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異世界転生した俺は精霊に愛されすぎて、静かに村を育てます  作者: 月灯り庵


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初出荷、王都騒然

初出荷回です。


甘さが市場を動かします。

王都、中央市場。


朝から異様な行列ができていた。


「精霊の森の米、本日入荷!」


商人ギルドの掲示板に貼られた札。


その下には、小さな文字。


数量限定。


ダリオは、初出荷分の箱を見つめる。


「……慎重に」


価格は高すぎない。


だが安売りもしない。


森との約束だ。


最初の購入者は、若い貴族令嬢だった。


一口。


目を見開く。


「……なに、これ」


甘い。


だが重くない。


優しい。


市場がざわめく。


次に買った料理人が叫ぶ。


「火の通りが違う!」


「香りが立ちすぎだ!」


「これは、主役になる食材だ!」


瞬く間に噂が広がる。


市場の隅。


ヴァルツ侯爵の側近が低く言う。


「……これか」


「ただの作物ではない」


人が集まり。


評価が広まり。


価値が固定される。


これはもう、“噂”ではない。


商人ギルド本部。


「精霊の森の専属だと?」


「ダリオめ……」


嫉妬と焦り。


市場が動くと、政治も動く。


王宮。


若い伯爵が笑う。


「予想以上ですね」


ローベルトが静かに頷く。


「ええ」


「甘さは、伝染します」


一方、森では。


ハルがのんびり草を抜いていた。


「売れた?」


リリアが報告する。


「完売です」


「よかった」


それだけ。


レイナが呆れる。


「もっと喜べよ」


「だって、まだ畑あるし」


ルナが微笑む。


「変わらないわね」


だが精霊たちは知っている。


風が変わったことを。


王都がざわめいていることを。


甘さは、静かに広がっている。


精霊の森は変わらない。


だが世界が、変わり始めている。

精霊の森は拡大しません。


でも評価は、勝手に広がる。


次は――


反対派が動くか。


それとも森はまだ穏やかか。


物語は、少しずつ加速します。


月灯り庵

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