ようこそ、精霊の森へ(圧あり)
今回は“新参者への圧回”でした。
なろう的には
既存ヒロインの格上げ+新キャラ試験回です。
リリアが森に残って三日目。
小屋の空気が、ほんの少しだけ違った。
穏やか。
でも、張り詰めている。
原因は明確。
――ヒロイン勢である。
朝。
リリアが水路の記録を取っていると、ルナが隣に立った。
「丁寧ね」
「は、はい」
「王都式?」
「そうです。数値化しておくと……」
「この森は数値だけでは測れないわ」
にこり。
笑顔。
だが圧。
少し離れた場所。
レイナが腕を組んで見ている。
「王都ってさ」
「はい?」
「ハルみたいなタイプ、珍しい?」
直球。
「え?」
「利用対象になりやすい?」
リリアは即答する。
「なります」
空気が止まる。
レイナの目が鋭くなる。
「でも私は違います」
「どう違うの?」
「守りたい側です」
真剣。
嘘はない。
レイナは数秒見つめてから、ふっと息を吐いた。
「……まあ、今のところ合格」
怖い。
昼。
エリシアが静かにお茶を出す。
「王都は、森をどう見ていますか」
穏やか。
でも核心。
リリアは正直に言う。
「資源として見る者もいます」
「そうでしょうね」
「ですが」
リリアは言葉を選ぶ。
「守る価値があると考える者も増えています」
エリシアは目を細める。
「あなたは?」
「後者です」
沈黙。
そして。
「ならば、歓迎します」
合格二人目。
だが、本番は夜だった。
食卓。
ハルがいつも通り無防備に座っている。
リリアの向かいには、ルナ。
右にレイナ。
左にエリシア。
完全包囲。
「……緊張しますね」
「当然よ」
ルナがさらりと言う。
「ここは精霊の森の中心だから」
レイナがにやっと笑う。
「中心って誰?」
ルナと目が合う。
火花。
リリアは悟る。
(この戦場に入ってしまった)
食後。
ルナが静かに言う。
「リリア」
「はい」
「あなたが森に残る理由は?」
「守るためです」
「ハルを?」
核心。
リリアは一瞬だけ迷い――
「森を、です」
ルナはじっと見つめる。
精霊が静かに揺れる。
嘘なら、拒絶される。
だが光は穏やか。
ルナは微笑む。
「なら大丈夫」
合格三人目。
だが。
レイナがぽつりと言う。
「もしさ」
「はい」
「ハルのこと、好きになったらどうする?」
直球すぎる。
ハルがむせる。
「な、なんでそうなる!」
三人が同時に言う。
「静かに」
ハルが黙る。
リリアは、真っ直ぐ答える。
「……その時は」
深呼吸。
「正々堂々、挑みます」
一瞬の沈黙。
そして。
レイナが吹き出した。
「いいじゃん」
ルナも小さく笑う。
「逃げないのは嫌いじゃないわ」
エリシアがまとめる。
「では一つだけ」
三人が揃って言う。
「ハルを傷つけたら許さない」
圧、最大。
リリアは背筋を伸ばす。
「心得ました」
その様子を見ていたハルがぽつり。
「なんか俺、物みたいになってない?」
全員が同時に言う。
「黙って」
精霊たちがくすくす笑う。
夜。
リリアは星を見上げる。
「……強い」
森も。
ヒロインも。
そして何より。
ハルの周囲の“絆”が強い。
(この場所は簡単には崩れない)
だからこそ、守りたい。
本気でそう思った。
精霊の森は今日も甘い。
だが中心部は、少しだけ熱を帯びている。
新たな均衡が、静かに生まれた。
精霊の森は優しい。
でも、簡単ではない。
守る覚悟がある者だけが、隣に立てる。




