第3話 天才ゴーレム修理士ミナ登場
昼下がりの食堂。
配膳ゴーレムが突然、火花を散らして停止した。
**バチッ!**
皿が床に散乱し、客が悲鳴を上げる。
店主が叫ぶ。
「また壊れたぁぁ!!」
その瞬間、
店の扉が勢いよく開いた。
「どこ!? どこが壊れたの!?
うちの工場のゴーレムを壊すなんて、許さないからね!!」
赤髪の少女──ミナが飛び込んできた。
頭には大きなゴーグル。
今は額に上げているが、
興奮するとすぐ目元に下ろす癖がある。
腰の工具ポーチはパンパンで、
歩くたびに金属音が鳴る。
店主が泣きつく。
「ミナちゃん、頼む! また動かなくなった!」
ミナはゴーグルを“カシャン”と目元に下ろし、
ゴーレムをひょいと持ち上げた。
「ふん……どれどれ……」
背面パネルを開けた瞬間、
ミナの眉が跳ね上がる。
「うわっ、ひっどい配線!
魔力流が逆流してるじゃない!
誰よ、こんな無茶な使い方したの!」
エルンが皿洗い場から顔を出す。
「すみません……俺が急がせすぎたのかも」
ミナはゴーグル越しにエルンを睨む。
「皿洗いのくせに、ゴーレム壊すなんて100年早いのよ!」
エルンは苦笑した。
(皿洗いのくせに……また言われた)
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◆ ミナの“職人の手”
ミナは工具を取り出し、
魔導刻印を素早く調整し始めた。
その手つきは迷いがなく、
まるで“コードを直接書き換えている”ようだった。
「刻印のバージョンが古いのよね……
父さんの工場、またアップデートしないと……」
エルンは思わず見入る。
(……すごい。
魔導刻印の構造を完全に理解してる。
俺と同じ“技術者の手”だ)
ミナは気づいて振り返る。
「なに?
皿洗いのくせに、修理に興味あるの?」
エルンは慌てて首を振る。
「いや……その……」
ミナは鼻で笑う。
「まあいいわ。
あたしはミナ=ハートフィールド。
父さんの工場で修理を叩き込まれた天才よ。
魔導刻印のことなら、王都で右に出る人はいないんだから」
誇りと自信に満ちた声だった。
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◆ エルンの“異常な修理”
ミナが修理を終え、
ゴーレムを再起動しようとした時。
**ピッ……ピピ……ッ……**
ゴーレムの魔核がノイズを発し、
再び停止した。
ミナが叫ぶ。
「なんで!?
刻印は完璧なのに……!」
エルンはゴーレムの内部を覗き込み、
魔力流の“流れ”を見た。
(……ここだ。
魔力流がループしてる。
この刻印の書き方じゃ……)
エルンは指で刻印に触れ、
魔力流を“再ルーティング”した。
**《魔導刻印:手動パッチ適用》
《魔力流:最適化完了》**
ゴーレムが滑らかに立ち上がる。
「配膳モード、再開します」
ミナが固まった。
「……は?」
エルンは軽く言う。
「ここ、魔力流が逆流してたから。
刻印の書き方が古いタイプで……」
ミナはゴーグルを上げ、
エルンの胸ぐらを掴んだ。
「ちょっと待って!?
あんた、今なにしたの!?
刻印の“手動パッチ”なんて、
普通の技師でもできないのよ!!」
エルンは困ったように笑う。
「いや……なんとなく、分かっただけで……」
ミナは震える声で言った。
「……皿洗いのくせに……
なんでそんな技術持ってるのよ……」
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◆ アリアの反応
その時、
アリアがエルンの後ろから顔を出した。
「……エルン……すごい……
エルンの……ひかり……
ゴーレムにも……とどいた……」
ミナはアリアを見て、
さらに驚く。
「ちょ、誰この子!?
魔核の光……おかしくない!?
これ……E-CORE……?」
アリアはミナをじっと見つめる。
「……あなた……エルンの……なかま……?」
ミナは一瞬だけ言葉を失い、
すぐに胸を張った。
「そ、そうよ!
あたしはミナ!
エルンの……その……
知り合いよ!」
アリアは小さく頷いた。
「……よろしく……ミナ……
わたし……アリア……
エルンの……ひかり……」
ミナの顔が真っ赤になる。
「ひ、ひかり!?
なにそれ!?
意味深すぎるでしょ!!」
エルンは慌てて話題を変えた。
「と、とにかくゴーレムは直ったよ。
ミナのおかげで」
ミナはエルンを睨む。
「……あんたの方が直してたじゃない。
皿洗いのくせに……
なんでそんな技術持ってるのよ……」
エルンは答えられなかった。
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◆ 黒霧の影
その時、
店の外で“黒い霧”が揺れた。
アリアの魔核が警告音を発する。
**《警告:黒霧パケット接近》**
アリアが震える。
「……また……くる……
くろい……なにか……」
ミナはその様子を見て、
ただならぬ事態を悟った。
「エルン……
あんた……何に巻き込まれてるの……?」
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