多分そのわざは、あれだ。詠唱が必要な、凪さんが恥ずかしがってる技。

「作るものじゃないよ、何かと引き換えの技なんて。そんなものに頼らなくても隆君みたいに強くなれる。犠牲の上で成り立つ力なんてやめておくべきだ」

「凪だってそんな教え方はしていないだろう」とユキさんは



わなわなわな

「少し、わかってきた。話ができる子と、話せない子たちの違い」

人型で生まれた死人は言語能力が人に近いため発達している

それ以外はある一定の強さを超えるとよく話すようになる。凪の話を聞いた今ならば、『楽しみ』以上の死人はよく喋る。

つまるところ──死人としての自分を認めているからだ。


討伐せずに、成長して、『楽しみ』以上の死人ばかりになったら。みんなと会話して、一緒に過ごせるのかな

……その場合、襲われないよう策を考えておかないといけないけどな



「凪たち、どうしてるかな」


 不意に未来が言った。


見た?あの写真


 しかも変顔付き。多分今撮ったものじゃないけど、おちゃめな凪さんの●が添付されてる。


「これが噂の司令官宛て変顔か」

「実は可愛いところあるよね」

「たまーに見せるくらいだけどな。司令官にはこういうのちょくちょく送ってんだろ?」

「私たちには見せてくれないくせにね。……ずるい。保存しとこう」


 ふふ、とさっきよりも笑う。





「……まだかな、みんな」


「落ち着いたら……本当にここにいていいのかなって思えてきた」


 ほとんど何もできてない。そう未来がぽつんと言うので、俺は十分だと答える。

 凪さんたちは、この後絶対に大変だ。予想外のことできっと忙しく動かなくちゃならない。普段から前線で動く凪さんたちの中に、そうでないやつがいるのは足でまといに思う。

 だけどそれ以上に……俺たちを先に帰したのは、凪さんの優しさだろうから。


(凪さんたち、どうしてるだろう)


 今も動いてくれてる師匠たちを思う。

 心配したところで俺にできることは何もない。

 普段から遠征として各都道府県を飛び回る師匠たちや本部の人とは違い、のんびりと学校生活を送って、夜は決められた日だけ戦いに出る俺にはみんなが今何をしてくれているかがわからない。


 骨の奥まで伝わる。俺たちの日常と、凪さんたちの日常は全然違うのだと。

 臨世の拘束解除という名目がなきゃ俺たちはこんなところにはいない。きっと来させてもらえないんだろう。

 前線とか境界とか、教えようとしていなかったみたいだから。


(それも……凪さんや本部の優しさだ)


 知る必要のない危険な情報を敢えて遠ざける。

 何も気にせず日常を過ごせるように、実は色々と隠されているのだとこの二日間でわかった。

 俺たちは……まだきっと、色々知らないんだろう。

 教えてもらえる日はくるんだろうか。

 まだ考える。目を閉じる。

 肌が、部屋の暑さ以外のものを感じ取った。

 俺たちが目指してる未来みらい。そこへ繋がるには、どうしたらいいんだろう。



最初に話したとおり、臨世が死人になった時の記憶を【る】で見たら。

そうしたら全てわかるのか。


やってみる。もう少しでわかるところであいか限界、凪助けに入る。

「なぜ止めたんです!? もう少しで、奴らの全てがわかるところだったのに……っ!!」

「その前にあなたが死にます!」

「嫌なんですよ。もう身内が死ぬのは、嫌なんです」

その件について自分では触れたくない。父親の死を思い出すのは今ではない。ただそうでも言わなければ、彼女は止まらないから。

治療を始める。

完治薬をぶっかけて、

沈黙。

──カタン。

未来がいた

(なんで、ここに)

大きな目をさらに大きくする。微動だにしない未来。

あいかの呻き声で凪は我にかえる。

「未来……なんで、ここに」

「……お茶、取りに来た。隆とユキさん、鍛錬……頑張ってるから」

「何があったの?」

「……なんでもありません」

「少し、暴走しただけです。心配かけてごめんなさい」



六月六日(凪あいかに薬もられる、未来臨世にカンカンカン、未来ダウン)湊やすませる

凪、夕方睡眠薬入り緑茶

苦い

「どうしたらこんな苦く作れるんですか……」

「の、飲んでくださんですか?」

「飲みますよ……せっかくいれてくれたんだから」

夜中、もう一回お茶

「雪翔くんに教えて貰って、再チャレンジしました」

「……。まだ少し苦いけど、美味しいです」

「良かった」


その後しばらく

ドサッ

倒れる凪


「──薬が効かないにも、ほどがありますねぇ」

睡眠薬の空袋3つ

「急がなくては。もうそろそろ来るでしょうし」



『あっはっは!! なんや、なんやの? 久しぶりにおうた思ったらもう退散か? いぃーっぱい人引き連れて大掛かりなことして、その癖ガタガタ震えて可愛いなぁ、相沢ちゃん。なぁ?』

性格が一定しないこと言われる


隆助けに来る


隆への好意かも

直樹は未来が好きと隆は思ってた

実際は、直樹は隆が好きで、未来との恋を邪魔したくなくて恋心すてた

隆が変に好きだーってなってるのは雪にあてられてるから?


未来を守ろうとする姿に惚れた

転校して、もう隠さなくていいと思った

でも未来が隆、りゅうって言うから限界が来た

『ボクがどんな気持ちでその話聞いてたと思う? なぁ……なぁッ!!』

「お前……未来のこと、好きだったんじゃ」

「土屋君とおるための口実やわ。誰がそんなやつとなかよぉするかいな」

「せっかくなぁ。捨てたんやけどさ、君へのキモチ」


執着してると思った。

愛情ではなく、殺意の執着──。


『どんだけ頑張ってもボクは土屋君の代わりにはなられへん。ボクは救世主にはなれんのや』

『どうやってもボクの望みは叶わんねんよなぁ』

「──望み?」

『なぁ。誰が友だちになろうなんて言った?』

『ボクは二人を友だちとか思ったことないで』

『特別な人間になりたい。その足がかりがキミらやからなぁ』

「てめぇ、最初っから……!」

『今更気づいたって遅いわなぁ。なぁ? 大事な時にそばにおれんかった土屋君?』


隆刺そうとする

凪、手掴んでとめる

近づく

糸できりさく

臨世わめく

(いと)】で切っていく。腕、足、耳、腹の表面


「な、凪さんっ!」


聞こえてない。凪さんは無言で臨世を切っていく。

切って、切って、切って。血が飛び散る。

どっと、顕になった内臓、そこにある青い心臓を踏みつけた。

『ひゅ──しゅ……』


言葉が絶え絶えの臨世に向けて【(つるぎ)】を作り出す。

振り上げた

「凪さん!!」

大声を上げて

ぴたりと、先導者は止まる。

カクン、と。力の入っていない人形みたいな顔をこちらに向けて。

同じようにカクン、カクンとこちらへ歩いてきた。

そっと、二人は抱きしめられる。

「ごめん。……ごめんね」

「遅くなって、ごめん」


未来が未来でなくなった時のことを思い出す。

俺って言うなって言われてさ。親に。僕って直してる最中やの。違和感ヤバいけど。

どうでもええと思わん?別に俺でも僕でもさ。

あーでも、俺の母さんも小学校の間はあかんって言うとったかな。聞かんかったけど

聞かへんのかい

俺は俺なんです

土屋くん家は自由やなあ


東京行くって……

父さんは元々東京に住んでいた。仕事の関係で大阪に来て、そこで知り合った母さんと結婚して俺ができた。そのまま大阪に住むつもりが、本社に戻らなくちゃいけなくなった。


だから未来も、と


残るよ。

未来が父さんや母さんに遠慮していることはずっと感じていた。家族と思って過ごしていても、どこかで甘えきれないところがあるのは知っていた。


別のところに行くのは、まだ怖い。今は普通に近い生活ができてるから、このままでいたい気持ちもあるんです


それが、本心かどうかは別で。

死人によって死者も出るようになって、身寄りのない子どもを引き取る施設も出来ていた。そこへ行きますと、未来は父さんと母さんへ言って笑った。

お世話になりました、と。

その頃から既に、俺たちの誰も未来の演技を見抜けなくなっていた。

わからなかった。未来が本当に望んでいたのは何なのか。

だけど俺は、未来が平穏な日々を求めていたことだけはよくわかっていた。

だからだろう。


──毎日電話する。なんかあったら【接木(つぎき)】ですぐこっちに来い。俺も、ちょっと時間かかるけど【花火(はなび)】で会いに行くから。


それがいいと思った。

関係性を一から作ることを未来は望んでいない。直樹がいて、慣れ親しんだマダーがいる大阪。平和な学校生活。それを取り上げて無理に連れていこうとは思えなかった。


なのに、


──止血が追い付かなくて、出血多量で危なかったから無理やり傷口を閉じた。僕は奴を追いかける。ケアは頼むよ。


俺たちが引っ越してから一ヶ月。真っ赤に染まった未来を凪さんが抱えて来た。


──説明してください、いったい何が!?

──ごめん、これ以上の被害を出すわけにはいかない。精鋭部隊全員が動いてる。対処ができ次第ちゃんと説明するから。


そう言って凪さんはすぐに出ていった。

治療は既にされていた。

それでも、未来を抱きかかえた俺には鮮血がベッタリとくっついた。

つい先程まで流血していた証拠。

ほんの少し前まで、未来が死へ向かっていた証拠。

赤い、赤い赤い制服のブラウス。

真っ青な肌と虚ろな青い瞳。

なのに唇は、何度もアイツへの謝罪を述べていた。


──ごめんなさい。

──ごめんなさい。

──恩を仇で返して、ごめんなさい。


死人になった直樹が端段市で捕まった後、その元になったものは未来への好意だと聞いた。

そうして理解する。友だちと思っていたひとからの気持ちを受け取れなかった未来が、直樹にどう答えたのか。

その返事を受け入れようとして捨てた恋心が、上手く消すことができなかったその気持ちが、ぐちゃぐちゃになって直樹と交わって、歪んでしまったこと。

殺したくなる衝動に駆られ、抑えられなかったのだと。

カン、カンと音を鳴らしたことを思えば、一年半の拘束期間を設けた今も、おそらく。


それほどの思いを未来に持っていながら、俺が近くにいる間はちゃんと『友だち』として接することができていたという事実を。


そうして、未来も変化を怖がるようになった。

変わらないで、と。夢を見る日に必ず言っているのは、そのせいなのだろう。


ガンガンと暴言中にきを失う、夢で過去を簡単に思い出す

未来寝かされてる

不知火しらぬい

「過去を思い出してるようで……」

「凪。俺は凛世の捕獲はしたけど、あの子の過去に何があったかよく知らない。あの後眠りに入ったから知る暇がなかった」

「凪と隆君、未来ちゃん。……三人は、過去に凛世と何があった? 奴はただの死人じゃないのか」

調べればわかるようなことだし、ユキさんは当事者だ。俺から話すことにする。

過去について、隆と凪補完して説明する


治療は既にされていた。

それでも、真っ赤に染まった未来を抱きかかえた俺には鮮血がベッタリとくっついた。

つい先程まで流血していた証拠。

ほんの少し前まで、未来が死へ向かっていた証拠。

赤い、赤い赤い制服のブラウス。

真っ青な肌と虚ろな青い瞳。

なのに唇は、何度もアイツへの謝罪を述べていた。


「──未来が、どんな言葉を言われて、どんな残酷なことをされたのか。俺は聞いてないし見ていない。そこに、俺はいなかった。一番、助けてやらなきゃいけない時に、俺はそばにいてやれなかった」


父さんの出張を恨んでるわけじゃない。

母さんが未来を残すことを承諾したからと責めるつもりもない。

凪さんがナオの異変を深刻に捉えていればなんて、失態なんて思ったことは一度もない。

それでも。


「未来がっ……こうして、つらい思いをしてるのは、結局俺がっ……だから、俺は……だからっ!」

「もういい。もう……いいから」



「図ったんですか」

「未来が、自分から臨世のところへ行くように。わざとあのタイミングで僕に話して、未来が帰ってくるタイミングに自分が苦しんでる姿を見せたんですか」



「いつから、だったんですか」

「この遠征が決まって以降、あなたはずっと仕事の時の話し方だった」

間延びしない、しゃきっとした敬語。

あれが出てくるのは彼女が真面目な時だけだ。


「僕も気づかないくらい、自然すぎた。……まさか、こうなると予想していて、最初から」

「僕の信頼を得るための策だったんですか」


わたしが見ています、というあの言葉。どうして信じてしまったのか。

人間らしいところを見せられたからか。

仲良くなれそうな気がしたからか。

どうして──。


「……手っ取り早いんですよ、その方が」

「わたしは死人のことはあなたたちよりもわからない。けれど、人間のことなら──あなたよりも、知っている自信があります」

「やっぱり、嫌いだ」

「この数日、もしかしたら、あなたを誤解していたんじゃないかと思っていました」

僕が一方的にあなたを拒否しているだけで、本当は、あなたは人間らしい人なんじゃないかと

「いいや、違った。やはりあなたとは、僕は仲良くなれないみたいだ」

「嫌いじゃないって、言ったけど。やっぱり、無理だ」

「僕はあなたを受け付けない。あなたを」



「あいかちゃんさぁ……。もっと自分を大事にしなよ?」

「凪君が全部時分で背追い込もうとするのは、あいかちゃんを見て育ったからでもあるんじゃない」

「甘えていいんだよ。……ね。おかーさん」

「……わたしはあなたの親ではありません」

「ふふ。なら息子には優しくしてあげなよ」

「戦略家としての自分と親としての自分。双方に切り裂かれ、あなたは大変な苦労をしてる。わかってもらえないだろうけどね」

「……わたしは時々、あなたが怖いです」

「研究者を舐めちゃいけないよ」

ここここが違うからね」

「褒められたことではないとわかっています」

「これで……あの子も望まぬ拷問なんてしなくて済むでしょう」

「汚れ役、一人で背負い込むつもり?」

「それが必要ならば」

「……親子ねぇ」


「同じ母親だからわかるのよ! 同じ本部の人間でっ、色んな立場も忙しさもあって同じだから!!」

「あたしは足りない分を補うために、会えた時には精一杯の愛情表現をする。それが過剰だっていわれようと、あたしの中にある息子への愛を伝え忘れはしない!」

「気付いてんでしょ? 凪君が他人に頼れない理由! あんたを見て育ってきたからよ!!」

「あんたが抱え込むから、それを見てきたあの子は抱えるの!」



「約束は守りましたよ」

「教えて頂けますか。奴らの全てを」


「誰……」

『ふふ、知っているでしょう? あなたなら』

『そんなに知りたいなら教えてあげますよォ』

『全部……ね』


六月七日(凪誕生日、夢で言われた日、襲われる)

隆、凪、きちんと勝負

「未来。……止めんなよ」


怪我だらけなる、途中からバグ

「……ッ! あの時も、そうだった。北海道に行くって、お前は行かせないって僕が言ったあの戦い。お前は急に僕の動きについてくるようになった」


「あの時よりも、更に──ここに至るまでの時間が早い」

「隆一郎。お前……なんなの?」

「はぁっ、はぁっ……さあ。わかんねぇけど、とにかく師匠の教えは全部叩き込んでますよ」


凪、怪我しないけど服はボロボロなる


「すっげ……弥重相手に、イチがここまで……?」


凪視点

おそらく。彼の気持ちに未来は気づいている。自分へ向けている感情は、きっと幼なじみや家族、そういったものではないのだと。

けれど彼は言わない。きっとこれから先も言わないだろう。

彼は未来が変化を恐れていることを知っている。

未来を好いていると自覚しつつ、未来が安心する場を奪わないと決めている。

幼い頃からずっと、そばにいた。何があってもそばにいる。

離れない、変わらない。

未来にとって一番安らぐ場所であり、大好きな居場所であるために。

そして未来も、隆一郎へ向けている感情の正体には気づいているはずなのだ。

彼女もまた、変化に捕らわれ、言い出せない。

お互いを支え合う、大好きなもの同士。

じれったい。



「霜野……さん?」


優しい笑顔。アッシュグリーンのフィッシュボーン。

線の細い体は、碧眼の男の子と同じくダイヤ柄が印象的な羽織に覆われている。


「ごめんなさいねェ、土屋君。仲良くしてくださったのに……残念ながら、私は敵ですよォ」


粘着質な喋り方。

明らかに、もう隠したりしないと告げている。

「あなた……模擬大会にいた」

青目の少年。

神無月──ハスキーな女性、それとなく書く。



『ただ、どうやら人間側が私たちのことを嗅ぎ回っているようでしたので。ならばこちらから顔を見せてあげようかと思っただけですよ』


『産月の十二人……全員でね』

『ケトの排除、そして──ハズレの回収』(既に臨世殺されてる?)

直樹はねェ、ハズレを独り占めしようとしましたから。

本当、上手くいかないものですよ。本来なら直樹にあなたがたを襲わせるつもりだったのに、まさか産月全員顔を見せなくてはいけないなんてね


「えっ……!」

「未来っ!」


未来連れて行こうとする(オワリが未来を殺したがっている)


バトル


「二人とも、司令官に連絡! 精鋭部隊のみにして、ら絶対他のマダーを近づけさせないで!」


『残念ですね。本部との連絡なんてさせませんよ』


「っく……! 流星、湊! 国生さんと結衣博士の援護に行って!」

「弥重は!? お前こんな中でどうするつもりだ!?」

「ユキと合流する! どうにかして切り抜けるから、お願い!」


湊二章で攻撃したの産月だす

「お前か……僕の腹を切り落とそうとしたのは」


リバーサルの死人、ヘンメイを使われたユキが憎悪で見るが、引き離される。

「……りゅー君。盛大に、ぶっ壊してくれ」


○戦闘中、調子に乗ったreversalの死人の口から

『本来は卯月がハズレを殺すはずだったんだけどなぁ、案の定、殺せなかったな』


──案の定?


『ハズレを殺せないっつって戻ろうとしたところで、オレが代わってやったんだよ。あのたばこの精鋭のとこに飛んで、ヘンメイだったか? きひっ、操ってやってさぁ』

『死人を増やそうとしてたあの男共二人に怒っていやがったから、代わりにそいつらもいたぶってやった。デスゲームに入れたらいつの間にか死んでたな、俺の操りの中で、何度も嫌だって叫んでた。殺したくない、やめてくれ。早く終われってな』


「……黙れ」


もういい。それ以上、ヘンメイの悲しい記憶を思い出させるな

それはつまり、ケトを作った死人がいる。ということ。

『あらあら? 皆さん何やら不思議そうな顔をしていますねェ』

『ああ、そうか。知らないんですね、死人がどんな経緯で生まれるのか。あなた方からすれば、哀しいを伝えるため、以外にわたしたちについてわかっていることなどないんですものねェ』

「どういう、ことだ」

忌避必きひひっ、教えてやろうかばかな人間ども』

『死人は哀しい気持ちが原料だ。しかしそれだけで自然に生まれることはない。死人になるもと、あのお方がいないとオレたちゃ生まれることができねんだなぁ』

『あのお方がいるから命が造られる。あのお方が消えたら俺たちは生まれることすらできないわけだ』


喜びの死人になる可能性がある死人が死人を作れる。

強くなりたくて死人を食うことがある。あれは、弱いやつがすることだ。

『あんな意地汚いことをするのは下の方の小汚い死人だけですよ。私たちはしませんねぇ』


根を張って連れていかれないように


『ああ全く……あれは本当に口が軽い。これじゃあ何のためにケトを排除しようとしているのかがわからないですねェ』

「あなたたちは、まじないの影響を受けないの?」

『そこらの死人と一緒にしないでくださいよォ、ハズレ』

『喜びの死人は、あんなまじないなど効きませんよ』


「ぐっ……!」


八点の光、八本の線でできた魔法陣のような模式。そして、己を痛めつける腹に突き刺さった何か。


(嘘だ……こんなの、ありえるわけが……!)


まるで、ではない。まさにこれは、凪が死人に対して使う拷問の技、【(おぼろ)げ】ではないか。


『面白いですねェ……手間はかかるがなんでもできる能力。もともと用意していればこんなにも簡単にあなたを捕らえられる』

「うぁ……あッ!」

『だーいじょうぶですよォ。ほら、よく見てください? 何にも突き刺さってないでしょう?』


師走と呼ばれたその男は、拘束されて動けない未来の腹の前で手をひらひらと動かしてみせる。

確かに、そこには何もない。未来が体感で感じているような、背中から貫通しているように感じる何かは見えない。

けれど、頭は。脳は、その痛みを感じている。

ありもしない何かの、己の肉と内臓を貫く痛みを感じている。


『ふふ……本当、マダーの想像力は目を見張るものがありますねェ。何せ、本来は無いものに痛みを感じ、心身両方へダメージを与えられるのですから』


「どうして……」

「あなたたちは、私を、殺すつもりだったんじゃないの。最初は、そういう命令だったんでしょ……」


『教えてさしあげましょうか』

『私が采配を任されているのですよ』

『私としては、戦闘は好きですが今の暮らしの方が好きなのです。産月と自分を慕う下層の死人……そして、あのお方。今の暮らしでいたいのです』

『だからあまり人間には干渉しないようにしていたのに……あのお方は勝手だ』


師走は言う。

人間側に産月の存在を知られたくなかった。今まで密に動いていて知られていない組織なのに、失敗すれば討伐にくるのではというおそれがあった。現に、こうして今相対している。


『けれどねェ、あのお方はそうでは良くないらしく』

『あのお方はハズレを殺したい。産月がどうなろうと知ったことではない、あなたを殺すために動いている』

『前回は誰かに殺させようとしたみたいですが……今は、ご自分の手であなたを殺したいようですよ』

『今は、あなたを利用しようとしているようですよ』

『ふふ、口が滑りすぎましたね。やつのことを言えない』


『まぁ、私も怒りましたよ。私がいない間に事が進んでしまって、戦わなくていいはずの私たちとあなた方がこうして戦争を始めてしまったのですから』

『こちらの暮らしを壊されないように、私にとっての怖い存在……精鋭部隊を壊滅させるべく華弥を送りましたが、ナギに見事に討伐されてしまいましたしね。上手くいかないものです』

『あのお方に頼んで死人を増やしてゴミ箱に送り込んでも……あなた方はどうにかして生きながらえる。本当に、どうしていいかわからなくなりますよ』

「あなたは……戦いたくない側なの?」

「あっ、ぐ……っ! ──ッ!」


『口を慎んでくださいね、ハズレ』

『私は、私の大事なものを守りたいだけです。そのためならこんな国、一日で滅ぼしてやりますよ』


(私が意識を失わない限り、こいつはみんなのところへいけない。私がいる状態で、この町を破壊できない)

自分が耐えれば。そうすれば、みんながどうにかしてくれる。

痛みと苦しみで意識を引き裂かれそうになりながら、未来は祈った。

みんな、どうか。どうかお願いしますと。


みんなの戦い

ユキ、寝てる間にどんどん周り変わる

一年でも色々と変わる。

一緒にいた友だちには別の友だちができていて疎遠になってる。

親は事故で亡くなっていた。

弟の背が十センチも伸びていた。

置いていかれる焦り。疎外感。

自分は歳をとり体も大きくなるが、その間の記憶も精神の成長もない。

幼い子どもの精神で、体だけが大人に近づいていく。


「怖いんだよ。周りの全部が。だから楽になりたかった」


死を選んだ。元から体も強くなかったし、頑張って生きたいなんて思わなかった。

ヘンメイが戻ってきてくれなければ、


手間のかかる技。自分の命を燃やす技。

「それでも俺には、これしかない」

『たばこは嫌いですわ』

「そう。ならこれは?」


日本舞踊で見とれさせる


「教えようか?」

手を握る

「──捕まえた」

『!?』

「【侶伴りょはん】!」

弥生、人形ドールに。



おキク戦いはいる?

『ちっ、楽しみ風情が──』



『気をつけろと言っておきましたのに……』

「卯月。ハズレを少し見ていてなさい」

「相沢未来。話を聞け」

隆との作戦夢の中で教える

師走はあいかのところへ

そりゃ、知られては困りますもの。こちらだって防御を貼っていますよォ(あいか知るで二章わからなかった理由)

『そもそも、産月とは人間の体に心臓を埋め込んだ者ですから。死人として捉えられなくても当たり前ですねぇ』

『あなたには、置き土産をしておきますね』(まじないをあいかへ)

あいか気絶する

『殺しはしませんよ。あなたは……私たちにとって、大して脅威ではありませんから』

根腐れ病

発見遅れやすい

序盤に使って後半にかけてきいてきて形勢逆転

根幹から腐る。時間かかる分再生は不可

未来自身を病原菌にする(右腕使う)


リバーサルの死人、心臓かたい。ヘンメイを思い出す。

『隆一郎』

「……はい」

通信機から聞こえる、優しく、けれど真剣な声。

凪さんは、一呼吸置いて俺に問いかけた。


『行かなくても、大丈夫だね?』


 勝てると信じてくれている。


「大丈夫ですよ。相手わけわかんないくらい強いですけど、凪さんより強いはずはないんで」

『ふふ、さすが。肝が据わってる』

「誰が師匠だと思ってるんですか?」


「【火喰ひぐらい】」


炎系の攻撃を体全体で吸収、無効化する。

手や食べたり


『お前、その見た目……』


見目が変わる。

ズボンに炎の模様、ほんの少し犬歯が目立つ。

まるで動物の──のような


炎症(えんしょう)】を軽減バージョンで使って怪我軽くする

「元は俺の技なんだ。回収させてもらうぜ」


バグる

産月リバーサル討伐


「だったら! 自分の信念を持って戦っていた、ヘンメイあいつの方がずっと強かった!!」


「絆をバカにすんじゃねぇよ」

「大事な人との時間を、他人が壊していいわけねぇだろうが」


『おや……如月がやられましたか』

『しぶといですねェ……早く意識を失ってください。そうすればキューブは剥がれる。この根っこも作れなくなるんでしょう?』

「あなたたちは……なんなの。ハズレって、なに……」

本当に知らないんですかぁ?

覗かせてください?


○軽く未来の過去へ

──子どもを戦場へ送り出すつもりか!

──もう戦争の道具で奴らは倒せない。見ろ、想像したものが兵器になるのだ。

──我々もそのようなことはしたくない。しかし……彼らを見ろ。戦えるだろう。

周りはしんとした。

まるで元からそんな役目であったかのように、未来と凪は淡々とキューブを使って死人を殲滅した。


──未来ッ!!


この日は当番で。

当番の日は学校が終わり次第合流するようにしていた。【光速(こうそく)】でこちらに来てくれた凪は一向に待ち合わせ場所に来ない未来を不安に思い、学校へ向かう。

そこで見たのだ。襲われている自分を。


「はぁっ……はぁっ!」


凪に消してもらっていた記憶が、脳をまさぐられ、無理矢理思い出してしまった

ああ……ごめんなさい。なんだか、嫌な記憶……思い出させてしまったようですねぇ


隆、ふらふら

通信機応答なし


卯月、隆の夢の中へ

『土屋隆一郎。一度でいい、ぼくを信用しろ』

敵を信用する理由は無い。けど、

「教えろ、卯月。お前、本当はあの時……未来を殺すよう命じられたんだよな」

「どうして殺さなかった」

『ぼくは、あの子の心に惚れている』

死人ぼくらを思ってくれている。あの子の清い心が、ぼくは好きだ』

それは、ケトやおキクと同じ気持ちだ。

純粋に、種族の争いに関係なく、未来のことが大事なのだ。

「あの夢、ずっと見せてくれてたのはお前だよな」

『……いいや』

『きっと、前のぼくだ』

『だけど、死人と人がともに暮らせる世界。そんな不思議なものを目指しているあの子のことは、面白いと思う』

『面白い世界が見られるかもしれない。協力しよう』

こいつの根っこは、きっと変わらない

「わかった。信用する」

「けど、死人は記憶を共有するんだろ。この作戦もバレるんじゃないのか」

『この夢はぼくの能力だ。奴らの記憶には残らない』

『いいか、土屋隆一郎。あの子を絶対に救ってくれ』


気絶しても常時展開してたら身体能力上がったまま。今回はそれが功を奏した


ぺち、と

「……ケト」


『ケト、リュウ、約束した』

『ケト、ミク守る。ミク守るために力使う』


「ああ」

「迎えに行こうぜ」

炎症(えんしょう)】、軽減──痛みを忘れる


『師走』

『あのお方の支度が、整ったらしい』卯月

『それは……帰らねばなりませんねぇ』

未来耐えてる

根腐れ病で師走の右目潰す、今後使えない

精神を狂わせる花

『あなた……まさか、【(おぼろ)げ】を断ち切るために、自分へ幻惑効果を?』

『馬鹿なことを。どちらにせよ戦えないことに変わりはない』

「そうかな?」

「やられてるだけ……我慢してるだけだと思った?

「演技は得意なんだよね……昔から、必要以上に繕ってきたから」


思い出した記憶は、今は放置。考えるな。考えたら、戦えなくなる。

『腐るなら……アナタおひとりで腐ってくださいッ!』


隆、炎症

ケトと一緒に助けに来る

黒い腕が翼に変わる、大きくなる

空に拘束された未来を助けに、気付いた未来が根っことっぱらって飛び降りる。隆キャッチ

しっぽ生えて隆と未来支える

『ふふ……信頼とは素晴らしい』

見た目で言うなら──そう。悪魔デビル

救出してから師走に【難燃の紐(ストリング)】で捕まえられそうになる

「ケト、頼むぞ」

『うん! 二人ともしっかり捕まって!』

くるくる回りながら躱す

最後は紐を結ぶようになる

「未来、離すなよ」

抱きついてもらった状態で弓をつくる

「【弓火(ゆみのひ)】──連!」



「本当……嫌になるよ」


金に近い、茶髪。


「実の親には殺されかけるし、ようやく動けるようになったと思えば町はボロボロだし。仲間も、可愛い弟子も、大事な子もみんな傷だらけなんだから」


「僕のいない間に、随分と勝手をしてくれたみたいだね」

「誰からやる?」


『このっ……!』

『やめろ、●!!』


攻撃無効化、化け物になった産月の心臓を鷲掴み


「なるほどね。人の皮を被った死人……いや。人間として生まれ、死人の皮を被せられ、最終的に死人になってしまった哀れな存在か」


心臓握力で潰す

産月いったい、黒いガラス玉に変わる。


「さぁ……誰からやる? 誰でもいいよ。一人でもいいし、全員でかかってきてもいい。僕が冷静でいられない今はチャンスだよ」


黒い笑みを浮かべる先導者。

圧倒的な力を前にして、産月は誰ひとり動かない。


↓隆が守る、凪が突撃する、倒す、師走逃げる

「回禄」


球状の炎で覆った瞬間、衝撃。

エネルギーと炎がぶつかる重低音が、心臓に響く。

風が、衝撃も少し中へ入ってる。このままだと間違いなく突破される。

わかってる、これじゃダメなんだってことは。

俺の中で最大の防御のはずの回禄は、それ以上の強さによって突破されることも珍しくない。

だけど……それって多分、俺の問題なんだよな。

だってそうだろ? ()()()あるはずの力が、簡単に破られるなんてあり得ないのだから。


自分の口角に動きがあった。

この後に及んで笑ってやがるのか、俺は。

自重するべきか? いいや、これでいい。

だってこのギリギリの瞬間が、成長への道なんだろ? 俺の場合はさ。


「力を貸せ、キューブ」


悩みもせず答えを出した自分の脳とキューブへ命令する。

想像しろ。神の名を持つ炎の盾を。

守りたいものを守れるような、誰もが安心できるような強い力を。

炎が青く変化する。

今まではメラメラと燃え上がっていた赤色の炎が穏やかになる。

月明かりのような淡さでみんなを守る、炎の神。

エネルギーを上下左右に分断して、中へは決して通さない。


「一段階成長……だな?」

「ああ。人間一歩ずつしか進めねぇからさ」


数段飛び越えての成長はありえない。

特別な方法なんてない。

ぶつかった分だけ乗り越える方法を探す。

繰り返して繰り返して、強くなるしかないんだ。


お前の笑顔が見られるなら、俺はもう少しだけ強くなれるんだ。


「この周辺の人全員避難が完了しておる。やり手じゃな」

「わかるか、凪坊。何をしても許されるってことじゃ!」

「ぶちかませ」


にっ


戦いながら引いていた8個の光の点を、繋ぐ。


「【神の裁き】」


産月いくらか倒す


【雷樹】で充電


『あらあら……思ったよりもやられてしまいましたね』


後ろから声。

殴るが、止められる


『ダメですよ、ナーギ。私とあなたが戦うのはまだ先の話です。今ではありません』

『今回は引きましょう? ……お互いのためにね』


シェフの拘り


凪「僕の守りたいもの以外を、消し飛ばせ」

「神罰」

神々しい光の技。

全てを守り、己の敵と見なすものを神の裁きへ




化け物の姿で倒すと産月たおせる

人型だとまた再生する


臨世、雪で死人を作り出す。天気を司る

『雪の女神』

↪︎雪翔が【侶伴りょはん】を使う羽目になったやつ


司令官視点、万里や雫、じぃ

本州へ死人進出


人間でも死人でもない。

ただ、何かとんでもないものがそこにいるのは確かだった。


雫、じぃ

「番号」


「本州への進行を必ず食い止めろ。境界の位置を下げさせるな!」


防壁や戦闘引退したマダーとか

本部の中で司令官指示

「なぜ奴らは、人が多くいる方へ来ようとするのだろうな」


待ち受けるのは死だとわかっているだろうに。彼らはそれでも、人を殺しにくるのだ。



未来、トラウマ呼び起こされる。

『人間やって?よぅそんなん言えたなぁ』

未来の右耳つぶす、

おキク、凛世にかみつく

殺される、ゴミ箱入れられ、圧縮

ゴミ箱に圧縮されること。それはすなわち、死を意味する。

最期の姿も見られず、生きたまま、縮められた。

ガラス玉になることも、お祓いで感情をなだめられることもない。

生前と同じように、誰かに看取られることもなく。

ひとりで、死した。


「──ぁ」


途端、


「あああああああああああああッッ!!」


声を上げた。

いや、絶叫だ。

大切な友だちを、大事な仲間を。

失った悲しみと怒り、いいやそんなものではない。

恨み、憎しみ、今までに感じたことのない激しい感情が、涙と叫び声に表れる。

自我を失いそうな程に狂う未来を、臨世はさぞおかしそうに笑っていた。



『きゅ……』

最期に一声、鳴いて。

未来、めだかボックスめだかちゃんみたいに暴走

『そうや。それがホンマの相沢未来や』

『生ぬるいおともだちと一緒におるときの君とは違う。鋭くて、見るのも恐れるようなどす黒い感情を持つバケモノ。それが、君や』



髪水に濡らされ強くして、首締められる

未来。自ら切って逃げる

「ありがとう、切る機会を与えてくれて」

反応が怖くて切りに行けなかった。自分を全く知らない人に青い瞳を見られ、恐怖させてしまいそうで避けていた。

──自分で切れば良かったのだ。




隆、リバーサルの産月たおす、


爛熟→果実が崩れそうなまでに塾しきっている。物事が発達しきって衰える兆しさえ含む状態

慣れるために怪我をする戦法は両刃の剣。結局その後戦えなくなったら意味が無い。

それに──「」

未来が、怒る。悲しませる。

俺を心配してくれるから。

だから、一度受けた攻撃の『質』を爛熟させる。受けた内容の●を熟して、十を理解する。その瞬間に、相手を理解する。

拾ったデータを、俺の中で熟させる・・・・


『まさか……この俺が、こんな!』

「どけよ」

「産月だろうがなんだろうが、」

黒い玉


『あのお方に頼んで死人を増やしてゴミ箱に送り込んでも……あなた方はどうにかして生きながらえる。本当に、どうしていいかわからなくなりますよ』


思い出す。ここ数ヶ月、東京で死人の数が異常に増えていたこと。


「死人は、その人の意思で、生まれるの?」

『生まれさせることもできるし、自然と生まれることもある。……そういう存在を作ったのはあなた方でしょう? ねェ、ものを大事にしない人間様』


古きは入れ替わる。わかってはいますけど、受け入れるなんて到底できないんですよ、当事者からしたらね




眠ったことによって、変化が進んだのか。

喋り方がハッキリとし始めた


産月は死人の命をなんとも思わない。死人に対し命令をする。マダーを殺しにいけ、死ににいけといつ命令されるかわからない。だから怖がっているようですねェ



総理と話してた爆弾で蹴りをつける

凪のルテイン→光から守る→みんなを守る

産月倒していけるが空間が裂ける

このままじゃもたない

隆とかわる

凪、空間を【(いと)】で縫い合わせる

電力足りない→未来の雷樹



霜野おばあさん、師走が守る

「師走……」

『ごめん、もう一緒にいられないや』

『元気でね、ばっちゃ』


『祖母は、父の遺した物を本当に守りたかった。……私はその思いを利用しただけです』


『ふふ……派手にやられましたねェ』

今まで見ていた師走、凪のうしろへ

後ろ手に殴るも抑えられる

『ダメですよ、ナーギ。私たちが戦うのはまだ先です』

『今回は退きましょう? お互いのためにね』


隆、師走にキューブ壊される

素体状態で左腕に攻撃うける

キューブの性質上素体での回復はできない

凪ヒールを使いたくない、傷痕残る

未来に泣いてお願いされる

隆にも頼まれる

「こいつと同じものを背負えるなら、それは、それで。いいなって思う」

「……ヒール」

隆痛みで暴れる

「未来、押さえて」

体を押さえ、ヒール続ける

終わって、くっきり傷痕

隆、凪に感謝を伝える

「ごめん。」

「守るって、誓ったのに。ごめん。……ごめ、ごめん」

二人を抱きしめ、無力を悔いる。

泣き顔なんて見せたくなかった。

けれど止まらない。

どうして守れない。

敵を滅する力は持っているくせに。

守る力は持ち合わせていない。

矛だけ。自分に盾はない。

守りたいものは、傷つけて、守る。

守りたいものを傷つけずに守る力は、自分には無い。

悔しい。

悔しくて、悔しくて。

ボロボロと涙が零れる。

抱きしめる手に力を込めて、何度も何度も、謝る。

ごめん。ごめん。

何度も、謝って謝って、許しを乞う。

大事な二人はこんなにもボロボロなのに、自分の体はあまりにも綺麗すぎて。

それがより一層怒りを沸き立たせた。


「凪さんがいたから、私は生きてる」


不意に未来が言った。


「凪さんが葛藤して、選んでくれたから。だから、隆は生きてる」

「謝らないで。私たちは、あなたの心の一部を削って生きてる。謝るのは凪さんじゃなくて私たちなんだよ」


隆一郎も、笑って頷く。

そんな体力もうないだろうに。

凪の心を守るために、その重だるい体を必死に動かして、肯定する。

そのまま彼は眠りに落ちた。

バラバラになったキューブを握りしめ、穏やかな寝息を立てる。

未来の小さな体に全体重を預ける彼は、頭を優しく撫でられている。

大事で、壊れやすいものに触れるかのような優しい彼女の手で。



精神を壊す花の影響が残る。

それだけじゃない。幻惑とはいえ、本来なら人間が生きていられるはずのない刺突を続けられた未来は明らかに衰弱していた。それでも。


「直、君」


ウジがわくアイツの体へ、その身を寄せる

未来が近寄る

もうほとんど腐っている肉体へ、ウジが湧いているその腕へ、手を置いた。


『……ご……め』


しかしまだ意識があるのか、口を僅かに動かして、翔は未来へ何かを伝えようとする。

未来はその言葉を聞こうと、必死で【治癒ノコギリソウ】を使った。けれど、


「未来。……無理だよ」


キューブの能力が──のは、キューブを展開していた時にだけ。

マダーではない、ましてや人ですらない死にかけの死人には、どんなに未来が願っても届かない。

傷を治すための癒しの技は、翔には届かない。


『め……ん。あい……ちゃ……』

「ええ、よ。ぐすっ……も、謝んなくて、ええから……」



あいか起きる

「未来さん。あなたは、いったい何者ですか」問い詰める

攻撃体制とる

凪、「あなたは、また……ッ!」

凪、隆、未来を庇う

「知らないですよ……私が何者か、なんて。そんなの、私の方が知りたい」

『ミクは、あのお方の家族だよ』

『ユキトのところとはちがう、スグルのところと同じ』

『ミクは、あのお方と同じ両親から生まれた、血の繋がった兄妹だよ』



第四章、『相沢未来』


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