北海道行く前ぱられる
「み、弥重先輩! アタシも連れて行ってください!」
「だって、未来ちーにとって嫌な人と会いに行くんでしょ? アタシ……そばにいたい、アタシも何とか役に立てると思うんです!」
「……弥重先輩」
「すみませんでした」
「アタシ……未来ちーのことが、ほんとに大好きなんです。あの子がトラウマと向き合うっていうなら、助けたいし、そばにいてあげたい」
「でも……それで、アタシにもしもがあって、逆にあの子が悲しむことになるのはもっとダメだから」
「見送りだけ、させてください。ちゃんと、こっちに残るので」
「長谷川さん」
「ありがとう。ごめんね、怖い思いをさせて」
「……二人分抜けるから、当番が少ししんどくなると思う。気をつけて」
「はい」
「暗い顔してるね」
凪さんが俺の横に腰を下ろす。
「……数日後のことを考えると、気分も沈みます」
「僕もだよ。正直、前向きにはなれないよね」
「でも、案外未来が大丈夫そうで良かった」
「りゅーちゃんがいてくれるからだよ。来てくれてありがとうね」
「凪さんがOKしてくれたからですよ」
「ちがうよ」
「実力がなければ、例えあの子のためでも僕は危険な土地に連れてこなかった。僕が連れていきたいと思うほど、りゅーちゃんが努力して、強くなっていたからだ」
「褒めなさい、今まで頑張った自分を。そしてこれからも努力し続けると誓い、頑張ってる自分にありがとうって言うんだよ」
「ホストのアルバイトをしていた時期があってね。寝て起きるごとにほんの少し性格が変わるみたいで」
以前の自分がどんなだったかはよく覚えていないらしい。
「ちなみに寝る前は僕のこと『殿』って呼んでたよ」
「殿……? 凪のことを?」
「うん。だから僕がよく話してたりゅーちゃんのことは『ナイト君』、未来のことは『お姫様』って呼んでた」
ナイト君
呼び方……主人がそう呼んでたから、俺のこともナイト君って呼んでたのか




