第4話 王女レギーナ登場
夕暮れの食堂。
ミナが修理したゴーレムが軽快に動き、
客たちは満足そうに食事を楽しんでいた。
その裏で──
エルンはアリアの魔核ログを確認していた。
**《E-CORE:安定率 68%》
《外部侵入ログ:黒霧パケット 5件》
《警告:王都ネットワークに異常波形》**
(……黒霧が王都のネットワークに触れ始めてる。
アーク・ゼロ……何を探してる?)
アリアはエルンの袖を掴み、
不安そうに見上げた。
「……エルン……
くろい……なにか……ちかい……」
「大丈夫。
俺がいる」
アリアの魔核が、
安心したように蒼く脈打つ。
ミナはその様子を見て、
複雑な表情を浮かべた。
(……アリアって子、やっぱり普通じゃない。
エルンも……何者なのよ)
その時──
**店の扉が静かに開いた。**
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◆ 王女レギーナ登場
入ってきたのは、
蒼い軍服を纏った少女だった。
金の髪。
整った顔立ち。
背筋の伸びた姿勢。
ただ立っているだけで、
空気が変わる。
店主が慌てて頭を下げた。
「お、おおお王女殿下!?
な、なぜこのような場所に……!」
ミナが目を丸くする。
「レギーナ様!?
なんで王女がこんな食堂に……!」
エルンは戸惑いながらも、
レギーナの視線が“まっすぐ自分に向いている”ことに気づいた。
レギーナは静かに言った。
「あなたが……エルンね」
エルンは息を呑む。
(……なんで俺の名前を……?)
ミナがエルンの前に立つ。
「ちょっと!
エルンに何の用ですか!?
この人はただの皿洗いで──」
レギーナはミナに優しく微笑んだ。
「あなたがミナ=ハートフィールドね。
修理工場の娘で、天才修理士。
あなたの技術は王都でも有名よ」
ミナは顔を赤くする。
「えっ……あ、ありがとうございます……?」
レギーナはエルンに向き直った。
「エルン。
あなたの“技術”について話があるの」
エルンは警戒しながら言う。
「……俺はただの皿洗いです」
レギーナは首を横に振った。
「いいえ。
あなたは“魔導刻印を手動で書き換えた”。
それは……国家レベルの技術よ」
ミナが驚く。
「え……国家レベル……?」
レギーナは続ける。
「そして──」
レギーナの視線がアリアに向いた。
「その少女。
彼女の魔核……
“E-CORE”ね?」
アリアが震える。
「……レギーナ……
しってる……?」
レギーナは静かに頷いた。
「知っているわ。
E-COREは王国が極秘に研究していた“魔導OS”。
本来なら……この世界に存在してはいけない」
エルンの背筋が凍る。
(アリアは……国家機密……?)
ミナが叫ぶ。
「ちょっと待って!
アリアはエルンが助けたんです!
危険な子じゃない!」
レギーナはミナを制するように手を上げた。
「分かっているわ。
だからこそ……ここに来たの」
レギーナはエルンの前に立ち、
真剣な瞳で言った。
「エルン。
あなたとアリアを……保護したい」
エルンは驚く。
「保護……?」
レギーナは続ける。
「王都ネットワークに“黒霧”が侵入している。
あなたたちを狙っている。
軍は……あなたたちを“危険視”し始めている」
ミナが息を呑む。
「危険視……って……
エルンはアリアを助けただけなのに!」
レギーナは静かに言った。
「だからこそ、私が動くの。
あなたたちを守れるのは……
王女である私だけ」
アリアがエルンの袖を掴む。
「……エルン……
いかないで……」
エルンはアリアの手を握り返した。
レギーナは一歩近づき、
小さく囁いた。
「エルン。
あなたの技術は……
“アーク・ゼロ”に対抗できる唯一の光よ」
エルンの心臓が跳ねた。
(アーク・ゼロ……
黒霧の正体……
やっぱり……)
レギーナは手を差し出した。
「来て。
あなたたちを守るために」
エルンは迷った。
ミナはエルンの腕を掴む。
「エルン……
あたしも行く。
あんた一人で危険な場所に行かせない」
アリアもエルンの手を握る。
「……エルン……
いっしょ……」
エルンは深く息を吸い、
レギーナの手を取った。
「……分かった。
行こう」
その瞬間、
店の外で黒霧が大きく揺れた。
**《警告:黒霧パケット、王都中枢に侵入》**
アリアが震える。
「……くる……
アーク・ゼロ……」
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